[MOM5161]仙台ユースFW古屋歩夢(3年)_目標は「プレミア得点王の後輩」との決勝での再会。才気あふれるストライカーがGL突破を引き寄せる大会初ゴール!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.25 クラブユース選手権(U-18)Gグループ第3節 岡山U-18 1-1 仙台ユース 玉村町北部公園サッカー場]
大爆発を期して乗り込んできた、全国の晴れ舞台。だが、なかなか結果がついてこない。焦りがなかったと言ったら嘘になるけれど、次こそは自分なら必ず決められると信じて、ひたすらゴールを狙い続ける。それがストライカーにとって、唯一の存在意義だから。
「東北のプリンスでも自分は毎試合点を獲ってきていて、全国大会は『いざやるぞ』と一番楽しみにしてきた大会なので、自分のゴールという形でグループステージを突破できたのは本当に嬉しかったです」。
抜群のフィジカルと繊細な左足を合わせ持つ、ベガルタ仙台ユース(東北1)の背番号9。FW古屋歩夢(3年=FC多摩ジュニアユース出身)は今大会初ゴールを豪快に叩き出し、チームのグループステージ突破を力強く引き寄せた。
「1試合目からシュートは打っていたんですけど、点を決められなかったことがもうバカ悔しくて、2試合目もチームが苦しい状況でも、最後のところで決め切れなくて、さすがにもう“3度目”はないでしょみたいに思っていました」。
クラブユース選手権のグループステージ。初戦は川崎フロンターレU-18に、2戦目はV・ファーレン長崎U-18に、どちらも1-0で勝ち切って、連勝を飾った仙台ユース。だが、その2試合で得点を決め切れなかったストライカーは、自分に怒っていた。
『3試合目の正直』を叶えるべく、ピッチに立ったこの日のファジアーノ岡山U-18戦。古屋は前半から持ち前の身体の強さを生かして、アグレッシブにゴールへ向かうも、19分に粘り強く持ち込んだシュートは相手GKに阻まれ、34分にボレーで叩いたシュートは枠外に。直後には相手に先制点を献上し、ビハインドを負って前半が終了する。
感覚は研ぎ澄まされていた。後半11分。三たび古屋にチャンスが巡ってくる。後半開始から入ったMF稲木康太(3年)が左へ流し、MF浅尾涼太朗(3年)が中央へ付けると、9番の頭の中にシュートまでの道筋がはっきりと浮かび上がる。
「入ってきたボールをワンタッチで流したんですけど、それは練習中でもよくやっている自分の一番得意な形で、ボールが前に行きすぎず、手前にも行きすぎず、一番自分にとって良いところに置けましたね」。
左足を振り抜いたその瞬間、ゴールは見えていなかったという。「ゴールは見ていないですけど、自分の感覚には自信を持っているので、その感覚で逆サイドのファーに流し込めました。キーパーに当たりましたけど、運も味方に付けて、入ってくれたと思います」。
ボールがネットへ到達するのを確認すると、ピッチサイドへと駆け出していく。「アレはカバーニです。ゴールパフォーマンスがカッコいいのでやりました。いつもはやっていないんですけど、全国ではやろうと思っていたので、決まりましたね(笑)」。待望の今大会初ゴールに、パフォーマンスも完遂。エースの一撃で仙台ユースが追い付いてみせる。




結局、ファイナルスコアは1-1。引き分けでも勝ち抜けが決まる状況だった仙台ユースは、3試合を終えて2勝1分けの無敗でグループステージ突破。「攻められる時間帯も多かったですけど、バックラインもキャプテンを中心に守ってくれて、前は無得点で終わったら絶対にダメなゲームだったので、1点を獲りに行って、実際に自分が1点獲れて、チームを引き分けに持っていけたのは良かったと思います」と話した古屋のゴールが、チームを次のラウンドへと逞しく導いた。
中学時代は東京の強豪街クラブとして知られる、FC多摩ジュニアユースでプレーしていた古屋は、不思議な縁に彩られ、それまで想像もしていなかった杜の都のチームへとやってきた。
「夏のクラブユースの1回戦を、ベガルタのスカウトの方が見に来てくれていて、『1回練習参加に来てみない?』と言われたんです。実際に行ってみたら環境も良かったですし、練習の雰囲気も良かったですし、スタッフのみなさんもメッチャ優しく接してくれたので、もともと東北のチーム自体をあまり知らなかったですけど、『ここに行こう』と決めました」。
親元を離れて飛び込んだ新たな環境にも、なかなかすぐには馴染めなかったが、そんな時にとりわけお世話になった人がいるという。
「寮生活ということで慣れない部分もあって、自分でも矢印が外に向いて、メンタル的にも落ちていた時期に、今は鳥栖に行った木谷公亮さんにはメッチャお世話になりました。1週間に何回も面談してくれたこともあって、だいぶ救われましたし、本当に感謝しています」。
昨シーズンは苦境に陥っていたサガン鳥栖の監督に就任し、今季はそのまま鳥栖のヘッドコーチを務めている木谷公亮さんを筆頭に、自分に寄り添ってくれた人たちへの感謝を形にするために、求められるのはこの大会での明確な結果だ。


それに加えて、どうしても決勝まで行きたい理由がある。昨シーズンのプレミアリーグEASTで得点王に輝き、今大会も既に3ゴールを決めている鹿島アントラーズユースの吉田湊海は、FC多摩ジュニアユース時代の1年後輩。同じポジションとして意識せざるを得ない中、組み合わせ上、対戦できるのは最後の1試合となる。
「自分はプリンスというカテゴリーでやっているので、こういうところに来た時にしかプレミアでやっている湊海とも対戦できないですし、今回の自分たちは決勝に行かないと湊海とはできないので、決勝では湊海と一緒に試合に出て、どっちが点を獲れるかというところは意識しています」。
古屋は岡山U-18戦で大会2枚目のイエローカードをもらったため、次の準々決勝は出場停止となってしまったが、もう自分にできることを全力でこなすしかない。
「この大会は自分のサポートを一生懸命してくれた人たちに恩返ししないといけない大会で、もう次は出られないことが決まってしまいましたけど、他のメンバーが絶対にやってくれるので、そのメンバーに託したいと思いますし、決勝で勝って、絶対に優勝します」。
特別な才覚を有していることに、疑いの余地はない。それを100パーセントで解き放てば、確実に結果は伴ってくる。仙台ユースが誇るスペシャルなストライカー。古屋歩夢は自分を信じてくれた人たちのために、目指した頂へと力強く駆け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
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[7.25 クラブユース選手権(U-18)Gグループ第3節 岡山U-18 1-1 仙台ユース 玉村町北部公園サッカー場]
大爆発を期して乗り込んできた、全国の晴れ舞台。だが、なかなか結果がついてこない。焦りがなかったと言ったら嘘になるけれど、次こそは自分なら必ず決められると信じて、ひたすらゴールを狙い続ける。それがストライカーにとって、唯一の存在意義だから。
「東北のプリンスでも自分は毎試合点を獲ってきていて、全国大会は『いざやるぞ』と一番楽しみにしてきた大会なので、自分のゴールという形でグループステージを突破できたのは本当に嬉しかったです」。
抜群のフィジカルと繊細な左足を合わせ持つ、ベガルタ仙台ユース(東北1)の背番号9。FW古屋歩夢(3年=FC多摩ジュニアユース出身)は今大会初ゴールを豪快に叩き出し、チームのグループステージ突破を力強く引き寄せた。
「1試合目からシュートは打っていたんですけど、点を決められなかったことがもうバカ悔しくて、2試合目もチームが苦しい状況でも、最後のところで決め切れなくて、さすがにもう“3度目”はないでしょみたいに思っていました」。
クラブユース選手権のグループステージ。初戦は川崎フロンターレU-18に、2戦目はV・ファーレン長崎U-18に、どちらも1-0で勝ち切って、連勝を飾った仙台ユース。だが、その2試合で得点を決め切れなかったストライカーは、自分に怒っていた。
『3試合目の正直』を叶えるべく、ピッチに立ったこの日のファジアーノ岡山U-18戦。古屋は前半から持ち前の身体の強さを生かして、アグレッシブにゴールへ向かうも、19分に粘り強く持ち込んだシュートは相手GKに阻まれ、34分にボレーで叩いたシュートは枠外に。直後には相手に先制点を献上し、ビハインドを負って前半が終了する。
感覚は研ぎ澄まされていた。後半11分。三たび古屋にチャンスが巡ってくる。後半開始から入ったMF稲木康太(3年)が左へ流し、MF浅尾涼太朗(3年)が中央へ付けると、9番の頭の中にシュートまでの道筋がはっきりと浮かび上がる。
「入ってきたボールをワンタッチで流したんですけど、それは練習中でもよくやっている自分の一番得意な形で、ボールが前に行きすぎず、手前にも行きすぎず、一番自分にとって良いところに置けましたね」。
左足を振り抜いたその瞬間、ゴールは見えていなかったという。「ゴールは見ていないですけど、自分の感覚には自信を持っているので、その感覚で逆サイドのファーに流し込めました。キーパーに当たりましたけど、運も味方に付けて、入ってくれたと思います」。
ボールがネットへ到達するのを確認すると、ピッチサイドへと駆け出していく。「アレはカバーニです。ゴールパフォーマンスがカッコいいのでやりました。いつもはやっていないんですけど、全国ではやろうと思っていたので、決まりましたね(笑)」。待望の今大会初ゴールに、パフォーマンスも完遂。エースの一撃で仙台ユースが追い付いてみせる。




結局、ファイナルスコアは1-1。引き分けでも勝ち抜けが決まる状況だった仙台ユースは、3試合を終えて2勝1分けの無敗でグループステージ突破。「攻められる時間帯も多かったですけど、バックラインもキャプテンを中心に守ってくれて、前は無得点で終わったら絶対にダメなゲームだったので、1点を獲りに行って、実際に自分が1点獲れて、チームを引き分けに持っていけたのは良かったと思います」と話した古屋のゴールが、チームを次のラウンドへと逞しく導いた。
中学時代は東京の強豪街クラブとして知られる、FC多摩ジュニアユースでプレーしていた古屋は、不思議な縁に彩られ、それまで想像もしていなかった杜の都のチームへとやってきた。
「夏のクラブユースの1回戦を、ベガルタのスカウトの方が見に来てくれていて、『1回練習参加に来てみない?』と言われたんです。実際に行ってみたら環境も良かったですし、練習の雰囲気も良かったですし、スタッフのみなさんもメッチャ優しく接してくれたので、もともと東北のチーム自体をあまり知らなかったですけど、『ここに行こう』と決めました」。
親元を離れて飛び込んだ新たな環境にも、なかなかすぐには馴染めなかったが、そんな時にとりわけお世話になった人がいるという。
「寮生活ということで慣れない部分もあって、自分でも矢印が外に向いて、メンタル的にも落ちていた時期に、今は鳥栖に行った木谷公亮さんにはメッチャお世話になりました。1週間に何回も面談してくれたこともあって、だいぶ救われましたし、本当に感謝しています」。
昨シーズンは苦境に陥っていたサガン鳥栖の監督に就任し、今季はそのまま鳥栖のヘッドコーチを務めている木谷公亮さんを筆頭に、自分に寄り添ってくれた人たちへの感謝を形にするために、求められるのはこの大会での明確な結果だ。


それに加えて、どうしても決勝まで行きたい理由がある。昨シーズンのプレミアリーグEASTで得点王に輝き、今大会も既に3ゴールを決めている鹿島アントラーズユースの吉田湊海は、FC多摩ジュニアユース時代の1年後輩。同じポジションとして意識せざるを得ない中、組み合わせ上、対戦できるのは最後の1試合となる。
「自分はプリンスというカテゴリーでやっているので、こういうところに来た時にしかプレミアでやっている湊海とも対戦できないですし、今回の自分たちは決勝に行かないと湊海とはできないので、決勝では湊海と一緒に試合に出て、どっちが点を獲れるかというところは意識しています」。
古屋は岡山U-18戦で大会2枚目のイエローカードをもらったため、次の準々決勝は出場停止となってしまったが、もう自分にできることを全力でこなすしかない。
「この大会は自分のサポートを一生懸命してくれた人たちに恩返ししないといけない大会で、もう次は出られないことが決まってしまいましたけど、他のメンバーが絶対にやってくれるので、そのメンバーに託したいと思いますし、決勝で勝って、絶対に優勝します」。
特別な才覚を有していることに、疑いの余地はない。それを100パーセントで解き放てば、確実に結果は伴ってくる。仙台ユースが誇るスペシャルなストライカー。古屋歩夢は自分を信じてくれた人たちのために、目指した頂へと力強く駆け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
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