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「まず守備から」の尚志が市立船橋を4-1撃破。“好循環”の連勝で地元開催のインハイへ弾み

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前半5分、尚志高MF西丸由都(右)が先制ゴール

[7.6 プレミアリーグEAST第11節 尚志高 4-1 市立船橋高 仙台大学サッカーフィールド郡山]

 尚志が2連勝。6日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 EAST第11節1日目が行われ、福島県郡山市の仙台大学サッカーフィールド郡山で10位・尚志高(福島)と12位・市立船橋高(千葉)が激突。尚志が4-1で勝ち、2連勝とした。

地元のジュニアチームがエスコートキッズを務めた

「まずは守備から」を徹底する尚志が、中断期間前の2試合で連勝。地元開催のインターハイへ弾みをつけた。前半5分、FW千住澪央主将(3年)が左中間からドリブルで仕掛けると、対応が後手になった市立船橋DFを引き付けて右前方へラストパス。MF大内完介(3年)のシュートは連続で市立船橋GKギマラエス・ニコラス(3年)に阻まれたが、こぼれをMF西丸由都(3年)がオーバーヘッドシュートでねじ込んだ。

尚志FW千住澪央主将の鋭い仕掛け、スピードは相手の脅威に

前半5分、尚志MF西丸由都がオーバーヘッドシュートで先制ゴール

MF西丸由都(左)と右WB荒川竜之介がゴールパフォ

 だが、市立船橋が立て直し、ボールを保持しながら相手を押し返す。攻め急がず、保持することで主導権を握り、セカンドボールも回収。そして、時間を掛けた揺さぶりから縦パスを差し込む。

 また、スペースへ抜け出すFW伊丹俊元(3年)を活用した攻撃。19分には右サイドを崩し、右SB井上千陽(3年)の折り返しのこぼれをMF金子竜也(3年)が右足で狙う。これは尚志DF大須賀元(3年)がブロック。このプレーで大須賀が負傷交代したものの、尚志は緊急出場したDF久保木壮(3年)を含めて堅い守りを続けた。

 尚志は今季リーグ戦開幕後から、DF星慶次郎(3年)をリベロに配置した3バックを採用中。両脇の選手をサポートしながら、DFラインから前へ飛び出してボールを奪う星がこの日も利いていた。相手に攻められる時間は増えていたものの、安定したキャッチングを続けるGK野田馨(3年)を含めて、自陣で粘り強い守備。インターハイ予選を挟んで4連敗を喫した時期もあるが、仲村浩二監督は「『まず守備から』っていうテーマを明確にしていたんで、みんなで共有しながら少しずつ良くなっている」という。

尚志はGK野田馨を中心とした堅守

 昨年はMF安齋悠人(現京都)やMF神田拓人(現早稲田大)をはじめ攻守にタレントを擁し、多彩なサッカーができるチームだった。「去年と違って強くないんだから、全員でまず、いい守備からっていう形でやろう」(仲村監督)の言葉を理解し、マジメに守備からを徹底。この日も相手のショートコンビネーションやサイド攻撃を封じ、そこから鋭いカウンター攻撃を繰り出した。

 尚志は10番MF高橋響希(3年)の展開から左WB板垣大翔(3年)がクロスへ持ち込んでいたほか、右サイドのWB荒川竜之介(3年)がスプリントを連発。ゴール前のシーンを作り出す。

 特に脅威となっていたのが大内と千住だ。U-17日本高校選抜の大内は右サイドでのドリブルが止まらず、DFをかわして中へ切れ込む動きを連発。また、千住はGK野田のキック一本で相手DFと入れ替わって見せるなど、抜群のスピードと強さで相手を苦しめていた。

 市立船橋は幾度か相手守備網に潜り込んで見せる。43分にも右サイドを崩し、井上の折り返しを金子が右足で狙う。尚志も速攻から2点目のチャンスを作っていたが、市立船橋がスーパーゴールで同点に追いついた。前半45+4分、市立船橋は中央でテンポの速いパス交換。そして、前を向いたMF峯野倖(3年)がミドルレンジから右足を振り抜く。これがゴール右上隅に突き刺さり、1-1となった。

前半45+4分、市立船橋MF峯野倖のミドルシュートで1-1

流れを変えるような一撃だった

 堅守・尚志のゴールを破った市立船橋は、後半もCB岡部タリクカナイ颯斗主将(3年)や峯野の中心となってボールを運び、FW久保原心優(3年)がPAで強引にゴールへ迫ろうとする。だが、尚志は決定打を打たせず、逆に再び突き放す。後半11分、千住が相手の背後を突き、FW関口元(3年)が決定的な右足シュート。これは市立船橋GKギマラエス・ニコラスに阻まれたが、大内が左足の強シュートでゴールを破った。さらに19分、大内の右FKをDF西館優真(3年)が頭でゴールへ突き刺し、3-1。声でチームを盛り上げ続けていた西館を中心に、喜びを爆発させた。

後半11分、尚志MF大内完介が勝ち越しゴール

スタンドのチームメートと喜ぶ

後半19分、尚志DF西館優真のヘディング弾で3-1

尚志はムードメーカーのゴールで突き放した

 市立船橋は距離感良くボールを動かしながら反撃。セットプレー、クロスが連続でゴール前に入る。だが、尚志DF陣に弾き返され、西丸や高橋にボールを拾われてしまう。岡部の右足ミドルなど攻め続けていたが、2点目が遠い。市立船橋の波多秀吾監督は「勝負のその際のところとか、 (勝負の)肝というか、あそこをもっともっとやっぱり意識してやらなきゃいけない」。攻守両面で差となったゴール前の攻防。尚志は後半45+3分にもMF小曽納奏(2年)のインターセプトからFW岡大輝(2年)が決め、4-1で白星を勝ち取った。

市立船橋はDF岡部タリクカナイ颯斗のミドルシュートなどで反撃

尚志は後半45+3分、2年生FW岡大輝のゴールで4-1

 今年の尚志は東北高校新人大会で昨年の2冠王者・青森山田高(青森)を破るなど優勝。好スタートを切っていたが、結果が続かず、大内は「ちょっと(攻撃も、守備も)どっちにも中途半端になっちゃうところがあって、チームとしてもバラバラだった」と振り返る。そこから「まず1回、自分たちはもう1番弱いっていう気持ちでやろうと。だから、どんなチームにもまずは粘り強い守備で」(大内)。仲村監督も「勝ちにこだわることがイコール成長に繋がるっていういい循環になっている」と頷くように、全体でまとまって続けてきたことが成果になってきている。

 尚志はこの後、地元・福島開催のインターハイ(7月27日開幕)へ準備。星は「次の練習からもうインターハイ向けてやっていくんですけど、1一発勝負なんで1試合1試合を大事にしていきたいかなと思います」と語り、荒川は「(地元の大会ということを)意識します。(福島固定)開催が1回目なんで。そこは優勝にこだわってやっていきたい」。この日、インターハイ3回戦で戦う可能性のある名門・市立船橋を撃破し、新たな手応えを掴んだ。だが、全国大会で勝ち上がるためにはまだまだレベルアップが必要。近年、全国上位に定着してきた福島の強豪は、ここからよりチーム力を高め、初優勝を地元で飾る。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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