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子どものころの“友達”はディープやオルフェ…九州選抜GKシューマッカー・マシュー(福岡大)「馬と一緒に育ってきた」

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九州選抜のGKシューマッカー・マシュー(福岡大1年=札幌U-18)

[2.21 デンチャレプレーオフ 北信越1-2九州 時之栖A]

 最後の最後で完封を逃した。九州選抜は後半アディショナルタイム5分にセットプレーから失点。スコアは2-1で逃げ切り、プレーオフ決勝に進出する2連勝を決めた試合になったが、GKシューマッカー・マシュー(福岡大1年=札幌U-18)は「(完封は)意識していたので悔しい」と唇を噛んだ。

 オーストラリア人の両親の間に、7人きょうだいの5番目で、マシューは次男として生まれた。オーストラリアで出生したが、1歳の時に来日。そこから自然豊かな北海道で高校卒業までを過ごした。

 日本には父親のマットさんの仕事の都合でやってきた。マットさんの職業は、馬の蹄に蹄鉄を装着する装蹄師さん。ちなみに競馬一家で、父方の祖父は元騎手、母方の祖母もオーストラリアの競馬場で馬の管理をする仕事をしていたという。

 現在、マットさんは社台ホースクリニックに勤務するが、マシューの幼少期は社台スタリオンステーションにも出入りしていた。「僕は馬と一緒に育ってきた。家から10分くらいのところに、ディープインパクトとかオルフェーヴルがいた。好きに入れたので身近な存在でした」。日本競馬史に名を残す三冠馬たちが“友達”だった。

ディープインパクト

オルフェーヴル

 サッカーとは小学校1年生で出会った。現在192cmの身長は当時から目立っており、最初はフィールドでプレーしていたが、小学校6年生の時にGKに転向。もっとも当時の指導者はマシューをずっとGKとして育てたかったようで、「去年くらいに聞いたけど、足下(の技術)をつけさせたくて、フィールドをさせていたらしい」。才能豊かな少年は、中学進学と同時に北海道コンサドーレ札幌のアカデミーに入団した。

 札幌アカデミーで6年間を過ごしたマシューは当初、高卒でのプロを希望していた。しかし話が上手く進まなかったことで、大学進学を模索。そして元Jリーガーで、引退後はYouTuberとして活躍する那須大亮氏が動画で紹介した福岡大に興味を抱き、自ら練習参加を志願した。「自分のやりたいサッカー、ロングボール多めのサッカーとか、あとは体作りをしたいなと思った」。北海道から九州に移り住むことにも抵抗はなかったようだ。

 大学1年目は体づくりに重きを置いてきたが、九州のリーグ戦では6試合に出場。すべて無失点で終えるなど、才能の片りんをみせている。「プロは大学にいるうちから決めて、出始められたらいいなという思いはあります」。今年はよりステップアップを遂げる年にしたいところだ。

 そしていつか。「育ってはいないけど、家族はあっちの方が多いので、そこの想いはあります」と、オーストラリア代表のユニフォームを着てプレーしたいという野望を抱く。「(装蹄師は)自分が怪我とかでできなくなったら、選択肢のひとつにはなるかな」。サラブレッドに囲まれて過ごした幼少期に育まれた優しい心を持つ少年だが、まずはサッカー界でインパクトを残すことを目指す。

(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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