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日立台に息衝くアカデミーのサイクルを再確認するような90分間。柏U-18と昌平のスペクタクルな好ゲームは極上のスコアレスドロー決着!

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両チームの死力を尽くした90分間はスコアレスドローで決着

[4.27 プレミアリーグEAST第4節 柏U-18 0-0 昌平高 三協フロンテア柏スタジアム]

 双方が持てる力を100パーセントでぶつけ合った激闘。何度も訪れた際どいシーンのたびに、スタンドもどよめく。コレクティブで、アグレッシブで、アトラクティブ。得点は生まれなかったものの、とにかく濃密な90分間が繰り広げられた試合後には、詰めかけた観衆からも大きな拍手が送られた。

「たぶん藤田くん(柏U-18・藤田優人監督)もそうだったと思うんですけど、ドローを望んでいるというよりも、どちらも最後までゴールを獲りに行っていましたよね。そこの部分で僕も何回か『0-0でもいいぞ』と言い掛けたんですけど、ゲーム展開的に『ああ、これは違うな』と思って。そういう意味では僕も含めて外から見ている人たちは面白かったと思います」(昌平高・芦田徹監督)

 スタジアムが熱量で満たされるような、極上のスコアレスドロー。27日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EAST第4節で、柏レイソルU-18(千葉)と昌平高(埼玉)が対峙した一戦は、お互いに攻め合う姿勢を貫く好ゲームの末に、ゴールはどちらも奪えず、勝点1を分け合っている。


 ここまでの3試合はいずれも異なるフォーメーションでスタートしていた柏U-18は、この日も“4パターン目”のオプションを披露。最前線にFW澤井烈士(3年)を置き、その後ろにFW加茂結斗(2年)とMF長南開史(1年)を配置。中盤にはMF沼端隼人(3年)、MF川本大善(3年)、MF徳田波音(3年)がトレスボランチ気味に並び、最終ラインは右からFW岸野遥大(2年)、DF丸山寿貴斗(2年)、キャプテンのDF上原伶央(3年)、DF吉川晴翔(2年)を揃え、最後尾にGKノグチピント天飛(3年)がそびえる[4-3-2-1]のクリスマスツリーを採用。「今までにはない感じの立ち位置を持ってこられましたね」と昌平を率いる芦田徹監督も話したように、相手の意表を突くようなスタンスから、立ち上がりの主導権を握る。

 すると、先に決定機を掴んだのはホームチーム。前半11分。右サイドで岸野からパスを受けた沼端は、すくい上げる浮き球をポケットへ。走った長南が飛び出したGKを外して中へ送ると、加茂が枠へ収めたヘディングは、きっちりゴールカバーに入った昌平DF安藤愛斗(3年)がライン上でクリアしたものの、まずは柏U-18が惜しいシーンを創出する。

 一方の昌平はU-16日本代表の海外遠征から帰ってきたFW立野京弥(1年)が最前線できっちり基点を作り、2列目に並んだMF山口豪太(3年)、MF高江洲春虎(3年)、MF長璃喜(3年)がそこに関わりながら、右の安藤、左のDF森井智也(3年)の両サイドバックもオーバーラップを繰り返し、少しずつ作り出す攻撃のリズム。45分には立野が時間を作り、長のヒールパスからMF飯島碧大(2年)が決定的なシュートを放つも、ここはノグチピントがビッグセーブ。先制点は奪えない。

好セーブを披露した柏U-18GKノグチピント天飛


 後半に入ると「前半は密集させて、後半は幅を使おうというプランがありました」と藤田優人監督も明かした柏U-18が、再びアクセルを踏み込む。5分。岸野のスローインから抜け出した長南が右クロス。エリア内で収めた徳田のシュートは、「決められたくない一心で、気合で止めました」という昌平GK小野寺太郎(3年)がファインセーブで応酬。11分は昌平にも好機到来。ハイプレスでボールを奪い、山口のラストパスから立野が打ち切ったシュートは枠の左へ外れ、頭を抱えた1年生ストライカー。

 やり合う両者。14分は柏。左から加茂が蹴ったCKがこぼれ、最後は上原が狙ったシュートはDFに当たってコースが変わると、ここも小野寺が横っ飛びで何とかキャッチ。15分は昌平。相手のミスパスを中央で拾った山口が得意の左足で叩いたシュートは、右ポストに弾かれ枠外へ。16分は柏。右サイドで粘った加茂のクロスから、こぼれに反応した川本のシュートはクロスバー直撃。試合中からスタンドのアカデミー生にさらなる声援を要求し、「会場の見ている人たちを全員引き込んでいくのが自分の役割や使命だと思っている」と言い切る背番号2が、フィニッシュにも積極的に顔を出す。

自身の好プレーでスタンドを煽る柏U-18MF川本大善


 この前後から柏U-18はシステムチェンジに着手。『もっとボールを動かすための変更』(藤田監督)として、[3-4-1-2]気味の形にシフトすると、26分には長南が右から中に打ち込み、途中出場のFW梶田健斗(3年)とのワンツーから、加茂が枠内シュート。ここも小野寺にキャッチされたものの、前線の良い距離感から取り切ったフィニッシュ。ただ、先制点は手繰り寄せ切れない。

「後ろは『引っ繰り返っちゃダメだよ』というところで、冷静さはあったんですけど、前の選手にそれを言うのは違うなと思ったので、もう『行け!』という感じはありましたね」と芦田監督も口にした昌平も、最終ラインはDF伊藤隆寛(3年)とDF高橋心晴(3年)のセンターバックコンビを中心に堅陣を築きつつ、攻め切る姿勢を鮮明に。32分にはMF人見大地(2年)が右へ展開。山口は時間を作ってスルーパスを通し、駆け上がった安藤のクロスはニアへ飛び込んだFW齋藤結斗(3年)とわずかに合わず。完璧に崩し切ったサイドアタックを披露するも、ゴールが遠い。

 後半のアディショナルタイムまでお互いに得点を狙い続けたものの、0-0のままでタイムアップのホイッスルが吹き鳴らされる。「今シーズンのEASTは本当に差がないですし、そういう意味でもちょっとしたところで勝敗が変わってしまうので、最後のところで決めるか決められるかというような、そういうところの質は攻撃も守備ももっとこだわらないといけないですね」(沼端)。12対14というシュート数以上にスペクタクルな攻め合いは、双方に勝点1ずつが振り分けられる結果となった。



「みんなここを目指してやっていると思うので、特別な場所ですね。もうメッチャ楽しかったです」(川本)

 この日のゲームの会場は、柏のトップチームが公式戦を戦っている三協フロンテア柏スタジアム。試合前にはアカデミーの“後輩”たちがエスコートキッズを務め、揃って集合写真をパチリ。試合中もサポーターのチャントに合わせ、スタンドからはかわいい歌声も聞こえてきた。

 キャプテンを務める上原も感謝の想いを口にする。「ああいう応援の中でやれることには本当に感謝しないといけないことですし、凄く後押しになったので、勝利をアカデミーの選手たちに見せることができたら一番良かったですけど、自分たちの戦っている姿を見せることはできたのかなと思っています」。

 ふと気づくとバックスタンドにはトップチームを率いるリカルド・ロドリゲス監督と並んで、アカデミーの“大先輩”に当たる大谷秀和コーチが座っており、少し離れた位置では古賀太陽、山田雄士、田中隼人とやはりアカデミーのOBたちが、“後輩”たちの試合を見守っていた。

 藤田監督もこのスタジアムで、さらにアカデミー生が見ている中で、U-18の選手たちがプレーすることの意義をこう語っている。「僕はいつも『君たちはアカデミーの一番上にいる選手たちなんだから、いろいろな意味でお手本になろうね』という話をしていて、今日のゲームで技術的なところが見せられたかどうかはちょっとクエスチョンですけど、戦う姿勢だとか、レイソルの選手はこうあるべきなんだよというのは、体現してくれた選手もいたとは思っています。特に川本の姿勢は良い影響を与えると思うので、ああいう選手のプレーは下のカテゴリーの子たちにとってもいいものなんじゃないですかね」。

 その川本が話した言葉も印象深い。「ああいう応援の声は間違いなく力になりますし、それこそジュニアの選手の見本となるような、彼らの心を動かせるようなプレーや戦っている姿を示していきたいなと思います」。

 憧れのお兄さんたちに追い付き、追い越すために、ゼロワットパワーフィールド柏のグラウンドで繰り返される、サッカーと真摯に向き合う日常。日立台に息衝くアカデミーのサイクルは、これからも輝く太陽のエンブレムを纏ったみんなで回していくことに、大きな意味がある。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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