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大学屈指のMFを襲っていた苦悩、取り戻した情熱…新スタイルの相模原で再起に燃える23歳MF竹内崇人「結果で恩返しをしたい」

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MF竹内崇人

[3.8 J2・J3百年構想リーグEAST-A第5節 相模原 4-0 栃木SC ギオンス]

 SC相模原は8日、J2・J3百年構想リーグEAST-A第5節で栃木SCを4-0で破り、3試合合計11得点1失点という圧倒的な大差で3連勝を果たした。シュタルフ悠紀リヒャルト監督体制3年目、新たに舵を切ったハイテンポなスタイルでチームが軌道に乗ったなか、一時はサッカー人生の岐路に立たされていた23歳も再起へのステップを踏み出している。

 MF竹内崇人筑波大から昨季、相模原に加入し、1年目からJ3リーグ戦24試合に出場していたプロ2年目のMF。今季はここまで3試合に先発出場している一方、2試合はベンチスタートで1試合の途中出場とポジション争いの最中にあるものの、心身ともに充実した状態で日々を過ごしている。

「昨年よりも身体の状態も良いですし、チームとしても今年はスタイルがすごく明確にあって、去年よりもイメージ通りにプレーできている。去年よりも自分の良さを出せていると思います」

 正確なキックを最大限に活かすべく、本職のボランチだけでなくサイドでの起用も続いているが、「チームとしてやることが明確で、どこで出てもハードワークするところ、求められている役割ははっきりしている」と前向きに消化。この日は後半33分から左サイドハーフで途中出場していたが、終盤に猛烈なプレスバックからのシュートブロックを見せるなど、言葉どおりの献身的な振る舞いで無失点を支えていた。

 そんな竹内だが、昨季までは長いスランプに陥っていた。かつては名門・サンフレッチェ広島ユースで2年時から主力を担い、進学先の筑波大でも1年時からほぼ全試合に出場し、1〜2年時だけで関東大学リーグ合計41試合10得点という数字を残していた大学屈指のMF。しかし、プロ入りへのアピールが本格化する時期に突入する3年時、ケガで出遅れたことをきっかけに大きくパフォーマンスを落としていた。

「大学3、4年は全く思った通りにサッカーができず、身体もいい状態ではなく、メンタル的に落ちていたこともありました。あの時の自分の性格的に『やらなきゃ、やらなきゃ』と焦りを感じていた部分があって、でも思い描いていた大学3年のシーズンとは全く別物になってしまって、自分のメンタルをうまく持っていけなくて。いろいろなことが重なった結果、しんどかったですね……」

 4年時はコンスタントに出場できるところまで状態を上げていったが、ケガを押してプレーしていた時間も長く、「自分の思ったようなパフォーマンスを出すことはできなかった」と竹内。スランプの間には脳震盪や家庭の事情など難しい出来事が重なっていたといい、シーズン終盤戦もどこか悲壮感をにじませながらプレーしている印象だった。

 しかし、そんな竹内に手を差し伸べたのが相模原の平野孝スポーツダイレクターだった。当時すでに関東大学リーグの日程を終えており、Jリーグも最終盤だったことで練習参加の期間は長くはなかったが、4年時シーズンの最後の最後に内定を獲得。同年6月に就任したシュタルフ監督からのお墨付きもあったようで、まさに「拾ってもらった」形でのプロ入りだった。

 クラブからの期待は大きく、1年目からJ3リーグ戦27試合に出場し、クラブ史上初の天皇杯ベスト8入りにも貢献した。その中でも「自分の思ったパフォーマンスができた試合は1試合もなく、なんとか試合に使っていただいてはいたけど、自分としては納得のいくものではなかった」というが、本来のコンディションを取り戻すための努力は怠らなかった。

 そして迎えた今季はサッカースタイルの変化にも後押しされ、プレシーズンから手応えを掴んだ。「自分のプレー、自分のサッカー、私生活に対してもポジティブなマインドが戻ってきたのは本当に今年に入ってからでした。大学1、2年の頃のように前向きに日々取り組めているのはそれくらいぶりです」。そうして取り戻した“本来の姿”。竹内が感じているのは何よりもまず、拾ってくれた相模原への感謝だという。

「あの時期を考えれば、いまこうしてもう一度サッカーに情熱を持って取り組めているのは考えられないことですね。それは大学の時も含めて周りの人の支えがあってこそですし、こうして相模原に来ることができて、シュタルフ監督、平野さんとの出会いがあったからこそ、いまこうしてサッカーができている。あれがなければ本当に自分がいまサッカーをしていたかどうか分からない。このクラブとの出会いがあったからこそ、いまこうして情熱を持ってサッカーに取り組めているので、本当に感謝していますし、だからこそ結果で恩返しをしたいと思っています」

 プロ入り後は昨季ルヴァン杯デビュー戦(清水戦)での1ゴールにとどまっているため、相模原のサポーターにはまだ本領をお披露目できていないが、本来は“ゴールも奪えるセントラルMF”というのがセールスポイント。最近の試合では今節のDF島川俊郎、前節のMF田鎖勇作と同じポジションの選手がゴールを決めている流れもあり、竹内も得点に関わる働きに意欲を燃やしている。

「いまこうして3試合、チームとしてハードワークするスタイルが見ている皆さんにも伝わったと思いますし、それは最低限やりつつも、自分のポジション的には8番で、ボランチの中でもちょっと前の役割なのでアシストだったり、ゴールだったりという結果にこだわっていかないといけない。今日も島川選手、水曜日は田鎖選手が得点を取っていたので数字の部分にもこだわっていきながら、自分の良さを毎試合毎試合出せるように頑張っていきたいと思っています」

 直近2試合では同い年のFW杉本蓮とDF山内琳太郎がゴールを連発している他、今季からは筑波大同期のDF沖田空も水戸からの期限付き移籍でチームに加わり、同じく2ゴールを挙げているなど同世代からの刺激も大きい。「大学の時から一緒にやってきた選手とこうしてプロの世界で一緒にできているのはすごく感慨深いですし、嬉しいこと。自分ももっともっと結果を残せるように頑張りたい」(竹内)。かつて思い描いたキャリアに比べれば遠回りかもしれないが、壁を乗り越えてきた経験は貴重な財産。心身とも充実の23歳、再起への準備は整った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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