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プレミアEAST逆転Vへ、横浜FCユースが2位浮上。一体感、際の強さも示し、首位・鹿島ユースを2-0で撃破

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横浜FCユースが2位浮上。逆転優勝をかけた最終節へ

[12.1 プレミアリーグEAST第21節 横浜FCユース 2-0 鹿島ユース 神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場]
 
 首位撃破の横浜FCユースが、2位で最終節へーー。1日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EAST第21節2日目が行われ、神奈川県横浜市の神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場で3位・横浜FCユースと首位・鹿島アントラーズユースが激突。横浜FCユースが2-0で勝ち、得失点差で鹿島ユースをかわして2位へ浮上した。

 試合前時点での横浜FCと鹿島との勝ち点差は3。鹿島は横浜FCに勝利し、勝ち点3差の2位・柏U-18が前橋育英高戦で引き分け以下に終わると優勝の決まる状況だった。横浜FCは3連敗中だったが、目の前での優勝を阻止。自分たちの優勝の可能性を残して、12月8日の最終節(対大宮U18)を迎えることになった。

 横浜FCの先発はGKが大亀司(2年、U-17日本代表)で、主将のDF小漉康太(3年)、秦樹(2年、U-17日本代表)、大川萊(2年)、佃颯太(2年、U-17日本代表)、MF朝見友樹(3年)、中台翔太(3年)、岩崎亮佑(2年、U-16日本代表)、管野心人(2年)、FW庄司啓太郎(3年)、齋藤翔(1年、U-15日本代表候補)の11人だった。

3位・横浜FCユースは絶対に負けられない戦い

 一方の鹿島はGK岸野瑛太(3年、DF大川佑梧(2年、U-18日本代表)、佐藤海宏(3年、U-18日本代表)、朝比奈叶和(2年)、玉木亜門(3年)、MF小笠原聖真(3年)、中川天蒼(2年)、福岡勇和(1年、U-16日本代表)、大貫琉偉(1年、U-16日本代表候補)、平島大悟(1年、U-16日本代表)、そして得点ランキング首位のFW吉田湊海(1年、U-16日本代表)が先発した。

首位・鹿島ユースは横浜FCユース戦に勝てば、優勝決定の可能性があった

 横浜FCの和田拓三監督は、この試合へ向けて「(3連敗していたが)自分たちが得点を奪えてないとか、やっぱり守備で失点をしているとか、その勝ち負けだけじゃなくて、そういうところにしっかりとフォーカスしてやってきた」という。

 3連敗と結果が出ていないこと、優勝が危うくなっていることよりも、課題に目を向け、鹿島ユース戦で勝つことに集中。そして、「球際とか対人のところっていうのはずっと言ってきたところ」(和田監督)という際のバトルで指揮官も評価するプレーを続け、「もう相手はセットプレーでめっちゃ点決めてんのは分かってるんで、ほんとにそこは全員で集中してやってました」(小漉)とセットプレーを含めた相手の長所を出させなかった。

 鹿島は平島や福岡が出足速く相手ボールを奪い返しに行き、大川の左足フィードや左の小笠原のドリブル、ワンツーからの仕掛け、佐藤の攻め上がりを交えた攻撃。17分には1年生ダブルボランチの一角、大貫の左足ミドルが枠を捉える。特に吉田が鋭い動きを続けるなどCKの本数を増加。先制点を狙うが、横浜FCは秦と大川の両CBや小漉を中心にゴール前の対人勝負で負けず、セカンドボールを朝見が回収するなど決定打を打たせない。

鹿島は得点ランキング首位の1年生FW吉田湊海がドリブルで切れ込む

横浜FCは右SB小漉康太らが身体を張った守り


 そして、良い形での奪い返しからボールを繋いで攻め返すと、朝見や菅野、齋藤がワイドへ展開。いずれも突破力のある中台、岩崎の両翼がクロス、シュートへ持ち込んでいく。鹿島CB大川に跳ね返されるシーンも多かったが、38分に先制点を奪った。

鹿島のU-18日本代表CB大川佑梧は攻守で存在感のある動き

 横浜FCは左サイドでの組み立てから、SBの佃が前線へスプリント。そこへCB秦からのロングフィードが入る。これは相手DFに阻まれたが、GKへのバックパスを佃がインターセプト。飛び出してきたGKを“裏街道”でかわすと、最後は無人のゴールへ右足シュートを蹴り込んだ。横浜FCにとっては4試合ぶりの得点。佃は「ほんとにこの一戦負けたら終わり。ここで優勝のトロフィー上げられるのだけは屈辱だったんで、もう意地でも勝ってやろうって気持ちでした」と振り返る。

前半38分、横浜FCの2年生左SB佃颯太がGKをかわして先制ゴール

歓喜の横浜FCイレブン

 優勝の可能性のあった鹿島はベンチ外メンバーもアウェー会場に訪れて応援。一方の横浜FCはウォームアップ中のベンチメンバーもチャントに合わせて手を叩くシーンが見られるなど、非常に一体感があった。

 和田監督は先発を外れた選手やベンチ外の選手の持っている悔しさについて「選手として当たり前のこと」という。そして、「練習はそれを思っていていいと。ただ、試合になった時に、やっぱりちょっとでも上のステージでやるために、みんなで一体感っていうところは絶対チームスポーツの中でプラスアルファになるっていう話は常にしている中で、そこで自分の感情を殺して、チームのためにやれてるっていう選手は増えてきてるのかなと思います。ほんとにすごくいいサポートしてくれてるなと思います」。サブ、運営に回ったベンチ外メンバーも含めたサポートも力に横浜FCが躍動した。

 鹿島は後半3分、右の中川がキープし、SB朝比奈のクロスから吉田がヘッド。5分にも右クロスのこぼれを大貫が右足で狙うが、横浜FCのDFがシュートブロックする。逆に横浜FCは6分、庄司のダイレクトでの展開から右の中台がドリブルで大きく前進。そしてPA右外まで運んで上げたクロスを岩崎が右足ダイレクトで決め、2-0とした。

後半6分、横浜FCはMF中台翔太が右サイドからクロス

これを2年生MF岩崎亮佑が決め、2-0に

 鹿島は直後に中川と平島をFW正木裕翔(2年)とFW長疾風(2年、U-17日本代表)へ交代。さらに11分には朝比奈をFW高木瑛人(中3、U-15日本代表)と入れ替えた。横浜FCは17分、左SB佃が縦突破からラストパスを齋藤へ通し、29分にも右SB小漉のクロスから岩崎が決定機を迎える。だが、いずれも鹿島GK岸野がストップ。33分に小漉の左CKから庄司の放ったヘッドもクロスバーを叩いた。鹿島はゴール前のセカンドボールを玉木や福岡が反応速くかき出すなど3点目を許さない。

 この後にも岩崎のシュートがポストを叩くなど次の1点を奪うことができない横浜FCだったが、相手に追撃をさせなかった。鹿島は前線でボールの収まる高木を活用したコンビネーションやクロス、長のロングスローなどのセットプレーから1点を目指す。24分には左SBに土橋竜之介(3年)を投入して佐藤のポジションを一つ前へ。攻撃によりパワーをかけるが、29分の高木の右足シュートは相手CB秦にブロックされ、40分に高木がターンから放った決定的な左足シュートも相手GK大亀のビッグセーブに阻まれた。

鹿島はGK岸野瑛太が好守でチームを支えていた

横浜FCの2年生GK大亀司は前半から好守を連発

 小漉が「(3連敗した)次の週の火曜からもうほんとに引き締めて、自分が発信して集中していい雰囲気でやれるようになって、それが今日結果に出た」という横浜FCは、好守を連発したGK大亀をはじめ、集中力の高い戦いを継続。後半42分にDF芹澤悠(2年)とMF柴草哲晟(2年)、そして45+1分にMF笹歩睦(3年)を投入して試合を締めに行く。鹿島は45+2分に右CKから大川がヘッドを放つが、GK大亀の守備範囲。横浜FCがトップの四方田修平監督も見守った大一番を制し、サブ、ベンチ外メンバーやスタッフ、サポーターとともに喜んだ。

横浜FCの選手たちがサポーターとともに勝利を喜ぶ

 3位へ後退した鹿島は首位・柏と勝ち点38で並んでいるものの、得失点差が7と厳しい状況に。また、横浜FCも柏との得失点差が5と、最終節は勝利プラスアルファの部分を求められる。だが、小漉は「ラストなんで、ファイナルに繋げられるかっていったところで、もうあと2試合になるか1試合になるかなんで、もう本当に3年生が引っ張ってやっていかないといけないかなと思っています」。勝ち点35の流通経済大柏高を含めて4チームが優勝の可能性を残す混戦のプレミアリーグEAST。横浜FCは最終節もこの日のように積み上げてきたものを発揮し、逆転での初優勝を引き寄せる。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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