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「自分たちからやる選手が多かった」“夏冬連覇”神村ルーキー5人衆はすでに全員がJデビュー! プロ基準にも適応した「見て判断」の積み重ね

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左からMF荒木仁翔、FW日高元、DF中野陽斗、FW徳村楓大、MF福島和毅

 昨年度の全国高校総体と全国高校選手権で夏冬連覇を果たした神村学園高からは今季、一挙5人がJクラブに加入し、プロ生活をスタートさせている。高卒ルーキーが1年目から出番を得るのは決して容易ではないが、今月までに5人全員がJリーグデビュー。厳しい練習で鍛えた判断力とフィジカルはプロの舞台でも一定の評価を受け、それぞれの場所で存在感を高めている。

 5人の中で最も多くの出場機会を得ているのはいわきFCで開幕節から先発に定着した昨季キャプテンのDF中野陽斗だ。ここまでは卒業式とU-19日本代表活動で不在だった2試合を除いた全13試合に出場しており、今季の高卒ルーキーで最長となる1090分間のプレータイムを記録。すでにチームの中心選手としてJ2・J3百年構想リーグEAST-Bで2位につける躍進劇を支えている。

 またいわきFCでは選手権後に加入内定を掴み取った左サイドのスペシャリストMF荒木仁翔も主に途中出場で6試合152分間に出場し、アシストも記録。同じく選手権得点王を引っさげて{c|RB大宮アルディージャ}}に加入したFW日高元も10試合479分間のプレータイムを重ね、この出場時間は高卒ルーキーで中野に続いて2番目に多い数字となっている。

 さらに今季の神村勢が異質なのはJ1リーグでも出番を得ているところだ。FC町田ゼルビアのFW徳村楓大は6試合226分間に出場し、すでにアシストを記録。ACLエリートでも準々決勝アルイテハド戦に終盤出場するなど、国際舞台でも戦力となっている。加えてアビスパ福岡MF福島和毅も今月3日の第14節で待望のJ1デビュー。U-19 Jリーグ選抜の活動でも光る働きを見せており、今後はさらなる活躍が期待できそうだ。

 こうした彼らの起用は百年構想リーグという昇降格のない特別大会に支えられている側面もあるが、他のクラブを見れば、彼らと同程度の出場機会を得ているのは京都のMF尹星俊、千葉のMF姫野誠(高校3年生世代)、G大阪のGK荒木琉偉、名古屋のDF森壮一朗、横浜FCのFW岩崎亮佑といったクラブユースからの昇格組が中心。高体連出身者で2試合相当180分間以上に出ているのは帝京高出身の今治FW久保恵音だけという狭き門だ。

 果たしてなぜ昨季の神村学園で育った選手たちは、これほどまでに際立ってJリーグの舞台に適応できているのか。すでにJ2・J3リーグの強度で存在感を見せている中野によると、昨季のチームメートたちと互いに要求し合ってきたプレー基準の高さに一つの要因があるという。

「日頃の練習の強度も神村学園ではすごく求められていたし、そこは先生からも言われるけど、自分たちから高い基準を持って求めてきたことがプロの道でも通用すると思いました。筋トレなども上を目指して自分たちからやる選手が多かったので、そういったところが今につながっているのかなと思います」(中野)

 もちろん、高校とJリーグのプレー強度やスピードは大きく異なるため、一定の適応力は必要になる。その中で神村学園出身の選手たちが口を揃えるのは高校時代に培ってきた「(相手や味方の状況を)見て判断」という要素の大切さだ。

 5人はそれぞれ対人守備、キック、得点力、ドリブル、ボールコントロールといった高校年代で抜きん出た武器を持つ選手たちばかりだが、その土台にあるのは武器を発揮するための機を逃さない判断力だ。中野によると「一人一人が考えてプレーするというのはどこに行っても変わらないと有馬(圭一郎)先生もおっしゃっていて、そこは今でも変わらない」と今でも強く意識しているという。

 1プレーごとに相手や味方を見て適切な判断をするという習慣は、高校からプロの基準に適応する過程でいっそう役立っている様子。中野は「高い強度でも奪いに行くところであったり、局面を打開するというところは高校からずっと求めてきたし、そういったところの基準はプロでもちろん高くなったけど、見て判断するのは環境に慣れてしまえばできること。そこは高校で成長した部分だと思います」と手応えを語った。

 また彼らにとって、それぞれの同期の存在こそが何より大きな刺激になっているようだ。

 それぞれの選手に話を聞くと、やはりU-19日本代表の常連でクラブでも盤石の地位を築いている中野の活躍を意識している様子だが、中野のほうも「まだまだお互い負けたくない気持ちがある。J1でプレーしている選手も、大宮にいる日高も、荒木とは練習から切磋琢磨しているので、良い刺激にしながらやっています」ときっぱりと言う。

 中野自身もまだまだこの立場に甘んじるつもりはない。「自分もこのJ2・J3百年構想リーグでやっていて、J1の舞台で出るにはもっと頑張らないといけない。徳村や福島が出ている舞台にはまだまだ足りないと思うので、上を目指して頑張っていきたいです」。5人にとってルーキーイヤーのデビューはいまや通過点。スペイン4部に挑戦の場を求めたMF細山田怜真、大学サッカーに進んだFW倉中悠駕(国士舘大)、MF堀ノ口瑛太(慶應義塾大)らも含め、神村“連覇世代”の切磋琢磨はこれからも続いていくはずだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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