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目標はE-1ではない…日本代表入りに強烈な野心燃やす東京Vの24歳CB綱島悠斗「W杯予選に選んでもらえる活躍を見せたい」

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東京ヴェルディDF綱島悠斗

[3.29 J1第7節 柏 0-0 東京V 三協F柏]

 今季のJ1リーグで存在感を示す柏レイソルのポゼッション戦術を封じてのクリーンシートにも、満足はなかった。0-0に終わった試合後、東京ヴェルディの右CBを担うDF綱島悠斗(24)は「ここまで前半で失点してしまうことも多かったし、クリーンシートもあまりなかったのでプラスには捉えているけど、(失点)ゼロでも勝ち切れてはいない。今度はゼロにしながら攻撃でより複数得点を奪えるようなチームになっていきたい」と力強く前を見据えた。

 結果は0-0に終わったが、見どころの少ない試合ではなかった。

 柏にボールを握られる傾向にあった東京Vも、奪った後はカウンターの意識が高く、決定機を複数創出。「3バックの3枚が後ろに重くなってしまうとどうしても真ん中の選手が足りなくなってしまうし、自分たちがシステム上フリーになれる。ボランチの横まで行ければより攻撃的に怖いところに人を送れる。そこはチーム全体で意識していた」。そう語る綱島も3バックの右でビルドアップをサポートするだけでなく、時には右サイドの深い位置に顔を出してチャンスメイクを担っていた。

 また両チーム守備陣の奮闘で均衡状態は続いた中、綱島は後半42分にセットプレーでも違いを示した。MF平川怜のCKにファーサイドで反応すると、188cmの上背を活かしたヘディングで折り返し、DF谷口栄斗のフィニッシュを演出。「中に人数がすごく多かったので谷口選手をピンポイントで目掛けたのではなく、ファーサイドに流すことを意識していた」。結果的には際どいオフサイドに阻まれたが、高く激しく競り合いながらも的確な状況判断を見せ、試合を決定づけるビッグチャンスを作り出した。

 それでもなお、綱島に満足した様子はなかった。それも“決め切れなかった”試合にありがちなフィニッシュの精度に課題を求めるのではなく、より数多くの決定機につなげるためのビルドアップに伸びしろを見出していた。

「自分として思うのは自分のファーストポジションもそうだし、怖いエリアに人を入り込ませられていないこと。ボランチが怖いエリアに侵入して行かなかったり、アタッキングサードで外に選択してしまったり。ボールホルダーもそうだし、人の動き方もそう。やっぱり怖いところにボールを入れていけるか、そこに人が入っていけるかが大事。そこは自分自身も含めて改善して、より怖いチームになっていけたらと思う」

 0得点5失点でのショッキングな開幕2連敗を経て、ここまで2勝2分3敗と復調傾向にある東京V。昨季の6位躍進につながった土台を取り戻すだけでなく、次のフェーズに入っていることを感じさせる振り返りだった。

■E-1ではなくW杯予選
 そんな綱島個人にとって今季は、今後のサッカーキャリアを大きく左右する重要な1年となる。今年7月に国内組編成の日本代表で臨むEAFF E-1選手権を控えており、国士舘大時代から積極的に公言してきた“代表入り”の目標を叶えるチャンスが大きく広がっているからだ。

 大学時代には188cmの長身と足もとの技術という自身の個性と向き合い、戦略的にボランチ挑戦を決め、MFオーレリアン・チュアメニ(R・マドリー)ら世界の大型セントラルMFをロールモデルとしながら世界基準を追求してきた綱島。東京Vでは再びユース時代のCBに戻る形となったが、奇しくも日本代表が同じ3-4-2-1のシステムを採用していることもあり、目の前の道がA代表につながっている実感はより深く得られているようだ。

「もちろん自分がどこでポジションを掴みたいかという理想はあるけれど、いま自分にとって何がプラスかを考えた時、そこ(ポジション)に執着するよりも、もっと上に行くため、どこのポジションであってもどういうふうにプレーするかを意識している。視点が他ではなく自分自身に向いているからこそ、良い状況なのかなと思います」

「自分がボランチにこだわらなくなったのも、現状は日本代表が3バックでプレーしていて、幸いヴェルディと同じシステムでやっているから。どこのポジションであっても出場していることによってチャンスが生まれてくるし、Jリーグで結果を残さないと代表、W杯という自分の目標には届かないと思うので、まずはどこでやりたいという気持ちより、いま出ているポジションを掴んで自分なりに確立して、より成長していければと思っています」

 そんな綱島はいま、E-1入りという現実的な目標以上に高い野望を思い描いている。

「(E-1代表は)強烈に意識はしています。ただ自分はE-1ももちろん意識しているけど、それよりも6月にあるW杯予選。そこに選んでもらえるような活躍を見せたいなと思っています。6月と7月で連続で代表の経験を積んで、信頼を勝ち取ってW杯に出たいというのがあるので、そのための今日の1試合、ここから続く連戦もそのためにあると思っています」

 目指すは北中米W杯出場権決定後のW杯最終予選。6月にはオーストラリア・パースでのオーストラリア戦、パナソニックスタジアム吹田でのインドネシア戦の2試合を控えており、そこに食い込んでいく意気込みだ。

 そのためにはJリーグの試合を通して、3バックの守備で圧倒的な存在感を見せ続けることに加え、いまの日本代表にもたらせる“プラスアルファ”を明確に提示する必要がある。その一つは攻撃面の武器だ。

「もちろん守備のところはすごく大事だし、3バックなので守備の選手だから失点をしないというのは大事。加えて代表の試合を見ていてもなかなか得点が入らなかったり、怖いスペースにボールを送れていないという現状があると思うので、セットプレー含めて、セットプレー以外でも得点をもたらせるようにならないといけない。自分の持ち味でもあるミドルシュートや持ち運びでより違いを作っていかないと目には止まらないと思うので、そこはより強烈にやっていきたいなと思います」

 日本代表の試合はくまなくチェックしており、「選ばれてからじゃないとわからない部分もあると思うけど、いま自分にある知識でサッカーを見た時に『いまの自分だったらもう少しここを取れるな』というのを意識して見ている」とイメージも万全。国内組からのW杯出場という“狭き門”を突破すべく、「試合でもっと見せないといけない。自分にできるという自信だけ持っていても試合で出せていないとできていないのと同じなので、代表チームにとって必要だというのを届けられれば」と大きな決意でJリーグの一戦一戦に向き合い続ける。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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