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大卒4年目のJ1初先発も悔い残した新潟DF森昂大、敗戦に誓った奮起「この45分間を無駄にしないように」

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J1初先発のDF森昂大

[3.15 J1第6節 町田 1-0 新潟 Gスタ]

 急造布陣の3-4-2-1でJ1初先発を飾ったアルビレックス新潟DF森昂大だったが、前半45分間限りでの途中交代というほろ苦い結果に終わった。チームは開幕6試合で未だに勝利なし。「この45分間を無駄にしないように」。早くも通算10失点に達した課題の守備を改善させるべく、トレーニングから着実に信頼を高めていくしかない。

 新潟はこの日、ここまで開幕全5試合に先発していたDF稲村隼翔が負傷欠場。今季から新たに就任した樹森大介監督は稲村の状態も踏まえ、町田対策の3バック布陣を取り入れる決断をし、同じく全試合先発のDF舞行龍ジェームズの脇を固める人選として、左CBに森、右CBにDFジェイソン・ゲリアといった今季新加入の2人を抜擢した。

 創造学園高・びわこ成蹊スポーツ大出身でプロ4年目の森は今季、J2通算70試合に出場した徳島から新潟に移籍し、前節・東京V戦(△2-2)の後半41分からJ1デビューを飾ったばかり。この日は初先発にして不慣れなポジションでの起用だったこともあり、まずは「3枚の左のスタートで僕自身としても初だったし、あまり難しいことをせずに攻撃も守備も自分のできることをやろうという気持ちで」ピッチに立った。

 それでも試合が始まると、チーム全体が町田のプレッシングに屈し、“できること”を出せる機会は限られていた。森がオープンにボールを持てる場面はあったものの、持ち味の縦パスを入れた途端に町田のマンツーマン守備にのみ込まれ、多くの選手が自陣でのボールロストを連発。しばらくは相手のフィニッシュの精度不足に助けられる場面が続いたが、前半25分にMF相馬勇紀のクロスをFW西村拓真に沈められ、ビハインドに追い込まれた。

 森が失点シーンで悔やんだのは、ゴール前で西村をフリーにさせてしまった対応だった。隣の舞行龍はニアサイドでのクロスブロックに向かっており、続いてスライドする森は西村を視野に入れつつ、背後のFWオ・セフンもケアしていたが、結果的に相馬のクロスが舞行龍の頭上を超え、西村のヘディングを許す形に。森は「映像を見たら(新井)泰貴くんがオ・セフン選手のところにマークが来ていたので、マンツーマンでいかないと行けなかった」と反省した。

 クロスからの失点は、今季の新潟に頻発するパターンでもある。この点についてはすでにチーム内でもディスカッションが行われているようで、森は「人に対して全然行けず、フリーで打たれているシーンが多いので、マンツーマンでついていくくらいの感じでやらないといけない。そこは自分の責任でもあるし、チームとしても詰めていかないといけない」と改善を誓った。

 さらに森は失点シーンの守備対応に加え、この失点に至る悪い流れにつながったビルドアップにも課題を見出した。

「前半に関しては(選手間の)距離感が遠かった。その中で相手はほぼマンツーマンで来ている状態で、距離感が遠いとパスの距離も長くなるし、その間に潰されたりする。後ろと前の距離感が自分たちを苦しめたと思う」

 一定の距離感を保つことによって相手の布陣を間延びさせることもできることから、「なるべく遠いところを見て、優先的に出すようにしたかった」という意識も持っていた森だが、チーム全体のミスが続いたのを受け、徐々に近場の味方に預けてリズムを作る選択にシフト。それでもパスワークは機能せず、「距離感が遠い感覚がある中で“近く近く”になって、それでもリズムを作れればよかったけど、相手のプレスも強くてリズムを作れなかった。自分の縦パスであったり、良いところはなかなか出せなかった」と悔やむしかなかった。

 もっとも、こうした課題はカテゴリの異なるリーグでプレーすれば出てくるもの。個人のレベルを上げていくことは大前提だが、それと並行させて味方との意思疎通を深めることで乗り越えていくしかない。

「相手のスタイルもあるし、そこに対して自分たちの立ち位置をもっと細かく変えていかないといけない。今日はいてほしい場所にいなかったりすることもあったので、それを自分が前の選手を動かして、練習から細かく積み上げていかないといけない。それ(の必要性)を感じられたことをポジティブに捉えている」

「今日は初めてだったので自分の味方の選手をよく見ながら、探り探りやっていた部分もあった。自分主導で人を動かしながらやれればもっと良さも出てくると思う。そこは練習から見せていかないといけない」

 試合後、樹森監督も「確実に経験値は大切になってくると思うが、うちにはベテラン選手も多いので、彼らのサポートによって自信を持ってプレーできるようになると思っている。そこは1試合で評価されるわけではないので、しっかり経験値を積む上で良くなってくると思う」と継続起用を示唆。練習から積み上げていくことが大事になりそうだ。

 長いシーズンを戦うにあたって問われるのは、苦境からの奮起。「この45分間を無駄にしないように。これをいま経験できたのは個人的には良いことだと思っている。ここからまた練習から競争が始まるので、チームとして良い結果を出せるように、そして個人としてのレベルを上げられるようにやっていければ」。J1デビューとJ1初先発を経て、もう一つ基準を高めるためのJ1リーグ戦中断期間に入る。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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