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黒星発進も前向きなプレミア初戦。CB西館優真主将は「前向きにさせるようなプレー」と声で尚志を引っ張る

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尚志高CB西館優真主将(3年=湘南ベルマーレU-15 EAST出身)が声でチームを鼓舞

[4.7 プレミアリーグEAST第1節 流通経済大柏高 1-0 尚志高 流通経済大柏高G]

「パス繋ぐっていうのはずっと練習でもやっていたけれど、練習でやってたことができなくて、多分みんな緊張もあって、流経(流通経済大柏)の応援の圧にやられたり、誰か1人が下向いて、それで周りも伝染されてっちゃうみたいな、そういうのが結構あった。そういう時に自分とか(U-17日本高校選抜のMF大内)完介とかが踏ん張って声出してやっていかないといけないなっていうのは、今日の試合で思いました」

 昨年度のプレミアリーグEAST2位・尚志高(福島)は黒星スタート。CB西館優真主将(3年=湘南ベルマーレU-15 EAST出身)は取り組んできたことを発揮できなかったことを反省し、悔しがった。

 昨年度、尚志はシーズンを通してほぼ3年生のみで戦っている。当時2年生だった現3年生は、セカンドチームとしてプリンスリーグ東北を戦い、4位と健闘。公式戦の経験を重ね、1月の東北高校新人大会では青森山田高(青森)を破って優勝している。だが、ほとんどが初経験となるプレミアリーグの戦いは難しかったようだ。

 前半は前からボールを奪いに来る流通経済大柏高(千葉)に対して冷静さを欠いてしまう部分があった。その中で10番MF高橋響希(3年)が判断良くボールを運んで前進。ゴールへ迫り、セットプレーやFW矢崎レイス(3年)の抜け出しで相手ゴールを脅かした。だが、相手の出足の速さや個々の技術力に苦戦。攻撃回数を十分に増やすことができなかった。

 前半26分にCKからオウンゴールで失点。その後も押し込まれたが、声でチームを鼓舞する西館やCB大須賀元(3年)、MF星慶次郎(3年)がシュートブロックや強度の高い守備を見せ、1点差を継続する。そして、後半は全体的に追い越す動きや相手のポケットを突く動きが増加。積極的な攻守で押し返したものの、仲村浩二監督が「もぎ取れないですね。去年は交代選手で加速できてるじゃないですか。今年はまだそこまでいけていない」と指摘したように、勝負どころでゴールを奪うまでのパワーを出せなかった。

 西館は、試合終盤に負傷交代するまでリーダーシップを発揮。「去年は、セカンドチームでキャプテンをやらせてもらっていて、その時からリーダーシップを意識してやっていて、『自分が折れたらチームも折れる』っていうのは(仲村浩二)監督とかからも言われている。声出すっていうのは武器でもあるし、チームのテンションを上げるっていうのもそうだし、出来てない人がいたらそれを強く言うっていうのも自分はできると思うんで、意識してやっています」と語る。

 昨年の主将を務めたCB渡邉優空(現立正大、日本高校選抜)はベンチの時間が長かったものの、トレーニングからチームを元気に。西館は「優空君は練習とかでも、みんなが静かな時とかも声出したりとかして、ほんとに凄いなと思っていました。(CBの主力として出場していた市川)和弥君も、(高瀬)大也君も必要な声は出すし、できてない人がいたら、そこにちゃんと言えるし、参考にしています」と語る。

 彼らはいずれも、高体連トップクラスのCB。追いつくことは簡単なことではないが、得意とする球際の激しさなど「(自分は)前向きにさせるようなプレーが自信を持ってできると思う」。プレーと声でチームに前を向かせること。そして、先輩たちを超えるような「尚志一の」CB、リーダーを目指す。

 複数の年代別日本代表や高校選抜をはじめ、ベンチにも実力者が並んでいた昨年のような選手層に今年のチームがまだ届いていないことは確か。悔しい黒星スタートとなったが、仲村監督は前向きな評価だった。選手たちは、「(改善し、)グループで崩していけたりとか、一人ひとりが頑張ったりとか、チームとして戦う」(西館)。MF大内完介(3年)や高橋、矢崎らブレイクする可能性を秘めた選手は今年も複数。後半の戦いなど経験を次に繋げ、成長を続けて選手権や地元・福島開催のインターハイで初の決勝進出、日本一などに挑戦する。
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(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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