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多くの学びを得る湘南入り決断…中央大GK岩瀬陽、弟は今月高校選手権に参戦「負けないように兄貴も頑張らないと」

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GK岩瀬陽(4年=興國高)

 内定先の湘南ベルマーレでは学ぶものが多かったようだ。中央大GK岩瀬陽(4年=興國高)は「判断のスピード、動きのスピードとすべてにおいてスピードがまだまだ足りない。スピードアップに努めないとJリーグのスピード感で試合に出るのは厳しい」と課題を明確に持ちながら、プロ1年目となる来季を見据えた。

 岩瀬がGKを始めたきっかけは小学3年生の頃、身長が大きかった関係でCBとGKを兼任していた際にCBで出場したにもかかわらずボールをキャッチしてしまったことだという。プレーに迷いが生じないようにどちらのポジションに専念するか決めることになり、GKを選択。その後は研鑽を重ねてGKスキルを高め、昨年6月からは中央大の守護神に定着した。今季の関東大学リーグでは22試合中19試合でゴールを守った。

 湘南にはプレシーズンキャンプから参加していたものの、正式なオファーを貰ったのは10月。J2クラブからはすでにオファーを受けていたようで「他のチームに行こうとしていた」絶妙なタイミングだったことを明かした。

 そうした中で湘南入りを決めた背景には、オファーを受けた時点で唯一のJ1クラブだったことだけではなく、練習参加時の充実感もあるという。経験豊富で実力もリーグ屈指のGK上福元直人にはプレー選択の判断や無駄のない動きを学び、「すごく学べるものや盗めるものがあった」と岩瀬。シーズン終盤に起用されていたGK真田幸太からは190cmと長身ながら素早い足の運びの凄みを感じ、さらには「GKコーチにすごく細かく指導してもらった。短い期間ではあったけどすごく成長できると感じた」と多くの経験を得られていたようだ。

 GKチームから受けた刺激だけでなく、ベテランのフィールドプレーヤーから貰った金言も大切にしている。明るい性格でチームを盛り上げる岩瀬だが、32歳のMF鈴木雄斗からは守護神としてあるべき姿を示された。

「僕のキャラだとちょっとおちゃらけているように見えたりするけれど、『ピッチの中ではそういうキャラは舐められる。GKなのでどれだけ自分の言葉を聞いてもらえるかで立ち位置や存在も変わってくる。ピッチの中では180度人間を変えるようにやらないと上に上がるのは難しい』と言われた。そういったところは意識していきたいと思います」(岩瀬)

 そして、兄として活躍する姿を見せていく意欲も高めている。4学年下の弟であるGK岩瀬颯は今冬、兄に続いて入学した興國高で全国高校サッカー選手権に出場する。県予選決勝のPK戦では颯が3本連続で止める脅威的な活躍で6大会ぶりの出場権獲得に貢献。同日にリーグ戦を戦っていた兄のスマートフォンには「弟すげぇな」と知人からの連絡が入っていたようで、映像を見て「やるな」とニヤリ。全国大会は初戦の現地観戦を考えているようだ。

 年齢差があるためともにプレーした機会はないに等しいが、新型コロナウイルスの外出自粛期間は一緒に自主練に励んでいた模様。兄は高校2年生、弟は中学2年生ということで岩瀬は当時を「レベル差が結構あった」と懐かしむ。ただ昨年に母校に練習参加した際には成長ぶりを実感したといい、どこか切磋琢磨できていることを喜ぶようにしながら「負けないように兄貴も頑張らないといけないなと思っている」と力を込めた。

 岩瀬は「ここからは本当に勝負の世界。何年後にクビになっているのかは分からない世界ので、一日一日を大切にしてはまずは試合に出ることを目標に頑張っていきたい」と覚悟を滲ませながらプロ1年目を見据える。現在を「スタートライン」と強調する守護神は湘南でさらなる成長を重ね、湘南のゴールを守っていく考えだ。

(取材・文 加藤直岐)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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