福岡U-18は無念の逆転負けで今季初白星には届かず。強風下でも「自分たちで判断すること」を積み重ねた名古屋U-18はWEST唯一の開幕連勝達成!
[4.13 プレミアリーグWEST第2節 福岡U-18 1-2 名古屋U-18 福岡フットボールセンター]
強風が吹き付ける中でも、早い時間に先制されても、終盤までタイスコアで推移する展開にも、若鯱の選手たちはいたって冷静だった。状況は刻々と変わる。その中でも自分たちで判断し、決断し、実行していく。WEST唯一の2連勝も決してフロックではないと言い切れるだけの力を、彼らはゲームの中で間違いなく発揮していた。
「プレシーズンは良いゲームができているけど勝ち切れない試合が多かった中で、プレミアが始まってから勝負強さというところは付いてきているので、自分たちのやりたいサッカーが少しずつですけど、できているのかなと思います」(名古屋グランパスU-18・野村勇仁)
終盤にエースが挙げた逆転弾で、堂々の開幕連勝達成!13日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 WEST第2節で、アビスパ福岡U-18(福岡)と名古屋グランパスU-18(愛知)が対峙した一戦は、立ち上がりに福岡U-18が先制したものの、前半のうちに追い付いた名古屋U-18が、後半38分にFW大西利都(3年)が決勝ゴールを沈め、2-1で逆転勝利を収めている。
「風が凄かったですね」と名古屋U-18を率いる三木隆司監督も言及するような、かなり強い風が吹く中でキックオフされた試合は、いきなりセットプレーで動く。前半8分。福岡U-18が右サイドで手にしたFK。キッカーのFW前田陽輝(2年)が蹴り込んだボールにMF廣田陸人(3年)が頭で触ると、「練習から狙っていたところなので、狙い通りでした」と中央で待っていたMF中村環太(3年)がプッシュしたボールは、そのままゴールへ転がり込む。ホーム開幕戦に多数詰め掛けたサポーターと共有した歓喜。まずは福岡U-18が1点をリードする。
16分も福岡U-18。ここも前田が放り込んだ右CKから、キャプテンのDF樺島勇波(3年)がマーカーと競り合いながら頭に当てたボールは、クロスバーにヒット。直後のカウンターは名古屋U-18。キャプテンのMF野村勇仁(3年)が粘って残し、MF小島蒼斗(2年)が背後へ落とすと、走ったFW伊藤ケン(3年)のシュートは福岡U-18のGK田中利玖(2年)がファインセーブで応酬。スリリングな一連に会場のボルテージも一段階上がる。
すると、24分に生まれたのは同点弾。大西が倒されて得た名古屋U-18のFK。ゴールまで約20メートルの位置から、MF八色真人(3年)が枠へ収めたキックは田中が懸命に弾き出したものの、いち早く反応した小島がボールをゴールネットへねじ込む。「ちょっと気を抜いたところで自分たちがファウルをしてしまって、FKから決められたところで、『本当に一瞬でやられるリーグだな』と感じました」とは福岡U-18の中村。以降もやや風上の名古屋U-18が優位にゲームを進めながら、最初の45分間は1-1で推移した。
後半はお互いにチャンスを作り合って、幕が上がる。1分は福岡U-18。右サイドを前田が単騎で抜け出し、丁寧なクロスを上げるも、FW松尾遼磨(3年)が合わせたヘディングは枠の右へ。4分は名古屋U-18。左サイドでMF野中祐吾(3年)が残し、八色のシュートのこぼれ球を野村が低空ミドルで枠へ収めるも、田中が横っ飛びでファインセーブ。どちらも追加点への意欲を強く滲ませる。
ただ、少しずつリズムを引き寄せたのは「後半はより能動的に、前から守備のアクションを起こすということで、自分たちがボールを拾えるようになった」と野村も話したアウェイチーム。前線と中盤の選手も守備局面でさぼることなく、献身的にプレスを掛けつつ、後方でも右から並んだDF神戸間那(3年)、DFオディケチソン太地(2年)、MF神谷輝一(2年)で組んだ3バックがコンパクトなラインを堅持。ジワジワと相手陣内を侵食していく。
一方の福岡U-18は「割り切って、相手のシステムにハメてわかりやすくするという狙い」(久永辰徳監督)を持って、23分に2枚代えを敢行したタイミングで、システムも4-4-2から5-3-2にシフト。相手の1トップ2シャドーとウイングバックへの対応をきっちり施しながら、10番を背負うFW井上雄太(3年)と前田のインサイドハーフ、松尾と途中出場のFW北薗大海(2年)で組む2トップの攻め切るカウンターに活路を見出す中で、少しずつ増えていく攻撃の時間。
ストライカーは虎視眈々とその時を狙っていた。38分。名古屋U-18はカウンターから八色が中央を持ち運ぶと、「真人がボールを持った時は、自分に良いパスが来るのはわかっている」という大西へスルーパスをグサリ。3バックの背後へ斜めに抜け出した11番はGKとの1対1も、冷静にゴール右スミへボールを流し込む。「自分が決めなきゃいけないとはずっと思っていたので、ああいう形で決められて良かったです」と笑ったエースの逆転ゴール。最終盤に若鯱が一歩前へ出る。
「あの時間帯はウチが良かったんですけど、大西くんにやられましたね」と久永監督も話した福岡U-18は、ビハインドを追い掛ける展開を強いられながら、45分にビッグチャンス。DF藤川虎三(2年)が外に付け、DF小浦拓実(3年)の左クロスから巧みな反転で抜け出した松尾のシュートは、しかし名古屋U-18GK萩裕陽(3年)がビッグセーブ。年代別代表にも選出されているクオリティを見せ付ける。
ファイナルスコアは2-1。「しっかり粘り強く勝てるチームができてきているというのは、本当にポジティブなことだと思います」(野村)。2試合連続での1点差勝利で、名古屋U-18が開幕連勝を力強く引き寄せる結果となった。
「この風の中でも“判断”のないようなプレーは少なかったのかなと思います」。アウェイで勝点3を獲得した試合後。名古屋U-18の三木監督は90分間を振り返って、そんな言葉を口にした。
今季の彼らにとって、『判断』というのは1つのキーファクターになっているようだ。野村も「自分たちから能動的にアクションを起こして、前からプレッシャーを掛けるというところは守備時の武器ですし、自分たちがボールを持った時に、受け手のタイミングを含めた技術と判断の部分は、今年からずっと三木さんに言われていることです」と言及。個々がピッチの中でしっかりと判断し、それをグループの判断に高めていく。『判断の共有』も着々と進んでいる様子が窺える。
「要は『判断のないプレーをやめよう』ということですよね。ちゃんと自分で判断して、クリアが一番いいと思うんだったらクリアすればいいし、タッチに切るのが一番だと思ったらタッチに切ればいいし、『何となく来たボールに対応するのではなくて、判断しようよ』というのはいつも言っていることです。今は(森)壮一朗がトップの活動でいないので、萩と野村を中心にチームとして意志を合わせるというか、『今はこういう時間だよ』『もっとこういうプレーをしようよ』とピッチの中で言えることが一番いいのかなと思います」(三木監督)
キャプテンを務めている野村は、チーム全体の底上げに関しても、ポジティブな印象を抱いているという。「もうみんな毎週毎週必死ですし、プリンスに関しても2試合勝てていないですけど、試合の質は明らかに上がってきていますね。紅白戦でもレベルの高い試合ができているので、今はトレーニングから素晴らしい環境を作れていると思います」。
一方で指揮官のスタンスも、昨シーズンから実に一貫している。「連勝はもちろん悪くはないですけど、勝ったからどう、負けたからどう、と一喜一憂するつもりはないです。去年から練習で求めるものも変わっていないですし、やっぱり『今じゃない』ので。クラブとしては各大会で優勝する効果は凄くあると思うので、もちろんそこは目指しますけど、それ以上に選手が自信を持ってプレーする機会がもっと増えればいいかなと思っています」。
幸先の良い連勝スタートにも、慢心の類は微塵もない。判断、決断、実行のサイクルをアグレッシブに回しながら、やはりフォーカスすべきは、今年もサッカー選手としての本質的な成長。2025年も名古屋U-18が進化していく過程には、大いに注目する必要がある。
(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
強風が吹き付ける中でも、早い時間に先制されても、終盤までタイスコアで推移する展開にも、若鯱の選手たちはいたって冷静だった。状況は刻々と変わる。その中でも自分たちで判断し、決断し、実行していく。WEST唯一の2連勝も決してフロックではないと言い切れるだけの力を、彼らはゲームの中で間違いなく発揮していた。
「プレシーズンは良いゲームができているけど勝ち切れない試合が多かった中で、プレミアが始まってから勝負強さというところは付いてきているので、自分たちのやりたいサッカーが少しずつですけど、できているのかなと思います」(名古屋グランパスU-18・野村勇仁)
終盤にエースが挙げた逆転弾で、堂々の開幕連勝達成!13日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 WEST第2節で、アビスパ福岡U-18(福岡)と名古屋グランパスU-18(愛知)が対峙した一戦は、立ち上がりに福岡U-18が先制したものの、前半のうちに追い付いた名古屋U-18が、後半38分にFW大西利都(3年)が決勝ゴールを沈め、2-1で逆転勝利を収めている。
「風が凄かったですね」と名古屋U-18を率いる三木隆司監督も言及するような、かなり強い風が吹く中でキックオフされた試合は、いきなりセットプレーで動く。前半8分。福岡U-18が右サイドで手にしたFK。キッカーのFW前田陽輝(2年)が蹴り込んだボールにMF廣田陸人(3年)が頭で触ると、「練習から狙っていたところなので、狙い通りでした」と中央で待っていたMF中村環太(3年)がプッシュしたボールは、そのままゴールへ転がり込む。ホーム開幕戦に多数詰め掛けたサポーターと共有した歓喜。まずは福岡U-18が1点をリードする。
16分も福岡U-18。ここも前田が放り込んだ右CKから、キャプテンのDF樺島勇波(3年)がマーカーと競り合いながら頭に当てたボールは、クロスバーにヒット。直後のカウンターは名古屋U-18。キャプテンのMF野村勇仁(3年)が粘って残し、MF小島蒼斗(2年)が背後へ落とすと、走ったFW伊藤ケン(3年)のシュートは福岡U-18のGK田中利玖(2年)がファインセーブで応酬。スリリングな一連に会場のボルテージも一段階上がる。
すると、24分に生まれたのは同点弾。大西が倒されて得た名古屋U-18のFK。ゴールまで約20メートルの位置から、MF八色真人(3年)が枠へ収めたキックは田中が懸命に弾き出したものの、いち早く反応した小島がボールをゴールネットへねじ込む。「ちょっと気を抜いたところで自分たちがファウルをしてしまって、FKから決められたところで、『本当に一瞬でやられるリーグだな』と感じました」とは福岡U-18の中村。以降もやや風上の名古屋U-18が優位にゲームを進めながら、最初の45分間は1-1で推移した。
後半はお互いにチャンスを作り合って、幕が上がる。1分は福岡U-18。右サイドを前田が単騎で抜け出し、丁寧なクロスを上げるも、FW松尾遼磨(3年)が合わせたヘディングは枠の右へ。4分は名古屋U-18。左サイドでMF野中祐吾(3年)が残し、八色のシュートのこぼれ球を野村が低空ミドルで枠へ収めるも、田中が横っ飛びでファインセーブ。どちらも追加点への意欲を強く滲ませる。
ただ、少しずつリズムを引き寄せたのは「後半はより能動的に、前から守備のアクションを起こすということで、自分たちがボールを拾えるようになった」と野村も話したアウェイチーム。前線と中盤の選手も守備局面でさぼることなく、献身的にプレスを掛けつつ、後方でも右から並んだDF神戸間那(3年)、DFオディケチソン太地(2年)、MF神谷輝一(2年)で組んだ3バックがコンパクトなラインを堅持。ジワジワと相手陣内を侵食していく。
一方の福岡U-18は「割り切って、相手のシステムにハメてわかりやすくするという狙い」(久永辰徳監督)を持って、23分に2枚代えを敢行したタイミングで、システムも4-4-2から5-3-2にシフト。相手の1トップ2シャドーとウイングバックへの対応をきっちり施しながら、10番を背負うFW井上雄太(3年)と前田のインサイドハーフ、松尾と途中出場のFW北薗大海(2年)で組む2トップの攻め切るカウンターに活路を見出す中で、少しずつ増えていく攻撃の時間。
ストライカーは虎視眈々とその時を狙っていた。38分。名古屋U-18はカウンターから八色が中央を持ち運ぶと、「真人がボールを持った時は、自分に良いパスが来るのはわかっている」という大西へスルーパスをグサリ。3バックの背後へ斜めに抜け出した11番はGKとの1対1も、冷静にゴール右スミへボールを流し込む。「自分が決めなきゃいけないとはずっと思っていたので、ああいう形で決められて良かったです」と笑ったエースの逆転ゴール。最終盤に若鯱が一歩前へ出る。
「あの時間帯はウチが良かったんですけど、大西くんにやられましたね」と久永監督も話した福岡U-18は、ビハインドを追い掛ける展開を強いられながら、45分にビッグチャンス。DF藤川虎三(2年)が外に付け、DF小浦拓実(3年)の左クロスから巧みな反転で抜け出した松尾のシュートは、しかし名古屋U-18GK萩裕陽(3年)がビッグセーブ。年代別代表にも選出されているクオリティを見せ付ける。
ファイナルスコアは2-1。「しっかり粘り強く勝てるチームができてきているというのは、本当にポジティブなことだと思います」(野村)。2試合連続での1点差勝利で、名古屋U-18が開幕連勝を力強く引き寄せる結果となった。
「この風の中でも“判断”のないようなプレーは少なかったのかなと思います」。アウェイで勝点3を獲得した試合後。名古屋U-18の三木監督は90分間を振り返って、そんな言葉を口にした。
今季の彼らにとって、『判断』というのは1つのキーファクターになっているようだ。野村も「自分たちから能動的にアクションを起こして、前からプレッシャーを掛けるというところは守備時の武器ですし、自分たちがボールを持った時に、受け手のタイミングを含めた技術と判断の部分は、今年からずっと三木さんに言われていることです」と言及。個々がピッチの中でしっかりと判断し、それをグループの判断に高めていく。『判断の共有』も着々と進んでいる様子が窺える。
「要は『判断のないプレーをやめよう』ということですよね。ちゃんと自分で判断して、クリアが一番いいと思うんだったらクリアすればいいし、タッチに切るのが一番だと思ったらタッチに切ればいいし、『何となく来たボールに対応するのではなくて、判断しようよ』というのはいつも言っていることです。今は(森)壮一朗がトップの活動でいないので、萩と野村を中心にチームとして意志を合わせるというか、『今はこういう時間だよ』『もっとこういうプレーをしようよ』とピッチの中で言えることが一番いいのかなと思います」(三木監督)
キャプテンを務めている野村は、チーム全体の底上げに関しても、ポジティブな印象を抱いているという。「もうみんな毎週毎週必死ですし、プリンスに関しても2試合勝てていないですけど、試合の質は明らかに上がってきていますね。紅白戦でもレベルの高い試合ができているので、今はトレーニングから素晴らしい環境を作れていると思います」。
一方で指揮官のスタンスも、昨シーズンから実に一貫している。「連勝はもちろん悪くはないですけど、勝ったからどう、負けたからどう、と一喜一憂するつもりはないです。去年から練習で求めるものも変わっていないですし、やっぱり『今じゃない』ので。クラブとしては各大会で優勝する効果は凄くあると思うので、もちろんそこは目指しますけど、それ以上に選手が自信を持ってプレーする機会がもっと増えればいいかなと思っています」。
幸先の良い連勝スタートにも、慢心の類は微塵もない。判断、決断、実行のサイクルをアグレッシブに回しながら、やはりフォーカスすべきは、今年もサッカー選手としての本質的な成長。2025年も名古屋U-18が進化していく過程には、大いに注目する必要がある。
(取材・文 土屋雅史)
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