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「1-6という劇薬」をポジティブに作用させた意地の2連勝!横浜FCユースは昌平との「シックスポインター」を1点差でしぶとく制す!

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横浜FCユースは昌平高との“シックスポインター”をしぶとく制す!

[10.4 プレミアリーグEAST第16節 昌平高 1-2 横浜FCユース 昌平高校グラウンド]

 にわかに信じられないような大敗を突き付けられ、吹っ切れた。良い経験になったなんて言いたくないけれど、もうポジティブな方向に持っていくしかない。今の自分たちの力を見つめ、理解し、次の試合へと進んでいく。それを繰り返すことしか、1つでも勝点を積み上げていく方法は、1つでも勝利を引き寄せる方法は、ないのだから。

「結果としては大きな勝利だと思いますし、これでメンタル的にも余裕が出てきて、チームも良い方向に行く中で、選手たちがもっと良いプレーを表現してくれればいいなと思いますし、こういう切羽詰まったようなゲームの中で、単発の攻撃にならずに、しっかりとゲームを運べたというのは選手の成長じゃないかなと思います」(横浜FCユース・和田拓三監督)

 相手の終盤の猛攻もしのぎ切って、連勝達成!4日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第16節で、10位・昌平高(埼玉)と、9位・横浜FCユース(神奈川)が勝点差1で対峙した“シックスポインター”は、横浜FCユースが2-1で粘り強く勝利を収めている。


 先にチャンスを作ったのは昌平。11分。FW齋藤結斗(3年)が時間を作り、MF山口豪太(3年)の左クロスにFW立野京弥(1年)が合わせたヘディングはクロスバーを越えるも、サイドアタックから決定機。3-4-2-1の布陣でゲームに入ったホームチームは、右からDF高橋心晴(3年)、DF伊藤隆寛(3年)、DF古川雄規(2年)が並んだ3バックからきっちりビルドアップしつつ、DF笠原慶多(1年)を右に、DF森井智也(3年)を左に配したウイングバックがサイドでポイントを作りながら、先制点を窺っていく。

 一方、「入りはチームとしても良かったと思います」とDF家田唯白(3年)も話した横浜FCユースも、序盤からFW前田勘太朗(3年)の巧みなスペースメイクもあって、2列目や3列目の選手も積極的に中央へ侵入。14分にはルーズボールを前田が落とし、MF管野心人(3年)のシュートはゴール左へ外れるも好トライ。17分にもMF椿渥裕(2年)、FW齋藤翔(2年)とパスを回し、MF岩崎亮佑(3年)が打ち切ったシュートは、昌平GK小野寺太郎(3年)がファインセーブで回避するも、アグレッシブな姿勢をフィニッシュへ結び付ける。

 先制点は意外な形でアウェイチームへもたらされる。37分。岩崎の突破を小野寺が果敢な飛び出しで防いだ直後の左CK。岩崎が蹴り込んだキックに、DF秦樹(3年)が枠へ収めたヘディングは小野寺がキャッチしたものの、ボールがラインを越えていたというジャッジが下され、ゴールが認められる。「和田さんにも『今日はセットプレーから1本決めてこい』とは言われていた」という秦は、これが今季初ゴール。横浜FCユースが1点のアドバンテージを手にして、前半の45分間は終了した。



 後半開始早々の決定的なチャンスは昌平。1分。ボランチのMF遠藤佑太(3年)を起点に、森井のパスをMF高見澤光(2年)はダイレクトで裏へ。走った立野のシュートは、しかし横浜FCユースGK櫻井斗真(3年)がファインセーブ。今季はここまで全試合にスタメン出場。「去年1年間はずっと悔しい想いをしていたので、1日1日の練習を100パーセントでやってきました」という守護神が、ゴールに鍵を掛ける。

 一気呵成は横浜FCユース。12分。キャプテンのDF佃颯太(3年)の右CKに、ここも秦が合わせたヘディングは枠の右へ。13分。管野が起点を作り、DF松尾蒼大(3年)が上げたクロスに、岩崎のヘディングはクロスバーの上へ。14分。椿と岩崎で右サイドへ運び、齋藤のシュートは小野寺がキャッチ。「ボールを保持して、2列目と3列目の間を使って、崩して、ゴールまで迫るところは良かったですけど、決め切れないのが自分たちの今の課題です」とは佃。2点目にはなかなか届かない。

 だが、次の1点もアウェイチームに。27分。秦の丁寧なフィードから、左サイドを運んだ佃のクロスはファーへ流れるも、MF秋元颯太(3年)が粘って残すと、途中出場のMF福岡湧大(2年)が叩いたシュートは、ゴールネットへ転がり込む。「今日はビルドアップと中盤の崩しも含めて、トレーニングしてきたこと、自分たちで主導権を持ってサッカーしていくところが体現できたと思います」と和田拓三監督も口にした横浜FCユースが、リードを2点に広げる。

横浜FCユースは福岡湧大(17番)が追加点をゲット!


 ホームの昌平もこのままでは終われない。31分。立野との連携でペナルティエリア内へ侵入した山口がPKを獲得。これを山口自身が確実に沈めると、自らボールをゴールの中まで拾いに行って、センターサークルへと全力疾走。背番号10の絶対的エースが、チームの戦う気持ちに再び火をつける。





「最後のところで後ろに重くなりすぎて、相手にボールを握られる時間が多くなった感じはありました」と秦も言及した横浜FCユースに対し、昌平は途中出場のFW島田大雅(2年)やMF川田理月(3年)、これがプレミアデビュー戦となったMF松本太佑(1年)が同点を狙って果敢にチャレンジ。45+2分には古川が高い位置まで運び、島田のパスから高見澤がビッグチャンスを迎えるも、櫻井が執念のファインセーブ。背番号1の意地が、水際で失点の危機を食い止める。

 ファイナルスコアは2-1。「現状は残留争いになってしまっている中で、ここで同じような勝点の相手に対して、どんな試合内容であれ、勝点3を獲れたということは、自分たちの1つの積み上げになったかなと思います」(佃)。シビアな90分間を1点差で制し、今季2度目の連勝を達成した横浜FCユースが、アウェイで凱歌をあげる結果となった。



 今から2週間前。横浜FCユースの選手たちは、言いようのない悔しさを味わっていた。「もうパススピード、判断、技術、切り替え、すべてにおいてヴェルディが上だったなと、たぶん全員が肌で感じられたと思います」と佃も口にした第14節の東京ヴェルディユース戦は、アウェイで1-6の大敗。後半戦に入ってからも1分け2敗と結果が伴わなかった中で、さらなるダメージを突き付けられる。

 しかし、降格もちらつくような、もう腹を括るしかない状況で、チームの中に少しずつ変化が訪れる。「ヴェルディ戦は凄く悔しい気持ちもありながら、自分たちの立ち位置を改めて知れた試合だったので、良い経験ができたとは言いたくないですけど、またイチからやらなきゃということを凄くみんなが感じられたと思います」(秦)「ヴェルディがボールを持っているのに対して、圧倒的に守備が緩かったんですけど、そこでもうちょっとボールに出ていくところも、剝がされても二度追い、三度追いするという部分も変わっていきましたね」(佃)

 やるべきことをおろそかにして勝てる力なんて、今の自分たちにはない。ならば、全員でやるべきことをやり切って、その上でやりたいことを表現していく。6失点を喫した次のリーグ戦。ホームに浦和レッズユースを迎えた一戦は、チーム全体の守備意識も確実に上がり、今季プレミア初出場の前田が挙げた1点を守り切る形で、リーグ戦5試合ぶりの白星を手繰り寄せる。

 そして、今節。勝点の近い昌平との“シックスポインター”にも、しぶとく1点差で勝利。「今季の自分は、この前の試合で初めてユースの試合に出たんですけど、前期に全然勝てないのを見て、『何で勝てないんだろう?』という怒りとか疑問を結構持っていましたし、正直今年も優勝できるメンバーだと思っています」とは前田。持てるクオリティを発揮すれば、もちろん上位争いをできるだけの個の力も、グループの力も有しているだけに、もたらされた『1-6という劇薬』が結果的には良い方に作用したということだろうか。

既にJ1にも出場している横浜FCユースのエース、前田勘太朗


「ヴェルディ戦は自分が覚えている試合の中でも、あまりない負け方でしたけど、逆にあれだけやられた方が選手たちも考えるものが多くなるという意味で、ポジティブに捉えてできたので、育成年代では絶対に必要な要素だったかなと思います。もちろん勝てれば一番いいですけど、ああいう負けは必ずサッカーをやっていく中で出てくるシチュエーションですし、自分に本当に何が足りなくて、何をしなきゃいけないのかを選手たちにもう一度考えさせる良い時間になりましたし、選手たちもそこでしっかりと自分たちに矢印を向けて、しっかり考えながらトレーニングをやってくれたんじゃないかなと思います」(和田監督)

 今季はケガもあって、なかなか出場機会を得られなかった中で、ここ2試合はスタメンが続いている家田は、再び日常へと目を向ける。「ラスト3か月でまだ順位も上に行けると思いますし、自分たち次第で変えていけると信じています。その中で、練習が一番大切だということもずっと言われているので、また練習からできることを1つ1つ積み上げていければなと思っています」。

 ディフェンディングチャンピオンの誇りは、もちろん失われていない。“劇薬”の効果をポジティブに変えつつある横浜FCユースにとって、リーグ戦で残されている540分間は、改めてこのアカデミーで積み上げてきたものの正しさを、はっきりと証明するための戦いでもある。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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