バルサやR・マドリーでトップデビューの才能たちと雨中の熱闘。U-18日本代表はU-18スペイン代表に一時逆転も、10人の終盤に力尽きる
[12.20 SBSカップ第2節 U-18日本代表 2-4 U-18スペイン代表 藤枝総合]
U-18日本代表、U-18スペイン代表、U-18オーストラリア代表、静岡ユースが総当りのリーグ戦で優勝を争う「2025 SBSカップ国際ユースサッカー」(静岡)は20日に静岡県藤枝市の藤枝総合運動公園サッカー場で第2節を行い、日本はスペインと対戦。2-4で逆転負けし、通算成績は1勝1敗となった。
日本は3-0で勝った静岡ユース戦から先発6人をチェンジ。3-5-2システムのGKは萩裕陽(名古屋U-18/名古屋昇格)で、DFは中野陽斗(神村学園高/いわき内定)、久保遥夢(前橋育英高/名古屋内定)、ゲーム主将の佐藤海宏(鹿島)の3バック。中盤は右WB松本果成(湘南)、左WB木實快斗(北九州)、アンカーに鈴木楓(FC東京U-18/FC東京昇格)が入り、その前方に今井健人(東京Vユース)と中積爲(G大阪ユース/G大阪昇格)。そして、2トップは徳田誉(鹿島)と新川志音(鳥栖U-18/鳥栖昇格)が務めた。


一方のスペインは初戦でオーストラリアに3-0で快勝。すでにバルセロナトップチームで欧州CLデビューを果たしているCBアンドレス・クエンカ(バルセロナB)やともにレアル・マドリーでトップチームデビューをしている大型左SBディエゴ・アグアドとFWダニエル・ヤニェス(ともにレアル・マドリー・カスティージャ)、そしてFWウスマン・ディアロ(ドルトムントB)らが先発し、2連勝を目指した。
40分ハーフの前半5分、日本は敵陣中央で中積がセカンドボールを回収し、スルーパスを送る。徳田がDFと競りながら身体を投げ出して右足シュート。ゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定で先制点とはならない。


すると9分、抜群の強さ、スピードを見せるスペインFWウスマン・ディアロに左サイドを突破される。クロスを通されたものの、久保がFWマネクス・ロサノ(アスレティック・ビルバオB)のシュートをブロック。だが、このこぼれを繋がれ、ダニエル・ヤニェスに押し込まれてしまった。




それでも、日本はすぐに得点を奪い返す。距離感良くボールを繋ぎ、サイドチェンジや今井の飛び出しを交えて反撃。そして12分、右中間で徳田が奪い返して新川に預けると、新川が一つ持ち運んでから左足を振り抜く。見事な一撃を左隅に突き刺し、2試合連続ゴールを記録した。




さらに左ショートコーナーから中積の鋭いクロスがゴール前に入る。そして、16分には左スローインの流れから木實がクロスを上げ、ファーサイドの松本が右足ダイレクトボレーで合わせる。この一撃が左隅のネットに吸い込まれた。




初戦も右クロスから逆サイドの左WB木實が得点していたが、同様の形で再び得点。スコアをひっくり返した。山口智監督は「逆サイドの選手が入ってくるっていうところは求めているところなので、非常に良いゴールだったと思いますし、全員がゴールに対しての意識があるからこそのあのゴールだったんじゃないかなという風には思っています」と頷く。
強い雨の中、強度の高いゲームに。一つ奪いどころになっていた鈴木がボールを回収し、木實や新川、徳田が球際で怯まずにボールを前進させようとする。23分には徳田の展開から右の松本が縦へ仕掛けてクロス。初戦で課題となった「攻撃でもっと相手を見ること」、また、「守備でもうちょっと大胆なポジションからスタートすること」について、選手たちはよく表現しようとしていた。
だが、ボールをテンポ良く繋いでも、判断がわずかに遅れると相手にボールをつつかれてロスト。雨中のピッチの影響もあったか、ミスも増えてしまう。また、前からの連続した守備でボールを奪いかけながらスペインのパスワークにいなされてしまうなど、守備の時間が増加。31分、スペインはディエゴ・アグアドの直接FKのこぼれをCBマリオ・リバス(レアル・マドリー・カスティージャ)が押し込み、2-2の同点に追いついた。




リードを守ることができなかったが、日本にとっては世界トップクラスのチーム、タレント相手に貴重な経験。松本は「本当に1個1個の技術だったり、身体能力、スピード感っていうのは、同年代では味わえないようなものをこういう場で、肌で感じられたのは本当にいい経験だと思う」と語る。
日本は前半終盤以降、「スペインというチームのスタイルをいかに発揮するかということを考えていました」(フランシスコ・ガジャルド・レオン監督)というスペインにボールを保持され、なかなか前進することができなくなった。その中で中野や久保、佐藤がゴール前で粘り強く守備を続ける。


後半11分には今井とFW大西利都(名古屋U-18)を交代し、新川を2列目に下げた。だが、その直後、鈴木が相手のドリブル突破を阻止するためにスライディングタックルした際に2枚目のイエローカードを受けて退場。10人での戦いを強いられてしまう。
日本は松本、久保、中野、佐藤の4バックへ移行。4-4-1で守備ブロックを作り、相手の攻撃に対応する。16分には新川と中積をともにボランチのMF和田直哉(浦和ユース)とMF福島和毅(神村学園高/福岡内定)へスイッチ。1トップとなった徳田が献身的に走り続け、自陣ゴール前ではグラウンダーのクロスをGK萩や久保が身体を投げ出して阻止する。
スペインは左利きのCBアンドレス・クエンカらが日本を押し込んでボールを繋ぎ、左SBディエゴ・アグアドが内側を狙ってドリブルで攻め上がってくる。日本は30分、好守を見せた際に足を負傷していた萩と徳田に代え、GK小川煌(広島ユース/広島昇格)とFW尾谷ディヴァインチネドゥ(FC東京U-18/FC東京昇格)を投入。シュートまで持ち込むことはできなかったものの、相手に圧倒的にボールを保持される中で2-2を維持し続ける。そして、前からプレッシャーをかけた木實が相手GKからボールを奪って会場を沸かせるシーンもあった。


39分には相手ループシュートをDF佐藤がスーパークリア。だが、40分、サイドから崩され、スペインFWホセ・アンヘル・ガイタン(ビジャレアルB)に右足ダイレクトで押し込まれてしまう。直後に佐藤の攻撃参加から木實が左足を振り抜くも、前へ出た背後を取られる形で再びホセ・ガイタンに決められて2-4。そのまま敗れ、山口監督体制初黒星を喫することとなった。








スペインのフランシスコ・ガジャルド・レオン監督は「後半になって相手が1人減ったことによって、より自分たちのペースでサッカーはできたと思いますし、優位に試合を運べたのかなと思います。相手が1人減ったことによって、逆にゴールを決めるのは難しい状況になったと思います。だけど、チームが落ち着いてボールをサイドに振りながら相手を落ち着いて揺さぶって、最終的にはゴールを取れたと思うので、チームには非常に満足しています」と語った。
一方、日本の山口監督は「先に点を取られましたけれども、落ち込むことなく逆転までいけたと思いますし、もちろん課題はあります。それは、最後のところであったり、点の取られ方ではあるんですけれども、スペイン代表に対して、自分たちの持っているものは出せたんじゃないかなと捉えたいというゲームでした」と評価する。
その上で、「結果のところは出してないので、そこは追求するためにも、反省と成果っていうのをしっかりと分析をして、選手とともに1日しかないですけれども、明日に向けてやっていきたいなと。凄くいい戦いをしたプラス、悔しさの残るゲームになったのかなという風に思います」と語った。
日本は21日の最終節でオーストラリアと対戦。なお、試合会場は「今後も降り続く雨の影響や出場選手たちの安全確保、そして、より質の高いプレーを披露できる環境を最優先し、すでに各チームが試合を行い、状態を把握できている」という理由によって、草薙総合運動場陸上競技場から藤枝総合運動公園サッカー場へ変更されて実施されることになった。


(取材・文 吉田太郎)
U-18日本代表、U-18スペイン代表、U-18オーストラリア代表、静岡ユースが総当りのリーグ戦で優勝を争う「2025 SBSカップ国際ユースサッカー」(静岡)は20日に静岡県藤枝市の藤枝総合運動公園サッカー場で第2節を行い、日本はスペインと対戦。2-4で逆転負けし、通算成績は1勝1敗となった。
日本は3-0で勝った静岡ユース戦から先発6人をチェンジ。3-5-2システムのGKは萩裕陽(名古屋U-18/名古屋昇格)で、DFは中野陽斗(神村学園高/いわき内定)、久保遥夢(前橋育英高/名古屋内定)、ゲーム主将の佐藤海宏(鹿島)の3バック。中盤は右WB松本果成(湘南)、左WB木實快斗(北九州)、アンカーに鈴木楓(FC東京U-18/FC東京昇格)が入り、その前方に今井健人(東京Vユース)と中積爲(G大阪ユース/G大阪昇格)。そして、2トップは徳田誉(鹿島)と新川志音(鳥栖U-18/鳥栖昇格)が務めた。


U-18日本代表の先発メンバー
一方のスペインは初戦でオーストラリアに3-0で快勝。すでにバルセロナトップチームで欧州CLデビューを果たしているCBアンドレス・クエンカ(バルセロナB)やともにレアル・マドリーでトップチームデビューをしている大型左SBディエゴ・アグアドとFWダニエル・ヤニェス(ともにレアル・マドリー・カスティージャ)、そしてFWウスマン・ディアロ(ドルトムントB)らが先発し、2連勝を目指した。
40分ハーフの前半5分、日本は敵陣中央で中積がセカンドボールを回収し、スルーパスを送る。徳田がDFと競りながら身体を投げ出して右足シュート。ゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定で先制点とはならない。


前半5分、日本はFW徳田誉(鹿島)が右足でネットを揺らすも、オフサイドの判定
すると9分、抜群の強さ、スピードを見せるスペインFWウスマン・ディアロに左サイドを突破される。クロスを通されたものの、久保がFWマネクス・ロサノ(アスレティック・ビルバオB)のシュートをブロック。だが、このこぼれを繋がれ、ダニエル・ヤニェスに押し込まれてしまった。


前半9分、スペインFWダニエル・ヤニェス・バルラ(レアル・マドリー・カスティージャ)が先制ゴール


スペインの選手たちが喜びを爆発させる
それでも、日本はすぐに得点を奪い返す。距離感良くボールを繋ぎ、サイドチェンジや今井の飛び出しを交えて反撃。そして12分、右中間で徳田が奪い返して新川に預けると、新川が一つ持ち運んでから左足を振り抜く。見事な一撃を左隅に突き刺し、2試合連続ゴールを記録した。


前半12分、日本はFW新川志音(鳥栖U-18)が左足ミドルを左隅に突き刺し、同点


新川は2戦3発の活躍
さらに左ショートコーナーから中積の鋭いクロスがゴール前に入る。そして、16分には左スローインの流れから木實がクロスを上げ、ファーサイドの松本が右足ダイレクトボレーで合わせる。この一撃が左隅のネットに吸い込まれた。


前半15分、日本は右WB松本果成(湘南)が右足ボレーを決め、勝ち越し


湘南の恩師だった山口智監督とハイタッチ
初戦も右クロスから逆サイドの左WB木實が得点していたが、同様の形で再び得点。スコアをひっくり返した。山口智監督は「逆サイドの選手が入ってくるっていうところは求めているところなので、非常に良いゴールだったと思いますし、全員がゴールに対しての意識があるからこそのあのゴールだったんじゃないかなという風には思っています」と頷く。
強い雨の中、強度の高いゲームに。一つ奪いどころになっていた鈴木がボールを回収し、木實や新川、徳田が球際で怯まずにボールを前進させようとする。23分には徳田の展開から右の松本が縦へ仕掛けてクロス。初戦で課題となった「攻撃でもっと相手を見ること」、また、「守備でもうちょっと大胆なポジションからスタートすること」について、選手たちはよく表現しようとしていた。
だが、ボールをテンポ良く繋いでも、判断がわずかに遅れると相手にボールをつつかれてロスト。雨中のピッチの影響もあったか、ミスも増えてしまう。また、前からの連続した守備でボールを奪いかけながらスペインのパスワークにいなされてしまうなど、守備の時間が増加。31分、スペインはディエゴ・アグアドの直接FKのこぼれをCBマリオ・リバス(レアル・マドリー・カスティージャ)が押し込み、2-2の同点に追いついた。


前半31分、スペインは左SBディエゴ・アグアド(レアル・マドリー・カスティージャ)が左足FK


こぼれをCBマリオ・リバス(レアル・マドリー・カスティージャ)が決めて2-2
リードを守ることができなかったが、日本にとっては世界トップクラスのチーム、タレント相手に貴重な経験。松本は「本当に1個1個の技術だったり、身体能力、スピード感っていうのは、同年代では味わえないようなものをこういう場で、肌で感じられたのは本当にいい経験だと思う」と語る。
日本は前半終盤以降、「スペインというチームのスタイルをいかに発揮するかということを考えていました」(フランシスコ・ガジャルド・レオン監督)というスペインにボールを保持され、なかなか前進することができなくなった。その中で中野や久保、佐藤がゴール前で粘り強く守備を続ける。


日本はMF鈴木楓(FC東京U-18)が強度の高い守備
後半11分には今井とFW大西利都(名古屋U-18)を交代し、新川を2列目に下げた。だが、その直後、鈴木が相手のドリブル突破を阻止するためにスライディングタックルした際に2枚目のイエローカードを受けて退場。10人での戦いを強いられてしまう。
日本は松本、久保、中野、佐藤の4バックへ移行。4-4-1で守備ブロックを作り、相手の攻撃に対応する。16分には新川と中積をともにボランチのMF和田直哉(浦和ユース)とMF福島和毅(神村学園高/福岡内定)へスイッチ。1トップとなった徳田が献身的に走り続け、自陣ゴール前ではグラウンダーのクロスをGK萩や久保が身体を投げ出して阻止する。
スペインは左利きのCBアンドレス・クエンカらが日本を押し込んでボールを繋ぎ、左SBディエゴ・アグアドが内側を狙ってドリブルで攻め上がってくる。日本は30分、好守を見せた際に足を負傷していた萩と徳田に代え、GK小川煌(広島ユース/広島昇格)とFW尾谷ディヴァインチネドゥ(FC東京U-18/FC東京昇格)を投入。シュートまで持ち込むことはできなかったものの、相手に圧倒的にボールを保持される中で2-2を維持し続ける。そして、前からプレッシャーをかけた木實が相手GKからボールを奪って会場を沸かせるシーンもあった。


スペインのCBアンドレス・クエンカ・セフード(バルセロナB)は1年前に欧州CLデビューを果たしている注目株
39分には相手ループシュートをDF佐藤がスーパークリア。だが、40分、サイドから崩され、スペインFWホセ・アンヘル・ガイタン(ビジャレアルB)に右足ダイレクトで押し込まれてしまう。直後に佐藤の攻撃参加から木實が左足を振り抜くも、前へ出た背後を取られる形で再びホセ・ガイタンに決められて2-4。そのまま敗れ、山口監督体制初黒星を喫することとなった。


日本はDF佐藤海宏(鹿島)のスーパークリアなどで食い下がったが……


40分ハーフの後半40分、スペインFWホセ・アンヘル・ガイタン(ビジャレアルB)が勝ち越しゴール


「チームを勢いづけたかった」というFWが決勝点


スペインFWホセ・アンヘル・ガイタン(ビジャレアルB)は後半40分+4分にも左足でゴール
スペインのフランシスコ・ガジャルド・レオン監督は「後半になって相手が1人減ったことによって、より自分たちのペースでサッカーはできたと思いますし、優位に試合を運べたのかなと思います。相手が1人減ったことによって、逆にゴールを決めるのは難しい状況になったと思います。だけど、チームが落ち着いてボールをサイドに振りながら相手を落ち着いて揺さぶって、最終的にはゴールを取れたと思うので、チームには非常に満足しています」と語った。
一方、日本の山口監督は「先に点を取られましたけれども、落ち込むことなく逆転までいけたと思いますし、もちろん課題はあります。それは、最後のところであったり、点の取られ方ではあるんですけれども、スペイン代表に対して、自分たちの持っているものは出せたんじゃないかなと捉えたいというゲームでした」と評価する。
その上で、「結果のところは出してないので、そこは追求するためにも、反省と成果っていうのをしっかりと分析をして、選手とともに1日しかないですけれども、明日に向けてやっていきたいなと。凄くいい戦いをしたプラス、悔しさの残るゲームになったのかなという風に思います」と語った。
日本は21日の最終節でオーストラリアと対戦。なお、試合会場は「今後も降り続く雨の影響や出場選手たちの安全確保、そして、より質の高いプレーを披露できる環境を最優先し、すでに各チームが試合を行い、状態を把握できている」という理由によって、草薙総合運動場陸上競技場から藤枝総合運動公園サッカー場へ変更されて実施されることになった。


日本は2-4で敗れ、1勝1敗となった
(取材・文 吉田太郎)



