就任1年目39歳で日本一!! ”お約束”のカップリフトでも盛り上げた名古屋U-15小山優監督「みんなが自分に矢印を向けてきた結果」
[12.27 高円宮杯決勝 横浜FM Jrユース 1-3 名古屋U-15 味フィ西]
名古屋グランパスU-15は27日、高円宮杯JFA第37回全日本U-15サッカー選手権大会決勝で横浜F・マリノスジュニアユースを3-1で破り、15年ぶり3回目の日本一に輝いた。U-16日本代表“飛び級”のDF竹内悠三(3年=D.S.S)、U-15日本代表MF深谷朔共(3年=名古屋U-12)といった世代屈指のタレントを擁するなか、就任1年目の小山優監督(39)が快挙に導いた。
小山監督は2019年から22年まで鳥取U-18の監督、23年は岐阜U-18コーチを務め、昨季から名古屋入り。初年度はU-13チームを指揮した後、今季からU-15監督に就任し、1年目で日本一に導いた。
今季は絶対的中心選手の竹内と深谷がU-18で活動していたこともあり、東海リーグは全国大会出場圏外の4位。それでも残されたメンバーでシーズンを戦い抜き、今大会出場のための東海プレーオフを勝ち抜いていくなかで徐々に強さを身につけてきたという。
「この大会から感じていることですが、育成はめっちゃ時間がかかるんやなと。我慢してきたことが今大会で結果につながったのが嬉しかったですね。竹内、深谷がユースの活動になったこともあって周りの選手は難しい中でリーグ戦で勝てない時期が続いたけど、そこでもみんなが自分に矢印を向けて、みんなが向き合ってきたことによる結果だったと思います」(小山監督)
今大会では竹内と深谷が世代別日本代表の活動を回避して合流した一方、負傷や体調不良による欠員も出たが、チーム全体でカバー。決勝では竹内不在の間にCBを兼任していた本職ウイングバックのMF野村卓史(3年=D.S.S)が見事なリカバリーを見せていた。小山監督は「良い選手が上で活躍して、それにみんなが対応していった結果、アクシデントがあってもみんなで対応できたんだと思います」と手応えを語った。
また決勝戦では監督の采配も光った。後半に2-0として以降は横浜FMの猛攻を受けるなか、一時は1点差に詰め寄られたが、今大会で出番の少なかった2年生コンビのFW戸田湊愛(2年=西濃シティFC)とFW福田隼太(2年=名古屋U-12)を後半27分から同時投入。大きな勝負に出ると、同30分に戸田のヘッドのこぼれ球から福田のダメ押し弾が決まった。
現在の2年生は小山監督が昨季、U-13で指導していた選手たち。ゴールを決めた戸田は今大会、準決勝1試合の終了間際のみという出場機会にとどまっており、「過去を振り返ってみても一番悔しかった」という思いをぶつける形となった。その爆発力を信頼した小山監督は「途中から入ってきた選手たちも悔しい思いをしてきたので、結果を出してくれたのがめちゃくちゃ嬉しかったですね」と親心を見せた。
選手たちからは「人間性についても指導をしてくれた」という感謝とともに「面白くていつも盛り上げてくれる」という一面も持つ小山監督。試合後のセレモニーでは主将の竹内らが優勝カップを手に歓喜のパフォーマンスを見せた後、指揮官がカップを挙げる際には選手全員が黙って見守るという“いじられ役”におなじみの光景が繰り広げられており、その言葉どおりの関係性が垣間見えた。
小山監督によると、このカップリフトは夏冬2度の東海予選を経て誕生した“お約束”だったという。
「あれは夏のクラブユースの東海の決勝で一回やって、(今大会の)プレーオフでも『やって』みたいなみたいな流れもあったんですけど、『いやもう全国で優勝したらやるから』って言ってたんです。だからやらせたかったんだと思います(笑)」
そんな若き指揮官にとっても、日本一は指導者キャリアにおける大きな栄誉。だが、この結果自体はいたって謙虚に受け止めていた。
「もうそれをみんなに言われるので、(試合前は)思わないようにするのに必死でしたね(笑)。選手がどれだけ気持ちよくやるかだと。1位と2位じゃ違うとか、あと一つとか、大一番だというのは外から入ってきますけど、ミーティングでも『サッカーはサッカーやから』『大一番でもなんでもないぞ』って。それは僕が言い聞かせていたのもあるんですけど(笑)」
良好に見えるチーム内の関係性の背景には、他のスタッフを含めたクラブの支えが大きかったという。
「選手との関係性は立ち上げの時は苦労したんですが、ずっとやっている森川(誠一)コーチがサポートについてくれて選手の距離を縮めてくれたり、あれほどベテランの方がめちゃめちゃそこに徹してくれたので、僕はサッカー的な話とかに集中できて、いい距離感を保てていたのかなと。僕一人じゃ無理でしたね」(小山監督)。世代屈指の選手を育て上げるタレント力、手探りながら選手と向き合い続けた若き指揮官の手腕だけでなく、クラブを深く知る人々のサポートあっての戴冠だった。
(取材・文 竹内達也)
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名古屋グランパスU-15は27日、高円宮杯JFA第37回全日本U-15サッカー選手権大会決勝で横浜F・マリノスジュニアユースを3-1で破り、15年ぶり3回目の日本一に輝いた。U-16日本代表“飛び級”のDF竹内悠三(3年=D.S.S)、U-15日本代表MF深谷朔共(3年=名古屋U-12)といった世代屈指のタレントを擁するなか、就任1年目の小山優監督(39)が快挙に導いた。
小山監督は2019年から22年まで鳥取U-18の監督、23年は岐阜U-18コーチを務め、昨季から名古屋入り。初年度はU-13チームを指揮した後、今季からU-15監督に就任し、1年目で日本一に導いた。
今季は絶対的中心選手の竹内と深谷がU-18で活動していたこともあり、東海リーグは全国大会出場圏外の4位。それでも残されたメンバーでシーズンを戦い抜き、今大会出場のための東海プレーオフを勝ち抜いていくなかで徐々に強さを身につけてきたという。
「この大会から感じていることですが、育成はめっちゃ時間がかかるんやなと。我慢してきたことが今大会で結果につながったのが嬉しかったですね。竹内、深谷がユースの活動になったこともあって周りの選手は難しい中でリーグ戦で勝てない時期が続いたけど、そこでもみんなが自分に矢印を向けて、みんなが向き合ってきたことによる結果だったと思います」(小山監督)
今大会では竹内と深谷が世代別日本代表の活動を回避して合流した一方、負傷や体調不良による欠員も出たが、チーム全体でカバー。決勝では竹内不在の間にCBを兼任していた本職ウイングバックのMF野村卓史(3年=D.S.S)が見事なリカバリーを見せていた。小山監督は「良い選手が上で活躍して、それにみんなが対応していった結果、アクシデントがあってもみんなで対応できたんだと思います」と手応えを語った。
また決勝戦では監督の采配も光った。後半に2-0として以降は横浜FMの猛攻を受けるなか、一時は1点差に詰め寄られたが、今大会で出番の少なかった2年生コンビのFW戸田湊愛(2年=西濃シティFC)とFW福田隼太(2年=名古屋U-12)を後半27分から同時投入。大きな勝負に出ると、同30分に戸田のヘッドのこぼれ球から福田のダメ押し弾が決まった。
現在の2年生は小山監督が昨季、U-13で指導していた選手たち。ゴールを決めた戸田は今大会、準決勝1試合の終了間際のみという出場機会にとどまっており、「過去を振り返ってみても一番悔しかった」という思いをぶつける形となった。その爆発力を信頼した小山監督は「途中から入ってきた選手たちも悔しい思いをしてきたので、結果を出してくれたのがめちゃくちゃ嬉しかったですね」と親心を見せた。
選手たちからは「人間性についても指導をしてくれた」という感謝とともに「面白くていつも盛り上げてくれる」という一面も持つ小山監督。試合後のセレモニーでは主将の竹内らが優勝カップを手に歓喜のパフォーマンスを見せた後、指揮官がカップを挙げる際には選手全員が黙って見守るという“いじられ役”におなじみの光景が繰り広げられており、その言葉どおりの関係性が垣間見えた。
小山監督によると、このカップリフトは夏冬2度の東海予選を経て誕生した“お約束”だったという。
「あれは夏のクラブユースの東海の決勝で一回やって、(今大会の)プレーオフでも『やって』みたいなみたいな流れもあったんですけど、『いやもう全国で優勝したらやるから』って言ってたんです。だからやらせたかったんだと思います(笑)」
そんな若き指揮官にとっても、日本一は指導者キャリアにおける大きな栄誉。だが、この結果自体はいたって謙虚に受け止めていた。
「もうそれをみんなに言われるので、(試合前は)思わないようにするのに必死でしたね(笑)。選手がどれだけ気持ちよくやるかだと。1位と2位じゃ違うとか、あと一つとか、大一番だというのは外から入ってきますけど、ミーティングでも『サッカーはサッカーやから』『大一番でもなんでもないぞ』って。それは僕が言い聞かせていたのもあるんですけど(笑)」
良好に見えるチーム内の関係性の背景には、他のスタッフを含めたクラブの支えが大きかったという。
「選手との関係性は立ち上げの時は苦労したんですが、ずっとやっている森川(誠一)コーチがサポートについてくれて選手の距離を縮めてくれたり、あれほどベテランの方がめちゃめちゃそこに徹してくれたので、僕はサッカー的な話とかに集中できて、いい距離感を保てていたのかなと。僕一人じゃ無理でしたね」(小山監督)。世代屈指の選手を育て上げるタレント力、手探りながら選手と向き合い続けた若き指揮官の手腕だけでなく、クラブを深く知る人々のサポートあっての戴冠だった。
(取材・文 竹内達也)
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