双子の兄といつか同じステージに…プレミア昇格逃すも米子北相手に存在感、新潟U-18MF竹ノ谷颯優(3年)の誓い「プロの世界で戦えたら」
[12.14 プレミアリーグプレーオフ決勝戦 米子北 2-1(延長) 新潟U-18 ホットスタッフフィールド広島]
「相手の方がパスワークを含めて技術は高い。ミーティングでは本当に上手いから、簡単には奪えないぞと言われていた。ただ、自分たちは守備に自信があったのでもう少し奪えるかと思っていたのですが、本当に上手すぎた」。米子北高(中国1、鳥取)のDF浜梶優大(3年)が感嘆の声をあげたのも無理はない。
自陣からビルドアップするアルビレックス新潟U-18(北信越、新潟)のボールを奪いに行っても簡単にかわされ、前進されてしまうため、米子北の選手たちは思い切って前から奪いに行けない。技術力の高さを感じさせる攻撃の中心を担っていたのは10番のMF竹ノ谷颯優スベディ(3年)だった。
「今年はワンアンカーに入っているので、真ん中を中心に自分がピッチを支配つもりでやってきた」。そう話す竹ノ谷の役割はゲームメーカー。タイミングよくボールホルダーに対して顔を出すと、受けてからは判断よく前後左右にボールを配給。相手のプレッシャーが弱いと見ると繰り出す持ち運びも効果的だった。
「とにかく10番には自由にさせないようにと思っていた」(城市徳之監督)米子北の包囲網により、前半はボールに触る機会が少なかったが、後半になってからは状況に応じてシステムを変化。竹ノ谷自身も前半よりも低い位置まで顔を出すことで米子北の守備を掻い潜った。
新潟のペースで試合を進め、後半22分にはサイドを起点に綺麗な形で同点弾をマークしたが、延長戦開始直後に失点し、1-2で敗戦。試合後、竹ノ谷は「今年、自分たちが積み上げてきたサッカーが、最後の舞台で出せたのは良かったと思うのですが、負けて悔しいです」と唇を噛んだ。
昨年も2年生ながら10番を背負い、サッカーセンスを感じさせるプレーを披露していたが、今年に入ってからの成長は著しい。「田中達也さんが監督になって前を見る意識や真ん中でもらってターンからのサイドチェンジ、前への意識、スルーパスの意識が上がったし、精度も上がった。新潟に来てから戦術理解が高まり、サッカーをより深く知ることができたと思う」。
高卒でのプロ入りを希望し、度々トップチームに練習参加したが、「大学の良さに気付いた」とキャリア設計を見直し、卒業後は関東の強豪大学への入学を予定している。双子の兄である前橋育英高のMF竹ノ谷優駕スベディ(3年)とは進路についてもよく話しており、最初は一緒に大学に行こうと話していたが、颯優とは反対に優駕は進学からプロ入りへと方向展開。来季からモンテディオ山形入りが決まった。トップチームの基準を知る颯優は「プレーに自信があるなら行っても良いんじゃない」と兄の選択を後押ししたという。
Jリーグのアカデミーと高体連という異なるルートを歩んできたが、今でも関係は良好でこの日の朝も優駕と電話で話をして、MF湯月哲大(3年)らU-17高校選抜でともにプレーした米子北の情報を仕入れて、試合に生かした。自身は高校サッカーを終えたが、兄の優駕には最後の選手権が残っている。「お兄ちゃんは今年、キャプテンとして選手権2連覇という目標を掲げて頑張っている。自分はプリンスで優勝できたのですが、目標にしていたプレミアへと行けなかったので、最後はお兄ちゃんに託したい」。
目標であるプロ入りは先を越されたが、このまま終わるわけにいかない。「いつかお兄ちゃんと一緒にプロの世界で戦えたら良い。そのためにもユースで学んだ戦術理解と大学のフィジカルを上手く融合させたい」と話す颯優は新潟で過ごした3年間で伸ばしたサッカーIQをベースに更なる成長を遂げ、兄と同じステージに立つつもりだ。
(取材・文 森田将義)
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「相手の方がパスワークを含めて技術は高い。ミーティングでは本当に上手いから、簡単には奪えないぞと言われていた。ただ、自分たちは守備に自信があったのでもう少し奪えるかと思っていたのですが、本当に上手すぎた」。米子北高(中国1、鳥取)のDF浜梶優大(3年)が感嘆の声をあげたのも無理はない。
自陣からビルドアップするアルビレックス新潟U-18(北信越、新潟)のボールを奪いに行っても簡単にかわされ、前進されてしまうため、米子北の選手たちは思い切って前から奪いに行けない。技術力の高さを感じさせる攻撃の中心を担っていたのは10番のMF竹ノ谷颯優スベディ(3年)だった。
「今年はワンアンカーに入っているので、真ん中を中心に自分がピッチを支配つもりでやってきた」。そう話す竹ノ谷の役割はゲームメーカー。タイミングよくボールホルダーに対して顔を出すと、受けてからは判断よく前後左右にボールを配給。相手のプレッシャーが弱いと見ると繰り出す持ち運びも効果的だった。
「とにかく10番には自由にさせないようにと思っていた」(城市徳之監督)米子北の包囲網により、前半はボールに触る機会が少なかったが、後半になってからは状況に応じてシステムを変化。竹ノ谷自身も前半よりも低い位置まで顔を出すことで米子北の守備を掻い潜った。
新潟のペースで試合を進め、後半22分にはサイドを起点に綺麗な形で同点弾をマークしたが、延長戦開始直後に失点し、1-2で敗戦。試合後、竹ノ谷は「今年、自分たちが積み上げてきたサッカーが、最後の舞台で出せたのは良かったと思うのですが、負けて悔しいです」と唇を噛んだ。
昨年も2年生ながら10番を背負い、サッカーセンスを感じさせるプレーを披露していたが、今年に入ってからの成長は著しい。「田中達也さんが監督になって前を見る意識や真ん中でもらってターンからのサイドチェンジ、前への意識、スルーパスの意識が上がったし、精度も上がった。新潟に来てから戦術理解が高まり、サッカーをより深く知ることができたと思う」。
高卒でのプロ入りを希望し、度々トップチームに練習参加したが、「大学の良さに気付いた」とキャリア設計を見直し、卒業後は関東の強豪大学への入学を予定している。双子の兄である前橋育英高のMF竹ノ谷優駕スベディ(3年)とは進路についてもよく話しており、最初は一緒に大学に行こうと話していたが、颯優とは反対に優駕は進学からプロ入りへと方向展開。来季からモンテディオ山形入りが決まった。トップチームの基準を知る颯優は「プレーに自信があるなら行っても良いんじゃない」と兄の選択を後押ししたという。
Jリーグのアカデミーと高体連という異なるルートを歩んできたが、今でも関係は良好でこの日の朝も優駕と電話で話をして、MF湯月哲大(3年)らU-17高校選抜でともにプレーした米子北の情報を仕入れて、試合に生かした。自身は高校サッカーを終えたが、兄の優駕には最後の選手権が残っている。「お兄ちゃんは今年、キャプテンとして選手権2連覇という目標を掲げて頑張っている。自分はプリンスで優勝できたのですが、目標にしていたプレミアへと行けなかったので、最後はお兄ちゃんに託したい」。
目標であるプロ入りは先を越されたが、このまま終わるわけにいかない。「いつかお兄ちゃんと一緒にプロの世界で戦えたら良い。そのためにもユースで学んだ戦術理解と大学のフィジカルを上手く融合させたい」と話す颯優は新潟で過ごした3年間で伸ばしたサッカーIQをベースに更なる成長を遂げ、兄と同じステージに立つつもりだ。
(取材・文 森田将義)
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