「苦しんででも勝つ」ことを受け入れたチームが携えるのは数的不利をも楽しむマインド。流経大柏は横浜FCユースに競り勝って開幕連勝達成!
[4.11 プレミアリーグEAST第2節 流通経済大柏高 2-0 横浜FCユース 流通経済大柏高G]
自分たちの思い描いたように90分間を過ごせることなんて、確実に不可能な話。ならば、苦しい時間を、うまくいかない時間を、どうやってやり過ごすか。あるいは、どうやって楽しむか。この本質に近いところを、今シーズンの彼らは既に纏いつつあるようだ。
「キツい時間も、そこで『頑張るってどういうこと?』という時間になりますし、限界を超えるというか、普段自分ができなかったところで頑張るとか、粘れたりすることが大事なんです。プレミアでは22試合もこれだけの相手とやっていれば、会心の試合なんてほとんどないので、だったら『苦しんででも勝つ』ということを受け入れてやるのが今のテーマですね」(流通経済大柏高・榎本雅大監督)
最後は数的不利になっても、きっちりゲームを締めて開幕連勝!11日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2026 EAST第2節で、流通経済大柏高(千葉)と横浜FCユース(神奈川)が激突した一戦は、前半で2ゴールを挙げた流経大柏が、後半に退場者を出しながらも2-0で勝利。ホームで勝点3を積み重ねている。
電光石火の先制点は開始3分。流経大柏はFW渡辺瞳也(3年)が力強いキープで基点を作り、MF平野万緑(3年)は少し運んで左へ。「相手の右サイドバックの子が結構前に来ていたので、その裏を取ろうという意識は常に持っていた」という日本高校選抜の欧州遠征から帰国したばかりのMF古川蒼真(3年)のシュートは、横浜FCユースGK山岸克斗(3年)も懸命に弾いたが、こぼれをすかさずFW福田明史(3年)がプッシュする。
「(前橋)育英戦で瞳也が2点決めていて、今日は『瞳也の活躍に追い付かないとな』という気持ちがあって、こぼれ球も狙っていました」という7番のストライカーは、これがプレミア初ゴール。早くも流経大柏が1点のリードを奪う。




「前回の試合も立ち上がりに失点して、そこは自分たちの課題だと思っています」とキャプテンのMF椿渥裕(3年)も言及した横浜FCユースは、いきなりビハインド追い掛ける展開に。19分には山岸のフィードから、MF金子航大(1年)とのワンツーで左サイドを抜け出したMF鈴木晴弥(3年)がフィニッシュまで持ち込むも、GKを破ったシュートはカバーに入った流経大柏DF大徳剛矢(3年)が間一髪でクリア。同点には至らない。
以降はお互いにチャンスを作り合う展開に。21分は流経大柏。平野が浮き球をラインの裏へ落とし、渡辺が狙ったループはわずかに枠の左へ。32分は横浜FCユース。MF高原由翔(3年)を起点に、FW齋藤翔(3年)、金子とパスを回し、MF福岡湧大(3年)が枠へ飛ばしたシュートは流経大柏GK大泉未来(2年)がキャッチ。
34分も横浜FCユース。今度は福岡、金子とボールを動かし、齋藤のシュートはDFをかすめてゴール右へ。38分は流経大柏。大徳の縦パスをDF真壁英人(3年)が巧みに持ち出し、平野のスルーパスから渡辺が放ったシュートはゴール左へ逸れるも、「今年は中盤の連携のチームだと思っている」とキャプテンのDFメンディー・サイモン友(3年)も胸を張ったスムーズな連携を披露する。
すると、次の得点を記録したのもホームチーム。45分。相手のスローインをMF内田煌生(3年)が跳ね返し、DF山本頼斗(3年)は丁寧に縦へ。粘った福田が右から折り返すと、「ワンタッチでのシュートも考えたんですけど、打とうとしたら相手が下がったので、トラップして冷静に打てました」という平野のシュートがゴールネットに突き刺さる。2-0。流経大柏が点差を広げて、最初の45分間は終了した。
後半も先にチャンスを創出したのは流経大柏。3分。ここも渡辺が時間を作り、古川のカットインシュートはゴール右へ外れるも好トライ。11分。大徳のクサビを平野がきっちり捌き、後半から投入されたFW熊木虎太郎(2年)を経て、渡辺が狙ったシュートは枠を越えたが、打ち出す追加点への意欲。
12分は横浜FCユースに決定機。「いいところで受けて、前を向くことが得意」と言い切る福岡がバイタルで前を向いてラストパス。齋藤が角度のない位置からシュートを打ち切ると、大泉がわずかにさわったボールは左ポストにヒットするも、この一撃は確実にチームへ小さくない勇気をもたらす。


横浜FCユースはディフェンス陣も奮戦する。右からDF篠田琉成(1年)、DF小島頂嵯(3年)、FW山崎善士(3年)、DF吉田雅哉(2年)が並んだ4バックも、時間を追うごとに安定感が高まり、相手の流麗なパスワークにも丁寧に対抗。攻撃面でも途中出場のFW古谷のかぜ(1年)が右サイドでアクセントとなり、得点の可能性を感じさせるアタックが増えていく。
31分には再び横浜FCユースにビッグチャンス。篠田と古谷の1年生コンビが右サイドを巧みに崩し、やはり1年生の金子が叩いたシュートがDFに当たった軌道はゴールへ向かうと、左のポストに跳ね返ったボールは山本が懸命にクリア。ここも枠に嫌われ、追撃の1点を奪い切れない。
やや押し込まれる時間も増えてきた流経大柏は、32分に退場者が出てしまい、10人での戦いを余儀なくされた中で、「今日の走行距離は13キロ代後半と聞きましたよ。どこにでもいますよね」と榎本監督も称賛したMF千葉友翔(3年)や内田が中盤を引き締め、後方はメンディーと大徳の強力センターバックコンビを軸に、最後の一線を超えさせない堅陣を構築。着実に時計の針を進めていく。
45+5分は横浜FCユース。奮闘が際立った篠田のロングスローから、こぼれを拾った鈴木のシュートは、メンディーが決死のブロックで阻止すると、程なくしてタイムアップのホイッスルが鳴り響く。「守備陣はメッチャ身体を張って頑張ってくれて、前線もちゃんと決めるところを決めて、2試合とも無失点で、2得点できて勝っているので、良い状態かなと思います」(福田)。流経大柏が2試合続けての2-0というスコアで、開幕2連勝を引き寄せる結果となった。




今季からチームのキャプテンを任されているメンディーが、興味深いことを話していた。「10人になってからは結構キツかったですけど、みんなで『こういう機会もなかなかないので、しっかり楽しめ』と話していた中で、今日も無失点に抑えられたので、2試合連続で無失点で終われたのはとても良かったと思います」。
聞けば数的不利の状況をポジティブに捉え、そのパワーをチームメイトに波及させたのはハードワーカーの千葉とのこと。「千葉がそういう声を掛けてきたので、自分もみんなに『楽しめ』と言いました。アイツは今日も一番走っていましたし、いつも笑っているキャラなので、自分も助かっています(笑)。なかなかこういう経験もなかった中で、楽しみながら勝てたと思いますね」とメンディーが証言する。
指揮官もピッチの中の雰囲気は、敏感に察知していたという。「10人になったのは1つのきっかけでしたし、そこでみんなから『次!次!』という良い声が出ていたから、凄く頼もしいなと思いました。今日はメチャクチャいい時間を過ごせたんじゃないですか」。苦しい時にこそ問われるブレないメンタリティを、この日の流経大柏はきっちりと携えていたというわけだ。
プレシーズンはメンディーと古川の2枚看板や、平野、渡辺、大徳、大泉といった主力がそれぞれJクラブの練習や高校選抜の活動に参加していたことで、榎本監督は「まだまだ“2月ぐらいのチーム”で全然完成していない」状況だと話したものの、「それでいいと思っているんです」と言葉は続く。
「チームは育っていくものですし、育てていくものですし、そういう意味では苦しみながらやればいいんじゃないかなって。ここからプレミアの選手たちも、プリンス1部の選手たちと切磋琢磨して、誰が残っていくのかというところで、逃げている選手や向き合っていない選手が落ちる環境が作れていますから」。
「あとは選手のサポートをどうやってこっちがしていくかで、いろいろな試練を与えたり、いろいろなことを経験させることで、個もチームも成長していくわけで、選手たちを煽っていきますけど、こちらの理想に近いところまでは要求しても、最後までは言わないということが大事でしょうね。今は何より勝って反省できるのが一番いいです。そうすることで自信に変わっていきますし、今後の彼らが楽しみですね」。
シビアで健全な日常のトレーニングを経て、正当な競争原理の中で試合に出る権利を掴んだ選手が、ピッチの中で100パーセントを出し尽くす。彼らが直面する苦境は、楽しみ、乗り越え、成長するために訪れる。やはり今シーズンの流経大柏も、どの対戦相手にとっても厄介な存在になっていくことは間違いなさそうだ。


(取材・文 土屋雅史)
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自分たちの思い描いたように90分間を過ごせることなんて、確実に不可能な話。ならば、苦しい時間を、うまくいかない時間を、どうやってやり過ごすか。あるいは、どうやって楽しむか。この本質に近いところを、今シーズンの彼らは既に纏いつつあるようだ。
「キツい時間も、そこで『頑張るってどういうこと?』という時間になりますし、限界を超えるというか、普段自分ができなかったところで頑張るとか、粘れたりすることが大事なんです。プレミアでは22試合もこれだけの相手とやっていれば、会心の試合なんてほとんどないので、だったら『苦しんででも勝つ』ということを受け入れてやるのが今のテーマですね」(流通経済大柏高・榎本雅大監督)
最後は数的不利になっても、きっちりゲームを締めて開幕連勝!11日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2026 EAST第2節で、流通経済大柏高(千葉)と横浜FCユース(神奈川)が激突した一戦は、前半で2ゴールを挙げた流経大柏が、後半に退場者を出しながらも2-0で勝利。ホームで勝点3を積み重ねている。
電光石火の先制点は開始3分。流経大柏はFW渡辺瞳也(3年)が力強いキープで基点を作り、MF平野万緑(3年)は少し運んで左へ。「相手の右サイドバックの子が結構前に来ていたので、その裏を取ろうという意識は常に持っていた」という日本高校選抜の欧州遠征から帰国したばかりのMF古川蒼真(3年)のシュートは、横浜FCユースGK山岸克斗(3年)も懸命に弾いたが、こぼれをすかさずFW福田明史(3年)がプッシュする。
「(前橋)育英戦で瞳也が2点決めていて、今日は『瞳也の活躍に追い付かないとな』という気持ちがあって、こぼれ球も狙っていました」という7番のストライカーは、これがプレミア初ゴール。早くも流経大柏が1点のリードを奪う。




「前回の試合も立ち上がりに失点して、そこは自分たちの課題だと思っています」とキャプテンのMF椿渥裕(3年)も言及した横浜FCユースは、いきなりビハインド追い掛ける展開に。19分には山岸のフィードから、MF金子航大(1年)とのワンツーで左サイドを抜け出したMF鈴木晴弥(3年)がフィニッシュまで持ち込むも、GKを破ったシュートはカバーに入った流経大柏DF大徳剛矢(3年)が間一髪でクリア。同点には至らない。
以降はお互いにチャンスを作り合う展開に。21分は流経大柏。平野が浮き球をラインの裏へ落とし、渡辺が狙ったループはわずかに枠の左へ。32分は横浜FCユース。MF高原由翔(3年)を起点に、FW齋藤翔(3年)、金子とパスを回し、MF福岡湧大(3年)が枠へ飛ばしたシュートは流経大柏GK大泉未来(2年)がキャッチ。
34分も横浜FCユース。今度は福岡、金子とボールを動かし、齋藤のシュートはDFをかすめてゴール右へ。38分は流経大柏。大徳の縦パスをDF真壁英人(3年)が巧みに持ち出し、平野のスルーパスから渡辺が放ったシュートはゴール左へ逸れるも、「今年は中盤の連携のチームだと思っている」とキャプテンのDFメンディー・サイモン友(3年)も胸を張ったスムーズな連携を披露する。
すると、次の得点を記録したのもホームチーム。45分。相手のスローインをMF内田煌生(3年)が跳ね返し、DF山本頼斗(3年)は丁寧に縦へ。粘った福田が右から折り返すと、「ワンタッチでのシュートも考えたんですけど、打とうとしたら相手が下がったので、トラップして冷静に打てました」という平野のシュートがゴールネットに突き刺さる。2-0。流経大柏が点差を広げて、最初の45分間は終了した。
後半も先にチャンスを創出したのは流経大柏。3分。ここも渡辺が時間を作り、古川のカットインシュートはゴール右へ外れるも好トライ。11分。大徳のクサビを平野がきっちり捌き、後半から投入されたFW熊木虎太郎(2年)を経て、渡辺が狙ったシュートは枠を越えたが、打ち出す追加点への意欲。
12分は横浜FCユースに決定機。「いいところで受けて、前を向くことが得意」と言い切る福岡がバイタルで前を向いてラストパス。齋藤が角度のない位置からシュートを打ち切ると、大泉がわずかにさわったボールは左ポストにヒットするも、この一撃は確実にチームへ小さくない勇気をもたらす。


横浜FCユースはディフェンス陣も奮戦する。右からDF篠田琉成(1年)、DF小島頂嵯(3年)、FW山崎善士(3年)、DF吉田雅哉(2年)が並んだ4バックも、時間を追うごとに安定感が高まり、相手の流麗なパスワークにも丁寧に対抗。攻撃面でも途中出場のFW古谷のかぜ(1年)が右サイドでアクセントとなり、得点の可能性を感じさせるアタックが増えていく。
31分には再び横浜FCユースにビッグチャンス。篠田と古谷の1年生コンビが右サイドを巧みに崩し、やはり1年生の金子が叩いたシュートがDFに当たった軌道はゴールへ向かうと、左のポストに跳ね返ったボールは山本が懸命にクリア。ここも枠に嫌われ、追撃の1点を奪い切れない。
やや押し込まれる時間も増えてきた流経大柏は、32分に退場者が出てしまい、10人での戦いを余儀なくされた中で、「今日の走行距離は13キロ代後半と聞きましたよ。どこにでもいますよね」と榎本監督も称賛したMF千葉友翔(3年)や内田が中盤を引き締め、後方はメンディーと大徳の強力センターバックコンビを軸に、最後の一線を超えさせない堅陣を構築。着実に時計の針を進めていく。
45+5分は横浜FCユース。奮闘が際立った篠田のロングスローから、こぼれを拾った鈴木のシュートは、メンディーが決死のブロックで阻止すると、程なくしてタイムアップのホイッスルが鳴り響く。「守備陣はメッチャ身体を張って頑張ってくれて、前線もちゃんと決めるところを決めて、2試合とも無失点で、2得点できて勝っているので、良い状態かなと思います」(福田)。流経大柏が2試合続けての2-0というスコアで、開幕2連勝を引き寄せる結果となった。




応援団のコールに応える先制弾の福田明史
今季からチームのキャプテンを任されているメンディーが、興味深いことを話していた。「10人になってからは結構キツかったですけど、みんなで『こういう機会もなかなかないので、しっかり楽しめ』と話していた中で、今日も無失点に抑えられたので、2試合連続で無失点で終われたのはとても良かったと思います」。
聞けば数的不利の状況をポジティブに捉え、そのパワーをチームメイトに波及させたのはハードワーカーの千葉とのこと。「千葉がそういう声を掛けてきたので、自分もみんなに『楽しめ』と言いました。アイツは今日も一番走っていましたし、いつも笑っているキャラなので、自分も助かっています(笑)。なかなかこういう経験もなかった中で、楽しみながら勝てたと思いますね」とメンディーが証言する。
指揮官もピッチの中の雰囲気は、敏感に察知していたという。「10人になったのは1つのきっかけでしたし、そこでみんなから『次!次!』という良い声が出ていたから、凄く頼もしいなと思いました。今日はメチャクチャいい時間を過ごせたんじゃないですか」。苦しい時にこそ問われるブレないメンタリティを、この日の流経大柏はきっちりと携えていたというわけだ。
プレシーズンはメンディーと古川の2枚看板や、平野、渡辺、大徳、大泉といった主力がそれぞれJクラブの練習や高校選抜の活動に参加していたことで、榎本監督は「まだまだ“2月ぐらいのチーム”で全然完成していない」状況だと話したものの、「それでいいと思っているんです」と言葉は続く。
「チームは育っていくものですし、育てていくものですし、そういう意味では苦しみながらやればいいんじゃないかなって。ここからプレミアの選手たちも、プリンス1部の選手たちと切磋琢磨して、誰が残っていくのかというところで、逃げている選手や向き合っていない選手が落ちる環境が作れていますから」。
「あとは選手のサポートをどうやってこっちがしていくかで、いろいろな試練を与えたり、いろいろなことを経験させることで、個もチームも成長していくわけで、選手たちを煽っていきますけど、こちらの理想に近いところまでは要求しても、最後までは言わないということが大事でしょうね。今は何より勝って反省できるのが一番いいです。そうすることで自信に変わっていきますし、今後の彼らが楽しみですね」。
シビアで健全な日常のトレーニングを経て、正当な競争原理の中で試合に出る権利を掴んだ選手が、ピッチの中で100パーセントを出し尽くす。彼らが直面する苦境は、楽しみ、乗り越え、成長するために訪れる。やはり今シーズンの流経大柏も、どの対戦相手にとっても厄介な存在になっていくことは間違いなさそうだ。


(取材・文 土屋雅史)
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