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6連勝中の鳥栖U-18にアウェイで衝撃の5発快勝!「考える習慣」が芽生えた神村学園に訪れつつある自主性と主体性の成長と変化

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MF福島和毅(14番)が先制点を奪った神村学園高は6連勝中の鳥栖U-18相手に5発快勝!

[6.28 プレミアリーグWEST第11節 鳥栖U-18 0-5 神村学園高 鳥栖市北部グラウンド]

 自分たちのアイデンティティははっきりしている。まずは攻撃。攻めて、攻めて、点を獲って、攻め勝つ。そのために日ごろからトレーニングを重ねているのだ。この2試合のプレミアリーグで奪ったのは4得点と5得点。間違いなく力は付いてきた。どんな難敵が相手だとしても、攻め合って、そのうえで打ち勝ってやる。

「九州総体もプレミアも今は勝てているというところで、みんな自信を持ってやれていると思うので、そういう面ではチームの雰囲気も良くなってきているかなと思います。やっぱり神村は攻撃力がないとダメなので、そこは継続していきたいです」(神村学園高・福島和毅)

 アグレッシブに攻撃姿勢を貫いて5発快勝!28日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 WEST第11節で、リーグ戦6連勝中のサガン鳥栖U-18(佐賀)と、九州総体王者の神村学園高(鹿児島)が激突した一戦は、前半で3ゴールを奪った神村学園が、後半にも2点を追加して5-0で勝利。アウェイで勝点3を手繰り寄せた。


 好調の九州勢対決は、「自分たちの持ち味でもある前からのプレッシャーを掛けたり、ショートカウンターを狙いながら、前半で決着を付けようというふうに話をしていました」とキャプテンのDF中野陽斗(3年)も明かした神村学園が序盤から好リズム。2トップのFW日高元(3年)とFW倉中悠駕(3年)が前で基点を作れば、そのすぐ下に入ったMF徳村楓大(3年)はギャップでボールを引き出しつつ、右のDF竹野楓太(2年)、左のDF荒木仁翔(3年)の両ウイングバックが高い位置を取ることで、ホームチームを押し込んでいく。

 すると、スコアが動いたのは11分。徳村、MF岡本桂乙(3年)とパスが回り、倉中が落としたボールを福島が思い切り良く叩いたミドルは、右スミのゴールネットへ突き刺さる。「最近はミドルも練習していたのでそれが出たと思いますし、イメージ通りに打てたので良かったです」と笑った14番が一仕事。1-0。神村学園が先制点を挙げる。



 勢いそのままに追加点は19分。左サイドで獲得したFK。荒木が丁寧に入れたボールを、収めた倉中は後方へ優しくパス。「迷いなく振った感じでしたし、コースは狙い通りでした」と振り返る徳村が打ち切ったシュートは、ここもゴール右スミへ鮮やかに吸い込まれる。2-0。神村学園がリードを広げる。

 一気呵成。34分。左サイドから荒木が小さく出したパスを、受けた福島は中央にグサリ。良いアングルを作っていた倉中が、反転しながら蹴り込んだボールは、ゴールネットをきっちり揺らす。「入りのシュートが全部入っちゃったから、そう考えたら今日は精度が良かったかなと思いますね」とはチームを率いる有村圭一郎監督。3-0。神村学園の爆発力が止まらない。




「なかなかファーストディフェンダーもうまく決まらずに、全員がぬるぬると行っちゃって、相手も上手いのでチャンスをものにされたなという感じです」とキャプテンのMF東口藍太郎(3年)も話した鳥栖U-18も、35分には決定機。東口を起点に、右サイドへ侵入してきたMF池田季礼(3年)がスルーパス。FW水巻時飛(3年)が抜け出すも、フィニッシュは神村学園GK寺田健太郎(3年)が左手1本でビッグセーブ。前半はアウェイチームが3点のアドバンテージを握って、45分間が終了した。


 前半の終了間際に負傷したFW谷大地(2年)とFW真殿京佑(2年)を、後半11分にはFW山村チーディ賢斗(3年)とMF末次瞬(2年)を入れ替え、前線の顔ぶれに変化を加えた鳥栖U-18は、小さくないビハインドを追い掛ける中で、15分にはチャンス創出。右サイドバックに入ったMF加藤孝一朗(2年)のオーバーラップから、末次が放ったシュートは枠の上へ。17分にも中央やや右、ゴールまで約25メートルの位置からDF岩村淳之介(3年)が直接狙ったFKも枠を捉え切れず。追撃の1点も遠い。

「後半はどっちかと言うと失点をゼロにすることを先にして、チャンスがあったら差しに行くという感じ」(有村監督)で冷静にゲームを運んだ神村学園は、DF堀ノ口瑛太(3年)、中野、DF今村太樹(3年)が並んだ3バックも高い安定感をキープ。途中出場のMF佐々木悠太(3年)や徳村の推進力を突き付けながら、虎視眈々と次の1点を狙いに行く。

 78分。この時間まで運動量を落とさなかった岡本が高い位置でプレスを掛けると、「岡本はいつも守備強度高くやっているので、『これはこぼれてくるな』と思った」という徳村は、こぼれ球を拾ってそのままエリア内へ切れ込み、冷静にフィニッシュ。4-0。

 90+1分。中野が前線にフィードを送り込み、ルーズボールを確実にモノにした佐々木が、中央を単騎でぐんぐん加速。2人のマーカーを剥がして丁寧に流し込んだボールは、きっちりゴールネットへ到達する。交代で投入された10番が意地の一発。5-0。



 攻撃力、爆発。「うまく行きすぎでしょう。なかなかないスコアですよね」と有村監督も言及した神村学園が、アウェイで好調の鳥栖U-18から5ゴールを奪う衝撃的な完勝を果たし、今季2度目の連勝を力強く引き寄せる結果となった。


 2週間前の名古屋グランパスU-18戦に4-2で勝利し、この日も鳥栖U-18に5-0で勝ち切るなど、際立つ攻撃力で勝点6を積み上げた神村学園だが、指揮官によると、この2試合は少し今までと違った形でゲームに臨んでいたという。

「選手が自分たちでも分析したりし始めているんです。もちろん分析はスタッフがしてくれていたものがあるんですけど、どういうふうに対策すればいいかを、自分たちでもより考え始めたから、それが良い方向に向かっているかもしれないですね。前回の名古屋戦の時に、インターハイが終わってから時間が2週間ぐらいあったのに、アイツらは何もしていなかったから、『オマエら、大丈夫か?』という話をしたら、先週今週と自分たちで準備し始めて。情報を入れた時に浸透度が違うから、そういう意味では2試合ともうまく行きましたね」(有村監督)

 ボランチの位置でチームのタクトを振るう福島も、その効果を実感しているようだ。「名古屋の試合から、自分たちでもちゃんと相手の分析をして、前日の練習中からどう対応するかも話し合いながらやれてきたので、相手がどういうやり方かも自分たちでわかっている分、想定外のことは少なくなって、やりやすいですね」。

 もちろん今までも対戦相手の情報自体は事前に把握していたものの、さらに自分たちから主体的に相手を知ることで、試合展開へのイメージはより具体的なものになる。名古屋U-18戦の際は、U-18日本代表の欧州遠征直後だったキャプテンの中野も、帰国してから感じたチームメイトたちの変化をこう口にする。

「自分が代表から帰ってきて、みんながそういうことをしている姿を見て、『1人1人が責任感を持ってちゃんとやっているな』と感じて、今回は自分もみんなと一緒に鳥栖のメンバーやセットプレーをしっかり確認してきました。分析には時間も掛かりますけど、得られる収穫も多いので、そこから自分たちの持ち味を相手によって変えたり、変えないところは変えないでやることができているのかなと思います」。

 選手たちの分析がゲームにもたらすプラスの効果はもちろんだが、有村監督が意図するところにはもう1つの目的もある。

「やっぱり考える習慣が大事だと思うので、こっちが情報を入れて、アイツらが『それだったらどういうふうにしていこう』ということをみんなで話ができることが大事なんです。言われっぱなしで情報だけ頭に入れているのは、実際に何もなっていない可能性もあるし、そういう意味ではインターハイのような連戦で、次までに短い時間しかなくて、情報も少なかったとしても、自分たちでこうやろうということも考えていけるのかなと思いますね」。

 自分たちで考える。みんなで話し合う。それをピッチで表現する。自主性と主体性の成長と進化。Jクラブユースの強豪を相次いで撃破したこのプレミアの2試合を経て、神村学園は新たなフェーズに足を踏み入れつつあるようだ。

 7月12日に延期分のリーグ戦・アビスパ福岡U-18戦を戦うと、その2週間後にはインターハイがスタートする。昨年は決勝で昌平高に競り負け、全国準優勝の悔しさを味わっているだけに、選手たちは明確な決意を抱いて、真夏の福島に乗り込んでいく。

「去年は準優勝しましたけど、自分もほとんどゲームに関われなくて、嬉しかったみたいな想いは一切なかったので、今年は全部の試合に出て、自分もチームを勝たせる活躍をして、今度は決勝で勝ちたいなと思います」(福島)「去年は最後の最後で昌平の強さに引いてしまったので、もっともっと自分たちから仕掛けたり、攻めていったりしないといけないなとは感じています。去年の経験から学んで、今年は最後の詰めの甘さをなくして、個人としては優勝するために自分がやるべきことをしっかりやりたいなと考えています」(中野)

 明確に見据えるのは、初となる全国の頂点。多彩なパターンをちりばめた攻撃サッカーを旗印に掲げる、鹿児島の技巧派集団。日本一を目指す神村学園の真夏の冒険は、果たしてどこまで。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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