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仙台でベテラン主将、広島で指揮官として…佐藤寿人氏が見てきた森保監督「言葉で引っ張るより、背中を見せるタイプだった」

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佐藤寿人

 元日本代表FWの佐藤寿人氏がフットボールイベント運営シミュレーション『Copa City』の先行試遊イベントに出席し、北中米ワールドカップについて語った。森保一監督とは、ベガルタ仙台で選手同士としてプレーし、さらにサンフレッチェ広島では監督と選手としてともに戦い、3度のJリーグ優勝も経験。長年関係を築いてきた佐藤氏は、森保監督の人柄やチーム作り、今回の日本代表メンバーについて、多くのエピソードを交えながら語った。

 15日に発表されたW杯メンバー26人について、佐藤氏は「個人的には少し前の選手が多いなという驚きはありました」と率直な印象を口にした。さらに「ボランチの枚数が少ない部分や、CB陣の怪我がちなところは少し不安」としつつ、「ただ前線の選手が多いということは、攻撃だけでなく守備の負担も求められると思う。自分はFW出身なので、ストライカーが多く招集されているのは楽しみですし、W杯の舞台で新たなスコアラーを見たい」と期待を寄せた。

 今回のメンバー発表では、代表キャップ数が少ない若手FW後藤啓介(シントトロイデン)、FW塩貝健人(ボルフスブルク)らの選出も話題となった。佐藤氏は「個人的には少しサプライズだった」と明かし、「これまでの代表選考は、積み上げを重視していた印象があった。代表キャップが少ない選手が、W杯直前のタイミングで短期間のうちにメンバー入りしたのは、あまり記憶にない」と分析。その一方で、「両選手とも直近ではしっかりパフォーマンスを出しているし、若くてコンディションも良い。状況によって使いやすい選手になると思う」と評価した。

W杯メンバー発表会見に臨んだ森保一監督

 話題は、森保監督が公の場で明確に「W杯優勝」を掲げていることにも及んだ。佐藤氏は「正直、少し意外だった」と率直に語る。

「広島で一緒に戦っていたときは、優勝という言葉を自分から強く発信するタイプではなかった。理想や高い目標は頭の中に持っている人だと思うんですけど、どちらかというとリアリスト。目の前の試合を積み重ねていくことを大事にする監督さんだったので」

 それでも近年の日本代表の変化を感じているという。

「今の代表は、選手たち自身が『W杯優勝』を明確に口にしている。それは外向けだけじゃなく、チームの中でも本気で求めていることだと思う。そうなると、組織のトップである監督が、その言葉を発信しないといけないという思いもあったのかなと思います」。さらに佐藤氏は「ここ数試合の代表チームの手応えが、“優勝”という言葉につながっているのでは」とも語った。

W杯メンバー発表会見に臨んだ森保一監督

 メンバー発表会見で森保監督が涙を浮かべた場面についても、佐藤氏は強く印象に残っていたようだ。

「僕自身、代表メンバー発表で名前を呼ばれなかった経験が何度もある側なので(笑)。涙を流してくださる監督さんはいなかったので羨ましい」と冗談交じりに笑わせつつ、選出外の選手に思いを馳せた指揮官を慮る。「でも森保監督は、昔からそういう人なんです」と続けた。

広島時代の森保一監督と佐藤寿人

 佐藤氏によれば、森保監督は広島の指揮官1年目の2012年、開幕戦メンバーを選んだ際にも、選手の前で涙を流していたという。

「本来であれば全員を選びたい、という思いを涙ながらに話していた。だから今回の姿を見ても、何も変わっていないなと思いました。選ばれた選手も、選ばれなかった選手も、どちらもリスペクトしているからこそ、ああいう形になったのかなと」

 また、「そういう積み重ねが、今の代表の信頼関係につながっている」とも説明した。

「カタールW杯後も、すべてが順調だったわけではなく、アジア杯では悔しい結果もあった。でも、そういう難しい時期も共有しながら代表活動を積み重ねてきた。だからこそ、監督と選手、そして選ばれなかった選手も含めた信頼関係の強さを感じますね」

選手時代の佐藤寿人氏(前右2)、森保一監督(前最右)

 佐藤氏は2003年に期限付き移籍をした仙台で、35歳だったベテラン選手の森保監督とともにピッチに立った。そのシーズンを最後に森保監督は現役を退く。キャプテンとしてチームを支え、ほぼフル稼働を続けていたという。

「個人的には、まだやれると思って見ていました。でも年齢的な部分や、将来的に指導者になる思いもあったのかなと思います」

 現役時代の森保監督については、「言葉で引っ張るタイプというより、本当にプレーで背中を見せるタイプだった」と表現。「あまり多くを語る人ではないけど、若手を食事に誘ったり、周囲をよく見て気配りしてくれる人だった。監督になってからも、その部分は変わっていない。本当に裏表のない人です」と語った。

 今回、W杯メンバーに5大会連続で選出された長友佑都(FC東京)は、森保監督とはまた違うベテラン像を突き詰めている。佐藤氏は、長友の立ち振る舞いに触れる。「彼はチームの潤滑油としてだけじゃなく、本気でピッチに立つために準備していると思う」と語り、「代表に入ってきた頃から、本当に成長意欲が高かった」と回想。当時の日本代表で中心選手だった中村俊輔氏の部屋を自ら訪れ、「いろんなことを吸収しようとしていた姿が印象的だった」と明かした。

「5大会連続でW杯に選ばれるだけでも、本当にすごいこと。でも彼は“出場”ではなく、“活躍”を目指していると思う。周りから『無理だろ』と言われることがあっても、自分自身がそれを信じて努力している姿を見ているので、僕はリスペクトしかないです」

 さらに、「カタールW杯では“ブラボー”という流行語も作った。今回も長友らしさが見えるシーンがあればいい」と期待。「同世代で頑張る選手たちにとっても、大きな励みになっていると思う」と話した。

 最後には、ストライカーの系譜を継ぐFW上田綺世への期待も口にした。「オフ・ザ・ボールの動きの質、シュート技術、最後の最後でシュートコースを変えられる足首の使い方は、代表でもトップクラス」と絶賛。「エールディビジで結果を出し、シーズン終盤に状態を上げてW杯へ入れるのは大きい。ポストワークだけじゃなく、ボックス内で仕事ができる選手。W杯の舞台でも、トップレベルのフィニッシュワークを見せてほしい」とエールを送った。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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