[浦和カップ]原口元気の真摯な姿勢に学んだ「浦和を背負う」ということ。浦和ユースDF田中一信、は憧れのプレミアの舞台で自分の名前を轟かせる!
[3.30 浦和カップ 浦和ユース 4-0 健大高崎高 浦和西高G]
左サイドのタッチライン際は、誰にも譲りたくない自分のゾーンだ。縦への花道が見えたら、もう止まる選択肢なんて存在しない。力強く駆け上がり、果たすべき仕事を果たす。チームメイトに勝利の笑顔をもたらすため、日々磨いてきた左足を振るい続けてやる。
「プレミアはジュニアユースの時にも試合を応援しに行ったりしていて、『あそこでやりたいな』と思っていた夢の舞台なので、自分の得意な左足のキックからのクロスやシュートで、アシストや得点という結果を残していきたいです」。
4年ぶりにプレミアリーグへ帰ってきた浦和レッズユース(埼玉)が誇る、一撃必殺の武器を携える好レフティ。DF田中一信、(新3年=浦和レッズジュニアユース出身)は待ち焦がれてきた憧れのステージでも、はっきりと目に見える結果を希求していく。
埼玉の県内外から24チームが集まった『第44回さいたま市招待高校サッカーフェスティバル 浦和カップ』。予選グループ2日目に臨んだ浦和ユースは、昨年もプリンスリーグ関東1部で対戦経験のある健大高崎高(群馬)と対峙。今季からチームの指揮を執る阿部勇樹監督も「まだメンバーを固定したりはしていないので、この浦和カップでいろいろ試しながら、ここでアピールしてくれる子を来週の開幕に自信を持って送り出したいなと思います」と話したように、各学年をシャッフルしたメンバーがピッチへと解き放たれる。
フレッシュな新1年生も躍動する中で、左サイドバックに入った14番の落ち着いたプレーが一際目を引く。「去年はプリンスの上位に付けていて、チームも勝ち続けていた中で、自分も主力としてずっと試合に出られていたことで良い経験を積めたので、3年生というアカデミー最後の年を良い形で迎えられたかなと思います」。
2年生だった昨シーズンから定位置を確保していた田中は、プリンスリーグ関東1部でも全18試合中15試合にスタメン出場を果たし、チームのプレミアリーグプレーオフ進出権獲得にきっちり貢献。迎えたプレーオフでは2試合に出場し、決勝の京都サンガF.C.U-18戦ではゴールも記録するなど、印象的な活躍を披露していた。


この日もボールを持った時の縦への推進力は言うに及ばず、流れを察知しながらインサイドに潜って中央でビルドアップに加わる姿勢も見せており、その一連からは確かなプレービジョンを有していることが垣間見える。
昨シーズンに突き付けられた課題も、自分の中ではしっかりと把握している。「去年の前期で1回出られなくなった時があって、その時は守備の部分が課題だったので、そこで自分と向き合ったことで、今年は結構苦手だった守備も強みになってきているなと思います」。シビアな球際にも激しく寄せ切るあたりに、守備への高い意識も窺えた。
25分ハーフの試合はFW中村虎太郎(新2年)の2ゴールに、MF阿部湧心(新3年)とMF宮﨑叶(新1年)も得点を叩き出し、4-0で快勝。「今年1年は一体感を持ってやっていこうというのがチームの目標で、1つのチームとしてやれているのが良さかなと思います」と田中も口にした通り、チームが纏っているポジティブな空気感も印象的だった。


今冬にはトップチームのキャンプにも帯同。「守備面でも良いところは見せられましたし、試合の中でも自分のクロスからチャンスにも絡めたので、良いインパクトは残せたんじゃないかなという手応えはありました」。プロ相手にも一定のパフォーマンスを見せられたことで、自信を深めることに成功したようだ。
一方でアカデミーの大先輩が見せていた日常での振る舞いには、大いに刺激を受けたという。「ユース出身の原口元気選手は、練習でも食事でも何においても一番最初に準備していて、そういうところでチームを引っ張っていっている人なんだなと感じましたね」。レジェンドの背中から学んだことは、自身の中へ今も確実に息衝いている。
田中の正式な名前の表記は『田中一信、』。印象的なそれの由来を尋ねると、笑顔でこう教えてくれた。「祖父が付けてくれたんですけど、画数も含めて名字と名前のバランスを考えた時に、一画加えるという意味で『、』を入れて縁起を良くしたいということで、名付けてくれたと聞いたことがあります。自分でも気に入っていますし、絶対に注目も集められると思うので、この名前をもっと広めていきたいですね」。
2年間待ち続けてきたプレミアデビューの瞬間は、すぐそこまで迫っている。自分の名前を、自分の存在を、より広い世界へと轟かせるための準備は、もう万端と言っていいだろう。
「去年の高校選手権で優勝したり、上位に行くようなレベルの高いチームもいるので、1試合1試合しっかり勝っていくことが大事になってくると思っていますし、優勝を狙いたいという想いはありますけど、まずは1試合1試合の勝利にフォーカスしていきたいと思います。個人としては、もちろんチャンスがあればトップチームにも行きたいので、まずはプレミアの舞台で活躍して、どんどん上のレベルに上がっていきたいなと思っています」。
ただ一心に、目の前のボールを追い掛ける。ONE HEART。ONE BELIEVE。信じるのは、自分の左足と頼れるチームメイトたち。浦和ユースの左サイドを疾走する14番。田中一信、という名前、覚えておいて損はない。


(取材・文 土屋雅史)
左サイドのタッチライン際は、誰にも譲りたくない自分のゾーンだ。縦への花道が見えたら、もう止まる選択肢なんて存在しない。力強く駆け上がり、果たすべき仕事を果たす。チームメイトに勝利の笑顔をもたらすため、日々磨いてきた左足を振るい続けてやる。
「プレミアはジュニアユースの時にも試合を応援しに行ったりしていて、『あそこでやりたいな』と思っていた夢の舞台なので、自分の得意な左足のキックからのクロスやシュートで、アシストや得点という結果を残していきたいです」。
4年ぶりにプレミアリーグへ帰ってきた浦和レッズユース(埼玉)が誇る、一撃必殺の武器を携える好レフティ。DF田中一信、(新3年=浦和レッズジュニアユース出身)は待ち焦がれてきた憧れのステージでも、はっきりと目に見える結果を希求していく。
埼玉の県内外から24チームが集まった『第44回さいたま市招待高校サッカーフェスティバル 浦和カップ』。予選グループ2日目に臨んだ浦和ユースは、昨年もプリンスリーグ関東1部で対戦経験のある健大高崎高(群馬)と対峙。今季からチームの指揮を執る阿部勇樹監督も「まだメンバーを固定したりはしていないので、この浦和カップでいろいろ試しながら、ここでアピールしてくれる子を来週の開幕に自信を持って送り出したいなと思います」と話したように、各学年をシャッフルしたメンバーがピッチへと解き放たれる。
フレッシュな新1年生も躍動する中で、左サイドバックに入った14番の落ち着いたプレーが一際目を引く。「去年はプリンスの上位に付けていて、チームも勝ち続けていた中で、自分も主力としてずっと試合に出られていたことで良い経験を積めたので、3年生というアカデミー最後の年を良い形で迎えられたかなと思います」。
2年生だった昨シーズンから定位置を確保していた田中は、プリンスリーグ関東1部でも全18試合中15試合にスタメン出場を果たし、チームのプレミアリーグプレーオフ進出権獲得にきっちり貢献。迎えたプレーオフでは2試合に出場し、決勝の京都サンガF.C.U-18戦ではゴールも記録するなど、印象的な活躍を披露していた。


プレミアリーグプレーオフの清水ユース戦でドリブル突破を図る田中一信、
この日もボールを持った時の縦への推進力は言うに及ばず、流れを察知しながらインサイドに潜って中央でビルドアップに加わる姿勢も見せており、その一連からは確かなプレービジョンを有していることが垣間見える。
昨シーズンに突き付けられた課題も、自分の中ではしっかりと把握している。「去年の前期で1回出られなくなった時があって、その時は守備の部分が課題だったので、そこで自分と向き合ったことで、今年は結構苦手だった守備も強みになってきているなと思います」。シビアな球際にも激しく寄せ切るあたりに、守備への高い意識も窺えた。
25分ハーフの試合はFW中村虎太郎(新2年)の2ゴールに、MF阿部湧心(新3年)とMF宮﨑叶(新1年)も得点を叩き出し、4-0で快勝。「今年1年は一体感を持ってやっていこうというのがチームの目標で、1つのチームとしてやれているのが良さかなと思います」と田中も口にした通り、チームが纏っているポジティブな空気感も印象的だった。


今冬にはトップチームのキャンプにも帯同。「守備面でも良いところは見せられましたし、試合の中でも自分のクロスからチャンスにも絡めたので、良いインパクトは残せたんじゃないかなという手応えはありました」。プロ相手にも一定のパフォーマンスを見せられたことで、自信を深めることに成功したようだ。
一方でアカデミーの大先輩が見せていた日常での振る舞いには、大いに刺激を受けたという。「ユース出身の原口元気選手は、練習でも食事でも何においても一番最初に準備していて、そういうところでチームを引っ張っていっている人なんだなと感じましたね」。レジェンドの背中から学んだことは、自身の中へ今も確実に息衝いている。
田中の正式な名前の表記は『田中一信、』。印象的なそれの由来を尋ねると、笑顔でこう教えてくれた。「祖父が付けてくれたんですけど、画数も含めて名字と名前のバランスを考えた時に、一画加えるという意味で『、』を入れて縁起を良くしたいということで、名付けてくれたと聞いたことがあります。自分でも気に入っていますし、絶対に注目も集められると思うので、この名前をもっと広めていきたいですね」。
2年間待ち続けてきたプレミアデビューの瞬間は、すぐそこまで迫っている。自分の名前を、自分の存在を、より広い世界へと轟かせるための準備は、もう万端と言っていいだろう。
「去年の高校選手権で優勝したり、上位に行くようなレベルの高いチームもいるので、1試合1試合しっかり勝っていくことが大事になってくると思っていますし、優勝を狙いたいという想いはありますけど、まずは1試合1試合の勝利にフォーカスしていきたいと思います。個人としては、もちろんチャンスがあればトップチームにも行きたいので、まずはプレミアの舞台で活躍して、どんどん上のレベルに上がっていきたいなと思っています」。
ただ一心に、目の前のボールを追い掛ける。ONE HEART。ONE BELIEVE。信じるのは、自分の左足と頼れるチームメイトたち。浦和ユースの左サイドを疾走する14番。田中一信、という名前、覚えておいて損はない。


(取材・文 土屋雅史)


