指揮官も信頼を寄せる「ジュビロのディ・リービオ」の圧倒的献身。磐田U-18DF伊藤心音は「自分を出す」ことをテーマに右サイドを制圧し続ける!
攻撃に転じたと見るや、右サイドを全速力で駆け上がる。守備に戻る必要があれば、右サイドを全速力で駆け戻る。もちろん目の前のマーカーには、全力で食らい付く。つまりはやるべきことを、100パーセントでやり切る。それがチームの勝利に必ず直結すると信じて。
「去年は3年生の人たちが良い選手ばかりで、参考になるところが多かったので、良いところを吸収して、自分のものにできた1年でした。今はプレミアに対しても凄く前向きですし、自分個人の成長も含めて、凄く良いステージになると思うので、楽しみにしています」。
攻守に任された役割を過不足なく完遂する、ジュビロ磐田U-18(静岡)の右サイドを攻守に幅広くカバーするダイナモ系ウイングバック。DF伊藤心音(2年=ジュビロ磐田U-15出身)の献身的なプレーは、チームメイトに大きなエネルギーをもたらしていく。
「『自分たちも結構やれるんだな』とわかったところは収穫でした。ビルドアップの部分とか、球際を強く行くところもそうですし、切り替えの部分でもうまくやれたと思います」。伊藤はチーム全体としての手応えを、そう口にする。ベガルタ仙台ユースと対戦したトレーニングマッチ。磐田U-18は前半からアグレッシブなプレーを繰り広げ、攻撃の時間を長く作り出す。
今季のチームが敷いているのは[3-3-3-1]という独特のシステム。託されている右ウイングバックも、ボールの受け方には工夫が必要。考えるべきことは少なくない。「ボランチの(西岡)健斗が受けた時に、どう自分が動くかとか、最終ラインの選手がボールを持った時にどう動くかは常に考えています」。
3バックの右センターバックに入ったDF西野陽向(1年)と、トレスボランチの右を務めるキャプテンのMF西岡健斗(2年)との連携は自身にとっても生命線。周囲を見回し、受け手として、出し手として、ベクトルを前へ向け続ける。


印象的だったのは2本目(45分×3本)のワンシーン。右サイドでうまく幅を取った伊藤は、少し時間を作ってから斜めに優しいパス。後方から駆け上がった西野はポケットからクロスを上げ切る。
得点にはならなかったものの、3バックの一角の選手が果敢なオーバーラップから“アシスト未遂”まで。「3バックはどんどん上がっていく方針なので、攻撃に厚みが出るならあそこは使っていこうという感じですし、その時に全体のバランスを見ることは言われているので、そこは常々意識しているところです」という言葉に、このスタイルに対する伊藤の理解度の高さも滲む。
通常のウイングバック以上に、こなすべきタスクは多いように見えるが、だからこそやりがいも十分。「難しいスタイルではあるんですけど、もうこのやり方にもだいぶ慣れたというか、このスタイルが自分の中でも普通になりつつあるので、それを突き詰めていくことに対しては、前向きに取り組んでいます」。
この日の試合は先制を許したものの、結果的には135分を戦って、3-1で逆転勝ち。同じプレミアリーグを戦う難敵相手に、一定の内容も伴ったうえで白星を収めたことが、チームの自信に繋がっていくであろうことは想像に難くない。


もともと伊藤のオリジナルポジションは右サイドバック。昨年までは4バックの一角に入ること多かったものの、システム変更に伴って、右ウイングバックが主戦場に。今まで以上に攻撃参加もより求められる中で、抱えている課題にもしっかりと目を向けている。「今日も“ゾーン3”から“ゾーン4”というゴールに向かうところまでは行けたんですけど、そこからの質がちょっと低かったかなとは個人的に思いました」。
前へと出て行く回数は着実に増やしているだけに、自身に課しているのは得点に繋がる最後の質の向上。「プレミアでもアシストの数字は多く出したいと思っています。具体的には7から8アシストはしたいですし、ゴールも決められるのであれば決めたいです」と口にした言葉も頼もしい。
参考にしているのは、昨季のJリーグを席巻したサイドプレイヤーだという。「試合前には伊藤達哉選手(川崎)の動画を見ています。プレースタイルは自分と全然違うんですけど(笑)、イメージを膨らませるために見ていますし、右サイドで右足でボールを持った時の上手さを感じるので、そこも参考にしています」。
2年生だった昨季はトップチームの練習にも参加。いろいろな意味で自分の現在地を突き付けられた中で、その技術の高さと味方に与える安心感に、一際目を奪われた選手がいたという。
「角昂志郎選手はボールの受け方が上手くて、一緒にやった時に凄く頼もしいというか、本当に頼りになる選手だなと思いました。今年はキャプテンなので、凄い人だと思います」。今シーズンは腕章を巻いて奮闘している、プロ2年目のキャプテンから受けた刺激は、身体の中にはっきりと刻まれている。


チームとしては3年ぶりにプレミアの舞台を手繰り寄せた、U-18の一員として戦う最後の1年。伊藤はリーグ開幕を間近に控えた今、2026年シーズンを貫く自分のスローガンを、心の中で掲げている。
「今は『自分を出す』というのを目標にしています。守備の面ではアグレッシブに球際に行けるところを、攻撃の面では味方にはたいて、もう一度もらってクロスを上げたり、シュートまで行くところを意識していますし、それができたら自ずと結果も付いてくると思うので、それに向かって頑張っていきたいです」。
チームを率いる安間貴義監督も「アイツはウチのディ・リービオ(元イタリア代表)ですから」と言い切る、磐田U-18のエネルギッシュな右ウイングバック。伊藤心音は自分の内なる声に耳を傾けながら、素直な心で奏でる美しい情熱の音色を、ピッチに力強く鳴り響かせる。


(取材・文 土屋雅史)
「去年は3年生の人たちが良い選手ばかりで、参考になるところが多かったので、良いところを吸収して、自分のものにできた1年でした。今はプレミアに対しても凄く前向きですし、自分個人の成長も含めて、凄く良いステージになると思うので、楽しみにしています」。
攻守に任された役割を過不足なく完遂する、ジュビロ磐田U-18(静岡)の右サイドを攻守に幅広くカバーするダイナモ系ウイングバック。DF伊藤心音(2年=ジュビロ磐田U-15出身)の献身的なプレーは、チームメイトに大きなエネルギーをもたらしていく。
「『自分たちも結構やれるんだな』とわかったところは収穫でした。ビルドアップの部分とか、球際を強く行くところもそうですし、切り替えの部分でもうまくやれたと思います」。伊藤はチーム全体としての手応えを、そう口にする。ベガルタ仙台ユースと対戦したトレーニングマッチ。磐田U-18は前半からアグレッシブなプレーを繰り広げ、攻撃の時間を長く作り出す。
今季のチームが敷いているのは[3-3-3-1]という独特のシステム。託されている右ウイングバックも、ボールの受け方には工夫が必要。考えるべきことは少なくない。「ボランチの(西岡)健斗が受けた時に、どう自分が動くかとか、最終ラインの選手がボールを持った時にどう動くかは常に考えています」。
3バックの右センターバックに入ったDF西野陽向(1年)と、トレスボランチの右を務めるキャプテンのMF西岡健斗(2年)との連携は自身にとっても生命線。周囲を見回し、受け手として、出し手として、ベクトルを前へ向け続ける。


印象的だったのは2本目(45分×3本)のワンシーン。右サイドでうまく幅を取った伊藤は、少し時間を作ってから斜めに優しいパス。後方から駆け上がった西野はポケットからクロスを上げ切る。
得点にはならなかったものの、3バックの一角の選手が果敢なオーバーラップから“アシスト未遂”まで。「3バックはどんどん上がっていく方針なので、攻撃に厚みが出るならあそこは使っていこうという感じですし、その時に全体のバランスを見ることは言われているので、そこは常々意識しているところです」という言葉に、このスタイルに対する伊藤の理解度の高さも滲む。
通常のウイングバック以上に、こなすべきタスクは多いように見えるが、だからこそやりがいも十分。「難しいスタイルではあるんですけど、もうこのやり方にもだいぶ慣れたというか、このスタイルが自分の中でも普通になりつつあるので、それを突き詰めていくことに対しては、前向きに取り組んでいます」。
この日の試合は先制を許したものの、結果的には135分を戦って、3-1で逆転勝ち。同じプレミアリーグを戦う難敵相手に、一定の内容も伴ったうえで白星を収めたことが、チームの自信に繋がっていくであろうことは想像に難くない。


もともと伊藤のオリジナルポジションは右サイドバック。昨年までは4バックの一角に入ること多かったものの、システム変更に伴って、右ウイングバックが主戦場に。今まで以上に攻撃参加もより求められる中で、抱えている課題にもしっかりと目を向けている。「今日も“ゾーン3”から“ゾーン4”というゴールに向かうところまでは行けたんですけど、そこからの質がちょっと低かったかなとは個人的に思いました」。
前へと出て行く回数は着実に増やしているだけに、自身に課しているのは得点に繋がる最後の質の向上。「プレミアでもアシストの数字は多く出したいと思っています。具体的には7から8アシストはしたいですし、ゴールも決められるのであれば決めたいです」と口にした言葉も頼もしい。
参考にしているのは、昨季のJリーグを席巻したサイドプレイヤーだという。「試合前には伊藤達哉選手(川崎)の動画を見ています。プレースタイルは自分と全然違うんですけど(笑)、イメージを膨らませるために見ていますし、右サイドで右足でボールを持った時の上手さを感じるので、そこも参考にしています」。
2年生だった昨季はトップチームの練習にも参加。いろいろな意味で自分の現在地を突き付けられた中で、その技術の高さと味方に与える安心感に、一際目を奪われた選手がいたという。
「角昂志郎選手はボールの受け方が上手くて、一緒にやった時に凄く頼もしいというか、本当に頼りになる選手だなと思いました。今年はキャプテンなので、凄い人だと思います」。今シーズンは腕章を巻いて奮闘している、プロ2年目のキャプテンから受けた刺激は、身体の中にはっきりと刻まれている。


チームとしては3年ぶりにプレミアの舞台を手繰り寄せた、U-18の一員として戦う最後の1年。伊藤はリーグ開幕を間近に控えた今、2026年シーズンを貫く自分のスローガンを、心の中で掲げている。
「今は『自分を出す』というのを目標にしています。守備の面ではアグレッシブに球際に行けるところを、攻撃の面では味方にはたいて、もう一度もらってクロスを上げたり、シュートまで行くところを意識していますし、それができたら自ずと結果も付いてくると思うので、それに向かって頑張っていきたいです」。
チームを率いる安間貴義監督も「アイツはウチのディ・リービオ(元イタリア代表)ですから」と言い切る、磐田U-18のエネルギッシュな右ウイングバック。伊藤心音は自分の内なる声に耳を傾けながら、素直な心で奏でる美しい情熱の音色を、ピッチに力強く鳴り響かせる。


(取材・文 土屋雅史)


