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[新人戦]作陽学園が米子北との名門校対決を1-0で勝利。予測と反応にこだわるMF片山稜翼が回収力を発揮するなど効果的な動き

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作陽学園MF片山稜翼(2年=ディアブロッサ高田FC出身)は回収力を発揮するなど勝利に貢献

[3.15 中国高校新人大会準々決勝 作陽学園高 1-0 米子北高 維新百年記念公園補助競技場]

 15日、第17回中国高等学校サッカー新人大会(山口)準々決勝で作陽学園高(岡山1)と米子北高(鳥取1)の名門校対決が実現。作陽学園が1-0で勝利した。

 雨中のタフなゲームで勝負強さを見せた。作陽は相手を裏返すことを狙いながらの前半。そして、良い形で前を向くとMF願念利来(2年)のスピーディなドリブルやコンビネーションで米子北の守りを崩しにかかる。

 一方の米子北はMF湯月哲大(2年)とCB熊野俊典(1年)をU-17日本高校選抜の活動で欠く中での戦い。快足右SH石飛五光(2年)の高速ドリブルやMF宮崎亮翔(2年)の飛び出しなど縦への速さと切り替えの速さでセットプレーを獲得し、左SB竹内晴太(2年)のロングスローなどで相手にプレッシャーをかける。

米子北はMF石飛五光の縦突破などで攻め返した

 だが、作陽は空中戦で健闘。184cmCB藤田結大主将(2年)とCB有森健太(2年)の両DFに加え、左SB前田湊斗(2年)も跳ね返しで貢献すると、中盤では酒井貴政監督が「いるといないとでは全然違います」と評するMF片山稜翼(2年)がセカンドボール回収の回数を増やしていく。

作陽のCB藤田結大主将は抜群の高さを発揮

 片山は「セカンドボールの反応っていうのは自分の中でもずっと意識していて、特に相手が米北っていうのもあって、そういう反応とか速いんで、あそこは自分が負けないようにして、貢献できたらとずっと思っていました」。特に重視していることは予測。トレーニングから相手よりも先にポジションを取ることや、守備の細かな立ち位置にこだわることで上げてきた反応速度を表現していた。

 右SB細川斗暉(1年)やFW妹川将基(2年)の高さを活かした米子北のセットプレーによって危ないシーンもあったことは確か。だが、有森がスライディングタックルを決めるなど、作陽は我慢強く無失点で試合を進める。そして、ボールを奪い返すとテンポを変えながらの攻撃で相手に揺さぶりを掛けていた。

作陽学園CB有森健太がスライディングタックルを決める

 その作陽が後半17分に先制点を奪う。右SB磯田奏和(2年)のスルーパスにFW佐野峯隼弥(2年)が反応して相手GKよりも先に触れると、こぼれ球を願念がゴールへ押し込んだ。

作陽学園MF願念利来は決勝点を決めた

 米子北も交代出場FW畑中大河(2年)のPA侵入から宮崎の右足シュートがクロスバーを叩く。米子北は繰り返し攻めるも、攻撃が浮き球中心となってしまい、高さのある相手DF陣や182cmGK山崎柊太(2年)に跳ね返されてしまう。

 逆に作陽はMF桃柄辰秋(2年)や願念、交代出場FW岡慶太(2年)が速攻から鋭くゴールへ向かう。米子北はCB浜梶優大(2年)を中心にその攻撃を阻止して同点を目指したが、相手MF片山らにボールを奪い返されるなど最後まで1点を挙げることができず。藤田が「後ろが無失点に抑えてたら、多分前は攻撃しやすい。そこは絶対守ってあげようって言っていました。押し込まれる時間帯がめっちゃ多かったんですけど、僕ら県大会無失点で勝ち上がってきて、(中国大会でも)崩されての失点は今までなかったんで、そこは自信を持って守れました」と説明したように、作陽が怯まずに戦い抜き、1-0で勝利した。

勝利を喜ぶ作陽学園イレブン

 攻撃でのサポート含めて作陽の中盤で効いていた片山は昨年、セカンドチームでも出場回数は多くなかったというが、当時からどこにスペースが空いているのかなどの「空間認識能力と、球際負けないって戦う部分は成長させてもらいました」。MFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリー)を理想像に挙げるボランチは、「守備とかセカンドボールとかだけじゃなくて、やっぱ自分も得点できるような攻撃力を上げていったり、そういうところでチームに貢献していきたいです」と意気込んでいる。

昨年、作陽はインターハイでベスト16入りしながら、選手権予選決勝で宿敵・岡山学芸館高に惜敗。悪天候のタフなゲームで勝ち切ることができなかった。酒井監督が「あの状況でも勝てるチームに。(年間を通して)進化できるチームにしたい」という名門校はこの日、新たな自信に繋がる白星を勝ち取った。

 そして、藤田が「(米子北戦勝利は)まず通過点で、今日もう1試合あるんで、まず今日2勝すること」と話していた通り、同日に開催された高川学園高(山口1)との準決勝をPK戦で制して決勝進出。選手層の厚さ含めて「面白い」(酒井監督)という作陽が14年ぶりの中国新人大会優勝に王手をかけた。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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