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[MOM5089]帝京長岡GK仲七璃(2年)_「憧れの先輩」を目標に揺るがぬ安定感と安心感を追求する守護神がファインセーブ連発で完封勝利に貢献!

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帝京長岡高のゴールマウスを任された守護神、GK仲七璃(2年=FC東京U-15むさし出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.11 プレミアリーグWEST第7節 帝京長岡高 1-0 神村学園高 長岡市ニュータウン運動公園サッカー場B]

 このチームのゴールマウスを任されることへの責任感は、日を追うごとに増している。自分がやられなければ負けることはないとわかっているからこそ、防ぎたい。すべてのシュートを。すべての決定機を。勝利を手繰り寄せるためにできることは、全部やり尽くしたい。

「去年自分が試合に出させてもらった時は、周りがほとんど3年生で、自分のやりやすいように声をかけてくれたので、3年生がいなくなった今年は自分がその役割をやろうと思っていますし、後ろからちゃんとチームを鼓舞できて、安心感のあるキーパーを目指しています」。

 世界と戦うチャンスを明確に見据えている、帝京長岡高(新潟)の絶対的守護神。GK仲七璃(2年=FC東京U-15むさし出身)の度重なるファインセーブが、チームに今季初となる連勝を鮮やかにもたらした。


「チームとしてラインを高くやっている中で、自分が得意な背後のところを守るという面でも、出るところは出て、ディフェンスにやらせるところはやらせてという判断もしっかりできていましたし、シュートストップの面でも最後までボールを見て、しっかり対応することができたので、そこは自分としても良かったと思います」。

 仲は終わったばかりの試合をそう振り返る。プレミアリーグWEST第7節。連勝中の神村学園高(鹿児島)をホームで迎え撃つ一戦。お互いに探り合うような展開の中で、帝京長岡の守備陣は集中力を研ぎ澄ませる。

 前半24分。神村学園が決定機を掴む。フォワードが落としたボールを、10番の佐々木悠太は左足で枠内へ収めたものの、宙を舞った帝京長岡の守護神は、軌道をゴールの外へと力強く弾き出す。

「落とされた時にちょっとディフェンスとかぶっていて、見えづらいところはあったんですけど、少しディフェンスが寄せてコースは絞ってくれていたので、ある程度どこに飛んでくるかは予測できていて、最後のところはちゃんとボールも見えていたので、軌道も見て、弾けました」。まさにビッグセーブ。チームメイトたちも思わず駆け寄って、感謝を表す。



 1点をリードした後半にも、帝京長岡は大ピンチを迎える。22分。右サイドを崩され、最後は至近距離からフィニッシュまで持ち込まれるも、ここも頼れる背番号1が冷静に身体でボールを跳ね返す。

「1回ボールがサイドに流れたので、そこからのシュートにもちゃんと対応できる準備はできていたんですけど、折り返された時に味方がニアのコースを完全に消していたので、もう残っているコースに対して身体を投げ出すだけでした。味方の立ち位置も良かったですし、自分がちゃんと空いたコースを埋められれば守れると思っていました」。ロジカルに状況を見極めてのファインセーブ。同点弾は許さない。

 さらに特筆すべきはハイボールと、ディフェンスラインの背後に蹴られたフィードへと飛び出す対応。どちらも一歩間違えれば致命的なミスになりかねないシーンでも、果敢に、それでも正確に、ボールをキャッチし、ボールをクリアする。

「自分はハイボールのキャッチが得意ですし、GKは一番高いところで取れるので、そこは常に意識してプレーできましたし、背後のボールに対しては、相手がキックモーションに入った時に味方の立ち位置を見て、もう蹴られる前に1,2歩前に出て、それで無理だったらそのまま下がりますし、蹴られたらそのまま前に出られる準備はしているので、そこでの判断もちゃんとできていたと思います」。

 ファイナルスコアは1-0。チームは7試合目にして初めてのクリーンシートを記録し、やはり今季初めての連勝を達成する。「実直に毎日やってくれていますし、亀井(照太)キーパーコーチが鍛えてくれているので、絶対的なピンチをああやって止めてくれるのはさすがですね」と称賛を口にしたのは古沢徹監督。試合後にはスタンドの仲間たちと勝利の歓喜を分かち合う仲にも、最高の笑顔が弾けた。



 1年生だった昨季は、プレミアでも8試合に出場。着実にハイレベルな実戦経験を積んできたが、シーズンを通じてポジション争いを繰り広げた、FC東京U-15むさし時代からの先輩に当たる小林脩晃(現・東京農業大)は、仲にとって常に意識する存在だ。

「僕の2個上で、中学の時から本当に凄いゴールキーパーで、自分が進路で迷っている時も『ウチにおいでよ』と連絡をくれていたので、凄く憧れていましたし、『絶対に追い越してやろう』という気持ちでこのチームに来ました。去年はプレミアにも出場させてもらったんですけど、残留が決まったから出させてもらっただけで、あの人を超えられたかというと、全然足元にも及ばない感じですね」。

「自分が憧れている存在がいなくなったことは、自分にとって大きいと思うんですけど、今度は自分がほかの人からそういうふうに思ってもらえるような存在になりたいと思います」。既に進学先の東京農業大でも関東大学リーグデビューを飾っている“先輩”が放っていた存在感を、今度は自分が身にまとうべく、日々のトレーニングと真摯に向き合っている。

 この日の試合にはU-17日本代表の廣山望監督も視察に訪れていた。「アイツには『代表の廣山さん、来てるぞ。気合い入れろ』と言いました(笑)」と話したのは古沢監督。仲は昨年11月のU-16日本代表候補合宿に参加したものの、以降は招集が掛かっていない。

「代表には1回候補として呼ばれたんですけど、そこから“候補止まり”という理由は自分の中でも考えています。その代表の時にも『キーパーとしてのリーダーシップがちょっと足りない』と言われて、チームとしてもリーダーシップは必要とされるところだと思うので、今もトレーニングや試合で周囲に声を掛けながらゴールを守るところは意識していますし、代表のことは常に頭に入っています」。

 11月のU-17ワールドカップまでは、まだ半年近い時間がある。プレミアリーグにはライバルにもなり得る他チームのGKも揃っているため、この舞台での活躍がアピールになるのは間違いないところ。チームの勝利を希求しつつ、自身のステップアップにも全力で取り組んでいく。

 とはいえ、まず挑むべきは次の試合。この日達成した連勝とクリーンシートを、必ず今後へとポジティブに繋げてみせる。「チームとしてはこの連勝を続けるために、サンフレッチェにもしっかり勝ちたいですし、自分としてもインターハイはトーナメントになってくる分、1つの失点が重要になってくるので、次のサンフレッチェ戦もゼロにこだわってやっていきたいです」。

 丁寧に積み上げてきたトレーニングは、過不足なく今の頼もしいプレーに繋がっている。追及するのはチームにもたらす揺るがぬ安定感と安心感。帝京長岡のゴールマウスを任された、思考できる絶対的守護神。仲七璃は周囲から寄せられる期待をパワーに変えながら、さらなる高いステージを自らの努力で奪い取る。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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