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県新人戦3連覇も夏に苦しんできた聖望学園中、待望の関東大会初出場…試合を支配する9発勝利で全中出場決定!!

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全国へ!!

[8.7 関東中学2回戦 聖望学園中 9-1 横浜市立奈良中 Ks'スタ]

 聖望学園中が関東中学校サッカー大会初出場で全国中学校サッカー大会(全中)出場権を獲得!! 関東中学校サッカー大会2回戦が7日に茨城県内で行われ、聖望学園中(埼玉1)は横浜市立奈良中(神奈川2)を9-1で破って関東4強入りを果たすとともに全国切符を獲得した。

 勝てば全中出場が決まり、敗れると負け残りの代表決定戦に進む2回戦。埼玉県王者の聖望学園中は1回戦で昨年度全国4強の駒場東邦中(東京2)に2-0で勝利し、横浜市立奈良中は桐生一中(群馬1)とのPK戦を制して勝ち上がってきた。

 立ち上がりから聖望学園中がボールを握り、細かいパスワークと最終ラインからの高精度のロングフィードを織り交ぜた完成度の高いサッカーで支配していった。すると前半4分、中央左寄りのパス交換で相手をいなした流れからFW唐木颯佑(3年)のパスでFW松本悠惺(3年)がペナルティエリア内に侵入。左足でゴールに流し込み、松本の1回戦に続く得点で聖望学園中が先制した。さらに直後の同6分、松本のパスからFW井上諒太(3年)がGKとの1対1を制して一気に2-0とした。

先制ゴールを喜ぶ

FW井上諒太が追加点

 開始早々に2失点を喫した横浜市立奈良中だが、少ないチャンスをものにした。前半13分、FW大賀悠真(1年)が自陣中央でボールを奪取し、プレスを受けながらも力強く前進。敵陣に入るとゴールまで距離があるところから思い切りよく右足を振り抜き、完璧なロングシュートをゴールに沈めて1点差とした。

スーパーゴールで1点差に迫った

 そこからはスコアが動かない展開となり、横浜市立奈良中が敵陣へと攻め込む場面も作っていく。ただ聖望学園中が守備の強度で上回って主導権を渡さない。迎えた前半30+1分、聖望学園中のMF塚本拓海(3年)が左深くまで攻め込んで折り返したボールを井上が合わせ、GK吉谷隼(3年)に防がれてこぼれたボールをMF徳永琥太郎(3年)がシュート。これも吉谷にセーブされたが、そのこぼれ球をFW角田春(2年)がゴール左に流し込んで大きな追加点を奪った。同30+7分には塚本がループシュートで得点し、4-1のリードで試合を折り返した。

MF塚本拓海がループシュートでゴール

 後半はさらに聖望学園中が支配する展開となり、パスと両サイドのドリブルで横浜市立奈良中を押し込んでいく。横浜市立奈良中はGK村田飛翔(1年)の好セーブなどで失点を回避していったが、後半10分の右CKをDF吉野凌平(3年)がボレーで合わせて聖望学園中に5点目。同27分には唐木が左サイドを突破して折り返したボールのこぼれ球を井上が豪快なダイレクトボレーでゴールネットを揺らして6-1とした。

CKからも得点が生まれた

 後半アディショナルタイムには聖望学園中FW大久保翔陽(2年)が活躍した。後半30+3分にスピードに乗ったドリブルでペナルティエリア内に侵入して左足を振り抜き、7-1。1分後にはDF岩本一颯(2年)が展開したボールを左サイドで受けると、グラウンダーのクロスを送ってDF布田颯介(3年)のゴールをアシストした。なおも同30+7分、今度は布田のクロスを大久保が合わせて9-1。試合はそのままタイムアップを迎え、聖望学園中が大勝を収めて全国大会出場を決めた。敗れた横浜市立奈良中は最大2試合を行う代表決定戦で1勝すると全中出場となる。

後半アディショナルタイムの3連発に貢献した2人

 創部初の全中出場となる聖望学園中は、24年度選手権予選で昌平高に勝利するなどした県内の実力校・聖望学園高の系列。アルビレックス新潟などでプレーした生方繁氏が2021年に監督に就任し、22年から本格強化が始まった。現在は県内の新人戦で3連覇中。中学年代でも県内屈指の成績を残している。

 もっとも新人戦で3年連続埼玉王者に輝いている一方、夏の中学総体では県大会の壁に阻まれてきた。これまでについて「1点差で負けたとか、攻め続けているけれど負けてしまった」と指揮官。今夏の県大会では選手にそうした経験を伝えたといい、選手も一発勝負の怖さを理解して臨み、ついに初の関東大会出場を達成した。

 また、相手が対策してきた経験も踏まえて分析。実際に分析通りのシーンが発生し、ベンチが思わず驚くほどの効果もあったという。生方監督は「今回が成功かは分からないけれど、失敗から学んできた部分が良い方向に繋がっている部分はある」と力を込め、苦杯を舐めてきた経験が今夏の快挙に繋がったことを示す。「先輩たちの想いも背負って」戦ったという角田も、過去の戦いがあってこその夏の埼玉制覇だと強調した。

 そうして突入した関東大会初戦では緊張もあったようだが、2-0の完封勝利で2回戦に進出。角田によれば“関東デビュー”を経験したことで、勝てば全中出場が決まる2回戦の方がある程度リラックスして戦うことができていたようだ。実際、9-1のスコアが示すように攻守でゲームを支配しての勝利を収めた。

 聖望学園中は軽快なパスワークが印象的な攻撃を展開しつつ、ロングフィードで一気にゴールに迫るプレーも効果的に選択。「『ショートパスで繋いでいこうよ』と見えがちだけれど、『相手の穴がどこにあるかを見つけながらいこうぜ』ということ。必ずしも5mのパスでパンパンといこうということではなく、『動かすことで相手が来るから裏が空く。相手がどうズレていてスペースを突いていくか』というところを言っている」(生方監督)。高い判断力も求められるチームスタイルだが、選手は1年生の頃から「練習でやっているもの以上は試合ではなかなか出せない」という考えのもと日常を送っており、クオリティーの高さは抜群だ。

 また、そうしたサッカーを誰が出ても披露できることも大きな強み。再出場が可能なレギュレーションのため試合中に大きくメンバーが変わるが、プレーの質は全く変わっていなかった。指揮官によると「今日応援してくれたメンバー外の子や今日来ていない1年生もそうで、誰がポンとピッチに入ってもそこまで差はない」という。だからこそ競争も激しく、この試合でメンバー外だった選手にも逆転でのメンバー入りに十分なチャンスがある。メンバー入りしている選手も慢心することなく研鑽を重ねているようだ。

 チームを率いる生方監督は現役引退後、ザスパ群馬やSC相模原の育成年代を指導し、日本サッカー協会のJFAこころのプロジェクトでも活動していた。現場での指導を「7年くらいお手伝いみたいな感じでやっていた」という中、JFAの活動で一緒になった元鹿島アントラーズの金古聖司氏(当時本庄一高監督)から聖望学園中がサッカー部の強化に乗り出す方針を聞いたという。そうして「現場に戻るとなったときにクラブチームで指導するより面白そうだなと思って呼んでいただいた」と中体連のチームを指導することになった。

生方繁監督

 監督就任から6年目、多感な時期の中学生を指導するやりがいを感じているという。

「人としてもサッカー人生としてもいろいろな影響を与える3年間だと思うので、そういった変化を一日ごとに見られるのもそうだし、その一端を多少なりともこちらのアプローチで担えるというところがすごく面白い。高校生(の指導)はある程度のやり方でやればある程度のものができるができるというのがわかっているし、もう出来上がっている年代なので僕はあまり興味がなくて。中学生はそういった変化の部分がすごく面白いなと思っている」

 トレーニングでは一つ一つのパスや判断を大事にするように意識づけており、前述のように試合で発揮するための日常の重要性も強調しながら指導。練度を高めて全国切符を勝ち取った。

 今後は関東王者に向けた準決勝と決勝を控えており、その後はいよいよ全中が開幕する。強調するのは全国の強豪校に対しても同じスタイルで戦うという方針。高校進級後に選手がインターハイ予選や選手権予選などでプレーすることも見据えて「さらに勝負がかかったゲームで何ができるかというところの準備」と表現し、「全国大会に出るからよそ行きのサッカーをするつもりはないし、それは組織として意味のないことになる」。積み上げてきたスタイルをそのまま全国で発揮していく構えだ。


(取材・文 加藤直岐)

●第57回全国中学校サッカー大会(全中)特集
加藤直岐
Text by 加藤直岐

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