プロ注目の大型レフティがJクラブの練習参加で実感した「一人ひとりのサッカーへの強い想い」。多摩大目黒FWヘンリー公太が頼れる仲間と狙うのは同校初の全国出場!
[7.12 U-18東京都1部L第3節 多摩大目黒高 2-0 FC東京U-18(B) 東戸塚フットボールパーク]
今までより高い到達点を見据えなくてはいけなくなっていることも、十分に理解している。もっと上手く。もっと速く。もっと強く。もっと高く。圧倒的な頂へとたどり着くために、絶対的な存在へと登り詰めるために、さらなる努力を重ねて、輝く未来への切符を必ず手繰り寄せてやる。
「今は上を目指したいというのが一番の目標ですね。プロの練習に参加して『もっと上のステージでやってやるんだ』という気持ちが強く芽生えましたし、高卒でプロの世界に飛び込んで、もまれるだけもまれて、いずれJ1でもバリバリ活躍できるような選手になりたいです」。
高さと速さとしなやかさを兼ね備えた、多摩大目黒高(東京)の10番を背負うレフティストライカー。FWヘンリー公太(3年=多摩大目黒中出身)は恵まれた体躯に秘める抜群のポテンシャルを十全に解き放つべく、自分自身と真摯に向き合っている。
「前半の途中から相手に押し込まれる時間帯が長かったですけど、ディフェンスラインも中盤もまとまって守備できていた部分が大きかったです」。チームのキャプテンも務めるヘンリーは、最初の45分間についてそう振り返る。T1(東京都1部)リーグ3節延期分の一戦。FC東京U-18(B)と対峙したゲームは、やや相手の高い技術を生かしたアタックに押し込まれながら、DF高橋正陽(3年)やDF川畠暖世(3年)を中心に、多摩大目黒はピンチの芽を1つずつ丁寧に摘み取っていく。
41分には多摩大目黒に決定機が訪れる。相手のバックパスをかっさらったヘンリーは、GKと1対1に。しかし、「もうちょっとキーパーの位置を確認しておけば、わざわざ浮かさなくても決まったと思うので、本当にもったいないシュートでした」と振り返るように、ループで狙った軌道は枠外へ。絶好の先制のチャンスを逃してしまう。
だが、10番は虎視眈々と次のチャンスを狙っていた。MF中野颯介(3年)が蹴った右CKから川畠がゴールを陥れ、1点をリードして迎えた後半34分。今度は左サイドで手にしたCK。縦に並んでいた4人がそれぞればらけると、MF武山悠哉(3年)から完璧なボールが入ってくる。
「自分のところにフリーで良いボールが来て、もう飛ばなくてもスタンディングでニア側に当てるだけでしたね。キッカーが良いボールを入れてくれて、ほかの選手がディフェンスを引き連れてくれたので、もう決めるだけという状況でした」。ヘンリーが頭に当てたボールは、そのままゴールネットへ吸い込まれる。
リーグ戦では実に開幕戦以来となる7試合ぶりのゴール。最終盤には両足を攣らせて交代したものの、「相手は個の技術があるからこそ、まとまって絶対に勝点3をモノにしようという声を掛けたので、本当にタフなゲームでしたけど、やり切れた部分もあったと思います」と言い切ったキャプテンを中心に、試合後のチームには大きな笑顔の輪が広がった。


リーグ戦での連敗を3で食い止め、「ヘンリーが久々に獲ってくれたので、ここからどんどん獲ってほしいですよね」と笑ったチームを率いる遠藤雅貴監督は、続けて興味深いことを口にする。「去年のヘンリーはちょっと遠慮していた部分があって、強気な姿勢があまり見られなかったんですけど、12月ぐらいにJクラブの練習参加をしてから、ちょっとずつプレーの前への推進力が出てきたかなと思います」。
本人にそのことを尋ねると、シビアな世界で戦っているプロサッカー選手と同じ空気を吸ったことで、やはり自分の中に小さくない変化があったという。
「プロに混ざってやる機会を得られて、いろいろなことを吸収したんですけど、みなさんが本当にサッカーと向き合っていることを一番感じました。一人ひとりの選手がサッカーへの強い想いを持っていて、そこに自分は影響を受けましたし、だからこそ今はピッチ外でも家に帰ってしっかり身体のケアをしたりとか、サッカーの試合もより見るようになりましたし、常にサッカーのことを考えるようになりましたね」
「練習の中でもポストプレーで、外国人選手相手に背負ってから、入れ替わってほぼアシストみたいなチャンスを作れたことがあったんです。あとはヘディングのジャンプの高さだったり、スプリントのところ、ボールを持ったらゴールに向かう積極性は結構通用したので、そこは自分の自信になりました」
一方、ここまで複数のJクラブの練習参加を重ねた中で、改善すべきポイントもより明確に見えてきているようだ。
「トレーナーの方にもまだ身体の使い方に改善の余地があることを教えてもらいましたし、自分でも考えてみたら『確かにそうだな』と思い当たることが何個もありました。あとはパワーを使うところと抜くところも考えないといけないですし、トータルでどこでパワーを使うかといった体力面も課題かなと思います」。
それも高いレベルでプレーしたからこそ、気づかされた大事な課題。今後もJクラブへの練習参加が予定されているとのこと。前回からの成長を試すには格好の機会に、改めて自分の現在地を把握し、それをさらなるステップアップへとつなげていく。
インターハイ予選では都内最強との呼び声も高い帝京高と準々決勝で対峙。前半は多摩大目黒が攻勢に出る展開の中で、何度かの決定機を掴んだものの、それをモノにできず、後半の残り10分強で3失点を喫して、0-3で敗戦。ただ、結果的に東京を制したカナリア軍団と肌を合わせた80分間は、ヘンリーにとっても、チームにとっても、貴重なレッスンになったという。
「正直試合を通して、『十分通用するな』と思いました。前半は決定機も良い形もあって、シュートの本数も多摩目の方が多かったので、ああいうところで自分が先制点を決めないといけないですし、自分の動き出しが味方と合わなかった部分も多かったので、課題は多かったと思います。ただ、帝京相手にスピードが通用したことは改めて自分の自信になりましたし、チームの自信にもなったと思います」。


個人としては今季からチームのキャプテンに就任。「人間性が抜群にいいので、どこに行ってもやれるんです。コミュニケーション能力が高いので、そこは彼の良いところですね」とは遠藤監督だが、本人も任された大役へポジティブに取り組んでいる。
「自分はずっとニコニコしていますし、ズバッと言うタイプではないので、正直あまり向いていないと思っているんですけど(笑)、監督やコーチに任されたことには応えたいですし、今年の代は例年以上に仲が良いので、だからこそキャプテンとしてもみんなにはやりたいようにやってもらって、そのうえで自分もやりたいプレーができればいいかなと思っているので、自分らしいキャプテンを目指しながら、自分がチームのためにできることを常に考えています」。
近年は東京でも上位進出の常連校となっている多摩大目黒だが、選手権予選は6年続けて準々決勝で涙を呑んでいる。その壁を乗り超えて、悲願の東京制覇と初の全国出場は目指すべき明確な目標。ヘンリーも学校の歴史を塗り替える偉業達成への想いを隠さない。
「もともと高校サッカーで結果を残すのが目標で、選手権のためにサッカーを続けてきたので、このチームで全国に行きたいです。まだ課題もありますけど、自分たちなら行ける自信もあるので、この夏でさらにレベルアップして、選手権で結果を出して、そのうえでプロに行けたら一番だなと思っています」。
自身の煌めく未来も、チームの新たな歴史も、磨き上げてきた左足で力強く切り拓く。多摩大目黒の背番号10とキャプテンを託された、ニコニコと輝く笑顔も印象的な17歳。ヘンリー公太という名前は、間違いなく覚えておいた方がいい。


(取材・文 土屋雅史)
今までより高い到達点を見据えなくてはいけなくなっていることも、十分に理解している。もっと上手く。もっと速く。もっと強く。もっと高く。圧倒的な頂へとたどり着くために、絶対的な存在へと登り詰めるために、さらなる努力を重ねて、輝く未来への切符を必ず手繰り寄せてやる。
「今は上を目指したいというのが一番の目標ですね。プロの練習に参加して『もっと上のステージでやってやるんだ』という気持ちが強く芽生えましたし、高卒でプロの世界に飛び込んで、もまれるだけもまれて、いずれJ1でもバリバリ活躍できるような選手になりたいです」。
高さと速さとしなやかさを兼ね備えた、多摩大目黒高(東京)の10番を背負うレフティストライカー。FWヘンリー公太(3年=多摩大目黒中出身)は恵まれた体躯に秘める抜群のポテンシャルを十全に解き放つべく、自分自身と真摯に向き合っている。
「前半の途中から相手に押し込まれる時間帯が長かったですけど、ディフェンスラインも中盤もまとまって守備できていた部分が大きかったです」。チームのキャプテンも務めるヘンリーは、最初の45分間についてそう振り返る。T1(東京都1部)リーグ3節延期分の一戦。FC東京U-18(B)と対峙したゲームは、やや相手の高い技術を生かしたアタックに押し込まれながら、DF高橋正陽(3年)やDF川畠暖世(3年)を中心に、多摩大目黒はピンチの芽を1つずつ丁寧に摘み取っていく。
41分には多摩大目黒に決定機が訪れる。相手のバックパスをかっさらったヘンリーは、GKと1対1に。しかし、「もうちょっとキーパーの位置を確認しておけば、わざわざ浮かさなくても決まったと思うので、本当にもったいないシュートでした」と振り返るように、ループで狙った軌道は枠外へ。絶好の先制のチャンスを逃してしまう。
だが、10番は虎視眈々と次のチャンスを狙っていた。MF中野颯介(3年)が蹴った右CKから川畠がゴールを陥れ、1点をリードして迎えた後半34分。今度は左サイドで手にしたCK。縦に並んでいた4人がそれぞればらけると、MF武山悠哉(3年)から完璧なボールが入ってくる。
「自分のところにフリーで良いボールが来て、もう飛ばなくてもスタンディングでニア側に当てるだけでしたね。キッカーが良いボールを入れてくれて、ほかの選手がディフェンスを引き連れてくれたので、もう決めるだけという状況でした」。ヘンリーが頭に当てたボールは、そのままゴールネットへ吸い込まれる。
リーグ戦では実に開幕戦以来となる7試合ぶりのゴール。最終盤には両足を攣らせて交代したものの、「相手は個の技術があるからこそ、まとまって絶対に勝点3をモノにしようという声を掛けたので、本当にタフなゲームでしたけど、やり切れた部分もあったと思います」と言い切ったキャプテンを中心に、試合後のチームには大きな笑顔の輪が広がった。


リーグ戦での連敗を3で食い止め、「ヘンリーが久々に獲ってくれたので、ここからどんどん獲ってほしいですよね」と笑ったチームを率いる遠藤雅貴監督は、続けて興味深いことを口にする。「去年のヘンリーはちょっと遠慮していた部分があって、強気な姿勢があまり見られなかったんですけど、12月ぐらいにJクラブの練習参加をしてから、ちょっとずつプレーの前への推進力が出てきたかなと思います」。
本人にそのことを尋ねると、シビアな世界で戦っているプロサッカー選手と同じ空気を吸ったことで、やはり自分の中に小さくない変化があったという。
「プロに混ざってやる機会を得られて、いろいろなことを吸収したんですけど、みなさんが本当にサッカーと向き合っていることを一番感じました。一人ひとりの選手がサッカーへの強い想いを持っていて、そこに自分は影響を受けましたし、だからこそ今はピッチ外でも家に帰ってしっかり身体のケアをしたりとか、サッカーの試合もより見るようになりましたし、常にサッカーのことを考えるようになりましたね」
「練習の中でもポストプレーで、外国人選手相手に背負ってから、入れ替わってほぼアシストみたいなチャンスを作れたことがあったんです。あとはヘディングのジャンプの高さだったり、スプリントのところ、ボールを持ったらゴールに向かう積極性は結構通用したので、そこは自分の自信になりました」
一方、ここまで複数のJクラブの練習参加を重ねた中で、改善すべきポイントもより明確に見えてきているようだ。
「トレーナーの方にもまだ身体の使い方に改善の余地があることを教えてもらいましたし、自分でも考えてみたら『確かにそうだな』と思い当たることが何個もありました。あとはパワーを使うところと抜くところも考えないといけないですし、トータルでどこでパワーを使うかといった体力面も課題かなと思います」。
それも高いレベルでプレーしたからこそ、気づかされた大事な課題。今後もJクラブへの練習参加が予定されているとのこと。前回からの成長を試すには格好の機会に、改めて自分の現在地を把握し、それをさらなるステップアップへとつなげていく。
インターハイ予選では都内最強との呼び声も高い帝京高と準々決勝で対峙。前半は多摩大目黒が攻勢に出る展開の中で、何度かの決定機を掴んだものの、それをモノにできず、後半の残り10分強で3失点を喫して、0-3で敗戦。ただ、結果的に東京を制したカナリア軍団と肌を合わせた80分間は、ヘンリーにとっても、チームにとっても、貴重なレッスンになったという。
「正直試合を通して、『十分通用するな』と思いました。前半は決定機も良い形もあって、シュートの本数も多摩目の方が多かったので、ああいうところで自分が先制点を決めないといけないですし、自分の動き出しが味方と合わなかった部分も多かったので、課題は多かったと思います。ただ、帝京相手にスピードが通用したことは改めて自分の自信になりましたし、チームの自信にもなったと思います」。


個人としては今季からチームのキャプテンに就任。「人間性が抜群にいいので、どこに行ってもやれるんです。コミュニケーション能力が高いので、そこは彼の良いところですね」とは遠藤監督だが、本人も任された大役へポジティブに取り組んでいる。
「自分はずっとニコニコしていますし、ズバッと言うタイプではないので、正直あまり向いていないと思っているんですけど(笑)、監督やコーチに任されたことには応えたいですし、今年の代は例年以上に仲が良いので、だからこそキャプテンとしてもみんなにはやりたいようにやってもらって、そのうえで自分もやりたいプレーができればいいかなと思っているので、自分らしいキャプテンを目指しながら、自分がチームのためにできることを常に考えています」。
近年は東京でも上位進出の常連校となっている多摩大目黒だが、選手権予選は6年続けて準々決勝で涙を呑んでいる。その壁を乗り超えて、悲願の東京制覇と初の全国出場は目指すべき明確な目標。ヘンリーも学校の歴史を塗り替える偉業達成への想いを隠さない。
「もともと高校サッカーで結果を残すのが目標で、選手権のためにサッカーを続けてきたので、このチームで全国に行きたいです。まだ課題もありますけど、自分たちなら行ける自信もあるので、この夏でさらにレベルアップして、選手権で結果を出して、そのうえでプロに行けたら一番だなと思っています」。
自身の煌めく未来も、チームの新たな歴史も、磨き上げてきた左足で力強く切り拓く。多摩大目黒の背番号10とキャプテンを託された、ニコニコと輝く笑顔も印象的な17歳。ヘンリー公太という名前は、間違いなく覚えておいた方がいい。


(取材・文 土屋雅史)



