[関東大会予選]基準は前橋育英や流経大柏のレベル。東京決勝で攻守に強さを示して4-0も堀越は「まだまだやるべきことがある」
[5.5 関東高校大会東京都予選決勝 堀越高 4-0 東海大高輪台高 赤羽スポーツの森公園競技場]
5日、2025年度 関東高校サッカー大会 東京都予選決勝が赤羽スポーツの森公園競技場で行われ、堀越高が4-0で東海大高輪台高に勝利。東京制覇を果たした。
ともに4月29日の準決勝を勝利した時点で関東高校大会への出場権を獲得。堀越は1991年以来34年ぶり、東海大高輪台は初の関東大会進出を決めていた。だが、ともに目標は1位での関東大会出場。東京都1部リーグ開幕戦の対戦で2-3と敗れている堀越が、快勝で雪辱を果たした。
2023年度選手権3位、2024年度選手権8強の堀越の先発はGK高足導(3年)、右から杉村充樹(3年)、三田広陽(3年)、横尾瑛人(3年)、笠間遼世(1年)の4バック。中盤は谷口悠成(3年)と小森冴樹(2年)、右SH小川稜太(2年)、左SH田中豪(3年)、そして前線に千葉慎之助(3年)と選手権得点王の三鴨奏太主将(3年/U-17日本高校選抜候補)が構えた。
一方の東海大高輪台はGK安井文哉(2年)、右SB宮崎雄大(3年)、CB安田礼(3年)、CB椎橋拓己(3年)、左SB成沢結尊(3年)、中盤中央はMF川地瑛太(3年)とMF土田歩汰主将(3年)、MF中島功晴(3年)の3人で構成。右SH高柳旬(3年)、左SH中島一咲(3年)、そして1トップは準決勝2発のFW佐藤心(3年)が務めた。
試合開始直後、堀越の注目FWが早くもスコアを動かす。田中がペナルティアークのやや左外側でFKを獲得。これを三鴨が右足で狙う。ボールは人壁の選手たちが跳躍した際にわずかに割れた間へ。この一撃がゴール左に決まり、先制点となった。




先制した堀越は5分にも三鴨が縦へのドリブルから右ポストをかすめるような左足シュート。7分には谷口のブレ球ミドルが枠を捉える。これは東海大高輪台GK安井が弾き、クロスバーをヒット。堀越は相手に対するアプローチの距離が非常に良く、東海大高輪台に前進させることなく、谷口と小森らが次々とボールを奪い返していた。
「ボランチのところは前半、特に抑えられたと思うので、相手がチャンスの状況を作りたい時にマイボールにできたというところはウチが良いゲーム運びをできた要因かもしれません」と佐藤実監督。ピッチに適応できていない面もあった東海大高輪台は大事に繋ぎたいパスをズラしたり、引っ掛けられたりするなど、リズムに乗れなかった。


堀越は前半17分、千葉が相手DFと入れ替わり、左前方へラストパスを通す。これを田中が左足で狙ったが、東海大高輪台GK安井が弾き出す。堀越は21分にも谷口の右足ミドルが枠を捉え、こぼれ球を三鴨が押し込むもオフサイドの判定。直後にも左サイドで主導権をもたらしていた田中の上げたクロスを千葉が頭で合わせる。
だが、GK安井がバックステップを踏んでからの跳躍でCKに逃れる。東海大高輪台は前半、堀越に圧倒されるような展開となったが、2年生守護神・安井がファインセーブを連発して追加点を許さない。


その東海大高輪台は攻撃面でも高柳や中島一がドリブル突破にチャレンジしたが、DFを1人かわしても2人目にブロックされるなど堀越の堅守を攻略するまでには至らない。その中で会場を沸かせていたのが、154cmのFW佐藤だ。自身よりも20cm以上大柄なDFと果敢に勝負。DF間やタッチライン際からの突破にチャレンジしていたFWは24分にインターセプトから前進し、逆サイドの宮崎へロングパスを通すシーンもあった。
だが、この日の東海大高輪台はミスが多く、堀越ペースは変わらない。スケール感の大きい左SB笠間や攻撃的な右SB杉村、ボランチの小森も崩しに係わり、そのコンビネーションや三鴨、田中らの個の突破でチャンスを作り出していた。


それでも、東海大高輪台はGK安井を筆頭にともに注目株の安田礼、椎橋の両CBや成沢、最終ラインをカバーする川地らが踏ん張り、1点差をキープ。前半38分には佐藤のキープからゴールライン際へ抜け出した土田がクロスを上げ、40+1分にはクロスのこぼれ球を宮崎が右足で狙う。中島功の左足FKも交えて反撃。思うような展開ではなかったものの、突き放されずに前半を終えた。
東海大高輪台は後半3分、佐藤が左サイドを突破し、ラストパスを中島一が狙うが、堀越CB横尾がブロック。堀越はともに180cm超えの横尾、三田がロングボールを跳ね返すだけでなく、ゴール前で身体を張って決定打を打たせなかった。チームは攻め続けながら2点目を取れない展開だったが、三鴨が「(逆襲を受けるよりも)むしろ攻め続けて押し切れるかなという空気感があったので。何発外してでも絶対失点しないだろうなっていう空気感を作れていた」というように焦りはなかったという。




そして、後半8分、堀越は中央の三鴨が左前方へスルーパス。小川のシュートのこぼれに攻め上がっていた右SB杉村が反応する。最後はGKとの1対1を制して2-0。さらに10分、谷口の縦パスを起点に千葉が右サイドへ展開すると、小川の右クロスを大外の田中が頭で合わせて3-0とした。




東海大高輪台は直後にMF久保田有海(3年)とFW小沢颯櫂(2年)を投入。15分にはMF田村優樹(3年)をピッチへ送り出す。18分に宮崎の右クロスに小沢が飛び込んだほか、久保田がボールを落ち着かせて距離感良くボールを動かすようなシーンを増加。また椎橋の中央からの攻め上がりなどで1点を奪い返そうとする。だが、11分にFW高橋李来(3年)とMF濱岡大世(2年)を投入した堀越は選手交代で全く質が落ちない。


前線、中盤の選手がプレスバックを継続して相手の攻撃を封鎖。ボールを奪うと、GK高足の精度の高いキックや抜群のスピードを見せる濱岡のドリブルなどでまた押し込んでいく。MF平田蓮(1年)、MF高橋琉(2年)投入後の後半36分には、カウンターから濱岡が大きく前進。そして、三鴨のスルーパスで高橋季が抜け出し、左足で4点目のゴールを決めた。東海大高輪台は左SB安田旬(3年)を投入し、安田礼を前線に上げて1点を目指したが、堀越の堅守は崩れず。堀越が4-0で東京制覇を果たした。
DF森奏(現中央大)ら過去2年間に渡って4バック、ボランチ、GKとレギュラーを占めてきた3年生たちが卒業。新チームはやや守備の整備に時間がかかったようだが、この日は攻守で強さを見せつけた。それでも、佐藤監督は「まだシーズン始まったばっかりなんで、まだまだここから色々なものの質を上げていかないと苦しくなってくる。これが前育や流経とかあのレベル感で今日のゲームができるかと言ったらできないので、まだまだやるべきことはたくさんあると思います」。堀越は昨年度の選手権準々決勝でスコアこそ0-1だったものの、優勝校の前橋育英高(群馬)に完敗。前橋育英や流通経済大柏高(千葉)といったプレミアリーグ勢相手に自分たちのサッカーを表現できるように細部からこだわっていく。


5月下旬の関東大会は、インターハイ予選直前の時期に開催されるが、チームの成長のための貴重な機会になる。佐藤監督は「選手権とか大会で選手はやっぱ育つんで。練習、練習試合でいくら何かやったとしても、上手くいったとしても、この本番でやれなかったら意味がないので、やっぱりこの時期に数試合、今日の決勝もリーグ戦も含めてですけど、やれるっていうのは、めちゃくちゃ大きいです」という。
今大会はプリンスリーグ関東勢の帝京高と國學院久我山高が不参加だったが、まず1冠。選手たちは全てのタイトル奪取が目標だ。関東大会も決勝までの全3試合を全て勝つ意気込み。三鴨は「一昨年の修徳と去年の大成と第1代表が2連覇してるんで。そこは自分たちが代表で行くんで、もちろん(東海大)高輪台さんだったり、色々な今までやった相手の分も戦うんですけど、やっぱり1番は自分のために。自分が活躍するっていうのが1番なんで、そこは絶対ブレずに、キャプテンだろうが、なんだろうが自分が点を取って勝ちたいですし、絶対関東も優勝してインターハイの良い弾みになればなと思います」と語った。また力を積み重ねて本大会に臨み、関東制覇を成し遂げる。
(取材・文 吉田太郎)
5日、2025年度 関東高校サッカー大会 東京都予選決勝が赤羽スポーツの森公園競技場で行われ、堀越高が4-0で東海大高輪台高に勝利。東京制覇を果たした。
ともに4月29日の準決勝を勝利した時点で関東高校大会への出場権を獲得。堀越は1991年以来34年ぶり、東海大高輪台は初の関東大会進出を決めていた。だが、ともに目標は1位での関東大会出場。東京都1部リーグ開幕戦の対戦で2-3と敗れている堀越が、快勝で雪辱を果たした。
2023年度選手権3位、2024年度選手権8強の堀越の先発はGK高足導(3年)、右から杉村充樹(3年)、三田広陽(3年)、横尾瑛人(3年)、笠間遼世(1年)の4バック。中盤は谷口悠成(3年)と小森冴樹(2年)、右SH小川稜太(2年)、左SH田中豪(3年)、そして前線に千葉慎之助(3年)と選手権得点王の三鴨奏太主将(3年/U-17日本高校選抜候補)が構えた。
一方の東海大高輪台はGK安井文哉(2年)、右SB宮崎雄大(3年)、CB安田礼(3年)、CB椎橋拓己(3年)、左SB成沢結尊(3年)、中盤中央はMF川地瑛太(3年)とMF土田歩汰主将(3年)、MF中島功晴(3年)の3人で構成。右SH高柳旬(3年)、左SH中島一咲(3年)、そして1トップは準決勝2発のFW佐藤心(3年)が務めた。
試合開始直後、堀越の注目FWが早くもスコアを動かす。田中がペナルティアークのやや左外側でFKを獲得。これを三鴨が右足で狙う。ボールは人壁の選手たちが跳躍した際にわずかに割れた間へ。この一撃がゴール左に決まり、先制点となった。


前半2分、堀越FW三鴨奏太主将が右足FKを決めて先制


試合開始直後のゴールを三鴨が喜ぶ
先制した堀越は5分にも三鴨が縦へのドリブルから右ポストをかすめるような左足シュート。7分には谷口のブレ球ミドルが枠を捉える。これは東海大高輪台GK安井が弾き、クロスバーをヒット。堀越は相手に対するアプローチの距離が非常に良く、東海大高輪台に前進させることなく、谷口と小森らが次々とボールを奪い返していた。
「ボランチのところは前半、特に抑えられたと思うので、相手がチャンスの状況を作りたい時にマイボールにできたというところはウチが良いゲーム運びをできた要因かもしれません」と佐藤実監督。ピッチに適応できていない面もあった東海大高輪台は大事に繋ぎたいパスをズラしたり、引っ掛けられたりするなど、リズムに乗れなかった。


堀越の中盤で効いていたMF谷口悠成
堀越は前半17分、千葉が相手DFと入れ替わり、左前方へラストパスを通す。これを田中が左足で狙ったが、東海大高輪台GK安井が弾き出す。堀越は21分にも谷口の右足ミドルが枠を捉え、こぼれ球を三鴨が押し込むもオフサイドの判定。直後にも左サイドで主導権をもたらしていた田中の上げたクロスを千葉が頭で合わせる。
だが、GK安井がバックステップを踏んでからの跳躍でCKに逃れる。東海大高輪台は前半、堀越に圧倒されるような展開となったが、2年生守護神・安井がファインセーブを連発して追加点を許さない。


東海大高輪台は2年生GK安井文哉が好セーブを連発
その東海大高輪台は攻撃面でも高柳や中島一がドリブル突破にチャレンジしたが、DFを1人かわしても2人目にブロックされるなど堀越の堅守を攻略するまでには至らない。その中で会場を沸かせていたのが、154cmのFW佐藤だ。自身よりも20cm以上大柄なDFと果敢に勝負。DF間やタッチライン際からの突破にチャレンジしていたFWは24分にインターセプトから前進し、逆サイドの宮崎へロングパスを通すシーンもあった。
だが、この日の東海大高輪台はミスが多く、堀越ペースは変わらない。スケール感の大きい左SB笠間や攻撃的な右SB杉村、ボランチの小森も崩しに係わり、そのコンビネーションや三鴨、田中らの個の突破でチャンスを作り出していた。


MF田中豪は堀越の左サイドに主導権をもたらした
それでも、東海大高輪台はGK安井を筆頭にともに注目株の安田礼、椎橋の両CBや成沢、最終ラインをカバーする川地らが踏ん張り、1点差をキープ。前半38分には佐藤のキープからゴールライン際へ抜け出した土田がクロスを上げ、40+1分にはクロスのこぼれ球を宮崎が右足で狙う。中島功の左足FKも交えて反撃。思うような展開ではなかったものの、突き放されずに前半を終えた。
東海大高輪台は後半3分、佐藤が左サイドを突破し、ラストパスを中島一が狙うが、堀越CB横尾がブロック。堀越はともに180cm超えの横尾、三田がロングボールを跳ね返すだけでなく、ゴール前で身体を張って決定打を打たせなかった。チームは攻め続けながら2点目を取れない展開だったが、三鴨が「(逆襲を受けるよりも)むしろ攻め続けて押し切れるかなという空気感があったので。何発外してでも絶対失点しないだろうなっていう空気感を作れていた」というように焦りはなかったという。


東海大高輪台の154cmFW佐藤心は会場を一際沸かせていた


堀越はCB三田広陽らDF陣が相手の攻撃を封じ切った
そして、後半8分、堀越は中央の三鴨が左前方へスルーパス。小川のシュートのこぼれに攻め上がっていた右SB杉村が反応する。最後はGKとの1対1を制して2-0。さらに10分、谷口の縦パスを起点に千葉が右サイドへ展開すると、小川の右クロスを大外の田中が頭で合わせて3-0とした。


後半8分、堀越は右SB杉村充樹が左足で決めて2-0


後半10分、堀越はMF田中豪が決めて3-0
東海大高輪台は直後にMF久保田有海(3年)とFW小沢颯櫂(2年)を投入。15分にはMF田村優樹(3年)をピッチへ送り出す。18分に宮崎の右クロスに小沢が飛び込んだほか、久保田がボールを落ち着かせて距離感良くボールを動かすようなシーンを増加。また椎橋の中央からの攻め上がりなどで1点を奪い返そうとする。だが、11分にFW高橋李来(3年)とMF濱岡大世(2年)を投入した堀越は選手交代で全く質が落ちない。


東海大高輪台は交代出場のMF久保田有海がリズムを変えていた
前線、中盤の選手がプレスバックを継続して相手の攻撃を封鎖。ボールを奪うと、GK高足の精度の高いキックや抜群のスピードを見せる濱岡のドリブルなどでまた押し込んでいく。MF平田蓮(1年)、MF高橋琉(2年)投入後の後半36分には、カウンターから濱岡が大きく前進。そして、三鴨のスルーパスで高橋季が抜け出し、左足で4点目のゴールを決めた。東海大高輪台は左SB安田旬(3年)を投入し、安田礼を前線に上げて1点を目指したが、堀越の堅守は崩れず。堀越が4-0で東京制覇を果たした。
DF森奏(現中央大)ら過去2年間に渡って4バック、ボランチ、GKとレギュラーを占めてきた3年生たちが卒業。新チームはやや守備の整備に時間がかかったようだが、この日は攻守で強さを見せつけた。それでも、佐藤監督は「まだシーズン始まったばっかりなんで、まだまだここから色々なものの質を上げていかないと苦しくなってくる。これが前育や流経とかあのレベル感で今日のゲームができるかと言ったらできないので、まだまだやるべきことはたくさんあると思います」。堀越は昨年度の選手権準々決勝でスコアこそ0-1だったものの、優勝校の前橋育英高(群馬)に完敗。前橋育英や流通経済大柏高(千葉)といったプレミアリーグ勢相手に自分たちのサッカーを表現できるように細部からこだわっていく。


堀越が東京第1代表に。関東高校大会Aグループで東京勢3連覇を目指す
5月下旬の関東大会は、インターハイ予選直前の時期に開催されるが、チームの成長のための貴重な機会になる。佐藤監督は「選手権とか大会で選手はやっぱ育つんで。練習、練習試合でいくら何かやったとしても、上手くいったとしても、この本番でやれなかったら意味がないので、やっぱりこの時期に数試合、今日の決勝もリーグ戦も含めてですけど、やれるっていうのは、めちゃくちゃ大きいです」という。
今大会はプリンスリーグ関東勢の帝京高と國學院久我山高が不参加だったが、まず1冠。選手たちは全てのタイトル奪取が目標だ。関東大会も決勝までの全3試合を全て勝つ意気込み。三鴨は「一昨年の修徳と去年の大成と第1代表が2連覇してるんで。そこは自分たちが代表で行くんで、もちろん(東海大)高輪台さんだったり、色々な今までやった相手の分も戦うんですけど、やっぱり1番は自分のために。自分が活躍するっていうのが1番なんで、そこは絶対ブレずに、キャプテンだろうが、なんだろうが自分が点を取って勝ちたいですし、絶対関東も優勝してインターハイの良い弾みになればなと思います」と語った。また力を積み重ねて本大会に臨み、関東制覇を成し遂げる。
(取材・文 吉田太郎)


