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ここから軸に据えるのは昨年王者と今年の首位から学ぶべき「2つの基準」。横浜FCユースは流経大柏に完敗の90分間を「自分たちを変える分岐点の試合」へ

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横浜FCユースは首位・流経大柏に完敗も、ここから全員で這い上がる

[5.3 プレミアリーグEAST第5節 横浜FCユース 1-4 流通経済大柏高 横浜FC・LEOCトレーニングセンター]

 思い描いていたような開幕スタートは切れなかったけれど、自分たちの立ち位置をはっきり認識したという意味では、これをポジティブな気付きにしていくしかない。リーグを制した去年のチームから学んだ基準も、今年の首位相手に突き付けられた基準も飲み込んで、ここから絶対に這い上がってやる。

「全員でやりたいこととやるべきことを合わせていかないと、このままズルズルと行くだけですし、自分たちの力はもうこの5試合でわかったと思うので、みんなで話し合って、今日の試合を、自分たちを変える分岐点の試合にしていかないといけないと思います」(横浜FCユース・佃颯太)

 首位チームが強さを発揮して、アウェイで4発快勝。3日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EAST第5節で、横浜FCユース(神奈川)と流通経済大柏高(千葉)が激突した一戦は、流経大柏が4-1で勝利。ここまで4勝1分けと、見事な開幕ダッシュに成功している。


 流経大柏のファーストシュートは前半開始わずかに16秒。左サイドバックのDF増田大空(3年)がサイドチェンジのボールを送り、DF乙川宙(3年)の右クロスを収めたFW大藤颯太(3年)が左足シュート。軌道はわずかに枠の左へ逸れたものの、いきなりゴールへの意欲を強く打ち出す。

 すると、スコアが動いたのは10分。流経大柏はMF上田哲郎(3年)とのパス交換から増田が中央へパスを刺し込み、大藤が力強いキープから優しく落とすと、FW金子琉久(3年)は右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれる。金子はこれで開幕5戦5発とハイペースで得点を量産。アウェイチームが1点のアドバンテージを手にする。

流経大柏FW金子琉久(18番)は開幕5戦5発と絶好調をキープ


 早くも追いかける展開となった横浜FCユースは、「相手は前でハメようという狙いがある中で、自分たちがそこでボールを繋げずに、早い展開ができなかったですね」とボランチのMF秋元颯太(3年)も話したように、効果的なパスワークを繰り出せず、相手のプレスをまともに食らう格好に。左サイドで縦関係を組むDF佃颯太(3年)とMF岩崎亮佑(3年)のストロングゾーンでも守勢に回り、攻撃の時間を増やせない。

 35分は流経大柏に2点目のチャンス。MF島谷義進(3年)、上田とボールを動かし、増田の左クロスにニアで合わせた金子のヘディングは、横浜FCユースGK櫻井斗真(3年)がファインセーブで回避。37分は横浜FCユースにビッグチャンス。佃の右CKからDF大川萊(3年)のヘディングは枠を捉え、流通経済大柏GK藤田泰土(3年)が懸命に描き出したボールをFW齋藤翔(2年)がゴールに押し込むも、ここはオフサイドという判定に。前半は流経大柏が1点をリードして、45分間が終了する。


 試合の流れに大きな変化が訪れたのは後半12分。右サイドバックで奮闘していた横浜FCのDF芹澤悠(3年)が、2枚目のイエローカードを提示されて退場処分に。ホームチームは30分近い時間を10人で戦うことになる。

 1点のビハインドを負っている上に、数的不利という苦境。だが、「1人少ない状況で、ゴールは1トップの自分が決めるしかないと思っていた」というストライカーは、虎視眈々とその時を狙っていた。20分。ハイプレスを掛けた齋藤は相手の短くなった横パスをかっさらうと、単騎で運んでそのままフィニッシュ。ボールは鮮やかにゴールネットを揺らす。前節のスタメン落ちに奮起した背番号9のゴラッソ。1-1。試合は振り出しに引き戻された。

数的不利の状況で横浜FCユースはFW齋藤翔が単騎で同点弾をゲット!


 追い付かれた流経大柏は、それでも慌てない。「同点になって、もうやり方を戻しました。『変にパスを回したりしないで、よりパワーを持っていくんだぞ』と」(榎本雅大監督)「『何も気にする必要はない』と。実際に人数も1人多いわけですし、『ここから下を向いたらダメだから、点を獲りに行こう』という話をしました」(増田)。失点から3分後。指揮官はU-17日本代表のDFメンディー・サイモン友(2年)を最前線に送り込む。

 采配的中。29分。右サイドから乙川が上げたクロスをMF山元琉士(3年)が拾い、増田は「中に大藤とメンディーがいて、2人とも高さがあったので、『もうシンプルに入れてみようかな』というイメージで」完璧なクロスを上げると、メンディーも完璧なヘディングをゴールへ叩き込む。榎本監督から「フォワードで行け。獲って来いよ」と送り出された“急造フォワード”のプレミア初ゴールが飛び出し、再び流経大柏が一歩前に出る。

 終盤は3-4-2気味の布陣にシフトして、明確にゴールを奪いに来た横浜FCユースへ、流経大柏は的確な“二刺し”でダメを押す。38分。相手の鋭い攻撃を複数人で凌ぐと、島谷がロングフィード。抜け出した大藤がマーカーと競り合いながら、強さを発揮してそのままゴールネットへグサリ。45+1分。藤田のキックにメンディーが競り勝ち、FW石井友啓(3年)が粘って残したボールを、走り込んだ島谷がゴール右スミへ綺麗に流し込む。

 ファイナルスコアは4-1。「方向性が決まればガッとやってくれるので、そこのブレがないのは凄いですね」と榎本監督も話した流経大柏が、前年王者相手に快勝を収め、首位をがっちりキープ。開幕からの無敗を5試合に伸ばす結果となった。

流経大柏はメンディー・サイモン友(5番)、大藤颯太(20番)、島谷義進(4番)のゴールで4発快勝!


 昨シーズンのプレミアEASTを制した横浜FCユースが苦しんでいる。「完敗です。しっかりそれは認めて次に繋げていかないといけないと思うんですけど、後半のところは退場者が出てから、同点に追い付けて、良い流れではあった中で、2失点目はシンプルにクロスからやられてしまいましたし、もっと大事にやらないといけない部分がたくさんあったんじゃないかなと思います」(和田拓三監督)。退場者が出たとはいえ、4失点を喫しての完敗に、試合後は選手たちも落胆の色を隠せなかった。

 開幕5試合を終えて、1勝2分け2敗の8位。とりわけ気になるのはここまで喫した10失点のうち、8失点が後半に集中しており、さらに試合終盤で勝敗を左右するゴールを奪われている点だ。「失点する時間帯が試合の終わり際に多いというところは、集中力と言う言葉に逃げたくはないですけど、ゲームの運び方は僕らも含めてもっと勉強して、成長していかないといけないところかなと」(和田監督)

 昨季のプレミアリーグファイナルのピッチに立った選手は、今年のチームに11人も残っているが、GK大亀司(3年)やDF家田唯白(3年)、MF柴草哲晟(3年)といった主力クラスの選手たちは開幕から欠場が続いている中で、キャプテンを務める佃は改めて感じていることがあるという。

「去年から出ていた選手が多いとはいえ、3年生が良いところにいてくれたから、ああいうサッカーができて、厳しい戦いに勝てるゲームも多かったと思うんですけど、そういう3年生が抜けた中で、まだまだ自分も含めて自覚とか責任が足りないのかなと思います」。

 前年王者とか、経験値の高い選手が多いとか、そんなことは関係ない。とにかく今できることを真摯に積み上げていくしか、成長への道筋は見えてこない。ある意味でここまでの5試合は、それを強く理解する時間になったようだ。

「誰が出ても同じところを目指すと考えると、プレミアで優勝したという一番てっぺんのところでの高い基準をみんなが持てているというのは凄くポジティブな部分であるんですけど、変に『やれる』という自信が慢心になっているところがあるんじゃないのかなというところは、この5試合が終わって凄く感じています」(和田監督)。昨年のチームが残してくれた“基準”を体感しているのは、間違いなくアドバンテージ。慢心を自信に変えるための時間は、まだまだ十分に残されている。

「去年の前育(前橋育英)がそういう感じだったのかなと思っていて、前の年に2年生が多く出ている中で、開幕3連敗したところから立て直してきたというのは、やっぱり全員が同じ方向を向いて、練習からハードなトレーニングをしてきて、最終的に優勝争いまで関わってきたと思うんですよね。自分たちも力がないとは思わないですけど、自分も含めてやりたいこととやらなきゃいけないことがまだまだ整理されていなくて、勝ちに繋げられていないところがあるので、もっともっと全員で意思統一してやっていけば、まだまだ上に行けると思います」(佃)

 450分間の反省を、1530分間の進歩に変えていけるかは、すべてここからの自分たち次第。もがきながら、苦しみながら、それでも見据えるのは、いつだって明日の勝利。横浜FCユースの軸に据えるべき“基準”は、きっともう彼らの中へ着実に刻み込まれているはずだ。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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