寡黙な男も歓喜爆発…ACL決勝で劇的弾の横浜FM渡辺皓太「この試合にかけていた」
[5.11 ACL決勝第1戦 横浜FM 2-1 アルアイン 日産ス]
VARからの“吉報”が主審を通じてピッチ上に伝えられると、いつもは寡黙な男も感情を抑えられなかった。「これだけ素晴らしい雰囲気の中で自然と感情が爆発した。あまり慣れていなかったけど、自然とああいう感情になった」。試合後、大勢の報道陣に囲まれた横浜F・マリノスMF渡辺皓太は照れ笑いを浮かべつつ、戸惑い気味に自身のゴールパフォーマンスを思い返していた。
1-1の試合終盤、歓喜の瞬間は後半41分に訪れた。右サイドを攻め上がったFWヤン・マテウスのクロスがファーサイドに送り込まれると、FW宮市亮がボレーシュートを試みるも、ゴールマウスから外れて右に外れる。しかし、そのコース上で待っていた渡辺がうまく身体で反応。巧みに軌道を変えて枠内に押し込んだ。
その直後、一度は副審がオフサイドを告げるフラッグアップを行い、ゴールが取り消された。しかし、そこにVARが介入。右サイドでヤン・マテウスの突破に備えていたアルアインのMFマティアス・パラシオスが低い位置に残っていたが分かり、VARオンリーレビューの結果、ゴールの判定に覆った。
主審がセンターサークルを指してゴールの宣言を行うと、53704人が集まったスタジアムは歓喜のムードに包まれた。「全く(オンサイドの)感覚はなくて、どっちに転ぶか自分でもわからなかった」と一度冷静になっていた渡辺も同様。メインスタンドに向かって猛然とダッシュし、ド派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。
0-1で迎えた後半15分からピッチに立ち、「なんでもいいので流れを変えたかった。結果を出すしかないと思っていた」という中での大仕事。ゴールの瞬間からセレブレーションに至るまで、とにかく無我夢中だった。
「(ゴールシーンも)正直あまり覚えていなくて……。自分がなぜあそこにいたのか覚えていないし。でも途中から出たから何かしらやってやろうと思っていた。チームは負けていたし、あれだけの雰囲気を作ってくれたので結果が出て良かった」。そう振り返った背番号6は「理由はわからないけど、結果を出すしかない思いであそこにいたんだと思う」とサラリとこぼした。
チームにとってはアジアタイトルに一歩近づく値千金のゴール。また渡辺自身にとっても苦悩からの脱却を予感させる一発となった。
渡辺は4月3日の第5節・川崎F戦で負傷交代した後、約1か月にわたる戦線離脱を経験。ACL準決勝は2試合とも欠場していた。また復帰後も今月3日の磐田戦に途中出場し、同6日の浦和戦では先発入りも果たしたが、その間チームは1分1敗。渡辺自身も昨季のような攻守にわたるハイパフォーマンスを発揮するには至っていなかった。
現在も「まだ正直100%ではない」と認める渡辺。それでも目の前にはアジアタイトル獲得のチャンス、まさに「この試合にかけていた」という。
「マリノスの歴史を変えられるチャンスだし、なかなかこんなチャンスはない。マリノスファミリー全員が優勝を願っているとわかっているし、この優勝がどれだけ大きいのかも理解しているつもり。そういったものをプレーで示したいと思っていた」。その結果、決勝ゴールというこれ以上ない形で存在価値を見せつけた。
チームは今後、15日の新潟戦、19日のFC東京戦を経て、25日に敵地で行われる運命の決勝第2戦に臨む。大一番の最終決戦としては厳しい連戦だが、渡辺のコンディション回復に与えられた時間は十分にあるとも捉えられる。
「ここから試合が続くのでしっかりと自分にフォーカスして、100%に戻して、スタートから使ってもらえるようなプレーをしていきたい」。そう意気込む25歳は、アジアの頂点を争う最終決戦に向けて「今日の結果は忘れて、また次の試合に一から。難しい試合になるけどしっかり勝ちに行って優勝したい」と高らかに宣言した。
(取材・文 竹内達也)
●ACL2023-24特集
VARからの“吉報”が主審を通じてピッチ上に伝えられると、いつもは寡黙な男も感情を抑えられなかった。「これだけ素晴らしい雰囲気の中で自然と感情が爆発した。あまり慣れていなかったけど、自然とああいう感情になった」。試合後、大勢の報道陣に囲まれた横浜F・マリノスMF渡辺皓太は照れ笑いを浮かべつつ、戸惑い気味に自身のゴールパフォーマンスを思い返していた。
1-1の試合終盤、歓喜の瞬間は後半41分に訪れた。右サイドを攻め上がったFWヤン・マテウスのクロスがファーサイドに送り込まれると、FW宮市亮がボレーシュートを試みるも、ゴールマウスから外れて右に外れる。しかし、そのコース上で待っていた渡辺がうまく身体で反応。巧みに軌道を変えて枠内に押し込んだ。
その直後、一度は副審がオフサイドを告げるフラッグアップを行い、ゴールが取り消された。しかし、そこにVARが介入。右サイドでヤン・マテウスの突破に備えていたアルアインのMFマティアス・パラシオスが低い位置に残っていたが分かり、VARオンリーレビューの結果、ゴールの判定に覆った。
主審がセンターサークルを指してゴールの宣言を行うと、53704人が集まったスタジアムは歓喜のムードに包まれた。「全く(オンサイドの)感覚はなくて、どっちに転ぶか自分でもわからなかった」と一度冷静になっていた渡辺も同様。メインスタンドに向かって猛然とダッシュし、ド派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。
0-1で迎えた後半15分からピッチに立ち、「なんでもいいので流れを変えたかった。結果を出すしかないと思っていた」という中での大仕事。ゴールの瞬間からセレブレーションに至るまで、とにかく無我夢中だった。
「(ゴールシーンも)正直あまり覚えていなくて……。自分がなぜあそこにいたのか覚えていないし。でも途中から出たから何かしらやってやろうと思っていた。チームは負けていたし、あれだけの雰囲気を作ってくれたので結果が出て良かった」。そう振り返った背番号6は「理由はわからないけど、結果を出すしかない思いであそこにいたんだと思う」とサラリとこぼした。
チームにとってはアジアタイトルに一歩近づく値千金のゴール。また渡辺自身にとっても苦悩からの脱却を予感させる一発となった。
渡辺は4月3日の第5節・川崎F戦で負傷交代した後、約1か月にわたる戦線離脱を経験。ACL準決勝は2試合とも欠場していた。また復帰後も今月3日の磐田戦に途中出場し、同6日の浦和戦では先発入りも果たしたが、その間チームは1分1敗。渡辺自身も昨季のような攻守にわたるハイパフォーマンスを発揮するには至っていなかった。
現在も「まだ正直100%ではない」と認める渡辺。それでも目の前にはアジアタイトル獲得のチャンス、まさに「この試合にかけていた」という。
「マリノスの歴史を変えられるチャンスだし、なかなかこんなチャンスはない。マリノスファミリー全員が優勝を願っているとわかっているし、この優勝がどれだけ大きいのかも理解しているつもり。そういったものをプレーで示したいと思っていた」。その結果、決勝ゴールというこれ以上ない形で存在価値を見せつけた。
チームは今後、15日の新潟戦、19日のFC東京戦を経て、25日に敵地で行われる運命の決勝第2戦に臨む。大一番の最終決戦としては厳しい連戦だが、渡辺のコンディション回復に与えられた時間は十分にあるとも捉えられる。
「ここから試合が続くのでしっかりと自分にフォーカスして、100%に戻して、スタートから使ってもらえるようなプレーをしていきたい」。そう意気込む25歳は、アジアの頂点を争う最終決戦に向けて「今日の結果は忘れて、また次の試合に一から。難しい試合になるけどしっかり勝ちに行って優勝したい」と高らかに宣言した。
(取材・文 竹内達也)
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