[MOM5093]神戸U-18DF原蒼汰(3年)_「後半アディショナルタイムの3点目」は90+6分の超劇的決勝弾!伝統の4番を背負うディフェンスリーダー、絶叫!
自ら挙げた劇的決勝弾に絶叫する
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.17 プレミアリーグWEST第8節 神戸U-18 2-1 G大阪ユース いぶきの森球技場 Cグラウンド]
もうこのフリーキックがラストプレーだということはわかっていた。後半アディショナルタイムに差し掛かって劇的に先制したのに、1分もしないうちに追い付かれるという、悪夢のような展開。折れかかった心を奮い立たせて、集中力を高める。エリア内へ飛び込む。ボールが来た。打てる。打つしかない。入ってくれ。
「もうメッチャ興奮していましたし、いろいろな人がフェンスの近くまで来ていたので、『もう行くしかないな』と思って突っ込みました。今日は守備面であの時間に失点してしまって、チームに迷惑をかけていたので、自分のゴールで勝利に貢献できたのは嬉しかったです!」
ヴィッセル神戸U-18(兵庫)のディフェンスリーダーを任されている、背番号4のセンターバック。DF原蒼汰(3年=ヴィッセル神戸U-15出身)が土壇場も土壇場で叩き込んだ執念の決勝ゴールが、いぶきの森に絶叫と歓喜を呼び込んだ。
前半から難しい展開を強いられていた。プレミアリーグWEST第8節。ガンバ大阪ユース(大阪)と対峙した関西ダービーは、横の関係と縦の関係を巧みに使い分ける久永虎次郎と中積爲、相手の2トップの対応に神戸U-18ディフェンス陣は頭を悩まされる。
「前半から安部さん(安部雄大監督)にラインの高さのことを言われていて、相手のフォワードが結構抜けてくるので、その抜け出しを捨てるか捨てないか、下りていく選手に付いていって、もう1回ラインを上げるか、そういうところが難しかったです」と原が話せば、「“受け手”の方に比重が大きくなってしまって、“出し手”のところにプレッシャーが掛かっていなかったかなと」とは安部雄大監督。どうしてもラインが下がってしまい、重心も後ろに掛かっていく。
ただ、GK胡云皓(2年)のファインセーブもあって、前半を無失点で乗り切ると、後半は「弾けるところは弾いて、2トップの1枚が落ちるところの管理も前半よりハッキリできたことで、ちょっとずつ良くなっていったかなと思います」と原も認めたように、徐々に守備の安定感が出てきたことで、攻撃にも好リズムが。それでもゴールは奪えないまま、試合は最終盤に突入していく。
45+2分。ともに途中出場のFW土井口立(2年)のアシストから、FW森分圭吾(3年)が先制点を叩き込む。45+2分。パワープレーからまさかの同点弾を献上する。「集中を切らしていたわけではないですけど、先制した時はアディショナルに入っていましたし、『このままゼロで行けるな』と思っていました」(原)。わずか1分あまりで揺れ動いたスコア。リードは一瞬で霧散する。
45+6分。MF片山航汰(3年)が粘って獲得したフリーキック。「追い付かれた時はホンマに『ヤバい……』と思って、アディショナルで1-1になって、『このまま終わるんじゃないか……』と思ったんですけど、フリーキックになった時には『これはワンチャンあるかな』と思っていました」。背番号4は、まだ諦めていなかった。
MF藤本陸玖(3年)が左足のインスイングで蹴り込んだボールは、原の足元に届く。「昨日の練習でも藤本のボールが良くて、2点ぐらい入っていて、良いイメージができていた中で良いボールが来て、あとは感覚というか、足元に来て、トラップして、ふかすのが一番ダメなので、ゴロで打つイメージで蹴りました」。
至近距離から蹴ったシュートがゴールネットを揺らすと、もう次の瞬間にはサポーターとチームメイトが待っているピッチサイドへと、全速力で走り出す。「メチャクチャ気持ち良かったです。ホンマに失点も自分の責任が大きくて、『取り返したい』という気持ちがあったので、ホンマに嬉しかったです」。






次々に笑顔と興奮が歓喜の輪の中で爆発する。直後に吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。これぞ、まさに“サヨナラゴール”。殊勲のセンターバックは何度も叫び、何度も抱き合い、劇的に奪い取った勝点3の意味を、仲間たちとともに噛み締めていた。
昨シーズンのプレミアでは15試合に出場。9月にはセンターバックの定位置を勝ち獲り、連勝街道を突き進むチームの中で、着実に経験値を積み重ねる。迎えた今シーズンはDF寺岡佑真(3年)と最終ラインの中央でコンビを組み、ここまでのリーグ戦ではフル出場中だが、本人はまだまだ成長の必要性を感じているようだ。
「個人としてはボチボチですね。良い守備ができている時もありますし、今日もビルドアップの時のミスがまだありますし、最後のアラートさが欠けている時もあるので、そういうところをどんどん詰めていきたいと思います」。
チームを率いる安部雄大監督は、原についてこう言及している。「去年は海斗に頼っていた部分もありますし、今年も開幕当初はフワフワしていたところもあったんですけど、少しずつ自覚が出てきているのかなと。高さもありますし、人への強さもあるので、セットプレーでああやって獲ってくれるのはチームにとっても大きいですし、もっとやってほしいと期待している選手です」。
指揮官が名前を出した山田海斗は昨シーズンのキャプテンであり、トップチームへと昇格した今季は期限付き移籍先のタコマ・ディファイアンス(アメリカ)でプレーしている、将来のヴィッセルの核となることを期待される逸材。すぐ横で同じピッチに立つことも多かった原にとっても、当然意識する存在だ。
「海斗は空中戦も強いですし、ビルドアップも上手くて、一緒にやっていて助けられていた部分も多かったので、その存在は大きいですね。ヴィッセルのユースの4番はトップ昇格している人も多いですし、そういう責任は大きいと感じているので、自分も4番のディフェンスリーダーとして、チームの守備を引っ張っていきたいと思います」。
歴代の頼れるセンターバックが付けてきた、神戸U-18の背番号4を新たに託されているグラディエーター。原蒼汰はこの日、自らのゴールで引き寄せた最高の景色をまたみんなで眺めるために、さらなる成長へと続く階段を、一歩ずつ、着実に、駆け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中
[5.17 プレミアリーグWEST第8節 神戸U-18 2-1 G大阪ユース いぶきの森球技場 Cグラウンド]
もうこのフリーキックがラストプレーだということはわかっていた。後半アディショナルタイムに差し掛かって劇的に先制したのに、1分もしないうちに追い付かれるという、悪夢のような展開。折れかかった心を奮い立たせて、集中力を高める。エリア内へ飛び込む。ボールが来た。打てる。打つしかない。入ってくれ。
「もうメッチャ興奮していましたし、いろいろな人がフェンスの近くまで来ていたので、『もう行くしかないな』と思って突っ込みました。今日は守備面であの時間に失点してしまって、チームに迷惑をかけていたので、自分のゴールで勝利に貢献できたのは嬉しかったです!」
ヴィッセル神戸U-18(兵庫)のディフェンスリーダーを任されている、背番号4のセンターバック。DF原蒼汰(3年=ヴィッセル神戸U-15出身)が土壇場も土壇場で叩き込んだ執念の決勝ゴールが、いぶきの森に絶叫と歓喜を呼び込んだ。
前半から難しい展開を強いられていた。プレミアリーグWEST第8節。ガンバ大阪ユース(大阪)と対峙した関西ダービーは、横の関係と縦の関係を巧みに使い分ける久永虎次郎と中積爲、相手の2トップの対応に神戸U-18ディフェンス陣は頭を悩まされる。
「前半から安部さん(安部雄大監督)にラインの高さのことを言われていて、相手のフォワードが結構抜けてくるので、その抜け出しを捨てるか捨てないか、下りていく選手に付いていって、もう1回ラインを上げるか、そういうところが難しかったです」と原が話せば、「“受け手”の方に比重が大きくなってしまって、“出し手”のところにプレッシャーが掛かっていなかったかなと」とは安部雄大監督。どうしてもラインが下がってしまい、重心も後ろに掛かっていく。
ただ、GK胡云皓(2年)のファインセーブもあって、前半を無失点で乗り切ると、後半は「弾けるところは弾いて、2トップの1枚が落ちるところの管理も前半よりハッキリできたことで、ちょっとずつ良くなっていったかなと思います」と原も認めたように、徐々に守備の安定感が出てきたことで、攻撃にも好リズムが。それでもゴールは奪えないまま、試合は最終盤に突入していく。
45+2分。ともに途中出場のFW土井口立(2年)のアシストから、FW森分圭吾(3年)が先制点を叩き込む。45+2分。パワープレーからまさかの同点弾を献上する。「集中を切らしていたわけではないですけど、先制した時はアディショナルに入っていましたし、『このままゼロで行けるな』と思っていました」(原)。わずか1分あまりで揺れ動いたスコア。リードは一瞬で霧散する。
45+6分。MF片山航汰(3年)が粘って獲得したフリーキック。「追い付かれた時はホンマに『ヤバい……』と思って、アディショナルで1-1になって、『このまま終わるんじゃないか……』と思ったんですけど、フリーキックになった時には『これはワンチャンあるかな』と思っていました」。背番号4は、まだ諦めていなかった。
MF藤本陸玖(3年)が左足のインスイングで蹴り込んだボールは、原の足元に届く。「昨日の練習でも藤本のボールが良くて、2点ぐらい入っていて、良いイメージができていた中で良いボールが来て、あとは感覚というか、足元に来て、トラップして、ふかすのが一番ダメなので、ゴロで打つイメージで蹴りました」。
至近距離から蹴ったシュートがゴールネットを揺らすと、もう次の瞬間にはサポーターとチームメイトが待っているピッチサイドへと、全速力で走り出す。「メチャクチャ気持ち良かったです。ホンマに失点も自分の責任が大きくて、『取り返したい』という気持ちがあったので、ホンマに嬉しかったです」。






次々に笑顔と興奮が歓喜の輪の中で爆発する。直後に吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。これぞ、まさに“サヨナラゴール”。殊勲のセンターバックは何度も叫び、何度も抱き合い、劇的に奪い取った勝点3の意味を、仲間たちとともに噛み締めていた。
昨シーズンのプレミアでは15試合に出場。9月にはセンターバックの定位置を勝ち獲り、連勝街道を突き進むチームの中で、着実に経験値を積み重ねる。迎えた今シーズンはDF寺岡佑真(3年)と最終ラインの中央でコンビを組み、ここまでのリーグ戦ではフル出場中だが、本人はまだまだ成長の必要性を感じているようだ。
「個人としてはボチボチですね。良い守備ができている時もありますし、今日もビルドアップの時のミスがまだありますし、最後のアラートさが欠けている時もあるので、そういうところをどんどん詰めていきたいと思います」。
チームを率いる安部雄大監督は、原についてこう言及している。「去年は海斗に頼っていた部分もありますし、今年も開幕当初はフワフワしていたところもあったんですけど、少しずつ自覚が出てきているのかなと。高さもありますし、人への強さもあるので、セットプレーでああやって獲ってくれるのはチームにとっても大きいですし、もっとやってほしいと期待している選手です」。
指揮官が名前を出した山田海斗は昨シーズンのキャプテンであり、トップチームへと昇格した今季は期限付き移籍先のタコマ・ディファイアンス(アメリカ)でプレーしている、将来のヴィッセルの核となることを期待される逸材。すぐ横で同じピッチに立つことも多かった原にとっても、当然意識する存在だ。
「海斗は空中戦も強いですし、ビルドアップも上手くて、一緒にやっていて助けられていた部分も多かったので、その存在は大きいですね。ヴィッセルのユースの4番はトップ昇格している人も多いですし、そういう責任は大きいと感じているので、自分も4番のディフェンスリーダーとして、チームの守備を引っ張っていきたいと思います」。
歴代の頼れるセンターバックが付けてきた、神戸U-18の背番号4を新たに託されているグラディエーター。原蒼汰はこの日、自らのゴールで引き寄せた最高の景色をまたみんなで眺めるために、さらなる成長へと続く階段を、一歩ずつ、着実に、駆け上がる。


(取材・文 土屋雅史)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中


