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東京都5部の高校から慶應義塾大の主力に…MF朔浩太朗「高校生に勇気を与えられたら」

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総理大臣杯出場権獲得に貢献したMF朔浩太朗(3年=学習院高)

[6.27 アミノ関東9位~10位決定戦 慶大2-1明大 AGF]

 チームに勇気を与える先制点になった。慶應義塾大は前半2分、ハーフウェー付近からMF齋藤真之介(4年=町田ユース)が相手DFの背後にロングパスを通すと、右サイドを駆け上がったMF朔浩太朗(3年=学習院高)が反応。勢いのままにエリア内に侵入し、ニアサイドを抜いてゴールネットを揺らした。

 総理大臣杯の出場権をかけた大一番、それも明治大が相手だったが、試合前から勝てる雰囲気があったという。「前期のリーグ戦も0-2で負けたけど、大雨で。今回は晴れで暑い中でも最後までやろうと、絶対に勝とうという思いでやっていました」。試合は後半に同点とされる展開になったが、後半24分にMF角田惠風(4年=横浜FMユース)のゴールで勝ち越した慶大が、2年連続となる総理大臣杯の出場権をつかみ取った。

 仲間が用意してくれた舞台だった。朔は24日に学校でテストがあったために、同日に行った順位決定戦1日目の立教大戦を欠場していた。当初は24日の4回戦・流通経済大戦に勝利することで総理大臣杯を決めて心置きなくチームを離れるつもりでいたが、朔が先制点を決めながらも逆転負けしていた。

 立教大戦はスマートフォンでチェック。しかし14時キックオフのゲームで、テスト開始の16時30分までには結果が分かる予定でいたが、試合はまさかの延長戦に突入。PK戦に入れば結果が分からないままテストが始まることになっていた。「ヤベーと思ったけど、延長が終わるぞというところで(角田)惠風が決めてくれた」。テスト直前に決まった決勝弾。気持ちよくテストに入れたことで、「表面は完ぺきだった」と試合と同様に、前半で結果を残せたと笑った。

 家族に慶大出身者が多く、「昔から慶應に行くもんだと育てられた」という。中学受験には失敗したが、中高を学習院で過ごし、大学から慶大にやってきた。ただサッカーはというと、「プロを目指すと言えば笑われるような環境にいた」。これまで全国大会とは縁がなく、高校時代に戦ったリーグも東京都5部だった。

 しかしそんな選手でも大学のトップレベルでやれることを証明したかったという。ソッカー部にも、そんな思いを強く持ったことで入部を決めた。「東京都5部レベルから関東1部で活躍している選手はなかなかいない。自分が活躍して、そういう環境の高校生に勇気を与えられたらいいなと思います」。大学は入れ替わりとなったが、同じ学習院出身で活躍した古川紘平さんのような夢を与えられる選手になりたいと意気込む。

 大学では理工学部機械工学科で学ぶ。将来は文系就職や大学院進学など、幅広く可能性を探っていくつもりでいる。「サッカーでプロは今は全然考えていない。でも対戦する選手は全員が全員プロを目指しているような選手。その中で自分も成長しないといけないと考えると、プロから内定をもらうんだという基準でやっていかないとなと思っています」。

 入学当初、同学年で入部したFW塩貝健人(NEC)に「雲の上の存在。彼とプレーしたいなという感じだった」と憧れを抱いたことも懐かしい思い出。慶大の主力に成長した秀才アタッカーは、「総理大臣杯?超楽しみです。大臣杯があることできつい合宿がなくなるという噂。1年生の時は死ぬほどきつくて。だから楽しみな夏休み。チームとしても全国制覇を掲げているので、自分も活躍して達成したい」と胸を躍らせた。

(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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