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優勝を逃した「去年の最終節」から5か月後の特別なリターンマッチで執念の勝利!柏U-18は開幕無敗の「乗り越えるべき壁」川崎F U-18をホームで打ち破る!

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柏レイソルU-18は苦手の川崎F U-18に競り勝って歓喜のダンス!

[5.5 プレミアリーグEAST第6節 柏U-18 3-2 川崎F U-18 ゼロワットパワーフィールド柏]

 昨年の最終節で突き付けられた悔しさを忘れたことなんて、一度もない。あの試合と同じ相手と5か月ぶりに対峙するリターンマッチ。きっとこの壁を乗り越えない限り、自分たちの望んだ場所へはたどり着けない。ならば、手繰り寄せるのは勝利一択。彼らは腹を括って、この日の90分間に挑んでいた。

「選手にはハーフタイムに『今日は観客として見たら楽しい試合だけど、監督として見たら勝ちたい試合だ』と言ったんですけど、やっぱり選手は勝ちたいわけで、その中でやっと去年から積み上げてきたサッカーが出たなというところと、選手もそうですけど、私も見失いかけていたものを取り戻せたゲームになったと思います」(柏レイソルU-18・藤田優人監督)

 浮上を懸けた因縁の一戦で、難敵相手に堂々の勝点3獲得。5日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EAST第6節で、柏レイソルU-18(千葉)と川崎フロンターレU-18(神奈川)が対峙した一戦は、柏U-18がここまで無敗を継続していた川崎F U-18に3-2で競り勝って、今季2勝目をホームでもぎ取っている。


 激しい打ち合いの幕をこじ開けたのはアウェイチーム。前半13分。MF藤井漣祐(3年)が蹴り込んだ右CKから、こぼれを拾った今季初スタメンのFW川村求(1年)が枠内シュート。柏U-18GKノグチピント天飛(3年)がファインセーブで凌ぐも、FW恩田裕太郎(3年)がプッシュしたボールはゴールネットへ転がり込む。1-0。川崎F U-18が先にスコアを動かす。

 続けて18分には追加点機。MF菊池京(2年)の左スローインを恩田が繋ぎ、受けた川村は思い切り良く右足でフィニッシュ。軌道は右のポストを叩いたものの、「スタメンは試合前にわかりました。ビックリでしたね。でも、やってやろうと思っていました」という1年生ストライカーが、川崎F U-18に推進力を生み出していく。

マーカーとの1対1に挑む川崎F U-18FW川村求。積極的な姿勢が際立った


 悪くなりかけていた流れを断ち切ったのは、「自分は今日フォワードに抜擢された中で、チームを助けるゴールを決めたいなと思っていた」という5番の“フォワード”。19分。柏U-18は高い位置でMF川本大善(3年)が果敢なボール奪取から右へ流すと、MF徳田波音(3年)は右足一閃。ニアサイドを破ったボールはゴールネットを激しく揺らす。「コースは見ずに振り切ったという感じで、気持ちで押し込んだゴールでした。メチャクチャ嬉しかったです」という徳田はこれが今季初得点。1-1。スコアは振り出しに引き戻された。

 やり合う両者。30分は川崎F U-18。川村、藤井とボールが回り、MF楠田遥希(3年)の左クロスに恩田が合わせたシュートは枠の右へ。32分は柏U-18。MF廣岡瑛太(3年)のスルーパスにFW加茂結斗(2年)が抜け出し、放ったシュートはわずかにゴール左へ。お互いに攻撃的な姿勢を貫くスペクタクルな前半は、同点でハーフタイムへと折り返す。


「チームの流れは良かったのに、自分は思ったプレーが全然できなくて、メンタル的にもちょっと落ちちゃった部分があったんですけど、そこで『落ちたままではダメだ』と思いました」という10番は、その時を静かに待っていた。後半18分。中盤で川本がここもパーフェクトなボール奪取から、徳田とのワンツーを経て左へラストパスを送ると、「大善が持った時に絶対出してくれると信じて走っていた」加茂は丁寧なシュートをゴールへと流し込む。これぞエースの仕事。2-1。柏U-18が逆転に成功した。

 ビハインドを負った川崎F U-18も怯まない。27分。楠田、FW平塚隼人(3年)、MF新堀翔(3年)と細かい繋ぎから、恩田が縦に流し、走った新堀は至近距離からシュートを放つも、ここはノグチピントがビッグセーブで弾き出し、詰めた恩田のシュートも枠の上へ。同点弾には至らない。

 守護神の奮闘に応えたのは、「もともとフォワードもやっていたので、得点感覚はほかのサイドバックよりはあると思います」という右サイドバック。32分。右から加茂が蹴ったCKがエリア内へこぼれると、いち早くこぼれ球に反応したMF上野暉晏(2年)は身体をひねって左足でシュート。軌道は一直線に左隅のゴールネットを貫く。この一撃には“後輩”のDF長南開史(1年)も「あれは神コースでしたね」と笑顔。28番が叩き出したプレミア初ゴール。3-1。点差が広がる。

 それでも、ここまで無敗をキープしている川崎F U-18は諦めない。終盤の44分。右から新堀が蹴り入れたFKをファーで楠田が折り返し、突っ込んだ恩田のシュートはノグチピントも懸命に飛び付いたが、掻き出し切れずにゴールへと到達する。3-2。粘るヤンフロ。たちまちビハインドは1点に縮まる。

 45+1分は川崎F U-18。DF山川陽平(2年)のパスから、右サイドを駆け上がったMF小川翔太(2年)のクロスに、ニアへ突っ込んだ恩田のヘディングはわずかに枠の右へ。45+3分も川崎F U-18。楠田を起点にFWステンパー・ルカ大翔(3年)が右からグラウンダーで折り返し、恩田の流したボールをMF小川尋斗(2年)が叩いたシュートはゴール右へ。どうしてもあと1点が遠い。

 そして、アディショナルタイムの4分間が過ぎ去ると、試合終了のホイッスルがゼロワットパワーフィールド柏のピッチに鳴り響く。「今週は練習からみんなが1つになってできたので、今日もみんな自信を持ってゲームに入れましたし、先制点は獲られましたけど、そこからもう1回みんなで1つになって取り返せたところが良かったかなと思います」(長南)。最後は全員の高い集中力で相手の猛攻を耐え切った柏U-18が、3試合ぶりの勝利の歓喜を会場に詰め掛けた黄色の観衆とともに分かち合う結果となった。



「去年の試合についてはもちろん自分も忘れたことはないですけど、今回の試合前には一切触れなかったんです。でも、選手たちが勝手にそういう話をしていましたし、試合が終わって上原も泣いていたので、多分あの時の想いがあったんじゃないですかね」(藤田監督)

 指揮官が言及した『去年の試合』とは、昨年12月のプレミアEAST最終節。その前の節で首位に立った柏U-18は、リーグタイトルを懸けてアウェイで行われた川崎F U-18戦に挑んだが、結果は0-1の敗戦。掴み掛けていた戴冠は、その手からするりと零れ落ちた。

「去年は最後に勝てば優勝というところで、先輩方も悔しい想いをしましたし、自分もその時はベンチにいて、試合に出れなくて、悔しい気持ちがあったので、今日の試合に懸ける想いは誰よりも強かったです」と徳田が話せば、「あの試合に自分は出ていて、3年生を勝たせることができなかったあの瞬間から、『もうこの経験はしたくない』と思って、日々の練習や試合に対する想いが変わりました」と口にするのはキャプテンのDF上原伶央(3年)。柏U-18の選手たちにとって、この日の一戦は単なる90分間ではなかったことが、2人の言葉からも十分に窺える。

 さらに、両者のプレミアにおける対戦成績は、川崎F U-18から見て5勝1分け。間違いなく柏U-18にとっては、いつも自分たちの前に立ちはだかる“壁”というイメージのチームだっただけに、この日の勝利の価値を徳田は胸を張ってこう説明する。

「フロンターレは特別な相手というか、自分たちに嫌なイメージもあった中で、自分たちの代は『壁を作ってしまう』とよく言われていて、キツいことがあったときに壁を作ってしまって、それ以上前に進めないという傾向があったんです。でも、今日のフロンターレ戦はそういう“壁”とか関係なく、全員が自分の最大の力以上のものを出せて、本当にチームになれたという感じで、メチャクチャ嬉しかったです」。

 チームを率いる藤田監督はこの川崎F U-18戦を振り返って、勝利と同じぐらい重要なポイントを挙げてくれた。「今回は1週間を通して、ボールを大事にするトレーニングしかしなかったんです。ウチのアカデミーの特徴でもある味方とスペースを共有するところを1週間やってきたので、本人たちもこれがオレたちのサッカーだと再確認できたんじゃないかなって」。

「今日のサッカーができるのであれば、これで負けたとしても成長があるんですよ。ただ、自分たちらしくない試合をして負けたら、そこに成長はまったくないと思うので、そういったところはもう1回選手たちに話したいと思います」。

 積み上げてきたものが間違っていなかったことを証明するような、自分たちのサッカーを打ち出した上で、逞しく引き寄せた白星。特別な相手を向こうに回し、総力戦で制した特別なゲームが、彼らの大きな自信に繋がるであろうことは想像に難くない。

 自分たちで作り出してしまった“壁”に、確かな“ひび”は入り始めている。あとはみんなでそこにぶつかって、みんなでそれをぶち破るだけ。2025年の柏U-18が纏うべきチームの色は、少しずつ、だが確実に、その輪郭を現し始めている。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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