[関西]自身に課すのは「もっとやれるじゃなくて、もっとやらなきゃいけない」という覚悟とマインド。京産大MF皿良立輝はその左足で桜色の未来を力強く切り拓く
[5.28 関西学生L1部前期第9節 阪南大 5-2 京都産業大 たけびしスタジアム京都]
この男が現状の立ち位置に満足しているはずもない。もっとやれると、もっとやらなきゃいけないと自分自身に言い聞かせて、いつだってより高いステージへ目線を向けながら、望んだ未来へと繋がっているはずの扉をこじ開けるべく、ひたすら左足を振り続ける。
「自分の中ではこの1年で、プロのスカウトの方たちにはしっかり目を付けてもらわないといけないと思っていますし、今年はもう「勝負の年」だと思って、シーズンの立ち上げからやってきているので、常に高いところに目標を置いてプレーしています」。
間違いなく特別な才能を与えられている、桜育ちのレフティアタッカー。京都産業大MF皿良立輝(2年=C大阪U-18)は改めて自分の価値を証明するための時間に、真っ正面から立ち向かっていく。
後半開始のピッチに、ベンチスタートだった7番が駆け出していく。関西学生リーグ1部前期第9節。前年王者の阪南大と対峙した一戦は、最初の45分間を終えて、1-3と2点のビハインドを追い掛ける展開に。チームを率いる吉川拓也監督はハーフタイムに3枚代えを決断。MF伊藤翼(3年=C大阪U-18)、MF末谷誓梧(3年=C大阪U-18)、皿良と“セレッソトリオ”が投入される。
しばらく戦列を離れていた皿良は、4日前の天皇杯1回戦・守山侍2000戦で終盤に10分ほどプレーしたものの、リーグ戦のベンチ入りは約1か月ぶり。「あまり気持ちを出すタイプではないですけど、自分のMAXのリミッターを外してやらないと、こういう状況を変えられないと思ったので、意識的に声を出してピッチに入りました」。いつも以上に気合は入っていた。
後半2分。末谷のゴールでたちまち1点差に。意気上がる京都産業大の青い応援スタンド。だが、1トップ下の位置に入った背番号7は幅広く動き回るが、思ったように攻撃の流れへ絡めず、決定的なチャンスを演出するまでには至らない。
「ボールが自分に入る回数が少なかったので、リズムはなかなか作れなかったんですけど、それでもシュートまで持っていったりとか、決定的なパスを通したりするところは、もっともっと出していかないといけなかったですね」。
30分には末谷が、31分にはDF西川宙希(1年=C大阪U-18)がチャンスを掴むも、同点には追い付けず、逆に終盤には2点を奪われ、ファイナルスコアは2-5。「ここで勝つか負けるかが今後のリーグ戦に響いていくという話は昨日のミーティングでもあったので、勝ち切りたい試合ではありました。負けるというのはいつでも本当に悔しいですね」と皿良。リーグ戦では3戦未勝利となる黒星に、京都産業大の選手たちが一様に悔しげな表情を浮かべていたのが印象的だった。
「チームを勝たせられなかったり、タイトルに貢献できていない自分がいるので、良い環境の中でのびのびとできている感覚はあるんですけど、やっぱり自分に対する物足りなさは感じています」。
大学入学からここまでの1年半近い時間を振り返って、皿良はそう口にする。小学生のころから9年間にわたってアカデミーでプレーしてきたC大阪でのトップ昇格が叶わず、身を投じた大学サッカーの世界。前年度のインカレでファイナリストとなったチームの中で、フィジカル面での課題も突き付けられつつ、昨季のリーグ戦では15試合に出場して2得点3アシストという結果が残る。
「もっとやれるじゃなくて、もっとやらなきゃいけなかったと思っています」。ポツリと紡いだ言葉は偽りのない本音だろう。周囲を見渡せば、セレッソアカデミー時代の1つ先輩に当たる北野颯太はJ1の舞台でブレイクし、海外移籍が決定。金本毅騎(阪南大3年)は昨季の関西学生リーグMVPと得点王をダブル受賞し、来季からの古巣帰還が内定している。
「2人とも一緒にプレーしていただけに、『凄いな』という想いはあるんですけど、自分ももっとできるんじゃないかというところで、良い刺激をもらっていますね」。同じグラウンドで、同じ時間を過ごしていたからこそ、その実力はよくわかっている。さらに皿良は意識せざるを得ない“同期”についても言及する。
「(清水)大翔に関しては同期なので、しっかり筑波の試合はチェックして、アイツがどういうプレーをしているのか見ていますよ。筑波と試合をやった時に叩き潰せるように(笑)、しっかり映像を頭の中に刻んでいます。大翔は『止める、蹴る』のクオリティがずば抜けていて、そういうところは高校の3年間で良い刺激をもらいましたし、そこに対してのリスペクトは凄く持っています」。
天皇杯1回戦でRB大宮アルディージャ相手に勝ち切り、2年続けてJクラブを撃破した筑波大のプレーメイカー、MF清水大翔(2年=C大阪U-18)はアカデミーの6年間を共に過ごした盟友であり、大事なライバル。ピッチ上で再会する日までに、自分の方が絶対に成長していたいという気概は、常に持ち合わせている。
今季は背番号7を託されている。福井和樹(相模原)、石原央羅(Honda FC)と引き継がれたこの番号は、チームから向けられている期待の表れ。本人もそれは十分に理解している。
「今年から背番号7を付けさせてもらっているんですけど、(古井裕之)総監督や監督からこの番号の意味はしっかり伝えられましたし、2年生でも先頭に立ってチームを引っ張っていかないといけない存在だというのは、監督からも総監督からも常日頃から言われているので、その期待に応えられるようなプレーをしていかないといけないですよね」。
そのうえで残すべきは明確な結果。自分の評価を高めるためにも、そして、再び桜のユニフォームを纏うためにも、ハッキリとした数字を出し続けることが、何よりも求められていることに疑いの余地はない。
「大学に入ってから名前を全国に轟かせていないので、関西のリーグでもしっかり結果を残していけば、関東の大学生にも名前を改めて覚えてもらえると思いますし、そういったところからまずはやっていけたらいいなと。もっともっとピッチの中で活躍できるように、もっともっと日々成長したいと思いますし、もっともっとアピールして、セレッソに帰れるように頑張りたいなと思っています」。
余計なプライドなんて、もう捨て去った。目指し続けてきた場所へと、必ず這い上がってやる。新たなステージへ辿り着けるか否かは、すべて自分次第。左足に狂気を宿す、京都産業大のナンバー7。皿良立輝は前だけを見据えて、堂々と、軽やかに、桜色の未来を切り拓く。
(取材・文 土屋雅史)
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この男が現状の立ち位置に満足しているはずもない。もっとやれると、もっとやらなきゃいけないと自分自身に言い聞かせて、いつだってより高いステージへ目線を向けながら、望んだ未来へと繋がっているはずの扉をこじ開けるべく、ひたすら左足を振り続ける。
「自分の中ではこの1年で、プロのスカウトの方たちにはしっかり目を付けてもらわないといけないと思っていますし、今年はもう「勝負の年」だと思って、シーズンの立ち上げからやってきているので、常に高いところに目標を置いてプレーしています」。
間違いなく特別な才能を与えられている、桜育ちのレフティアタッカー。京都産業大MF皿良立輝(2年=C大阪U-18)は改めて自分の価値を証明するための時間に、真っ正面から立ち向かっていく。
後半開始のピッチに、ベンチスタートだった7番が駆け出していく。関西学生リーグ1部前期第9節。前年王者の阪南大と対峙した一戦は、最初の45分間を終えて、1-3と2点のビハインドを追い掛ける展開に。チームを率いる吉川拓也監督はハーフタイムに3枚代えを決断。MF伊藤翼(3年=C大阪U-18)、MF末谷誓梧(3年=C大阪U-18)、皿良と“セレッソトリオ”が投入される。
しばらく戦列を離れていた皿良は、4日前の天皇杯1回戦・守山侍2000戦で終盤に10分ほどプレーしたものの、リーグ戦のベンチ入りは約1か月ぶり。「あまり気持ちを出すタイプではないですけど、自分のMAXのリミッターを外してやらないと、こういう状況を変えられないと思ったので、意識的に声を出してピッチに入りました」。いつも以上に気合は入っていた。
後半2分。末谷のゴールでたちまち1点差に。意気上がる京都産業大の青い応援スタンド。だが、1トップ下の位置に入った背番号7は幅広く動き回るが、思ったように攻撃の流れへ絡めず、決定的なチャンスを演出するまでには至らない。
「ボールが自分に入る回数が少なかったので、リズムはなかなか作れなかったんですけど、それでもシュートまで持っていったりとか、決定的なパスを通したりするところは、もっともっと出していかないといけなかったですね」。
30分には末谷が、31分にはDF西川宙希(1年=C大阪U-18)がチャンスを掴むも、同点には追い付けず、逆に終盤には2点を奪われ、ファイナルスコアは2-5。「ここで勝つか負けるかが今後のリーグ戦に響いていくという話は昨日のミーティングでもあったので、勝ち切りたい試合ではありました。負けるというのはいつでも本当に悔しいですね」と皿良。リーグ戦では3戦未勝利となる黒星に、京都産業大の選手たちが一様に悔しげな表情を浮かべていたのが印象的だった。
「チームを勝たせられなかったり、タイトルに貢献できていない自分がいるので、良い環境の中でのびのびとできている感覚はあるんですけど、やっぱり自分に対する物足りなさは感じています」。
大学入学からここまでの1年半近い時間を振り返って、皿良はそう口にする。小学生のころから9年間にわたってアカデミーでプレーしてきたC大阪でのトップ昇格が叶わず、身を投じた大学サッカーの世界。前年度のインカレでファイナリストとなったチームの中で、フィジカル面での課題も突き付けられつつ、昨季のリーグ戦では15試合に出場して2得点3アシストという結果が残る。
「もっとやれるじゃなくて、もっとやらなきゃいけなかったと思っています」。ポツリと紡いだ言葉は偽りのない本音だろう。周囲を見渡せば、セレッソアカデミー時代の1つ先輩に当たる北野颯太はJ1の舞台でブレイクし、海外移籍が決定。金本毅騎(阪南大3年)は昨季の関西学生リーグMVPと得点王をダブル受賞し、来季からの古巣帰還が内定している。
「2人とも一緒にプレーしていただけに、『凄いな』という想いはあるんですけど、自分ももっとできるんじゃないかというところで、良い刺激をもらっていますね」。同じグラウンドで、同じ時間を過ごしていたからこそ、その実力はよくわかっている。さらに皿良は意識せざるを得ない“同期”についても言及する。
「(清水)大翔に関しては同期なので、しっかり筑波の試合はチェックして、アイツがどういうプレーをしているのか見ていますよ。筑波と試合をやった時に叩き潰せるように(笑)、しっかり映像を頭の中に刻んでいます。大翔は『止める、蹴る』のクオリティがずば抜けていて、そういうところは高校の3年間で良い刺激をもらいましたし、そこに対してのリスペクトは凄く持っています」。
天皇杯1回戦でRB大宮アルディージャ相手に勝ち切り、2年続けてJクラブを撃破した筑波大のプレーメイカー、MF清水大翔(2年=C大阪U-18)はアカデミーの6年間を共に過ごした盟友であり、大事なライバル。ピッチ上で再会する日までに、自分の方が絶対に成長していたいという気概は、常に持ち合わせている。
今季は背番号7を託されている。福井和樹(相模原)、石原央羅(Honda FC)と引き継がれたこの番号は、チームから向けられている期待の表れ。本人もそれは十分に理解している。
「今年から背番号7を付けさせてもらっているんですけど、(古井裕之)総監督や監督からこの番号の意味はしっかり伝えられましたし、2年生でも先頭に立ってチームを引っ張っていかないといけない存在だというのは、監督からも総監督からも常日頃から言われているので、その期待に応えられるようなプレーをしていかないといけないですよね」。
そのうえで残すべきは明確な結果。自分の評価を高めるためにも、そして、再び桜のユニフォームを纏うためにも、ハッキリとした数字を出し続けることが、何よりも求められていることに疑いの余地はない。
「大学に入ってから名前を全国に轟かせていないので、関西のリーグでもしっかり結果を残していけば、関東の大学生にも名前を改めて覚えてもらえると思いますし、そういったところからまずはやっていけたらいいなと。もっともっとピッチの中で活躍できるように、もっともっと日々成長したいと思いますし、もっともっとアピールして、セレッソに帰れるように頑張りたいなと思っています」。
余計なプライドなんて、もう捨て去った。目指し続けてきた場所へと、必ず這い上がってやる。新たなステージへ辿り着けるか否かは、すべて自分次第。左足に狂気を宿す、京都産業大のナンバー7。皿良立輝は前だけを見据えて、堂々と、軽やかに、桜色の未来を切り拓く。
(取材・文 土屋雅史)
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