一発レッドは足裏タックルに限らず…JFA審判委がJリーグ開幕前に「選手生命を脅かすチャレンジ」について説明
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は5日、千葉県内でメディア向けレフェリーブリーフィングを開催した。2026シーズンのレフェリングにおける重点項目を説明し、各シーズン開幕前に説明されてきた「選手生命を脅かすチャレンジ」に関する適切な判定も今季のポイント。足裏でタックルする典型的な危険なプレーのほか、相手選手に大怪我を負わせかねないようなプレーも一発退場になる場合があるとした。
佐藤隆治JFA審判マネジャーは新シーズンの開幕を前に「レフェリーとしてどのように選手の安全を守っていくか。(適切な)ジャッジをすることによって選手がこういった(危険な)チャレンジを止めてくれて、結果として激しいけれども安全でフェアなサッカーを作っていける」と語った。
これまではレッドカード相当のプレーとして脛付近への足裏のタックルがレフェリーブリーフィングで扱われる傾向だったが、「足裏でなくても勢い、タイミング、足の残し方や当たっている(ファウルを受けた側の)部位」によっては一発退場とすべき場合もあることを紹介。実際の例として、試合中はイエローカードにとどまったものの本来は一発退場にすべき事象として昨季の2プレーを取り上げた。
1つ目はJ1第18節・川崎フロンターレ対ガンバ大阪の後半42分のシーン。G大阪のCKから川崎Fがカウンターを仕掛けようとしたところ、FW伊藤達哉が後方からFW山下諒也のスライディングタックルを受けた。山下は足裏で接触していないものの、両脚で伊藤の左脚を挟み込むような形に。幸いにも伊藤の左脚がすぐに抜けたことで、いわゆる完全な蟹挟みにはならず伊藤もすぐに立ち上がっていた。
だが、佐藤氏は山下が後方から相応のスピードを持った状態でチャレンジしていることに加え、「完全に空中に体を投げ出している。この状態は自分のコントロールができない状態で足が地面についていないので、このまま流れでいってしまうしかない」とコメント。今回は伊藤の脚がすぐに抜けたものの、「足をロックするようなチャレンジ」で「一つ間違えれば相手選手の選手生命に大きな影響を与える」として一発退場にすべきプレーだと語った。
もう一つは第10節・京都サンガF.C.対湘南ベルマーレの前半30分、京都FWラファエル・エリアスがスルーパスに反応したものの飛び出してきたGK上福元直人にキャッチされた場面。上福元は地面に滑り込んで捕球したところ、走り込んできたエリアスの右足が頭に直撃した。もっともエリアスは足裏を見せておらず、頭を蹴ったり足を振ったりするような動きもなかった。
それでも佐藤氏はエリアスに接触を回避する時間的な余裕があったことを示しながら、右足を引き摺るようにして顔の高さに残したまま走り続けていたことを指摘。そうした中で頭部に足が接触したことを受け、「ボディーよりも顔、首といったセンシティブなパートに当たる。足裏ではなくても十分大きな怪我につながることを考えたときに、我々は退場と判断しなければいけない」と総括してレッドカードに相当するプレーだとした。
その一方、佐藤氏はシーンによって足裏で接触していたとしても勢いなどを考慮して一発退場にはならない場合があることも示した。カードの色を判断する上で接触部位は判断要素の一つだとし、勢いやファウルを受けた側の部位、チャレンジの仕方などを総合的に判断しながら選手の安全を守るレフェリングを心がけていく姿勢だ。
また、新シーズンはノーファウルとすべき事象で笛を吹かないことを意味する「コンタクトプレーの標準を引き上げる」ことを昨季から継続していく構えだ。昨季の前半戦ではかえってファウルとすべき事象で笛が鳴らず物議を醸していたが、研修会を経ながら「後半戦は改善傾向が見られた」と総括し、「“反則とするべき事象とノーファウル”の見極め力」をポイントに適切な判定をしていくとした。
新シーズンの重点項目にはそのほか、試合状況などを総合的に判断した適切なアドバンテージの適用、素早いリスタートの促進や負傷者の程度を考慮して過剰には試合を止めないことといったゲームコントロール、テクニカルエリア内のマネジメントを挙げている。
なお全判定のうち得点、PK、一発退場、警告2回による退場に限定した「キーインシデント」の判定率については、ピッチ上が2023年の52.3%、24年の59.6%から昨年は64.8%に向上し、VAR介入後の最終判定を対象とした同判定率は89.6%(23年85.2%、24年91.2%)を記録。佐藤氏は新シーズンでピッチ上の判定率を70.0%、VAR介入後の判定率を95.0%にする目標を掲げた。
その上で「信頼されるレフェリングを追求していく」と佐藤氏。信頼は1プレーや1試合だけでなくシーズンを通した全審判員での取り組みによって高まるものだとし、新シーズンに向けて「どうしたら皆さんに信頼されるレフェリングができるかというところを詰めていこう」と各審判員に伝えている。
(取材・文 加藤直岐)
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佐藤隆治JFA審判マネジャーは新シーズンの開幕を前に「レフェリーとしてどのように選手の安全を守っていくか。(適切な)ジャッジをすることによって選手がこういった(危険な)チャレンジを止めてくれて、結果として激しいけれども安全でフェアなサッカーを作っていける」と語った。
これまではレッドカード相当のプレーとして脛付近への足裏のタックルがレフェリーブリーフィングで扱われる傾向だったが、「足裏でなくても勢い、タイミング、足の残し方や当たっている(ファウルを受けた側の)部位」によっては一発退場とすべき場合もあることを紹介。実際の例として、試合中はイエローカードにとどまったものの本来は一発退場にすべき事象として昨季の2プレーを取り上げた。
1つ目はJ1第18節・川崎フロンターレ対ガンバ大阪の後半42分のシーン。G大阪のCKから川崎Fがカウンターを仕掛けようとしたところ、FW伊藤達哉が後方からFW山下諒也のスライディングタックルを受けた。山下は足裏で接触していないものの、両脚で伊藤の左脚を挟み込むような形に。幸いにも伊藤の左脚がすぐに抜けたことで、いわゆる完全な蟹挟みにはならず伊藤もすぐに立ち上がっていた。
だが、佐藤氏は山下が後方から相応のスピードを持った状態でチャレンジしていることに加え、「完全に空中に体を投げ出している。この状態は自分のコントロールができない状態で足が地面についていないので、このまま流れでいってしまうしかない」とコメント。今回は伊藤の脚がすぐに抜けたものの、「足をロックするようなチャレンジ」で「一つ間違えれば相手選手の選手生命に大きな影響を与える」として一発退場にすべきプレーだと語った。
もう一つは第10節・京都サンガF.C.対湘南ベルマーレの前半30分、京都FWラファエル・エリアスがスルーパスに反応したものの飛び出してきたGK上福元直人にキャッチされた場面。上福元は地面に滑り込んで捕球したところ、走り込んできたエリアスの右足が頭に直撃した。もっともエリアスは足裏を見せておらず、頭を蹴ったり足を振ったりするような動きもなかった。
それでも佐藤氏はエリアスに接触を回避する時間的な余裕があったことを示しながら、右足を引き摺るようにして顔の高さに残したまま走り続けていたことを指摘。そうした中で頭部に足が接触したことを受け、「ボディーよりも顔、首といったセンシティブなパートに当たる。足裏ではなくても十分大きな怪我につながることを考えたときに、我々は退場と判断しなければいけない」と総括してレッドカードに相当するプレーだとした。
その一方、佐藤氏はシーンによって足裏で接触していたとしても勢いなどを考慮して一発退場にはならない場合があることも示した。カードの色を判断する上で接触部位は判断要素の一つだとし、勢いやファウルを受けた側の部位、チャレンジの仕方などを総合的に判断しながら選手の安全を守るレフェリングを心がけていく姿勢だ。
また、新シーズンはノーファウルとすべき事象で笛を吹かないことを意味する「コンタクトプレーの標準を引き上げる」ことを昨季から継続していく構えだ。昨季の前半戦ではかえってファウルとすべき事象で笛が鳴らず物議を醸していたが、研修会を経ながら「後半戦は改善傾向が見られた」と総括し、「“反則とするべき事象とノーファウル”の見極め力」をポイントに適切な判定をしていくとした。
新シーズンの重点項目にはそのほか、試合状況などを総合的に判断した適切なアドバンテージの適用、素早いリスタートの促進や負傷者の程度を考慮して過剰には試合を止めないことといったゲームコントロール、テクニカルエリア内のマネジメントを挙げている。
なお全判定のうち得点、PK、一発退場、警告2回による退場に限定した「キーインシデント」の判定率については、ピッチ上が2023年の52.3%、24年の59.6%から昨年は64.8%に向上し、VAR介入後の最終判定を対象とした同判定率は89.6%(23年85.2%、24年91.2%)を記録。佐藤氏は新シーズンでピッチ上の判定率を70.0%、VAR介入後の判定率を95.0%にする目標を掲げた。
その上で「信頼されるレフェリングを追求していく」と佐藤氏。信頼は1プレーや1試合だけでなくシーズンを通した全審判員での取り組みによって高まるものだとし、新シーズンに向けて「どうしたら皆さんに信頼されるレフェリングができるかというところを詰めていこう」と各審判員に伝えている。
(取材・文 加藤直岐)
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