キャンプからの逆襲を期す17歳が燃やし続ける「負けず嫌いの炎」。柏U-18MF長南開史が悔しい日常の先に見据えるトップデビューの瞬間
[6.21 プレミアリーグEAST第10節 柏U-18 2-1 東京Vユース ゼロワットパワーフィールド柏]
心の内側に秘めている負けず嫌いの炎は、誰よりも強く燃えている。今の自分の立ち位置に対して、納得しているはずもない。ゆえに、もうやるしかない。年齢だとか、経験値だとか、そんなものは何ひとつ関係なく、ただただ自分の力で、必ず現状を覆してやる。
「やっぱり今の自分が一番下の立ち位置なのはわかっていますし、トップチームでも他のみんなとの違いを出さないと、Jリーグの試合のメンバーに入るのは難しいかなと思うので、まずはこっちでやれているうちに点を獲ったりして、トップのキャンプに繋げていきたいなと思います」。
まっすぐな気持ちで明日の成長だけを希求する、17歳のプロサッカー選手。柏レイソルU-18MF長南開史(2年=柏レイソルU-15出身)は慣れ親しんだ“人工芝”のグラウンドでも進化を続け、新シーズンこそJリーグの舞台に立つ権利を勝ち獲ってみせる。
「トップでもなかなか出られていなかったので、こういう試合も結構久々で、ちょっとでもサボったらやられる感じもありましたし、やっぱりプレミアの強度も高いなと思いましたね」。
プレミアリーグEAST第10節。ホームのゼロワットパワーフィールド柏に、東京ヴェルディユースを迎えた一戦。トップチームがオフに入ったこともあり、U-18でトレーニングを重ねてきた長南は、今季初となるプレミアのピッチにスタメンで解き放たれる。
「先週は久しぶりに代表以外での90分ゲームを大学生とやったら、最後はヘトヘトでしたね」と話すのはチームを率いる志田達郎監督。本人も「ちょっと試合勘がイマイチだったなとは感じました」と振り返る90分間を経て、この日の試合に臨んでいた。


1点をリードされる展開の中、33分には思考とセンスを掛け合わせたプレーを披露する。左後方からMF加茂結斗(3年)が蹴り込んだボールを、長南はダイレクトで左サイドへピンポイントパス。受けたMF大木颯(2年)のシュートがゴールネットを確実に揺らす。
「ずっと『左の背後が空いてるな』という意識は頭にありましたし、あそこでトラップしたら相手が来るなとも思ったので、まったく見てはいないんですけど、『あのへんが空いているかな』と感覚で蹴ったら、ゴールに繋がったので良かったです。まあ、センスでしたね(笑)」。7番の貴重なアシストで、柏U-18がスコアを振り出しに引き戻す。
見応えがあったのは、東京Vユースの左ウイングバックを務める原田爽潤とのマッチアップ。年代別代表も経験している“同い年”のレフティのことは、試合前から意識していたようだ。
「去年対戦した時も本当にいい選手だなと感じていたので、今日は自分も意識していた中で、やられそうなシーンとか、抜かれそうなシーンもあったんですけど、何とか止められたので良かったです」。数回あった守備機会でも、原田に突破は許さず。そのあたりにもプロ選手としての矜持が滲む。


試合はMF茂木勇人チュクソム(2年)が決勝ゴールを叩き出し、柏U-18が逆転勝利。「自分は普段からトップでやっているからこそ、そういう基準を示さないといけない想いはあったんですけど、今日も結局は加茂(結斗)とかが引っ張ってくれた感じはあったので、また火曜日の練習から高い基準を持って、来週の試合はもっと違いを出せたらなと思います」。試合後は気の置けない仲間たちと勝利を喜びながら、視線は明日の成長をしっかりと見据えていた。


長南は16歳になった昨年の4月にプロ契約を締結。以降は基本的にトップチームの練習に加わり、ハイレベルな環境の中で、年上のプロ選手と切磋琢磨し続ける日常を過ごしている。
“天然芝”のグラウンドでも、ある程度の力を発揮できている手応えは掴みつつある。「あのスピード感にだいぶ慣れてきたとは思いますし、プレス回避の部分や、トップ特有の流動的に動いてプレーすることはできてきているなと感じます」。
一方で克服すべき課題も、自身の中でははっきりと理解しているようだ。「やっぱり全体的な判断が遅いなと。あとは縦に仕掛けることを求められているので、1対1でももっとチャレンジする回数を増やしていかないとメンバーに入るのは難しいと思いますし、今のままではまだ試合に出られる基準ではないなとも感じます」。
今のシステムの中で、長南が主に務めるのは右ウイングバック。目指すべき、超えるべき“壁”は、明確すぎるぐらい明確だ。「同じポジションには久保藤次郎くんという目標がいるので、普段からプレーを見て勉強しつつ、『自分が出たら』というのも常に考えながら見ています。やっぱり推進力は自分のストロングなので、そういうところで藤次郎くんよりもいいプレーをするしかないですよね」。


U-18を率いる志田監督は、日ごろのトレーニングやこの日のゲームを見つめたうえで、今の長南がグループに与えている影響をこう話す。「やっぱり手を抜くことなく、どのトレーニングにも真摯に取り組んでくれるので、周りも自然と『プロってこういう基準なんだな』ということを知っていくと」。
「今日のパフォーマンスもかなり良かったんじゃないかなと思いますし、集中力も高く、体力も落ちずにやり切れたと思うので、こちらとしてはコンディション的にもより上げて、トップのキャンプに参加できるように送り出せればと思います」。
一見クールに、穏やかに見えるが、長南が携えている負けず嫌いなメンタルは相当なもの。まだトップチームでの出場機会が訪れていない現状を問うと、「悔しいですよ」と口にしながら、そのあとにこんな言葉を続ける。
「やっぱり『自分出せよ』って思っていますし、その気持ちが頑張る原動力になっているので、やることをブラさずにやっていきたいですね。試合に出たらやれる自信は、あります」。


改めてトップで存在感を示すためにも、今はU-18できっちりトレーニングを積み重ね、7月から始まるキャンプへの準備を整えていく。迎える新シーズン。明かした不退転の覚悟が頼もしい。
「今はトップのみんなはオフ期間ですけど、自分はユースのみんなと練習から良い強度でトレーニングできているので、いい感じですね。コンディションも上がってきています」。
「キャンプでは、とにかく仕掛けて、とにかくチャレンジしたいです。やっぱり目立たないとメンバーには入れないので、消極的なプレーをどんどん減らして、トップでも違いを出せる選手になっていきたいなと思います。気合、だいぶ入ってます」。
日立台を熱狂させ得るポテンシャルを秘めていることに、疑いの余地は微塵もない。17歳の夏は、圧倒的な飛躍への序章。長南開史は自分を信じ、自分と向き合い、とにかくアグレッシブなチャレンジを繰り返すことで、望んだ未来を力強く切り拓いていく。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2026特集
▶お笑いコンビ「ヤーレンズ」がサッカーをしゃべり倒すポッドキャスト「ボケサカ」は毎週金曜配信
心の内側に秘めている負けず嫌いの炎は、誰よりも強く燃えている。今の自分の立ち位置に対して、納得しているはずもない。ゆえに、もうやるしかない。年齢だとか、経験値だとか、そんなものは何ひとつ関係なく、ただただ自分の力で、必ず現状を覆してやる。
「やっぱり今の自分が一番下の立ち位置なのはわかっていますし、トップチームでも他のみんなとの違いを出さないと、Jリーグの試合のメンバーに入るのは難しいかなと思うので、まずはこっちでやれているうちに点を獲ったりして、トップのキャンプに繋げていきたいなと思います」。
まっすぐな気持ちで明日の成長だけを希求する、17歳のプロサッカー選手。柏レイソルU-18MF長南開史(2年=柏レイソルU-15出身)は慣れ親しんだ“人工芝”のグラウンドでも進化を続け、新シーズンこそJリーグの舞台に立つ権利を勝ち獲ってみせる。
「トップでもなかなか出られていなかったので、こういう試合も結構久々で、ちょっとでもサボったらやられる感じもありましたし、やっぱりプレミアの強度も高いなと思いましたね」。
プレミアリーグEAST第10節。ホームのゼロワットパワーフィールド柏に、東京ヴェルディユースを迎えた一戦。トップチームがオフに入ったこともあり、U-18でトレーニングを重ねてきた長南は、今季初となるプレミアのピッチにスタメンで解き放たれる。
「先週は久しぶりに代表以外での90分ゲームを大学生とやったら、最後はヘトヘトでしたね」と話すのはチームを率いる志田達郎監督。本人も「ちょっと試合勘がイマイチだったなとは感じました」と振り返る90分間を経て、この日の試合に臨んでいた。


1点をリードされる展開の中、33分には思考とセンスを掛け合わせたプレーを披露する。左後方からMF加茂結斗(3年)が蹴り込んだボールを、長南はダイレクトで左サイドへピンポイントパス。受けたMF大木颯(2年)のシュートがゴールネットを確実に揺らす。
「ずっと『左の背後が空いてるな』という意識は頭にありましたし、あそこでトラップしたら相手が来るなとも思ったので、まったく見てはいないんですけど、『あのへんが空いているかな』と感覚で蹴ったら、ゴールに繋がったので良かったです。まあ、センスでしたね(笑)」。7番の貴重なアシストで、柏U-18がスコアを振り出しに引き戻す。
見応えがあったのは、東京Vユースの左ウイングバックを務める原田爽潤とのマッチアップ。年代別代表も経験している“同い年”のレフティのことは、試合前から意識していたようだ。
「去年対戦した時も本当にいい選手だなと感じていたので、今日は自分も意識していた中で、やられそうなシーンとか、抜かれそうなシーンもあったんですけど、何とか止められたので良かったです」。数回あった守備機会でも、原田に突破は許さず。そのあたりにもプロ選手としての矜持が滲む。


長南と原田のマッチアップは見応え十分
試合はMF茂木勇人チュクソム(2年)が決勝ゴールを叩き出し、柏U-18が逆転勝利。「自分は普段からトップでやっているからこそ、そういう基準を示さないといけない想いはあったんですけど、今日も結局は加茂(結斗)とかが引っ張ってくれた感じはあったので、また火曜日の練習から高い基準を持って、来週の試合はもっと違いを出せたらなと思います」。試合後は気の置けない仲間たちと勝利を喜びながら、視線は明日の成長をしっかりと見据えていた。


長南は16歳になった昨年の4月にプロ契約を締結。以降は基本的にトップチームの練習に加わり、ハイレベルな環境の中で、年上のプロ選手と切磋琢磨し続ける日常を過ごしている。
“天然芝”のグラウンドでも、ある程度の力を発揮できている手応えは掴みつつある。「あのスピード感にだいぶ慣れてきたとは思いますし、プレス回避の部分や、トップ特有の流動的に動いてプレーすることはできてきているなと感じます」。
一方で克服すべき課題も、自身の中でははっきりと理解しているようだ。「やっぱり全体的な判断が遅いなと。あとは縦に仕掛けることを求められているので、1対1でももっとチャレンジする回数を増やしていかないとメンバーに入るのは難しいと思いますし、今のままではまだ試合に出られる基準ではないなとも感じます」。
今のシステムの中で、長南が主に務めるのは右ウイングバック。目指すべき、超えるべき“壁”は、明確すぎるぐらい明確だ。「同じポジションには久保藤次郎くんという目標がいるので、普段からプレーを見て勉強しつつ、『自分が出たら』というのも常に考えながら見ています。やっぱり推進力は自分のストロングなので、そういうところで藤次郎くんよりもいいプレーをするしかないですよね」。


U-18を率いる志田監督は、日ごろのトレーニングやこの日のゲームを見つめたうえで、今の長南がグループに与えている影響をこう話す。「やっぱり手を抜くことなく、どのトレーニングにも真摯に取り組んでくれるので、周りも自然と『プロってこういう基準なんだな』ということを知っていくと」。
「今日のパフォーマンスもかなり良かったんじゃないかなと思いますし、集中力も高く、体力も落ちずにやり切れたと思うので、こちらとしてはコンディション的にもより上げて、トップのキャンプに参加できるように送り出せればと思います」。
一見クールに、穏やかに見えるが、長南が携えている負けず嫌いなメンタルは相当なもの。まだトップチームでの出場機会が訪れていない現状を問うと、「悔しいですよ」と口にしながら、そのあとにこんな言葉を続ける。
「やっぱり『自分出せよ』って思っていますし、その気持ちが頑張る原動力になっているので、やることをブラさずにやっていきたいですね。試合に出たらやれる自信は、あります」。


改めてトップで存在感を示すためにも、今はU-18できっちりトレーニングを積み重ね、7月から始まるキャンプへの準備を整えていく。迎える新シーズン。明かした不退転の覚悟が頼もしい。
「今はトップのみんなはオフ期間ですけど、自分はユースのみんなと練習から良い強度でトレーニングできているので、いい感じですね。コンディションも上がってきています」。
「キャンプでは、とにかく仕掛けて、とにかくチャレンジしたいです。やっぱり目立たないとメンバーには入れないので、消極的なプレーをどんどん減らして、トップでも違いを出せる選手になっていきたいなと思います。気合、だいぶ入ってます」。
日立台を熱狂させ得るポテンシャルを秘めていることに、疑いの余地は微塵もない。17歳の夏は、圧倒的な飛躍への序章。長南開史は自分を信じ、自分と向き合い、とにかくアグレッシブなチャレンジを繰り返すことで、望んだ未来を力強く切り拓いていく。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2026特集
▶お笑いコンビ「ヤーレンズ」がサッカーをしゃべり倒すポッドキャスト「ボケサカ」は毎週金曜配信



