後半ラストプレーでGK小野寺がPKストップ!昌平が東京Vユースと引き分け、プレミア残留へ大きな勝ち点1獲得!
[11.30 プレミアリーグEAST第20節 昌平高 2-2 東京Vユース 昌平高G]
昌平がプレミアリーグ残留へ執念のドロー。11月30日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第20節で昌平高(埼玉)と東京ヴェルディユースが対戦し、2-2で引き分けた。
2-2の後半45+4分、東京VはMF木下晴天(2年)の左からの折り返しが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得。これを怪我明けで交代出場のエースMF仲山獅恩(3年/U-18日本代表)が右足で狙う。だが、昌平GK小野寺太郎(3年)が右への跳躍で止めて試合終了。昌平は残留へ向けて大きな、大きな勝ち点1を獲得した。
ホームの昌平は前節まで6勝3分10敗の10位。降格圏の浦和ユースとの勝ち点差は3で今節を迎えていた。先発はGK小野寺、DF伊藤隆寛主将(3年)、高橋心晴(3年)、笠原慶多(1年/U-16日本代表)、森井智也(3年)、古川雄規(2年)、MF人見大地(2年)、山口豪太(3年/湘南内定)、飯島碧大(2年)、工藤敦士(2年)、FW立野京弥(1年/U-16日本代表)の11人。選手権予選で大活躍のMF長璃喜(3年/U-18日本代表)は、怪我の影響でベンチスタートだった。


一方の東京Vは8勝4分7敗で6位。すでに残留は決めているが、「ここからあと3つ勝つと勝率5割で終えられる。あと3つ絶対勝とうっていう話をして入ったのと、あと最多得点は狙える」(小笠原資暁監督)ことをモチベーションに残り3試合を迎えていた。この昌平戦はGK山崎琉聖(3年)、DF中村宗士朗(3年)、山田将弘(3年)、原田爽潤(1年/U-17日本代表)、MF今井健人(3年/U-18日本代表)、下吉洸平(2年)、今井宏亮(3年/U-17日本代表)、木下、FW古賀大雅(2年)、寺村智晴(3年)、千葉大輔(2年)の11人が先発。相手コートでゲームを進めること、積極的にシュートを放っていくことを目指して試合をスタートした。


その試合は前半、点を取り合う展開となった。開始直後に昌平MF人見がPAへ抜け出して右足シュート。対する東京Vも下吉がPAへ飛び出し、寺村が右足シュートを打ち込む。すると12分、東京Vは山田が古賀へくさびのパスを差し込み、古賀のセンターサークルから出したスルーパスで木下が独走する。最後は距離を詰めてきたDFよりも一瞬速く左足を振り抜き、先制した。




だが、昌平14分、左CKの流れからクリアボールを繋いで左クロス。このこぼれを工藤が右足ダイレクトで叩き、ニアのネットを破った。前節にプレミアリーグデビューを果たしたばかりの工藤のゴールで1-1。さらに19分、昌平は立野の右足シュートで右CKを獲得する。このCKを山口が左足で入れると、ファーサイドの伊藤が豪快に頭で叩きつけて逆転した。






両チームともに繋がりを大事にしながらの攻守。中でも昌平は工藤が自信を持ってボールを受けて、運び、さばいて攻撃の軸になっていた。またシャドーの山口と飯島や人見が流動的な動きを見せたほか、左の古川や森井が高い位置で攻撃に係わり、右DFの高橋が果敢に攻め上がってフィニッシュまで持ち込むシーンも。33分には飯島の決定的な一撃がクロスバーを叩いた。
一方の東京Vは各選手の個人戦術によって昌平の攻撃に対応しようとしていたが、なかなか上手くいかず、ピッチ内外の意見を取り入れながら戦い方を模索。システムを4バックから3バックへ移行し、ロングボールの効力が高いと見るや中村らがそれを徹底して流れを引き寄せて見せる。
昌平の芦田徹監督は、「ヴェルディの選手たちのほうが相手を見るサッカーをするのが長けている。(相手にとって)痛いことをやれる、探せるってところは、やっぱりいい選手たちだなと思いました」と称賛していた。
中でも状況に応じたプレーに長ける今井健のループパスから下吉がチャンスを迎え、原田や古賀の左足シュートがゴールを脅かす。1タッチを交えたパスワークで寺村や千葉が相手のポケットを狙ったほか、今井宏、原田の両DFの攻め上がりも活用した分厚い攻撃。そして45+2分、原田のグラウンダー左クロスをニアの古賀が繋ぎ、最後はゴールエリアの今井健が右足でゴールへ押し込んだ






2-2で迎えた後半、互いにエースを投入。10分、昌平は森井と長を入れ替え、東京Vも16分に古賀と仲山をスイッチする。膠着した展開から主導権はセカンドボールの攻防などで上回る東京Vへ。前線で違いを生み出す仲山が確実に起点となり、今井健らが呼応する形でゴール前のシーンを作り出す。
21分には仲山、今井健と繋ぎ、寺村がPAへ抜け出すも昌平DF高橋がカバー。24分からの5分間には、仲山が味方のフリックからの抜け出し、また鋭いターン、今井健の縦パスなどから立て続けにシュートを打ち込んだ。また、守っては山田が相手の注目1年生FW立野の前に立ちはだかる。




30分には今井健と寺村をFW杉山まはろ(3年)とDF松宮聖}(1年)へ交代。一方の昌平は長が右から中へ持ち込んで左足を振り抜き、山口がドリブルで局面を破ろうとする。31分には右の笠原がDFを剥がしてスルーパス。これに長が走り込み、シュート性のラストパスを狙う。これに立野が飛び込むもわずかに合わない。また、スペースへのボールに対応されるなど苦戦。39分には長の中央突破から笠原が繋ぎ、山口がドリブルから左足を振り抜くも、東京VのGK山崎やDF陣の守りを破ることができなかった。


東京Vも3点目を奪えないまま迎えた後半アディショナルタイム、木下が獲得したPKを得点ランキング首位の仲山が右足で狙う。だが、昌平GK小野寺がビッグセーブした直後に試合終了。昌平は勝ち点1をもたらした小野寺を中心に喜びを爆発させた。


東京Vは、相手の昌平コーチ陣から称賛されるような戦い。それでも小笠原監督は「相手に(特長を)出させたくないし、自分たちは出したいですけど、自分たちも思ったより出せなかったし、相手に出させてしまったっていう印象です。(特に後半は主導権を握っていたが、)最初の20分ぐらいはやっぱり出させてしまったなって印象はあるんで、まだまだ練習が必要だなと思います」と語った。
一方の昌平にとってはプレミアリーグ残留へ向けて大きなドロー。前半終了間際にややふわっとしたところで追いつかれ、柔軟に戦い方を変えてくる東京Vへの対応に苦しむなど、課題もあった。それでも、厳しい戦いが続く中で一歩一歩成長していることも間違いない。
芦田監督は「こういう苦しいゲームとか、絶対勝ち点拾っていかなきゃいけないゲームの中で成長するんだよ、成長する機会だよねってところは問いかけながら、それをどう捉えて自分で取り組めるのか、向き合えるのか。それが成長できるやつとできないやつの差だと思うので、そこの部分は否応にもそういうゲームが毎週来ているので、彼らにとってはチャンスなんだと思いますし、僕自身も指導者としてもそれは凄く感じています」。トレーニングに対する集中力が高まり、その中で古川や工藤が一気に台頭して特長を表現するなど好影響も出てきているようだ。
今節、浦和ユースが市立船橋高(千葉)と引き分けたため、勝ち点差は3のまま。厳しい戦いが続くが、小野寺は「先週、(青森)山田に勝って、この1週間、凄くいい取り組みをしてできたんですけど、やっぱその中でも課題はあった試合だったので、この勝ち点1は意味あるものにしないといけないなってことで次の1週間、次節に向けても、しっかりみんなで前向いて取り組んでいきたいなと思います」と力を込めた。残り2試合は柏U-18、川崎F U-18と強敵が続くが、プレミアリーグ残留を勝ち取り、12月28日の開幕の選手権で日本一に挑戦する。


(取材・文 吉田太郎)
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昌平がプレミアリーグ残留へ執念のドロー。11月30日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第20節で昌平高(埼玉)と東京ヴェルディユースが対戦し、2-2で引き分けた。
2-2の後半45+4分、東京VはMF木下晴天(2年)の左からの折り返しが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得。これを怪我明けで交代出場のエースMF仲山獅恩(3年/U-18日本代表)が右足で狙う。だが、昌平GK小野寺太郎(3年)が右への跳躍で止めて試合終了。昌平は残留へ向けて大きな、大きな勝ち点1を獲得した。
ホームの昌平は前節まで6勝3分10敗の10位。降格圏の浦和ユースとの勝ち点差は3で今節を迎えていた。先発はGK小野寺、DF伊藤隆寛主将(3年)、高橋心晴(3年)、笠原慶多(1年/U-16日本代表)、森井智也(3年)、古川雄規(2年)、MF人見大地(2年)、山口豪太(3年/湘南内定)、飯島碧大(2年)、工藤敦士(2年)、FW立野京弥(1年/U-16日本代表)の11人。選手権予選で大活躍のMF長璃喜(3年/U-18日本代表)は、怪我の影響でベンチスタートだった。


昌平は残留へ向けて負けられない戦いが続く
一方の東京Vは8勝4分7敗で6位。すでに残留は決めているが、「ここからあと3つ勝つと勝率5割で終えられる。あと3つ絶対勝とうっていう話をして入ったのと、あと最多得点は狙える」(小笠原資暁監督)ことをモチベーションに残り3試合を迎えていた。この昌平戦はGK山崎琉聖(3年)、DF中村宗士朗(3年)、山田将弘(3年)、原田爽潤(1年/U-17日本代表)、MF今井健人(3年/U-18日本代表)、下吉洸平(2年)、今井宏亮(3年/U-17日本代表)、木下、FW古賀大雅(2年)、寺村智晴(3年)、千葉大輔(2年)の11人が先発。相手コートでゲームを進めること、積極的にシュートを放っていくことを目指して試合をスタートした。


東京Vユースは勝率5割、最多得点への挑戦
その試合は前半、点を取り合う展開となった。開始直後に昌平MF人見がPAへ抜け出して右足シュート。対する東京Vも下吉がPAへ飛び出し、寺村が右足シュートを打ち込む。すると12分、東京Vは山田が古賀へくさびのパスを差し込み、古賀のセンターサークルから出したスルーパスで木下が独走する。最後は距離を詰めてきたDFよりも一瞬速く左足を振り抜き、先制した。


前半12分、東京VユースMF木下晴天が左足で先制ゴール


アウェーで先手を取った
だが、昌平14分、左CKの流れからクリアボールを繋いで左クロス。このこぼれを工藤が右足ダイレクトで叩き、ニアのネットを破った。前節にプレミアリーグデビューを果たしたばかりの工藤のゴールで1-1。さらに19分、昌平は立野の右足シュートで右CKを獲得する。このCKを山口が左足で入れると、ファーサイドの伊藤が豪快に頭で叩きつけて逆転した。


前半14分、昌平MF工藤敦士が右足でプレミア初ゴール


前節から先発の2年生ボランチが躍動


前半19分、昌平DF伊藤隆寛主将がヘディングシュートを決めて逆転
両チームともに繋がりを大事にしながらの攻守。中でも昌平は工藤が自信を持ってボールを受けて、運び、さばいて攻撃の軸になっていた。またシャドーの山口と飯島や人見が流動的な動きを見せたほか、左の古川や森井が高い位置で攻撃に係わり、右DFの高橋が果敢に攻め上がってフィニッシュまで持ち込むシーンも。33分には飯島の決定的な一撃がクロスバーを叩いた。
一方の東京Vは各選手の個人戦術によって昌平の攻撃に対応しようとしていたが、なかなか上手くいかず、ピッチ内外の意見を取り入れながら戦い方を模索。システムを4バックから3バックへ移行し、ロングボールの効力が高いと見るや中村らがそれを徹底して流れを引き寄せて見せる。
昌平の芦田徹監督は、「ヴェルディの選手たちのほうが相手を見るサッカーをするのが長けている。(相手にとって)痛いことをやれる、探せるってところは、やっぱりいい選手たちだなと思いました」と称賛していた。
中でも状況に応じたプレーに長ける今井健のループパスから下吉がチャンスを迎え、原田や古賀の左足シュートがゴールを脅かす。1タッチを交えたパスワークで寺村や千葉が相手のポケットを狙ったほか、今井宏、原田の両DFの攻め上がりも活用した分厚い攻撃。そして45+2分、原田のグラウンダー左クロスをニアの古賀が繋ぎ、最後はゴールエリアの今井健が右足でゴールへ押し込んだ




前半45+2分、東京VユースMF今井健人が同点ゴール


アシストのDF原田爽潤(左)らと喜ぶ
2-2で迎えた後半、互いにエースを投入。10分、昌平は森井と長を入れ替え、東京Vも16分に古賀と仲山をスイッチする。膠着した展開から主導権はセカンドボールの攻防などで上回る東京Vへ。前線で違いを生み出す仲山が確実に起点となり、今井健らが呼応する形でゴール前のシーンを作り出す。
21分には仲山、今井健と繋ぎ、寺村がPAへ抜け出すも昌平DF高橋がカバー。24分からの5分間には、仲山が味方のフリックからの抜け出し、また鋭いターン、今井健の縦パスなどから立て続けにシュートを打ち込んだ。また、守っては山田が相手の注目1年生FW立野の前に立ちはだかる。


東京Vユースは得点ランク首位のFW仲山獅恩が交代出場。シュート5本を放った


30分には今井健と寺村をFW杉山まはろ(3年)とDF松宮聖}(1年)へ交代。一方の昌平は長が右から中へ持ち込んで左足を振り抜き、山口がドリブルで局面を破ろうとする。31分には右の笠原がDFを剥がしてスルーパス。これに長が走り込み、シュート性のラストパスを狙う。これに立野が飛び込むもわずかに合わない。また、スペースへのボールに対応されるなど苦戦。39分には長の中央突破から笠原が繋ぎ、山口がドリブルから左足を振り抜くも、東京VのGK山崎やDF陣の守りを破ることができなかった。


昌平のエースMF長璃喜は交代出場で決定機に絡んだ
東京Vも3点目を奪えないまま迎えた後半アディショナルタイム、木下が獲得したPKを得点ランキング首位の仲山が右足で狙う。だが、昌平GK小野寺がビッグセーブした直後に試合終了。昌平は勝ち点1をもたらした小野寺を中心に喜びを爆発させた。


後半ラストプレーで東京VユースFW仲山 獅恩が右足PK。これを昌平GK小野寺太郎が止めて試合終了
東京Vは、相手の昌平コーチ陣から称賛されるような戦い。それでも小笠原監督は「相手に(特長を)出させたくないし、自分たちは出したいですけど、自分たちも思ったより出せなかったし、相手に出させてしまったっていう印象です。(特に後半は主導権を握っていたが、)最初の20分ぐらいはやっぱり出させてしまったなって印象はあるんで、まだまだ練習が必要だなと思います」と語った。
一方の昌平にとってはプレミアリーグ残留へ向けて大きなドロー。前半終了間際にややふわっとしたところで追いつかれ、柔軟に戦い方を変えてくる東京Vへの対応に苦しむなど、課題もあった。それでも、厳しい戦いが続く中で一歩一歩成長していることも間違いない。
芦田監督は「こういう苦しいゲームとか、絶対勝ち点拾っていかなきゃいけないゲームの中で成長するんだよ、成長する機会だよねってところは問いかけながら、それをどう捉えて自分で取り組めるのか、向き合えるのか。それが成長できるやつとできないやつの差だと思うので、そこの部分は否応にもそういうゲームが毎週来ているので、彼らにとってはチャンスなんだと思いますし、僕自身も指導者としてもそれは凄く感じています」。トレーニングに対する集中力が高まり、その中で古川や工藤が一気に台頭して特長を表現するなど好影響も出てきているようだ。
今節、浦和ユースが市立船橋高(千葉)と引き分けたため、勝ち点差は3のまま。厳しい戦いが続くが、小野寺は「先週、(青森)山田に勝って、この1週間、凄くいい取り組みをしてできたんですけど、やっぱその中でも課題はあった試合だったので、この勝ち点1は意味あるものにしないといけないなってことで次の1週間、次節に向けても、しっかりみんなで前向いて取り組んでいきたいなと思います」と力を込めた。残り2試合は柏U-18、川崎F U-18と強敵が続くが、プレミアリーグ残留を勝ち取り、12月28日の開幕の選手権で日本一に挑戦する。


昌平は残り2試合でプレミアリーグ残留を勝ち取る
(取材・文 吉田太郎)
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