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興國高のエースFW宮原勇太が今夏から欧州挑戦!ポーランド1部のグールニク・ザブジェへ加入し、ポドルスキと同僚に

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興國高FW宮原勇太(右)がポーランド1部、グールニク・ザブジェへ加入。FWルーカス・ポドルスキとチームメートに

 ポーランド1部、グールニク・ザブジェは25日、興國高(大阪)FW宮原勇太(3年)の新加入が決まったことを発表した。宮原はすでに日本を離れており、このままグールニク・ザブジェで活動。注目アタッカーが、高校生活を半年残した段階で欧州挑戦をスタートしている。

 グールニク・ザブジェは1960年代にリーグ6連覇を果たした古豪で、現在はヴィッセル神戸などでプレーした元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキが在籍。宮原は「1年目から結果を残して、現地のサポーター、チームメイト、監督から好かれる選手になりたい。ポドルスキはレジェンドの選手なので、一緒にやれるのは凄く楽しみ」と意気込みを口にした。

 持ち味であるスピードとテクニックを備えたドリブルは、簡単に止められない。興國では入学前から10番。RIP ACE SC時代から世代別代表に選ばれてきた宮原は、中学時代から海外志向が強かった。高校進学時には数多くの誘いが届いていたが、高卒で海外に行けるチームだと感じた興國への進学を決断。「高卒での海外を目標にしていたし、興國のサッカーなら自分が一番成長できると感じた」と振り返る。実際、今年6月までチームの指揮を執った内野智章総監督からは「内野式ドリブル」として、これまで意識してこなかった失わないドリブルなどを教わり、長所に磨きがかかったという。

 チームも宮原の夢を後押しするため、高校1年目の冬から海外クラブの練習参加をサポートしてきた。今年に入ってからは長期間ヨーロッパに渡り、複数クラブの練習に参加。「1度海外を経験しているので、どうすればパスが受けられるかを知っていたのが大きかった。通用した部分をいっぱい出せたので成長を感じました。向こうは結果が全て。ドリブルからクロスを上げてアシストしたり、点を獲れば周りからの信頼が得られると意識していました」。そう振り返る宮原は、ストロングポイントであるドリブルが海外でも通用すると確かな手応えを得た。

 春以降は複数のJ2クラブの練習に参加し、前向きに話が進んでいたが、7月に入ってから宮原の才能を高く評価するグールニク・ザブジェからオファーが届いた。元々海外志向の強かった宮原は、突然のオファーに驚きつつも、「僕自身、一つの目標が叶って、チャレンジという形で行くので楽しみしかなかった」と渡欧を即決。ポーランドのリーグ戦は7月末から始まっているため、早期にチームへと合流することになった。

 興國は8月7日から石川県七尾市などで行なわれた和倉ユースサッカー大会に参加していたが、宮原は一足早くチームを離脱。突然の知らせにチームメイトは驚いたが、宮原の海外志向の高さを知っていたため、「おめでとう」と祝福したという。宮原は海外への支度が済んだ8月12日にポーランドへと出発し、正式サインを済ませた。

 宮原の映像を見たというポドルスキは、関係者を通して「勇太は非常に良い選手で、ポテンシャルもあると思っています。私は日本でプレーもしていましたし、日本人選手のこともよく知っています。慣れるまで数週間はかかると思いますが、このピッチで一緒にプレーをしたいですし、彼のクオリティーを示して多くのアシストやゴールをしてほしいと期待しています。日本から獲得して、このクラブから世界へ翔び立って欲しいと思っています!」とコメント。宮原ももちろん期待に応えるつもりだ。

 高校卒業を待たずに、欧州挑戦をスタートすることは稀なケース。ポーランドに渡ってからもプロサッカー選手として過ごしながら、勉強は続けていくという。「(今回のような欧州挑戦は)興國高校だからこそ、できること。校長先生や、内野さん、六車(拓也)監督、チームメイトから送り出されるのには凄く感謝している。自分も異例だと分かっているので、結果を残す責任はあるので結果を出して行きたい」。送り出してくれた周囲の人たちのため、自らが下した異例の決断が正しかったと証明するため、宮原はプロ一年目から大暴れすることを狙っている。




(取材・文 森田将義 取材協力=興國高、JSP)
森田将義
Text by 森田将義

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