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鹿島ユース時代の恩師・小笠原満男氏を彷彿…U-20日本代表MF小倉幸成(法政大)がチーム助ける超ミドル弾「気持ちで押し込んだ」

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MF小倉幸成がミドルシュートで同点ゴールを挙げた

[2.23 U20アジア杯準々決勝 U-20日本 1-1(PK4-3) U-20イラン 深セン]

 かつての師を思い起こさせるような、値千金のミドルシュートを決めた。U-20日本代表MF小倉幸成(法政大)は0-1で迎えた前半30分に同点ゴール。「カードとかでチームに迷惑をかけていたなかで、この大事な場面で結果を残せて、自分も少しホッとした部分がある」。そう語る小倉は試合後、感極まって喜びの涙を流した。

 母もスタンドで見守るなか、チームを救ってみせた。負ければU-20ワールドカップ出場への道が断たれる決戦にもかかわらず、開始5分で失点。早い時間で追いつきたい日本だが、攻めあぐねる時間が続いた。「クロスもあまり効果的ではないということで、1本は打とうかなと」。DF梅木怜からパスを受け取ると、迷わずに右足を振り抜いた。

「うまく気持ちで押し込んだ」(小倉)。右足で放ったシュートはゴール前でワンバウンド。相手GKの手をすり抜け、ゴール左ポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。鹿島アントラーズユース時代にテクニカルアドバイザーとして指導を受けた小笠原満男氏を彷彿とさせるミドル。小倉自身は「全然です(笑)。ボテボテシュートです」と謙虚に笑った。

 鹿島ユースでキャプテンを務めた世代屈指のボランチだが、意外にもこれまで代表経験がなかった。昨年3月に初めてU-19日本代表として初招集。船越優蔵監督は「死に物狂いで僕は残ると言ってくれていた」と当時を振り返る。その成長に目を細めていた。

 グループリーグでは全試合で先発したものの、序盤の試合では思うようなプレーができず苦しむ場面もあった。守備の要として君臨しつつ、グループリーグ中に自身の課題として挙げたのは攻撃面だった。「攻撃は得意ではない。引かれた相手に対してできるプレーをもっとシンプルにやることと、なるべく前に選択できるようなプレーはもっとできたんじゃないか」と振り返っていた。短期間で、そしてW杯出場が懸かった大一番で、自らの成長を示すゴールを決めてみせた。

 劣勢でも顔を上げ続ける姿勢は小笠原氏から学んだという。「高校でキャプテンをやっていたとき、自分が下を向いていたら周りはどうするんだと満男さんに教わってきた。今大会は副キャプテンだけど役割は一緒。そういったところでチーム全体に自分がそういう姿を見せればいいと思っている」。苦境に陥ったときこそ人は真価を問われる。その姿勢でゴールを見据え、見事チームを助けることになった。

 PK戦を制した後には安堵の涙を流した。この試合で警告を受けたことで、準決勝は累積警告で出場停止に。仲間に思いを託し、次戦はピッチ外からチームを支えていく。

(取材・文 石川祐介)


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石川祐介
Text by 石川祐介

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