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名古屋U-18DF森壮一朗「一番勝負したい」右SBで輝いた40分間…今春キャンプのトップ帯同ではJ1勢とCBで対峙「駆け引きの中で成長できた」

DF森壮一朗(2年)がオーバーラップで2点に関与

[2.8 NEXT GENERATION MATCH U-18 Jリーグ選抜 4-1 日本高校選抜 国立]

 吉田麻也、菅原由勢、藤井陽也ら世界に挑むDFたちを輩出してきた名古屋グランパスU-18からまた1人、新たな逸材が誕生しようとしている。U-18 Jリーグ選抜の右サイドバックとして先発出場したDF森壮一朗(2年=JFAアカデミー福島U-15出身)は前半40分間のみの出場ながら、豪快なオーバーラップからの先制アシストを含む2ゴールに貢献。今年の目標に掲げる「Jリーグ出場」に向け、高校選抜を相手に圧倒的な存在感を示してみせた。

 4-2-3-1の布陣を採用するU-18 Jリーグ選抜で任されたポジションは右SB。普段は名古屋U-18が3バックを採用している関係で、かつて苦手だった左足強化の目的もあって左CBを中心に起用されているという森だが、この日は「右サイドバックという自分が一番勝負したいポジションでのプレーということで自信を持ってプレーしたし、限られた時間の中で結果を残してアピールできて良かった」と新たな手応えを感じる一戦となった。

 まずは前半19分、右サイドを豪快にオーバーラップし、相手の最終ライン裏を狙ったグラウンダークロスを供給すると、綺麗にGKとDF陣の間を抜けたボールがファーサイドへ。「昨日の練習でああいう形で湊海にクロスを上げて決めてくれていて、ナイスボールと言ってくれたし、あそこを狙っているのは練習でわかっていた。今日も出していこうと意識していた中、ああいうシチュエーションが生まれて、ああいうボールを蹴れたのは良かった」。FW吉田湊海(鹿島ユース/1年)が冷静に決め、森に先制点のアシストがついた。

 さらに前半24分には右サイドハーフのMF小林志紋がボールを持つと、森は先制の場面以上に猛烈なオーバーラップを敢行。だが、これは囮だった。「アグレッシブなオーバーラップも一つ自分の武器ではあるので、それを出せて良かった」(森)。これによって相手のマークがいったん外に意識を向けられる形となり、小林がそのギャップを突くスルーパスを送ると、FW大西利都(名古屋U-18/2年)の追加点が生まれた。

 直接的に結果を生み出した先制点と、陰の立役者となった追加点。その他にも積極的な攻め上がりからシュートも放っていた森は、40分間のプレータイムで見事に爪痕を残した。

「ミーティングで柿谷さん(柿谷曜一朗コーチ)に『結果を出す選手が上に行く』と言われていた。試合前に前半だけと伝えられていた中、この40分間でどれだけ結果を出すかを求められていた。1点目のアシストだったり、2点目のオーバーラップだったり、そういうところが結果につながったのはポジティブに捉えられると思う」(森)

 このプレシーズンにはトップチームのキャンプに帯同し、J1クラブとのトレーニングマッチにも出場。主にプレーしたのはU-18と同じCBだったという中で、「トップトップで活躍されている選手を相手にプレーできて、自分の中でこの身長(181cm)、この体格でどう戦っていくかという駆け引きの中で多くのことを吸収できて、成長できたと思う」と貴重な経験を積み重ねてきた。

 近年は大型ストライカーの復権やウインガーの隆盛により、守れる大型SBの重要性が高まってきており、将来的にSBでプレーするとしてもCB経験は生きるはず。まずはポジションにこだわらず、「強みを一番活かせるのは右SBなので、そこでのポジション争いを勝ち取っていきたいし、後ろ全部できるユーティリティー性も武器だと思っている。どこで出ても監督が求める以上のことをできるように頑張りたい」と成長を続けていく構えだ。

 目指すは7歳年上の菅原のように世界で活躍するDFだ。「尊敬しているのはやっぱり菅原選手。名古屋のユース出身で、自分と同じ右SBでプレミアで結果を残しているので。自分も海外に早く行きたいし、プレミアリーグという一番強いリーグで結果を残せる選手になりたい」。その菅原は18年、高校3年時にJリーグデビューを果たし、プロ契約を締結。森も後を追う存在になるべく、「トップでJリーグに出場することを今年の目標にしているので自チームに帰って頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
竹内達也
Text by 竹内達也

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