[11.9 選手権千葉県予選準決勝 専修大松戸高 3-1 中央学院高 柏の葉]

　初優勝の夢は準決勝で潰えた。“千葉の技巧派集団”中央学院高は自分たちのテクニックとアイディアを表現して攻めたが、MF森川莉玖主将(3年=岡山セゾン出身)は前半について「1点取ってからチームで2点目を取りに行くっていう意識がちょっと低かったなっていうのと、時間経つごとにちょっとずつ距離感が広がっていって、前半は自分たちのサッカーがあまりできなかった」と振り返る。

　前半3分、左SB谷口一心(3年)がカットインした流れからMF井戸健介(3年)が右足で先制ゴール。だが、直後にセットプレーから追いつかれると、前半はなかなかシュートまで持ち込むことができなかった。

　舵取り役の森川は、「相手が2トップだったんで、自分が真ん中でCBから受けてあげて、どんどんリズム良くしたいなっていうのはあったんですけど、それでも専松(専修大松戸高)がしっかり逆サイドまで絞って守備をしっかりしてきてたんで、そこでちょっと前半は上手くできなかったなっていうのがあります」と振り返る。

　それでも、GK原田碧(3年)やCB中田大翔(3年)を中心に相手の速攻やセットプレーを封じると、後半開始からMF安孫子司(3年)を投入してギアチェンジ。安孫子やコンディションを戻してきた10番FW青山咲太(3年)がドリブルやコンビネーションでの崩しにチャレンジした。

　6分には安孫子のシュートが枠を捉え、その後も高速アタッカーのMF小澤日和太(3年)や青山が立て続けにシュートを打ち込む。だが、15分、相手のデザインされたCKから3連続シュートを打たれて失点。この1点が重くのしかかった。

　中央学院は相手が得意とするセットプレーから2失点。演田寛之監督は「(セットプレーを与えないように)ウチが相手陣地に押し込む時間をもっと増やさなきゃいけないっていうのが、今日のテーマだった。(セットプレーで)あれだけ綺麗に崩されちゃったから、相手が一枚上だったんじゃないかなと」と分析する。

　その後、中央学院は青山がワンツーから放ったシュートや1年生MF森脇快が強引に打ち切ったシュートなどで反撃。終盤は森川らがボールを運び、ほぼ2バックで人数を掛けて攻めたが、最後の精度を欠いてしまうなど得点することができない。

　この試合、前後半通じて中央学院がボールを保持する時間を増やしていた。だが、森川は「(相手が)堅かったっていうのもあるんですけど、ポケット取った後のマイナスのところだったり、自分たちがボール持ってるんですけど、何か持たされてるような印象というか、もっとペナルティーエリアに入って、その次がちょっと少なかったかなって思います」。迎えた後半40+1分に相手の速攻を止めきれずに3失点目。決勝へ進出することはできなかった。

　中央学院は今大会、3年前の優勝校でプリンスリーグ関東2部の日体大柏高を3-1で撃破。存在感を放ったが、体調不良者が出るなど、勝ち続けることができなかった。濱田監督はここから先のステージに行くための課題として、選手層の厚みを挙げる。

「(後から)出てくる選手が上回っていくようなことをしていかないと、やっぱ難しい。いつも、スーパーサブがいないな、とか思いながらやりくりした中で、インフルエンザとかコロナとかそういうのが出ちゃうとか、県リーグも結局それで負けていたりもしているから、層を厚くするっていうことに関しては、ちょっと課題になってきているかなと思っています」。徳島で先発を務めるMF児玉駿斗や東海学園大2年で岡山入りしたFW高橋旺良ら大学を経由してプロ入りしているOBが増えているが、この選手権予選で活躍できる選手もまだまだ増やしていかなければならない。

　試合後、選手と濱田監督、スタッフはこの敗戦から切り替えてプリンスリーグ関東初昇格へ向かうことを確認。チームは現在、千葉県1部リーグで首位・千葉U-18Bと勝ち点1差の2位で、消化試合が1つ少ないという状況だ。

　森川は「自分たちはリーグ戦で今、現状2位で優勝狙える位置にいるんで、しっかりプリンスリーグ昇格っていうのをチームに残せるように、まずは残り4節頑張りたいと思います」。選手権初出場を果たすことはできなかったが、リーグ戦で昇格し、中央学院の歴史を変える。

MF井戸健介は先制点をマーク

10番FW青山咲太が右足を振り抜く

1年生MF森脇快も果敢にゴールを目指したが...

(取材・文　吉田太郎)

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