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夢は「南極で働くこと」…北海道大FW説田周、監督やコーチのいない環境から選抜入り

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北海道選抜でプレーしたFW説田周

 北海道選抜が“生き残った”。プレーオフを勝ち抜いて初のデンソーカップチャレンジ本大会出場を決めていた北海道選抜だが、グループステージは3連敗。日本高校選抜にも敗れる屈辱を味わった。それでも来年度大会の本大会残留を争う7・8位決定戦では、東海選抜を相手に粘り強い戦いをみせると、PK戦では17人目まで突入する激闘を制して、プレーオフ降格を回避した。

 主力の多くが札幌大などの選手らで構成された北海道選抜だが、ただ一人、北海道大学所属の選手が選ばれていた。FW説田周(北海道大3年=横浜翠嵐高)はプレーオフから帯同。本大会初戦の関西選抜戦では、キャプテンマークを巻いてプレーした。

 説田は神奈川県生まれ。高校は県下有数の進学校の横浜翠嵐高校出身で、自身も東京大学を第一志望にして受験勉強に励んだ。結果的に後期試験で北海道大工学部に進学することになるが、サッカー部の同級生の5、6人が東京大学に合格したという。

 高校ではサッカー部にも所属。しかし3年時の高校選手権は早々の県予選2回戦敗退したことで、サッカーへの未練を断ち切れなかったという。「それにサッカーを続けてこういう大会に出ることで、過去のコーチやチームメイトから連絡が来る。サッカーを続けていればそういうことがあるので続けています」。

 ただ簡単な環境ではないようだ。「僕たちは監督やコーチもいないので、学生でみんなやっています。でもわざわざ北大に勉強で来て、それでもサッカーをやるということは、時間を無駄にしたくないし、やるなら本気でやりたいという人が集まっている。学生だけだけど、熱量を持ってやろうと心掛けています」。説田も下級生のころはCBをしていたというが、3年生になってFWに転向。自身のサッカー観と日々向き合うことで選抜入りを勝ち取った。

「シーズン中も想像していなかったけど、今年は選考会に呼ばれてチャンスがあるかもと思った。デンソーカップという大会自体は知っていて、普段戦っている札大とかの人が選ばれていて悔しいなと思いながら毎年やっていた。今年は入れて嬉しかったです」

 大学では工学部環境社会工学科資源循環システムコースで学んでいる。そして来年からは大学院に進学予定で、本気でサッカーを続けるのは大学4年生シーズンの今季が最後になる。「極地の研究がしたくて、南極の氷がどれくらい崩れているのかとか、地球環境を守れるような研究をしたい。将来は南極で働いてみたいと思っています」。北海道生活で3度目の冬を迎えながらも、「雪が降ったらまだテンションが上がる」と無邪気に話す浜っ子は、大学サッカーで培った自信を糧に壮大な夢を叶える。

(取材・文 児玉幸洋)

●第39回デンソーカップチャレンジ特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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