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唯一無二の“大型WB”望月ヘンリー海輝、輝いた武器と悔やんだワンシーン「弱点のない選手に」

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DF望月ヘンリー海輝(町田)

[9.9 国際親善試合 日本 0-2 アメリカ コロンバス]

 敗戦の中でも確かな希望を示した73分間だった。日本代表DF望月ヘンリー海輝(町田)は国際親善試合アメリカ戦(●0-2)に右ウイングバックで先発出場。192cmの長身を活かした空中戦、持ち前のフィジカルを押し出した推進力で数々のチャンスを演出し、W杯出場国に対しても唯一無二の武器を見せつけた。

 昨年9月のサプライズ初招集から丸1年で、初めて欧州組に混じって立った国際Aマッチの舞台。国内組で出場したEAFF E-1選手権を通じて自信を深めてきた23歳にかつてのような気後れはなかった。「緊張はするけど、緊張するのはしょうがないと思って受け入れられている」(望月)。試合開始から積極的に高い位置を取り、前半3分にはCKを獲得すると、同9分にはMF伊東純也のクロスを導き、揺るぎない武器が攻撃の起点となっていた。

「(6日の)メキシコ戦で言ったら(堂安)律くんのようなプレーはできないので、自分の特徴を活かしたプレーとなると高い位置で起点を作ったり、ヘディングで競り合ったり、裏抜けをするというのが一番できることなので、それを意識してプレーしていた」(望月)

 さらにその後は前半16分、伊東のスルーパスから右ポケットを深くえぐり込み、ふわりとしたクロスでFW小川航基のヘディングシュートを導くと、同21分には平行のクロスを右サイドに届けた後、DF長友佑都のクロスにヘディングで合わせる形でファーストシュートを記録。フィニッシュワークに絡む場面が相次いだ。

圧倒的な高さを見せたDF望月ヘンリー海輝

 望月は小川へのクロスについて「届けただけのボールだった。あそこから得点になるかというと、なかなか難しいボールだったので。できることもあったけど、もう一つレベルアップしていけたらと思う」と改善する姿勢も忘れなかったが、「(佐野)海舟くんからのボールで裏に抜けたり、純也くんからのボールで深い位置に切り込めたりというのはあったので、そういう部分は何回かやれたのでそれは良かった」と手応えも深めていた。

 だからこそ、失点につながったワンシーンが悔やまれた。

 前半29分、日本は伊東のトラップが乱れる形でボールを失うと、そのまま右サイドを攻め込まれ、望月が対応。左利きのDFマックス・アーフステンに対し、足を揃えた対応で後手を取った結果、フリーでのクロスを許し、そこからMFアレックス・ゼンデジャスのボレーシュートを叩き込まれた。

「僕が中から行って、相手が左利きだったというのがあったので、中から結構無理な体勢で縦に入ろうとしてシザーズに引っかかって行かれてしまった。コーチとも振り返りをしたけど、そこはもう一個無理に縦には入らずに、普通に中を切って縦はスピード勝負でいつも通りにやれば良かった」

 突きつけられたワンプレーの重み。「中から行っているのにもかかわらず、縦に入ろうとして中途半端に足が揃ってしまったので、割り切って中を切って、縦勝負で相手に縦にバーンと行かせて、足を伸ばして触るほうがベストの選択だったと思う」。何度もそのシーンを悔やんだ望月は「経験の一言で片付けられる問題ではないけどここからのJリーグでも同じようなシーンがあると思う。ここで得たものを活かしていければ」と奮起を誓った。

 後半28分に途中交代を告げられ、役目を終了。手応えも課題も突きつけられた73分間だった。

「やられてしまって言うのもあれだけど、純粋なフィジカル勝負の部分だったらそんなに劣っていなかったと思う。常に自分のストロングで勝てるというほどはないけど、ストロングの部分にある程度自信を持っていきつつ、やられた部分をしっかり振り返って自分のものにして、難しいけど弱点のない選手になっていきたい」

 9か月後に控えるW杯での躍進を見据え、多様な戦い方を模索する森保ジャパン。望月の高さと強さという武器をチームに組み込むトライができた意義は大きい。

 望月自身もその期待に応えるべく、レベルアップに励んでいく構えだ。「9か月後のW杯もあるけど、次の10月、11月に選出されていくこともそこにつながる。そのためにストロングを伸ばしつつ、課題の部分でこいつ成長したなと思わせることが大切だと思う。常に課題に向き合って一歩一歩進んでいけたら」。ここからは再び、優勝争いを繰り広げる町田での日々が始まる。

 来週には初参戦となるAFCチャンピオンズリーグエリートを控え、国際舞台に立つチャンスが広がる。「ACLEで海外でやるのは間違いなく代表という部分にも活きると思うし、代表でやったことがACLEにも活きてくると思う。そこは自分の目指すものを意識しながら、チームにもいい意味で還元しつつ、自分を高めていけるようにやっていきたい」。より逞しくなった姿で、10月のパラグアイ、ブラジルとの南米2連戦に挑む。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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