出遅れた開幕期の葛藤、3年目で託された初の腕章…苦悩を乗り越えた京都DF福田心之助が魂の90+5分劇的決勝弾「正直ちょっと泣きそうだった」
[5.7 J1第15節 町田 1-2 京都 Gスタ]
リーグ戦で初めて託された腕章の使命感も、好調のシーズンに出遅れた苦悩も、ここで勝ち切るという強い覚悟もすべて込めて、魂の左足を振り抜いた。京都サンガF.C.のDF福田心之助は後半アディショナルタイム5分、果敢な攻撃参加から劇的な決勝ゴール。「もう正直ちょっと泣きそうだったというか……。やっとチームのために貢献できたというのが正直な思い」。負傷者に苦しむチームの底力を全力で体現し、勝利の立役者となった。
1-1で劣勢が続いていた最終盤、京都は5-4-1の布陣で引き分け覚悟の守備を続けていながらも、攻め切る姿勢を失ってはいなかった。結実したのは後半アディショナルタイムも終わり際の45+5分、左ウイングバックのDF須貝英大がカットインシュートを放つと、そこから猛烈な波状攻撃を開始。MF川崎颯太の突破が相手に阻まれ、ボールはペナルティエリア外に転がったが、最後は右ウイングバックの福田が飛び込んできた。
目の前には相手ディフェンスが数多く立ちはだかったが、迷わず逆足を振り抜いた。「シュートに関しては(左右)遜色ないというか、逆に左のほうがリラックスして打てたかなと。いい意味で無だったというか、枠に入れることだけ意識してやっていたので、それがいい形で出たと思う」。完璧にミートした低弾道ショットをゴール右隅に力強く突き刺し、感情を爆発させた。
その左腕には、真っ赤なキャプテンマークが輝いていた。
この日はチームキャプテンの川崎をはじめ、副キャプテンのDF鈴木義宜、FWラファエル・エリアス、GKク・ソンユンが先発を外れており、プロ3年目の福田はJ1リーグ戦で初めてゲームキャプテンを託された。大役を告げられたのは試合日の朝。試合前からその使命と正面から向き合い、自らの役目を整理して試合に臨んでいた。
「今日の朝にチョウ監督から『キャプテン頼むな』と言われてから、自分の中でJリーグで初めてキャプテンマークを巻いて、チームを引っ張っていくということが整理できていた。チームを鼓舞するというよりはプレーでチームを引っ張って行こうと。僕が一番勝ちに貪欲で、熱量をチームに伝染させられればおのずとよくなっていくと思ったし、僕自身もいいプレーができると思っていた」
「サッカーのところでは町田というすごく難しい相手に、当たり前のことを当たり前にやる。ああいうロングボールが多い中でどこかカバーを怠ったらやられてしまうし、最後にサンガらしく走れなくなったり走力で負けたら意味がないしというところで、そこを一番体現しようと思ってピッチに入っていた」
そんな福田の姿には曺貴裁監督も「あのタイミングであの時間で、左足のあの振りでゴールマウスに持ってこられるSBは日本にもそんなにいないと思う。そういう意味では非常にこれから楽しみな選手」と太鼓判を押しつつ、「彼が一つ結果を出してくれたのは、チームにとっても明るい材料」と目を細めていた。
ここまでのシーズンは福田にとって、決して順風満帆なものでもなかった。開幕期は負傷からのスタートだったこともあり、上位に食い込むチームの戦力になれず、もどかしい思いを抱えながらの日々。復帰後も先発時は45分間のみでの交代が続き、途中出場時もプレーに波が見られるなど、連戦フル出場を続けてスプリント王に輝いた昨季のパフォーマンスは影を潜めていた。
それでもシーズンが折り返す前に完全復活を果たした。その陰には、自身の過去に支えられたひたむきな日々の取り組みがあった。
「今年はケガスタートだったというのもあって外から見て、自分がいなくてもチームがうまくいっているもどかしさ、そこに自分の中にギャップがあったけど、でも僕は過去を振り返っても、そういう良い人生ではなかった。簡単にレギュラーを奪えてどんどん上り詰めていくというよりは、たくさんの壁を乗り越えるなかで“気付いたらそういう立ち位置にいた”というだけなので、また乗り越えなきゃいけない壁が来たと思って毎日毎日必死にやってきた。それがいま形になって、やっと少しずつ出てこられたのかなと思います」
序盤の好調を牽引していたチーム得点王のFWラファエル・エリアスがこの日はメンバーを外れており、さらにFW原大智も負傷交代を強いられるなど攻撃陣に懸念要素が続いている京都。ここからは福田をはじめとした守備陣の奮闘でチームを導いていく番だ。
(取材・文 竹内達也)
●2025シーズンJリーグ特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中
リーグ戦で初めて託された腕章の使命感も、好調のシーズンに出遅れた苦悩も、ここで勝ち切るという強い覚悟もすべて込めて、魂の左足を振り抜いた。京都サンガF.C.のDF福田心之助は後半アディショナルタイム5分、果敢な攻撃参加から劇的な決勝ゴール。「もう正直ちょっと泣きそうだったというか……。やっとチームのために貢献できたというのが正直な思い」。負傷者に苦しむチームの底力を全力で体現し、勝利の立役者となった。
1-1で劣勢が続いていた最終盤、京都は5-4-1の布陣で引き分け覚悟の守備を続けていながらも、攻め切る姿勢を失ってはいなかった。結実したのは後半アディショナルタイムも終わり際の45+5分、左ウイングバックのDF須貝英大がカットインシュートを放つと、そこから猛烈な波状攻撃を開始。MF川崎颯太の突破が相手に阻まれ、ボールはペナルティエリア外に転がったが、最後は右ウイングバックの福田が飛び込んできた。
目の前には相手ディフェンスが数多く立ちはだかったが、迷わず逆足を振り抜いた。「シュートに関しては(左右)遜色ないというか、逆に左のほうがリラックスして打てたかなと。いい意味で無だったというか、枠に入れることだけ意識してやっていたので、それがいい形で出たと思う」。完璧にミートした低弾道ショットをゴール右隅に力強く突き刺し、感情を爆発させた。
その左腕には、真っ赤なキャプテンマークが輝いていた。
この日はチームキャプテンの川崎をはじめ、副キャプテンのDF鈴木義宜、FWラファエル・エリアス、GKク・ソンユンが先発を外れており、プロ3年目の福田はJ1リーグ戦で初めてゲームキャプテンを託された。大役を告げられたのは試合日の朝。試合前からその使命と正面から向き合い、自らの役目を整理して試合に臨んでいた。
「今日の朝にチョウ監督から『キャプテン頼むな』と言われてから、自分の中でJリーグで初めてキャプテンマークを巻いて、チームを引っ張っていくということが整理できていた。チームを鼓舞するというよりはプレーでチームを引っ張って行こうと。僕が一番勝ちに貪欲で、熱量をチームに伝染させられればおのずとよくなっていくと思ったし、僕自身もいいプレーができると思っていた」
「サッカーのところでは町田というすごく難しい相手に、当たり前のことを当たり前にやる。ああいうロングボールが多い中でどこかカバーを怠ったらやられてしまうし、最後にサンガらしく走れなくなったり走力で負けたら意味がないしというところで、そこを一番体現しようと思ってピッチに入っていた」
そんな福田の姿には曺貴裁監督も「あのタイミングであの時間で、左足のあの振りでゴールマウスに持ってこられるSBは日本にもそんなにいないと思う。そういう意味では非常にこれから楽しみな選手」と太鼓判を押しつつ、「彼が一つ結果を出してくれたのは、チームにとっても明るい材料」と目を細めていた。
ここまでのシーズンは福田にとって、決して順風満帆なものでもなかった。開幕期は負傷からのスタートだったこともあり、上位に食い込むチームの戦力になれず、もどかしい思いを抱えながらの日々。復帰後も先発時は45分間のみでの交代が続き、途中出場時もプレーに波が見られるなど、連戦フル出場を続けてスプリント王に輝いた昨季のパフォーマンスは影を潜めていた。
それでもシーズンが折り返す前に完全復活を果たした。その陰には、自身の過去に支えられたひたむきな日々の取り組みがあった。
「今年はケガスタートだったというのもあって外から見て、自分がいなくてもチームがうまくいっているもどかしさ、そこに自分の中にギャップがあったけど、でも僕は過去を振り返っても、そういう良い人生ではなかった。簡単にレギュラーを奪えてどんどん上り詰めていくというよりは、たくさんの壁を乗り越えるなかで“気付いたらそういう立ち位置にいた”というだけなので、また乗り越えなきゃいけない壁が来たと思って毎日毎日必死にやってきた。それがいま形になって、やっと少しずつ出てこられたのかなと思います」
序盤の好調を牽引していたチーム得点王のFWラファエル・エリアスがこの日はメンバーを外れており、さらにFW原大智も負傷交代を強いられるなど攻撃陣に懸念要素が続いている京都。ここからは福田をはじめとした守備陣の奮闘でチームを導いていく番だ。
(取材・文 竹内達也)
●2025シーズンJリーグ特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中



