「お母さんのお腹にいる時からグリスタに行っていた」生え抜きサイドバックの台頭。栃木SC U-18DF星和陽が実感するのは「スタメンで試合に出る」意味と価値
[9.15 プリンスリーグ関東1部第11節 RB大宮U18 2-0 栃木SC U-18 埼玉スタジアム2002 第4グラウンド]
地道な努力を重ねた先で、ようやく掴みかけているスタメンの定位置。もう絶対に手放したくない。ひたすら自分の強みに磨きをかけ、サイドを駆け上がり、何度でもクロスを上げて、チームの勝利に貢献してみせる。
「後期のプリンスではスタメンで多く試合に出て、結果を残したいですね。まだアシストも、ゴールもないんですけど、キックが得意という強みもあるので、ケガをしないようにしながら、まずは1アシストできるように努力していきたいです」。
高精度キックを右足に宿した、栃木SC U-18(栃木)の右サイドバック。DF星和陽(2年=栃木SC U-15出身)はスタートからピッチに立つ喜びを噛み締めながら、自分にできることを突き詰め、着実に描きつつある成長曲線を上へ、上へと、伸ばしていく。
「前期とクラブユースの予選で負けている相手だったので、みんな『絶対に勝とう』と気合が入っていましたし、全員で声を出して、一致団結してやろうという感じでした」。今節の試合に向かうグループのモチベーションを、星はそう語る。プリンスリーグ関東1部第11節。栃木SC U-18は、首位のRB大宮アルディージャU18とのアウェイゲームに臨んでいた。
前期のホームゲームは1-3で敗戦。全国出場を懸けたクラブユース選手権の関東予選では、懸命に食い下がったものの、結果は0-1で惜敗。2度も苦杯をなめさせられている相手に、3度も負けるわけにはいかない。チームは気合を入れて、キックオフの笛を聞く。
なかなか先発の座を射止められなかった前半戦を終え、星は改めて自身の課題と向き合ったという。「前期が終わって夏休みに入った時に、自分の足りないところをもう1回見つめ直して、フィジカル面だったり、筋力面、走力面、ポジショニングと全体的に弱かったので、そこを意識して練習してきました」。
とりわけ重点的に取り組んだのは、守備時のポジショニングだ。「今まではポジショニングが悪くて、背後を取られることが多かったので、コーチに聞いたりした中で、『ここにポジションを取った方がいいよ』と教えてもらうこともありましたし、1対1は絶対負けないようにしようとか、守備面は練習中から意識してきました」。


効果は少しずつ現れつつある。「前期はほとんど途中出場で、どちらかと言うと攻撃的に行かなきゃいけないという場面で、ちょっとリスクを冒して出すイメージだったんですけど、この夏休みを越えて、自分でも自覚を持ってきたことで守備が少し良くなってきて、壁を乗り越えつつあるかなと思いますね」と星を評する只木章広監督は、その32番を後半戦からスタメンに抜擢。この日もスタートから右サイドバックの位置へ解き放つ。
ただ、やはり首位チームのクオリティは高く、栃木SC U-18は前半から劣勢に。20分に先制点を献上すると、以降もピンチを迎える回数が多く、なかなか攻撃に転じるまでには至らない。最初の45分間は、1点のビハインドを負ったままで終了する。
指揮官もハーフタイムに2枚代えを敢行して迎えた後半。開始早々の3分に、アウェイチームへ決定機が訪れる。右サイドでボールを引き出した星は、中央の状況を冷静に見極めながら、ピンポイントクロス。MF金子竜也(3年)が頭に当て、飛び込んだFW矢部颯大(3年)はわずかに届かなかったものの、あわやというシーンを経て、栃木SC U-18の選手たちに小さな勇気の灯がともる。


相手の1年生左サイドバックは突破系のプレイヤー。何度も何度も仕掛けられたが、そのたびに星も必死に対応。「守備は本当に苦手なんですけど、負けてはいなかったかなとは思いますし、自分はいっぱい走って、メンタルで戦うタイプなので、やろうと思っていたことはできるように頑張りました」。決定的なチャンスに繋がる仕事は許さない。
それでも後半17分にはロングスローの流れから2失点目。「一瞬気が緩んだ時間に失点してしまったかなという感じで、ちょっともったいなかったと思います」と星。最終的なスコアは0-2。今シーズン初白星はまたもお預けに。試合後の選手たちは一様に悔しげな表情を浮かべていた。
星が栃木SCの門を叩いたのは、小学生年代に当たるU-12のカテゴリーから。きっかけは父親の存在だった。「高いレベルでやりたいという想いもありましたし、お父さんがトチエスのサポーターなので、トチエスで自分がやっていたら、お父さんが嬉しいかなというのもあって、入った感じですね。それこそお母さんのお腹にいる時から、グリスタに行っていました(笑)」
U-12に加入すると、グリスタでトップチームの試合を見る機会も増えていくが、そのころに憧れていたのは、自分と同じキックに特徴を持つサイドバックだったという。「自分は小学校のころから本当にキックしか練習してこなくて、お父さんともキックの練習ばかりしてきたので、瀬川(和樹)選手がいいなあと思っていました。やっぱりキックの上手い選手に憧れる感じです」。
2019年シーズン途中から1年半にわたって栃木SCに在籍し、左足の正確なキックと献身的なプレーでスタジアムを沸かせた瀬川和樹(現・クリアソン新宿)に憧れた小学生は、利き足こそ違うものの、同じキックを武器にU-18で奮闘中。こうやってクラブの歴史や伝統は脈々と受け継がれていく。
チームはリーグ最下位に喘いでいるものの、試合はまだまだ続いていく。星は残されたシーズンに向け、改めて気持ちを引き締める。
「正直緊張もありますし、『自分にやれるかな』と思うこともありますけど、やっぱりスタメンは嬉しいですね。今はとにかく90分間、11分の1としてしっかりやれるように走って、強みを生かしてやっていきたいですし、スタメンになったからには今まで以上にやらなきゃと思っています」。
小学生のころから黄色いユニフォームに袖を通してきた17歳が目指すのは、栃木SCの一番星。スタメンで試合に出場する意味を理解しつつある星和陽は、これからもチームの勝利を手繰り寄せるために、全力で右サイドを走り続け、全力でクロスを上げ続ける。


(取材・文 土屋雅史)
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地道な努力を重ねた先で、ようやく掴みかけているスタメンの定位置。もう絶対に手放したくない。ひたすら自分の強みに磨きをかけ、サイドを駆け上がり、何度でもクロスを上げて、チームの勝利に貢献してみせる。
「後期のプリンスではスタメンで多く試合に出て、結果を残したいですね。まだアシストも、ゴールもないんですけど、キックが得意という強みもあるので、ケガをしないようにしながら、まずは1アシストできるように努力していきたいです」。
高精度キックを右足に宿した、栃木SC U-18(栃木)の右サイドバック。DF星和陽(2年=栃木SC U-15出身)はスタートからピッチに立つ喜びを噛み締めながら、自分にできることを突き詰め、着実に描きつつある成長曲線を上へ、上へと、伸ばしていく。
「前期とクラブユースの予選で負けている相手だったので、みんな『絶対に勝とう』と気合が入っていましたし、全員で声を出して、一致団結してやろうという感じでした」。今節の試合に向かうグループのモチベーションを、星はそう語る。プリンスリーグ関東1部第11節。栃木SC U-18は、首位のRB大宮アルディージャU18とのアウェイゲームに臨んでいた。
前期のホームゲームは1-3で敗戦。全国出場を懸けたクラブユース選手権の関東予選では、懸命に食い下がったものの、結果は0-1で惜敗。2度も苦杯をなめさせられている相手に、3度も負けるわけにはいかない。チームは気合を入れて、キックオフの笛を聞く。
なかなか先発の座を射止められなかった前半戦を終え、星は改めて自身の課題と向き合ったという。「前期が終わって夏休みに入った時に、自分の足りないところをもう1回見つめ直して、フィジカル面だったり、筋力面、走力面、ポジショニングと全体的に弱かったので、そこを意識して練習してきました」。
とりわけ重点的に取り組んだのは、守備時のポジショニングだ。「今まではポジショニングが悪くて、背後を取られることが多かったので、コーチに聞いたりした中で、『ここにポジションを取った方がいいよ』と教えてもらうこともありましたし、1対1は絶対負けないようにしようとか、守備面は練習中から意識してきました」。


効果は少しずつ現れつつある。「前期はほとんど途中出場で、どちらかと言うと攻撃的に行かなきゃいけないという場面で、ちょっとリスクを冒して出すイメージだったんですけど、この夏休みを越えて、自分でも自覚を持ってきたことで守備が少し良くなってきて、壁を乗り越えつつあるかなと思いますね」と星を評する只木章広監督は、その32番を後半戦からスタメンに抜擢。この日もスタートから右サイドバックの位置へ解き放つ。
ただ、やはり首位チームのクオリティは高く、栃木SC U-18は前半から劣勢に。20分に先制点を献上すると、以降もピンチを迎える回数が多く、なかなか攻撃に転じるまでには至らない。最初の45分間は、1点のビハインドを負ったままで終了する。
指揮官もハーフタイムに2枚代えを敢行して迎えた後半。開始早々の3分に、アウェイチームへ決定機が訪れる。右サイドでボールを引き出した星は、中央の状況を冷静に見極めながら、ピンポイントクロス。MF金子竜也(3年)が頭に当て、飛び込んだFW矢部颯大(3年)はわずかに届かなかったものの、あわやというシーンを経て、栃木SC U-18の選手たちに小さな勇気の灯がともる。


相手の1年生左サイドバックは突破系のプレイヤー。何度も何度も仕掛けられたが、そのたびに星も必死に対応。「守備は本当に苦手なんですけど、負けてはいなかったかなとは思いますし、自分はいっぱい走って、メンタルで戦うタイプなので、やろうと思っていたことはできるように頑張りました」。決定的なチャンスに繋がる仕事は許さない。
それでも後半17分にはロングスローの流れから2失点目。「一瞬気が緩んだ時間に失点してしまったかなという感じで、ちょっともったいなかったと思います」と星。最終的なスコアは0-2。今シーズン初白星はまたもお預けに。試合後の選手たちは一様に悔しげな表情を浮かべていた。
星が栃木SCの門を叩いたのは、小学生年代に当たるU-12のカテゴリーから。きっかけは父親の存在だった。「高いレベルでやりたいという想いもありましたし、お父さんがトチエスのサポーターなので、トチエスで自分がやっていたら、お父さんが嬉しいかなというのもあって、入った感じですね。それこそお母さんのお腹にいる時から、グリスタに行っていました(笑)」
U-12に加入すると、グリスタでトップチームの試合を見る機会も増えていくが、そのころに憧れていたのは、自分と同じキックに特徴を持つサイドバックだったという。「自分は小学校のころから本当にキックしか練習してこなくて、お父さんともキックの練習ばかりしてきたので、瀬川(和樹)選手がいいなあと思っていました。やっぱりキックの上手い選手に憧れる感じです」。
2019年シーズン途中から1年半にわたって栃木SCに在籍し、左足の正確なキックと献身的なプレーでスタジアムを沸かせた瀬川和樹(現・クリアソン新宿)に憧れた小学生は、利き足こそ違うものの、同じキックを武器にU-18で奮闘中。こうやってクラブの歴史や伝統は脈々と受け継がれていく。
チームはリーグ最下位に喘いでいるものの、試合はまだまだ続いていく。星は残されたシーズンに向け、改めて気持ちを引き締める。
「正直緊張もありますし、『自分にやれるかな』と思うこともありますけど、やっぱりスタメンは嬉しいですね。今はとにかく90分間、11分の1としてしっかりやれるように走って、強みを生かしてやっていきたいですし、スタメンになったからには今まで以上にやらなきゃと思っています」。
小学生のころから黄色いユニフォームに袖を通してきた17歳が目指すのは、栃木SCの一番星。スタメンで試合に出場する意味を理解しつつある星和陽は、これからもチームの勝利を手繰り寄せるために、全力で右サイドを走り続け、全力でクロスを上げ続ける。


(取材・文 土屋雅史)
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