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確固不抜の精神でチャレンジし続ける『街クラブの星』。プレミアWEST首位の原動力・MF小島蒼斗(名古屋U-18)が積み重ねる自信

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名古屋グランパスU-18MF小島蒼斗(2年)

 高円宮杯プレミアリーグWESTにおいて開幕4連勝で首位をひた走る名古屋グランパスU-18。この快進撃の始まりは2年生MF小島蒼斗のゴールからだった。

 ガンバ大阪ユースとの開幕戦。3-4-2-1システムのインサイドハーフに入った小島は、前半30分に左CKからニアでMF神谷輝一(3年)が後ろへすらしたボールに反応し、決勝ゴールとなるハーフボレーを突き刺した。

「最初は本当に緊張していたのですが、徐々に周りが見えるようになって、あのゴールの時は落ち着いて蹴り込むことができました」

 この試合が彼にとって待望のプレミアリーグデビュー。三木隆司監督の期待に『一発回答』をすると、第2節のアビスパ福岡U-18戦でも2戦連発となる同点ゴールを決め、第3節の帝京長岡高戦ではエースFW大西利都(3年)の同点弾を鮮やかなスルーパスでアシスト。第4節の大津高戦ではゴールとアシストはなかったが、得意の間で受けて縦に仕掛ける技術やずば抜けたパスの精度を駆使し攻撃のリズムを作り出し、3-1の勝利に貢献した。

「昨年は何度かプレミアのメンバーに入れそうなチャンスはあったのですが、モノにできなくて、結果としてプレミアに一切関わることができませんでした。本当に悔しい思いを何度もしたのですが、『絶対にやれる』という自信だけは持ち続けて、より成長するために持ち味であるラストパスや周りの動きを活かすパスなどを磨いてきました」

 今年もBチームスタートだった。だが、1年間で積み上げた技術と自信が3月のアスレカップ群馬で花開き、Aチーム入りと開幕スタメンを掴み取った。

「常に周りには絶対に負けたくないし、どんな時も自分を出すことは本当に大事にしています」

 このメンタリティーこそが小島の最大の武器でもあった。「チャレンジすることが大好きなんです」と口にしたように、彼は岐阜の街クラブであるFCオリベ多治見U15から一般セレクションを経て名古屋U-18に加入をしてきた。

「グランパスのセレクションがあることを(セレクションの)1か月前に聞いて、一度受けてみようと思ったんです。最初は正直、受かるなんて思っていませんでした」

 チャレンジするきっかけは同じ岐阜県の違うクラブでプレーする友人が名古屋U-18にスカウトされたという話を聞いたことだった。

「その話を聞いて『自分も負けたくない』という気持ちが芽生えて、『僕もグランパスを受けてみよう』と燃えたんです」

 一次セレクションに行ってみると、そこには小島と同じようにチャレンジャー精神に燃える一般応募の約60人の同志がいた。自分を出すことを心がけて臨むと、セレクション後に「一次合格」の通知が届いた。

 二次セレクションは実際に名古屋U-18の練習に混じって行われた。そこに現れたのは自分を含め僅か3名まで絞られた応募生だった。

「一次が不合格だったら、岐阜県内の強豪校に行こうと思っていたのですが、合格していざU-18の練習に臨むとなったときは『何がなんでも入りたい』という強い気持ちになっていました」

 二次セレクションを終えて合格通知が届いたが、それは加入決定ではなく、三次セレクションへの参加の権利だった。そして、再び名古屋U-18の練習参加をすると、そこには自分1人しか残っていなかった。

「周りにはU-15の選手、スカウトされた選手がいる中で、『絶対に落とされたくない』という気持ちで臨んだし、自分の特徴を出せば必ず受かって一緒にプレーができると信じていました」

 最終試験となった三次を経て、彼はついに本物の合格通知を手にした。全身全霊でチャレンジし続けてきた末に掴み取ったステージだからこそ、たとえトップに絡めなくても自分の信念をブラさずに、コツコツと自信を積み重ねることが出来た。

「チャレンジする気持ちはこれからも大事にしていきたい。トップ昇格をするためにここで満足せずに上を目指し続けたいです」

 猪突猛進、確固不抜。エースの大西も「蒼斗はよく見てくれるし、信じて走れば欲しいタイミングでパスを出してくれる」と信頼を寄せる2年生MFは、これからも街クラブの希望の星として名門アカデミーで躍動し続ける。

(取材・文 安藤隆人)
安藤隆人
Text by 安藤隆人

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