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百戦錬磨の貫禄…熊谷紗希がPKで緊張しない理由「私のなかでPKは生き物」

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熊谷紗希

[7.28 パリ五輪GL第2節 日本女子 2-1 ブラジル女子 パリ]

 決めなければグループリーグ敗退の可能性も大きくなっていた。日本女子代表(なでしこジャパン)を救ったのはキャプテン・熊谷紗希。0-1で迎えた後半アディショナルタイムにPKを獲得すると、池田太監督からキッカーを託された。「もうやるしかないという気持ち。なんとしてもチームを助けたいなと思った」。冷静に右足シュートを決め、逆転勝利につなげた。

 試合序盤からブラジルに流れを握られた。激しい攻撃を受けるも、なんとかしのいだ。前半終了間際にはPKを獲得。しかしFW田中美南のキックはGKに止められ、先制点は奪えなかった。

 後半早々に失点すると、0-1のまま90分間が経過しようとしていた。すると、MF谷川萌々子のドリブルが相手のハンドを誘発。後半アディショナルタイム2分過ぎ、熊谷がPKのスポットに立った。

「あの状況で勝ち点1が残るかどうかというところはすごく重要なところ。なによりも自分たちがほしい勝ち点だった。ただ、蹴る瞬間は本当に落ち着いていた。ボールに集中するだけ。でも、なんならあのときGKが見えちゃって、落ち着いて蹴れた」。熊谷のシュートで同点に追いつくと、直後には谷川のスーパーゴールで劇的逆転勝利を飾った。

 直近ではPKキッカーは後輩に託していたが、2011年W杯優勝を決めるPKキッカーや女子チャンピオンズリーグ決勝のPK戦など、数々の大舞台でPKを蹴ってきた。緊張感という意味で、それらと今回のPKを比較はできないという。

「PKは私のなかで生き物だなと思っている。そのときそのときでかなり違ったシチュエーションがある。とにかくあそこに飲まれないこと。自分のリズムで蹴ること。そこだけに集中していた。いい意味で緊張はしなかった」

 仲間からの「紗希さんお願い」という思いを背負った。「みんなの気持ちはわかっている。だからこそ決めたかった」。笑顔で語るキャプテンからは百戦錬磨の貫禄が漂っていた。

(取材・文 石川祐介)

●パリオリンピック(パリ五輪)特集(サッカー)
石川祐介
Text by 石川祐介

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