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アクチュアル・プレーイングタイム増加へ…JFA審判委が現役PRとともに2025年判定スタンダードを説明

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現役のプロフェッショナルレフェリーも登場

 日本サッカー協会(JFA)審判委員会は6日にメディア向けレフェリーブリーフィングを開催し、2025シーズンのJリーグにおけるレフェリングスタンダードを説明した。判定面での大きな変更はないが、昨季のJ1で52分となったアクチュアル・プレーイングタイム(インプレーの時間)の増加を目指すとした。

 JFA審判委は今季のテーマとして「試合の魅力を高めるゲームコントロール」を掲げた。その中で改善目標の一つとするアクチュアル・プレーイングタイムはイングランドのプレミアリーグと比較して6分ほど短くなっており、佐藤隆治JFA審判マネジャーは「実際にサッカーをやっている時間を長くすることが、試合の魅力とかということに繋がっていく」と改善に意欲を示す。

 野々村芳和Jリーグチェアマンや宮本恒靖JFA会長などもアクチュアル・プレーイングタイムの増加を求めているといい、佐藤氏は「もちろん選手や場合によってはチームスタッフと協力してやっていかないと時間が伸びないことも当然ありますが、レフェリー側だけの改善で伸ばすことができると考えている」と力を込め、CK時のポジション取りに対する過剰な注意などは減らしていく方針を述べた。

 新シーズンを迎えるにあたり、大きな判定基準の変更はない。レフェリーブリーフィングではプロフェッショナルレフェリー(PR)の木村博之主審、御厨貴文主審、西橋勲副審が現場の意見やレフェリング時の考えなどを話しながら、「選手生命を脅かすチャレンジ」「ハンドの反則」「オフサイドのインパクト」などの説明が行われた。

「選手生命を脅かすチャレンジ」については、たとえ守備側の選手がボールに触れていた場合でも、接触の勢いや接触部位などによってレッドカードの対象になる場合があると示された。木村主審は「フィールド上で特にどこがどこに接触したかの見極めというのは難しい場面があります」とした上で、「その中で我々はファウルが起こる可能性を予測しなければいけないです。アプローチする選手がどのような状況でボールにチャレンジしにいこうとしているのか、ボールがどこにあるのか、どちらの方向からいくのか、そういった色々な要素を把握した上で『このようなコンタクトが起こる』と予測をしながら(実際に見て)判定するように努力しています」と述べた。

「ハンドの反則」についてはシュートやクロスボールに対して手や腕が広がっていた場合、反則になるリスクが高まることが説明された。国内外でも議論を呼ぶ現在の解釈について、元Jリーガーの御厨主審は「仕方ないんじゃないかと個人的に思うところもありますけども、昨今の競技規則や(国際的な)流れからすると取らなきゃいけないという葛藤があったりします」と選手目線も踏まえて意見。その上で手に当たった瞬間だけで判断するのではなく、どういった流れで当たったのかなどを考慮しているとした。

 またハンドの反則にならない例として「自身の意図的なプレーをしたボールに当たったとき」と「明らかに軌道が変わったとき」が示された。JFA審判委は明らかに軌道が変わったときの例として、J1第31節京都サンガF.C.対ガンバ大阪の後半アディショナルタイムにG大阪のPKが取り消された場面を紹介。クロスを上げる選手に対して2人の守備側選手が連なるようにスライディングでブロックを試みたところ、ボールは奥のDFから跳ね返って手前のDFに戻る形で動き、その手前の選手の高く上がっていた腕に直撃した。これはゴール前へ向かったボールが真後ろでタッチライン側へと軌道が変わる「予期しない」状況のため、ノーハンドとなる。


「オフサイドのインパクト」については味方のシュート時にオフサイドポジションだった選手を巡って、その選手がボールに触れていない場合でもオフサイドが成立するかといったシーンが説明された。オフサイドポジションにいるだけでは反則にならず、GKとの距離やボールとの距離、ボールをプレーしようとする明白な行動の有無など主観的な要素をもとに判定が下される。様々な考慮事項がある中で、西橋副審は主審と副審でそれぞれ判断しやすい点が異なることを示し、無線を通した主審とのコミュニケーションを経て最終判定に至っていることを語った。

 なお今回のブリーフィングでは、アディショナルタイム中に交代などで時間が空費された場合の考え方が改めて説明された。佐藤JFA審判マネジャーは「(たとえば)アディショナルタイム4分というのは、あくまでもプレーを4分間保証しますよということ」と話し、アディショナルタイム中に時間の空費があった場合は試合時間が延びる場合があることを強調した。


 昨季の途中から脳震盪による交代で導入された「使用すると相手チームに通常の交代枠と交代回数が1つずつ追加」の方式に関しては、JFA審判委がQ&A形式でルールを説明。相手が脳震盪による交代を行った場合に付与される追加交代枠と回数は、通常の交代枠などが残っている場合でも使用できることなどが示された。


 JFA審判委メンバーやプロフェッショナルレフェリーはプレシーズンキャンプ期間中にJ1クラブなどを回り、今季のレフェリングスタンダードを説明。佐藤JFAマネジャーは「講習会によってはポジティブな意味で(時間を延長して)ディスカッションを(するクラブもあった)。ネガティブな『判定が…』というより、どういうふうに解釈するのかというところをキャッチボールできたと思っています。チームやクラブからも好意的なコメントをいただいています」と振り返った。

(取材・文 加藤直岐)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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