市立船橋がプレミアEAST首位、「めっちゃ強かった」流経大柏を撃破!引かずに球際で戦い、苦境も「今、ここ、自分」の合言葉で集中、PK戦を制して「千葉は市船だぞ」を証明!
名門・
[6.14 インターハイ千葉県予選決勝 流通経済大柏高 1-1(PK0-3)市立船橋高 柏の葉]
市船が千葉名門校対決を制し、全国へ――。令和8年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技千葉県予選決勝が14日に柏市の千葉県立柏の葉公園総合競技場で開催され、前回大会全国3位の流通経済大柏高と市立船橋高が激突。市立船橋が1-1(PK3-0)で勝ち、2年ぶり32回目のインターハイ出場を決めた。
流経大柏はプレミアリーグEASTで8勝1敗と首位を快走。9試合中7試合で無失点勝利しているチームは今大会も初戦から3試合連続無失点で決勝へ駒を進めてきた。2連覇をかけた決勝の先発はGK大泉未来(2年/U-16日本代表、U-17日本高校選抜)、DFは右SB櫻井亮太(3年)、CBメンディー・サイモン友(3年/U-18日本代表、日本高校選抜)、CB大徳剛矢(3年/U-17日本高校選抜)、左SB山本頼斗(3年)。中盤は内田煌生(3年)が1ボランチに入り、右が加島宏樹(3年)、左が古川蒼真(3年/日本高校選抜)、トップ下が平野万緑(3年/ U-17日本高校選抜候補)、そして2トップを福田明史(3年)と渡辺瞳也(3年/U-17日本高校選抜)が務めた。


一方の市立船橋はプレミアリーグから降格し、今年はプリンスリーグ関東1部が主戦場。開幕戦で流経大柏Bに敗れたが、その後の6試合を5勝1分と巻き返し、2位につけている。今大会はMF佐々木瑛汰(3年)やFW勝又悠月(3年)、FW末永悠晴(3年)を怪我で欠いているものの、八千代高や日体大柏高を下し、2年ぶりの優勝に王手をかけた。決勝の先発はGKが谷水宗介(2年)でDFは右SB篠崎健人(3年/U-17日本高校選抜)、CB斉藤健吾(3年)、CB奥田郁哉(3年)、左SB毛利貴大主将(3年)の4バック。中盤は福田一平(3年)と高山大世(3年)が中央に構え、右SH孫本晟馬(3年)、左SH渡里蒼生(3年)、そして秋元大樹(2年)と秋山駿(2年)が2トップを組んだ。


波多秀吾監督と毛利主将が試合後に「めちゃくちゃ強かった」と述べたほどの強敵との決勝戦。流経大柏は公式戦9試合連続無失点の堅守に加え、攻撃のバリエーションが多く、様々な形からゴールを奪うことのできるチームだ。
だが、市立船橋は波多監督が「球際、切り替えの勝負だからっていうのは選手たちに言っていました。そこで今までこの子たち、結構負けてたりとかしていたんです。流経に限らず、行っているけど、奪い切れないとか、球際には負けてたっていうのがこれまであったんですけども、今日はもう激しく行っていましたね。気持ちも入っていたし、良かったと思います」と称賛したように、ファーストコンタクトの部分で先にボールに触り続けるなど気迫溢れる戦い。勝利目前の失点にも折れることなく集中して戦い続け、全国切符を勝ち取った。
市立船橋は立ち上がりからアグレッシブに前へ。5分に秋元がカウンターから仕掛けて中央突破すると、11分には篠崎の右クロスをファーサイドの毛利が折り返す。そして渡里が繋いで秋元がフィニッシュ。だが、これは流経大柏GK大泉に阻まれた。
それでも、市立船橋は前からボールを奪いに行き続け、15分には連続でCKを獲得。そして、高山の左CKを秋山がやや下がりながらのヘッドで決め、先制した。流経大柏はプレミアリーグEASTから続く公式戦の連続試合無失点が8でストップ。市立船橋が、プリンスリーグ関東1部では登録外の2年生FWの一撃でリードを奪った。




市立船橋は2026年の”ユース年代最強“の声もある強敵相手に、全く怯むことなく立ち向かっていた。波多監督は「もしかしたら、僕が一番臆病になっていたかもしれなくて⋯⋯。流経のその強度だったりとか、タレント性だったり、それは『も、う凄えのあるぞ』って言っていて、ちょっと『受けなきゃいけない、構えなきゃいけないかもしれないよ』っていう話はしていた中で、でも立ち上がりからバツバツ彼ら行ってくれていたんで、本当に感服しました。頼もしかったです」と明かす。そして、中村健太コーチ中心に準備していたというセットプレーで先手を取った。
この日、5バックでの戦いも想定していたという市立船橋だが、「この子たちが一番力を発揮できる方法で臨ませたいなっていう風に思って」(波多監督)4バックで前に重心を掛けたことも、入りの良さと先制点に結びついた。
流経大柏は前半、なかなかリズムを掴むことができなかった。相手の縦に速い攻撃にやり合ってしまうところがあり、前線へのロングボールを一際気合を感じさせる相手CB斉藤や奥田に弾き返されてしまう。市立船橋は篠崎、毛利の両SBも競り負けない。また、流経大柏のキーマン・古川にボールが入ると、福田や孫本が素早く距離を詰めて自由にプレーをさせなかった。


それでも、流経大柏は個々の技術力が高い。内田や加島、平野がボールを保持しながら前進。前半の終盤は判断良くボールを動かし、連続でゴール前のシーンを作り出した。だが、山本の左クロスから福田の放ったヘッドはゴール上に外れ、内田のスルーパスに渡辺が走り込んだシーンはGK谷水に阻まれてしまう。また、櫻井のロングスローもゴール前からかき出されるなど得点に結びつけることができない。
流経大柏は後半立ち上がりも平野が崩しに係わりシュートへ持ち込むが、相手の堅守を破ることができない。13分には平野と福田をFW小澤悠輝(3年)とFW工藤浬(3年)へ交代。16分にはメンディー、古川、渡辺と繋いで小澤がDF背後へ抜け出すが、シュートは市立船橋GK谷水に止められた。
市立船橋はハーフタイムに「このままじゃ絶対終わんないから、もう1点取らないと絶対勝ち切れねえぞ。しっかり守備をしてカウンターで出ていくことをやろう」と波多監督から助言されていたという。我慢強く守備を続けながら、良い形でボールを奪った際には速攻にチャレンジ。前線で秋山が潰れ、こぼれ球を拾った福田のパスで渡里が左サイドからPAへ侵入するシーンもあった。
市立船橋は19分に孫本をDF菊池瑠斗(3年)へ交代し、流経大柏も23分に櫻井と左SB堀智尋(1年)と入れ替える。流経大柏は相手の攻撃を抜群の高さを誇るメンディや大德が跳ね返し、攻撃で前への圧力を強めてセットプレーを獲得。堀の超ロングスローやプレースキックなどから幾度もPAにボールを入れる。だが、ゴール前のこぼれ球を押し込むことができず、また内田の右足シュートがわずかに枠を外れるなど追いつくことができない。




流経大柏は大徳を前線に上げて反撃。35分には古川が持ち上がりから縦パスを入れ、大德が頭で繋ぐ。そして渡辺が右足を振り抜くが、市立船橋DF毛利が身体を投げ出してブロック。市立船橋は逆に渡里、秋元のカウンターから高山がフィニッシュに持ち込むなど前への姿勢も持ち続けて戦っていた。
後半終盤、流経大柏はメンディーも前線に上げてパワープレー。だが、市立船橋はゴール前で競り負けずに時間を進めていく。アディショナルタイム4分が掲示されて迎えた40+3分、流経大柏は堀の左CKにGK大泉が飛び込むがわずかに合わない。だが、40+4分、堀の右ロングスローから工藤がPKを獲得。これを渡辺が中央に決め、土壇場で同点に追いついた。




市立船橋にとっては勝利目前での失点。だが、引きずらず、必死に切り替えて試合を再開した。市立船橋は延長戦開始前に奥田とからDF大和一哉(2年)へスイッチ。セットプレーの数を増やし、再び勝ち越し点を狙った。延長前半5分、流経大柏は山本と右SB奥村琉(3年)を交代。市立船橋も7分に渡里とFW平田琉耀(2年)を入れ替える。
市立船橋は流経大柏のパワフルな攻撃を5バックに移行して凌いでいたが、延長後半2分、流経大柏は縦パスのこぼれから工藤が再びPKを獲得する。だが、榎本雅大監督から指名されてキッカーを務めた古川の右足シュートは枠上へ。このあと、流経大柏はゴールをこじ開けにいったが、渡辺、加島、内田のシュートがいずれもわずかに枠を外れ、2点目を奪うことができなかった。
相手のミスに救われた部分があったことも確かだが、市立船橋は延長戦で崩れなかった。毛利は「自分たちはメンタルトレーニングで『今、ここ、自分』っていうキーワードを作りました。『今』っていうのは、『今に集中すること』で、『ここ』っていうのは、『この環境だとかにちゃんと集中すること』で、最後、『自分』は『ちゃんと自分で集中すること』っていう『今、ここ、自分』っていうキーワードがあるんですけど、ほんとに最後、終盤はもうディフェンスラインからも、みんなで、『今、ここ、自分』『今、ここ、自分』って声を掛けていて、それでやるべきことがちゃんとできて、最後までちゃんと耐えることができたと思います」と頷いた。
1-1のまま延長戦が終了。市立船橋はPK練習でGKが活躍し、キッカーの成功率が低かったという。だが、波多監督から「練習は忘れろ、思い切ってやれ」と送り出されると、先攻・市立船橋1人目の毛利が左足で決める。すると、直後の流経大柏1人目をGK谷水が右への跳躍からビッグセーブ。このあと、市立船橋は菊池、大和が決めたのに対し、流経大柏は2人目のシュートが左ポストを叩き、3人目のシュートも左ポストを叩いてしまう。この瞬間、市立船橋の優勝が決まった。






流経大柏の前評判は、市立船橋の選手たちの耳にも届いていたという。毛利は「それもほんとに力に変えてっていう。自分たちはほんとに『千葉は市船だぞ』っていうのを証明することしか考えてないんで、そういう声はもう一切気にしないで、自分たちが強いというのを証明するっていう、ただそこに集中できたかなと思います」と胸を張った。
歴代屈指の流経大柏に対し、市立船橋も昨年からの経験者を多数残す世代だった。この日の宿敵撃破はどこか甘さもあったというチームが変わるきっかけになりそうだ。「これが例えばもし負けてたとしても、やっぱり基準まで出さなきゃいけないんだよっていう話もできたかもしれないし、逆にこれで勝つことができて、自信がついて、またさらにひと伸び、ふた伸びできるんじゃないかなっていう期待もあります」と波多監督はいう。「まだまだ伸びしろがある」世代の目標は通算10度目のインターハイ日本一だ。
毛利は「自分たちの目指しているところは全国優勝で、まだまだ足りないところはほんとにあるなって感じた試合でもあったので、そこは全員がしっかり認識してくれてるかなと思うので、本当にまたみんなで足並み揃えて、もう基準高く、意識高く、毎日取り組んでいけるかなって思います」。ワールドカップを戦う先輩MF鈴木唯人(フライブルク)を後押しする優勝を果たした市立船橋は、流経大柏から学んだことをまた改善。ここからの1か月強の期間で成長を遂げ、インターハイで「強い市船」を示す。


(取材・文 吉田太郎)
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市船が千葉名門校対決を制し、全国へ――。令和8年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技千葉県予選決勝が14日に柏市の千葉県立柏の葉公園総合競技場で開催され、前回大会全国3位の流通経済大柏高と市立船橋高が激突。市立船橋が1-1(PK3-0)で勝ち、2年ぶり32回目のインターハイ出場を決めた。
流経大柏はプレミアリーグEASTで8勝1敗と首位を快走。9試合中7試合で無失点勝利しているチームは今大会も初戦から3試合連続無失点で決勝へ駒を進めてきた。2連覇をかけた決勝の先発はGK大泉未来(2年/U-16日本代表、U-17日本高校選抜)、DFは右SB櫻井亮太(3年)、CBメンディー・サイモン友(3年/U-18日本代表、日本高校選抜)、CB大徳剛矢(3年/U-17日本高校選抜)、左SB山本頼斗(3年)。中盤は内田煌生(3年)が1ボランチに入り、右が加島宏樹(3年)、左が古川蒼真(3年/日本高校選抜)、トップ下が平野万緑(3年/ U-17日本高校選抜候補)、そして2トップを福田明史(3年)と渡辺瞳也(3年/U-17日本高校選抜)が務めた。


今年、高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTで首位の流経大柏
一方の市立船橋はプレミアリーグから降格し、今年はプリンスリーグ関東1部が主戦場。開幕戦で流経大柏Bに敗れたが、その後の6試合を5勝1分と巻き返し、2位につけている。今大会はMF佐々木瑛汰(3年)やFW勝又悠月(3年)、FW末永悠晴(3年)を怪我で欠いているものの、八千代高や日体大柏高を下し、2年ぶりの優勝に王手をかけた。決勝の先発はGKが谷水宗介(2年)でDFは右SB篠崎健人(3年/U-17日本高校選抜)、CB斉藤健吾(3年)、CB奥田郁哉(3年)、左SB毛利貴大主将(3年)の4バック。中盤は福田一平(3年)と高山大世(3年)が中央に構え、右SH孫本晟馬(3年)、左SH渡里蒼生(3年)、そして秋元大樹(2年)と秋山駿(2年)が2トップを組んだ。


インターハイ優勝9度、選手権優勝5度の名門・市立船橋
波多秀吾監督と毛利主将が試合後に「めちゃくちゃ強かった」と述べたほどの強敵との決勝戦。流経大柏は公式戦9試合連続無失点の堅守に加え、攻撃のバリエーションが多く、様々な形からゴールを奪うことのできるチームだ。
だが、市立船橋は波多監督が「球際、切り替えの勝負だからっていうのは選手たちに言っていました。そこで今までこの子たち、結構負けてたりとかしていたんです。流経に限らず、行っているけど、奪い切れないとか、球際には負けてたっていうのがこれまであったんですけども、今日はもう激しく行っていましたね。気持ちも入っていたし、良かったと思います」と称賛したように、ファーストコンタクトの部分で先にボールに触り続けるなど気迫溢れる戦い。勝利目前の失点にも折れることなく集中して戦い続け、全国切符を勝ち取った。
市立船橋は立ち上がりからアグレッシブに前へ。5分に秋元がカウンターから仕掛けて中央突破すると、11分には篠崎の右クロスをファーサイドの毛利が折り返す。そして渡里が繋いで秋元がフィニッシュ。だが、これは流経大柏GK大泉に阻まれた。
それでも、市立船橋は前からボールを奪いに行き続け、15分には連続でCKを獲得。そして、高山の左CKを秋山がやや下がりながらのヘッドで決め、先制した。流経大柏はプレミアリーグEASTから続く公式戦の連続試合無失点が8でストップ。市立船橋が、プリンスリーグ関東1部では登録外の2年生FWの一撃でリードを奪った。


前半15分、市立船橋の2年生FW秋山駿が先制ヘッド


流経大柏の連続無失点を止めるゴールだった
市立船橋は2026年の”ユース年代最強“の声もある強敵相手に、全く怯むことなく立ち向かっていた。波多監督は「もしかしたら、僕が一番臆病になっていたかもしれなくて⋯⋯。流経のその強度だったりとか、タレント性だったり、それは『も、う凄えのあるぞ』って言っていて、ちょっと『受けなきゃいけない、構えなきゃいけないかもしれないよ』っていう話はしていた中で、でも立ち上がりからバツバツ彼ら行ってくれていたんで、本当に感服しました。頼もしかったです」と明かす。そして、中村健太コーチ中心に準備していたというセットプレーで先手を取った。
この日、5バックでの戦いも想定していたという市立船橋だが、「この子たちが一番力を発揮できる方法で臨ませたいなっていう風に思って」(波多監督)4バックで前に重心を掛けたことも、入りの良さと先制点に結びついた。
流経大柏は前半、なかなかリズムを掴むことができなかった。相手の縦に速い攻撃にやり合ってしまうところがあり、前線へのロングボールを一際気合を感じさせる相手CB斉藤や奥田に弾き返されてしまう。市立船橋は篠崎、毛利の両SBも競り負けない。また、流経大柏のキーマン・古川にボールが入ると、福田や孫本が素早く距離を詰めて自由にプレーをさせなかった。


市立船橋はCB斉藤健吾中心に強度の高い守備
それでも、流経大柏は個々の技術力が高い。内田や加島、平野がボールを保持しながら前進。前半の終盤は判断良くボールを動かし、連続でゴール前のシーンを作り出した。だが、山本の左クロスから福田の放ったヘッドはゴール上に外れ、内田のスルーパスに渡辺が走り込んだシーンはGK谷水に阻まれてしまう。また、櫻井のロングスローもゴール前からかき出されるなど得点に結びつけることができない。
流経大柏は後半立ち上がりも平野が崩しに係わりシュートへ持ち込むが、相手の堅守を破ることができない。13分には平野と福田をFW小澤悠輝(3年)とFW工藤浬(3年)へ交代。16分にはメンディー、古川、渡辺と繋いで小澤がDF背後へ抜け出すが、シュートは市立船橋GK谷水に止められた。
市立船橋はハーフタイムに「このままじゃ絶対終わんないから、もう1点取らないと絶対勝ち切れねえぞ。しっかり守備をしてカウンターで出ていくことをやろう」と波多監督から助言されていたという。我慢強く守備を続けながら、良い形でボールを奪った際には速攻にチャレンジ。前線で秋山が潰れ、こぼれ球を拾った福田のパスで渡里が左サイドからPAへ侵入するシーンもあった。
市立船橋は19分に孫本をDF菊池瑠斗(3年)へ交代し、流経大柏も23分に櫻井と左SB堀智尋(1年)と入れ替える。流経大柏は相手の攻撃を抜群の高さを誇るメンディや大德が跳ね返し、攻撃で前への圧力を強めてセットプレーを獲得。堀の超ロングスローやプレースキックなどから幾度もPAにボールを入れる。だが、ゴール前のこぼれ球を押し込むことができず、また内田の右足シュートがわずかに枠を外れるなど追いつくことができない。


流経大柏の注目DFメンディー・サイモン友主将は抜群の高さを発揮


市立船橋は我慢強い守備。CB奥田郁哉がゴール前からボールをかき出す
流経大柏は大徳を前線に上げて反撃。35分には古川が持ち上がりから縦パスを入れ、大德が頭で繋ぐ。そして渡辺が右足を振り抜くが、市立船橋DF毛利が身体を投げ出してブロック。市立船橋は逆に渡里、秋元のカウンターから高山がフィニッシュに持ち込むなど前への姿勢も持ち続けて戦っていた。
後半終盤、流経大柏はメンディーも前線に上げてパワープレー。だが、市立船橋はゴール前で競り負けずに時間を進めていく。アディショナルタイム4分が掲示されて迎えた40+3分、流経大柏は堀の左CKにGK大泉が飛び込むがわずかに合わない。だが、40+4分、堀の右ロングスローから工藤がPKを獲得。これを渡辺が中央に決め、土壇場で同点に追いついた。


後半40+5分、流経大柏FW渡辺瞳也が右足PKを決めて同点


土壇場での同点弾を全員で喜んだ
市立船橋にとっては勝利目前での失点。だが、引きずらず、必死に切り替えて試合を再開した。市立船橋は延長戦開始前に奥田とからDF大和一哉(2年)へスイッチ。セットプレーの数を増やし、再び勝ち越し点を狙った。延長前半5分、流経大柏は山本と右SB奥村琉(3年)を交代。市立船橋も7分に渡里とFW平田琉耀(2年)を入れ替える。
市立船橋は流経大柏のパワフルな攻撃を5バックに移行して凌いでいたが、延長後半2分、流経大柏は縦パスのこぼれから工藤が再びPKを獲得する。だが、榎本雅大監督から指名されてキッカーを務めた古川の右足シュートは枠上へ。このあと、流経大柏はゴールをこじ開けにいったが、渡辺、加島、内田のシュートがいずれもわずかに枠を外れ、2点目を奪うことができなかった。
相手のミスに救われた部分があったことも確かだが、市立船橋は延長戦で崩れなかった。毛利は「自分たちはメンタルトレーニングで『今、ここ、自分』っていうキーワードを作りました。『今』っていうのは、『今に集中すること』で、『ここ』っていうのは、『この環境だとかにちゃんと集中すること』で、最後、『自分』は『ちゃんと自分で集中すること』っていう『今、ここ、自分』っていうキーワードがあるんですけど、ほんとに最後、終盤はもうディフェンスラインからも、みんなで、『今、ここ、自分』『今、ここ、自分』って声を掛けていて、それでやるべきことがちゃんとできて、最後までちゃんと耐えることができたと思います」と頷いた。
1-1のまま延長戦が終了。市立船橋はPK練習でGKが活躍し、キッカーの成功率が低かったという。だが、波多監督から「練習は忘れろ、思い切ってやれ」と送り出されると、先攻・市立船橋1人目の毛利が左足で決める。すると、直後の流経大柏1人目をGK谷水が右への跳躍からビッグセーブ。このあと、市立船橋は菊池、大和が決めたのに対し、流経大柏は2人目のシュートが左ポストを叩き、3人目のシュートも左ポストを叩いてしまう。この瞬間、市立船橋の優勝が決まった。


PK戦1人目、市立船橋GK谷水宗介が右へ跳んでストップ


歓喜のガッツポーズ


市立船橋がPK戦を制し、全国切符を獲得
流経大柏の前評判は、市立船橋の選手たちの耳にも届いていたという。毛利は「それもほんとに力に変えてっていう。自分たちはほんとに『千葉は市船だぞ』っていうのを証明することしか考えてないんで、そういう声はもう一切気にしないで、自分たちが強いというのを証明するっていう、ただそこに集中できたかなと思います」と胸を張った。
歴代屈指の流経大柏に対し、市立船橋も昨年からの経験者を多数残す世代だった。この日の宿敵撃破はどこか甘さもあったというチームが変わるきっかけになりそうだ。「これが例えばもし負けてたとしても、やっぱり基準まで出さなきゃいけないんだよっていう話もできたかもしれないし、逆にこれで勝つことができて、自信がついて、またさらにひと伸び、ふた伸びできるんじゃないかなっていう期待もあります」と波多監督はいう。「まだまだ伸びしろがある」世代の目標は通算10度目のインターハイ日本一だ。
毛利は「自分たちの目指しているところは全国優勝で、まだまだ足りないところはほんとにあるなって感じた試合でもあったので、そこは全員がしっかり認識してくれてるかなと思うので、本当にまたみんなで足並み揃えて、もう基準高く、意識高く、毎日取り組んでいけるかなって思います」。ワールドカップを戦う先輩MF鈴木唯人(フライブルク)を後押しする優勝を果たした市立船橋は、流経大柏から学んだことをまた改善。ここからの1か月強の期間で成長を遂げ、インターハイで「強い市船」を示す。


応援も含めて全員で掴んだ白星だった
(取材・文 吉田太郎)
●全国高校総体2026特集
▶お笑いコンビ「ヤーレンズ」がサッカーをしゃべり倒すポッドキャスト「ボケサカ」は毎週金曜配信


