興國高で30人以上のプロ選手を育成。奈良が内野智章氏のユースコーチ兼テクニカルダイレクター就任を発表
奈良クラブは1日、興國高(大阪)のGMを勤める内野智章氏がユースコーチ(U-18B担当)兼テクニカルダイレクターに就任することを発表した。内野氏は「日本文化の象徴的な古都・奈良で日本のアヤックスを目指したい。奈良出身でもある古橋(享梧)のような世界で活躍する選手を、奈良からたくさん輩出できるように頑張ります」と意気込みを口にしている。
内野氏は初芝橋本高、高知大を経てJFL時代の愛媛FCでプレー。現役引退後の2006年に興國の監督に就任すると、個の育成にこだわった指導によって部員わずか12人だったチームを全国屈指の注目校へと導いた。2013年に初のJリーガーを輩出すると、以降もコンスタントにタレントを育て、興國出身のプロサッカー選手は日本代表のFW古橋亨梧(セルティック)を筆頭に30人以上に及ぶ。2019年度には初の選手権出場も経験した。
近年は指導者として更なる成長を目指し、指導者ライセンスの取得を進めていたが、昨年6月には学校からGMのポジションを託され、現場から離れることになった。これからチームをより良くしていくための策を考えていたタイミングであり、チームには内野氏を慕う選手も多い。心残りな気持ちもあったが、「現場に対するこだわりは強く、もっと良い指導者になりたかった」。内野氏は空いた時間を利用し、旧知の指導者がいる小中年代のチームでスポットでの指導を行ないながら、指導者として現場に立てるチームを探していたという。
現場での指導を模索する中、Jリーグ参入を目指す地域リーグチームの監督やJFLチームのコーチなど熱心な誘いも受けた。ゆくゆくは1種年代の指導にも興味を持っているが、20年近く携わってきた高校生年代に対する指導への想いが強かったため、それらのオファーには断りを入れたという。
そうした中で声がかかったのは奈良クラブだった。奈良の濱田満社長は、パリ・サンジェルマンやアルビレックス新潟が導入するサッカーサービス社の「エコノメソッド」を日本に持ち込んだことで知られる人物。興國にも導入されており、10年以上も前から親交があった。また、コロナ禍前までチームが毎年行なっていたスペイン遠征にも濱田氏が帯同してきたという。昨年は興國のMF國武勇斗が奈良入りした縁もある。
良き理解者でもある濱田社長から、与えられたのはユースコーチ(U-18B担当)兼テクニカルダイレクターというポスト。指導者ライセンスを取得するため、チームを離れる期間が長く、Aチームの監督は好ましくないと考えていた内野氏にとっても好都合だった。奈良では高校年代だけでなく、アカデミー全体で個の育成に特化した指導を行ないながら、並行して濱田社長が代表を務める山梨県のアメージングアカデミーの指導も行っていく。また、今後もスーパーバイザーとして興國に携わるという。
奈良クラブユースと興國は昨夏に行なったフェスティバルで対戦。1-0で興國が勝利したが、下級生主体だった奈良クラブユースのレベルの高さに内野氏は驚いたという。Jクラブの強豪アカデミーが多い関西においては後発だが、アメージングアカデミーを筆頭に楽しみな選手は集まっている。昨年には2面の人工芝グラウンドに寮を備えた「ナラディーア」という施設が完成し、環境面も整った。
内野氏が理想として挙げるのはオランダのアヤックス。「国内リーグで結果を出しながら、五大リーグに選手を送り出していくアヤックスのように、奈良クラブから世界に選手を送り出していきたい」。高校サッカーで異彩を放った指導者が新天地でどのような選手を育てていくのか注目が集まる。
(取材・文 森田将義)
内野氏は初芝橋本高、高知大を経てJFL時代の愛媛FCでプレー。現役引退後の2006年に興國の監督に就任すると、個の育成にこだわった指導によって部員わずか12人だったチームを全国屈指の注目校へと導いた。2013年に初のJリーガーを輩出すると、以降もコンスタントにタレントを育て、興國出身のプロサッカー選手は日本代表のFW古橋亨梧(セルティック)を筆頭に30人以上に及ぶ。2019年度には初の選手権出場も経験した。
近年は指導者として更なる成長を目指し、指導者ライセンスの取得を進めていたが、昨年6月には学校からGMのポジションを託され、現場から離れることになった。これからチームをより良くしていくための策を考えていたタイミングであり、チームには内野氏を慕う選手も多い。心残りな気持ちもあったが、「現場に対するこだわりは強く、もっと良い指導者になりたかった」。内野氏は空いた時間を利用し、旧知の指導者がいる小中年代のチームでスポットでの指導を行ないながら、指導者として現場に立てるチームを探していたという。
現場での指導を模索する中、Jリーグ参入を目指す地域リーグチームの監督やJFLチームのコーチなど熱心な誘いも受けた。ゆくゆくは1種年代の指導にも興味を持っているが、20年近く携わってきた高校生年代に対する指導への想いが強かったため、それらのオファーには断りを入れたという。
そうした中で声がかかったのは奈良クラブだった。奈良の濱田満社長は、パリ・サンジェルマンやアルビレックス新潟が導入するサッカーサービス社の「エコノメソッド」を日本に持ち込んだことで知られる人物。興國にも導入されており、10年以上も前から親交があった。また、コロナ禍前までチームが毎年行なっていたスペイン遠征にも濱田氏が帯同してきたという。昨年は興國のMF國武勇斗が奈良入りした縁もある。
良き理解者でもある濱田社長から、与えられたのはユースコーチ(U-18B担当)兼テクニカルダイレクターというポスト。指導者ライセンスを取得するため、チームを離れる期間が長く、Aチームの監督は好ましくないと考えていた内野氏にとっても好都合だった。奈良では高校年代だけでなく、アカデミー全体で個の育成に特化した指導を行ないながら、並行して濱田社長が代表を務める山梨県のアメージングアカデミーの指導も行っていく。また、今後もスーパーバイザーとして興國に携わるという。
奈良クラブユースと興國は昨夏に行なったフェスティバルで対戦。1-0で興國が勝利したが、下級生主体だった奈良クラブユースのレベルの高さに内野氏は驚いたという。Jクラブの強豪アカデミーが多い関西においては後発だが、アメージングアカデミーを筆頭に楽しみな選手は集まっている。昨年には2面の人工芝グラウンドに寮を備えた「ナラディーア」という施設が完成し、環境面も整った。
内野氏が理想として挙げるのはオランダのアヤックス。「国内リーグで結果を出しながら、五大リーグに選手を送り出していくアヤックスのように、奈良クラブから世界に選手を送り出していきたい」。高校サッカーで異彩を放った指導者が新天地でどのような選手を育てていくのか注目が集まる。
(取材・文 森田将義)