[9.17 NBチャンピオンシップ決勝T1回戦 興國高 1-0 東山高 時之栖うさぎ島G]

“全国大会級のU-16大会”、「ニューバランスチャンピオンシップ 2023 U-16」(静岡)は17日午後、予選リーグを勝ち抜いた16チームによる決勝トーナメントに突入。1回戦8試合が行われ、興國高(大阪)がMF樺山文代志の決勝点によって、東山高(京都)との関西勢対決を1-0で制した。

　興國は「ニューバランスチャンピオンシップ U-16」へ向けて、Aチームなど各カテゴリーに参加していた1年生の主力組が集結。樺山は「ホンマにみんな『めっちゃ、ニューバランス出たい』って色々なカテゴリーの子が言っていて、楽しみにしていて、めちゃくちゃ楽しいですね」と語る。これまでビッグタイトルのない興國は、この“全国大会級”のトーナメントで優勝することが目標。関西Groeien U-16リーグ最終節(1-5)で敗れている難敵を突破し、初優勝へ一歩前進した。

　前半、拮抗した展開の中で互いにチャンスを作り合う。9分、東山はCB岩崎大雅のロングフィードから決定機。さらにMF村上絢哉の突破からMF林亮大朗がフィニッシュへ持ち込む。東山は、各選手が正確に相手の間を取り、林やMF雪本迅之助から効果的なパス。また、右SB田中惺七がチームを鼓舞するなど集中した戦いを見せる。

　一方の興國は20分、FW安田光翔のスルーパスでFW佐藤暸太が抜け出すが。東山GK大石奨太がストップ。興國は23分にも相手セットプレからのカウンターでビッグチャンスを作り出す。安田のスルーパスからMF田中凰我が抜け出すが、シュートはポストを叩いてしまう。

　東山は負傷者が出た影響でリズムを崩したが、0-0で前半終了。だが、後半、3バックから本来の4バックに戻した興國が再び押し込む。そして6分、MF水野凪斗が距離の長いスルーパス。これで抜け出した樺山がGKの動きを良く見てシュートをゴールへ流し込んだ。

　興國OBの鳥栖FW樺山諒乃介を兄に持つ樺山がいずれも交代出場で2試合連続ゴール。「タッチした瞬間、GKが出てきていて、シュートを打つ準備ができていたのでアウトで流し込んだ」。30分ハーフの短期決戦で興國が優位に立った。

　興國はスピードと跳躍力が武器の松岡敏也、ゴール前で身体を張る藤田啓輔と竹村咲登が3バックからのシステム変更に対応。東山は13分、雪本のパスからFW松山佑成が相手DFを剥がしてラストパスへ持ち込むが、惜しくもオフサイドとなり、直後の右足ミドルもわずかに枠上へ外れた。

　東山は19分、雪本のスルーパスでFW田村龍大朗が完全に抜け出したが、追走した興國DF松岡がわずかにスピードを落とした相手に追いつき、ブロックする。ビッグプレーで同点を阻止した興國はこの後、5バックにして守備固め。東山は左SB中原悠真のプレースキックや前線へ上がった岩崎を起点に反撃するが、上加世田航也コーチは「力強さはまだ足りない」と指摘する。GK岩瀬颯含めてタフに守った興國が、1-0で勝利した。

　興國の中山昇コーチは、「(入学当初)サブやった子たちが凄く伸びている」と語り、松岡は「全員が成長してきているからメンバー代えても落ちることなくやれている。この代の良さやと思います。目標はこの大会で優勝。まずは次の試合もしっかりやって、準決勝まで行けたら良いと思います」と語る。準々決勝の対戦相手は昌平高(埼玉)。成長してきたチームが勝って準決勝進出を果たす。
　
(取材・文　吉田太郎)