長友佑都に響いたベンチからの叫び…報われた“出番なし”20試合の献身「彼らに届いていたんだなと」
レガシーパッチを誇るDF
[6.25 W杯F組第3節 日本 1-1 スウェーデン ダラス]
1-1で迎えた後半30分、日本代表の背番号5がベンチの前に姿を見せると、真っ青に染まった巨大スタジアムの一角からとてつもない大歓声が巻き起こった。DF長友佑都(FC東京)の国際Aマッチ146試合目は、通算最多のW杯通算16試合目。首位通過の可能性も3位転落の可能性も残る緊迫の終盤戦、5度目のW杯に辿り着いた39歳の大ベテランに紛れもない「戦力」としてのクローザー起用が巡ってきた。
ベンチから投入の意向が伝えられたのは1-1に追いつかれた後。チームの危機を救える場面に燃えないはずがなかった。
「もう興奮して覚えてないですね。来たか、と。ついに来たか、と。4年間このためにやってきたから」。カタールW杯後の1年以上の空白期間。代表復帰後の11試合連続ベンチ外。今年3月のハムストリング負傷離脱。“盛り上げ枠”とも揶揄されたW杯メンバー入り。全ての苦労が報われ、そして試される瞬間だった。
燃え盛る39歳に負けじとベンチのチームメートも燃えていた。「もう魂の叫びかってくらいに後輩たちが後押ししてくれて。エグいくらいのサポーターがいましたよ(笑)」。その時、長友の脳裏に浮かんでいたのは24年3月の代表復帰から今大会までの間、出番がないながらも献身的にベンチやスタンドからチームを鼓舞してきた計20試合に込めた思いだった。
「僕が思っていたことは間違ってなかったんだなと。ベンチから僕も『出ている選手に勇気を与えたい』と思って、『絶対に孤独にさせない』と思ってましたけど、その気持ちが彼らに届いていたんだなと。彼らがそれを逆に体現してくれたんで。こういうことだったんだなと……」
仲間の思いを背負った長友にブランクも試合勘も関係なかった。任されたのは圧倒的な個人技で同点ゴールを叩き込んできたFWアンソニー・エランガ封じ。「うちにも速い選手がいるんでね。練習でのマッチアップもいつも(伊東)純也とか、(堂安)律も、塩貝(健人)もそうだし、ああいう奴らとやってきたので全然ビビらなかったですね」。意気揚々と相手のキーマンに食らいついた。
何より、託してくれた森保一監督の信頼を裏切るわけにはいかなかった。「まずは森保さんが信頼してくれているんだなと嬉しかったですね。負けちゃダメな試合で、クローズしなきゃいけない。(前の試合で)オランダ相手にもブチ抜いていたエランガがサイドにいるということで非常に難しい中で投入されましたけど、まずは森保さんの信頼に感謝です」。その期待に応えた長友はエランガの勢いを削ぎ、「自分ならやれると思って準備してきていた」という姿を表現してみせた。
目立った働きは決して多くなかった。それでも相手の勢いを確かに削った約20分間。長友は自らのパフォーマンスの秘訣について「経験ですね」と胸を張った。
2008年のA代表デビューから19年目。「W杯でしか経験できないものもあるし、代表での19年かな。その経験もある。落ち着いてプレーできたと思う」。その右肩には世界で6人にしか着けることが許されないレガシーパッチ。誇りを背負ってプレーした20分間は史上初の決勝トーナメント初戦突破に向けて大国ブラジルに挑むチームにとっても、想像以上に価値の大きな時間だった。
苦しい時期も後輩たちを支え続け、後輩たちに支えられる立場も知った日本のレジェンドは高らかに言い切った。「これから僕がどうなるか、試合に出られるのか、ベンチにいるのかは分からないけど、またより一層彼らを後押しするぞという気持ちにさせてくれた。また結束力が高まると思いますね。心のつながり、魂のつながりを彼らと感じられました」。決戦は4日後。厳しい戦いなのは間違いない。しかし、充実した準備期間にするための機運は確かに高まった。
(取材・文 竹内達也)
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1-1で迎えた後半30分、日本代表の背番号5がベンチの前に姿を見せると、真っ青に染まった巨大スタジアムの一角からとてつもない大歓声が巻き起こった。DF長友佑都(FC東京)の国際Aマッチ146試合目は、通算最多のW杯通算16試合目。首位通過の可能性も3位転落の可能性も残る緊迫の終盤戦、5度目のW杯に辿り着いた39歳の大ベテランに紛れもない「戦力」としてのクローザー起用が巡ってきた。
ベンチから投入の意向が伝えられたのは1-1に追いつかれた後。チームの危機を救える場面に燃えないはずがなかった。
「もう興奮して覚えてないですね。来たか、と。ついに来たか、と。4年間このためにやってきたから」。カタールW杯後の1年以上の空白期間。代表復帰後の11試合連続ベンチ外。今年3月のハムストリング負傷離脱。“盛り上げ枠”とも揶揄されたW杯メンバー入り。全ての苦労が報われ、そして試される瞬間だった。
燃え盛る39歳に負けじとベンチのチームメートも燃えていた。「もう魂の叫びかってくらいに後輩たちが後押ししてくれて。エグいくらいのサポーターがいましたよ(笑)」。その時、長友の脳裏に浮かんでいたのは24年3月の代表復帰から今大会までの間、出番がないながらも献身的にベンチやスタンドからチームを鼓舞してきた計20試合に込めた思いだった。
「僕が思っていたことは間違ってなかったんだなと。ベンチから僕も『出ている選手に勇気を与えたい』と思って、『絶対に孤独にさせない』と思ってましたけど、その気持ちが彼らに届いていたんだなと。彼らがそれを逆に体現してくれたんで。こういうことだったんだなと……」
仲間の思いを背負った長友にブランクも試合勘も関係なかった。任されたのは圧倒的な個人技で同点ゴールを叩き込んできたFWアンソニー・エランガ封じ。「うちにも速い選手がいるんでね。練習でのマッチアップもいつも(伊東)純也とか、(堂安)律も、塩貝(健人)もそうだし、ああいう奴らとやってきたので全然ビビらなかったですね」。意気揚々と相手のキーマンに食らいついた。
何より、託してくれた森保一監督の信頼を裏切るわけにはいかなかった。「まずは森保さんが信頼してくれているんだなと嬉しかったですね。負けちゃダメな試合で、クローズしなきゃいけない。(前の試合で)オランダ相手にもブチ抜いていたエランガがサイドにいるということで非常に難しい中で投入されましたけど、まずは森保さんの信頼に感謝です」。その期待に応えた長友はエランガの勢いを削ぎ、「自分ならやれると思って準備してきていた」という姿を表現してみせた。
目立った働きは決して多くなかった。それでも相手の勢いを確かに削った約20分間。長友は自らのパフォーマンスの秘訣について「経験ですね」と胸を張った。
2008年のA代表デビューから19年目。「W杯でしか経験できないものもあるし、代表での19年かな。その経験もある。落ち着いてプレーできたと思う」。その右肩には世界で6人にしか着けることが許されないレガシーパッチ。誇りを背負ってプレーした20分間は史上初の決勝トーナメント初戦突破に向けて大国ブラジルに挑むチームにとっても、想像以上に価値の大きな時間だった。
苦しい時期も後輩たちを支え続け、後輩たちに支えられる立場も知った日本のレジェンドは高らかに言い切った。「これから僕がどうなるか、試合に出られるのか、ベンチにいるのかは分からないけど、またより一層彼らを後押しするぞという気持ちにさせてくれた。また結束力が高まると思いますね。心のつながり、魂のつながりを彼らと感じられました」。決戦は4日後。厳しい戦いなのは間違いない。しかし、充実した準備期間にするための機運は確かに高まった。
(取材・文 竹内達也)
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